千早茜のレビュー一覧

  • 森の家
    さびしい三人の、家族のお話。大学生のまりもくん、佐藤さんの彼女のミリさん、佐藤さん。

    家族観みたいなものがとても近く感じられて、すごく救われた気がした。あとがきのラストの一文で泣き崩れたよ…
  • 夜に啼く鳥は
    とても好きなお話でした。
    千早茜さんの幻想小説は久々だと思うのだけどもう…大好き。
    物語の中心となる一族の、不老不死となった初めの人物を描く「シラ」から惹き付けられました。昔話や神話みたいでした。愛した人を探し続ける何百年…そしてラストに泣きそうになりました(職場の休み時間だったので堪えた)
    その次...続きを読む
  • 女ともだち
    全体的におもしろいけどまあまあかなあと思いながら読んでいたら、最後の森絵都の「獣の夜」がひたすらによくて、とある一文がぶっ刺さりすぎて気が遠くなるくらいによくて、一気にお気に入りの本になってしまった。 あまり大声で言えないいわゆる性癖みたいなものなのでこっそり隠しておく。 これからも私は私のネイチャ...続きを読む
  • 女ともだち
    とても面白かった!

    SNSがただ”SNS”って出てくるものは読んでたけど、こんな風にfacebook、instagram,LINEって固有名詞で書いてくれると一気に身近に感じた。SNSって書かれるとどんなやつかなって考えなきゃいけなくなるから、フィクション感が増しちゃうんだよね。


    ↓以下ネタバ...続きを読む
  • からまる
    初千早さんの本。男女それぞれを描く連作短編集。夢中で読み通した。一つ短編を読むたびに、最初の短編の読み方が変わる。きっとみんなにこやかにクールに見えても、内心は孤独や狂おしい火を抱いているのだ。
    紡がれる言葉は繊細で甘美。
    綺麗なふわふわしただけの本ではなく、内容も言葉も満ちていて良かった。
  • 眠りの庭
    不穏。ただならぬ雰囲気に目が離せない。好きではないジャンルなのに、その世界に留まっていたいと思ってしまった。「好き」という二文字に込められる妖しく切ない想い。きっとこの物語のことは忘れないだろう。
    あらすじ(背表紙より)
    女子校の臨時教員・萩原は美術準備室で見つけた少女の絵に惹かれる。それは彼の恩師...続きを読む
  • あやかし草子
    短編6作。
    書き出しからの纏わりつくような妖しい美しさ、戸惑うまでもなくすっと惹き込まれるあやかしの世界。
    切ない描写は身を切るほどに痛々しく、哀しみで満たされてしまう。
    どの作品も読後に鮮烈な色が残る。
  • からまる

    感覚的な作品

    とても読後感の良い作品でした。絵画をみてるようなそんな気分になれる、読んでいるといろんな風景が想像できます。で読み終わったら好きな人に会いに行きたくなる(笑)そんな気持ちにさせてくれる本です。オススメ!
  • おとぎのかけら 新釈西洋童話集
    馴染み深い西洋の童話を、現代日本で再現した短編集です。

    すべてが、見事な翻案。
    一見、現代の小説であるようなのに、本当に見事なまでに、元になった童話!です。
    中には、闇をたたえた話もあるけれど、元々、童話は、闇の物語でもあるし。

    全部好きで、どれが一番なんて、決められませんが・・・。
    『カドミウ...続きを読む
  • おとぎのかけら 新釈西洋童話集
    女の意地悪い視点で描いている。男ではこの、夏の汗をかいた後に入るクーラーの室内みたいな居心地の悪さ、それを周知されるいたたまれなさは描けないと思う。
  • さんかく
    学生時代によく行っていた地名がちらほら出てきて、帰省したらまずはイノダコーヒーでモーニングしたいなと思いました。京都に帰る新幹線で読みたいな。

    私は伊藤さんや華のような何かを専門的に追求することが苦手なので、二人のような人がかっこいいなと率直に思いました。
    そんなかっこいい二人でも、恋をして、無邪...続きを読む
  • 紙魚の手帖Vol.12
     全部は読んでいない。GENESISが雑誌になって、ノリの良さが前面に出た感じ。これもまた良いな。
     ゲラゲラ笑った青崎有吾さんのメカくらりは別枠として、高山羽根子さん、笹原千波さん、の作品が特に好きだった。

    ■笹原千波『手のなかに花なんて』
    肉体を捨てて情報人格として生きることを選べる世界。花と...続きを読む
  • 赤い月の香り
    透明な夜の香りの続編
    今回採用したのは男の人
    この人も触れられたくない過去を持つ
    香りにより記憶が蘇り、過去との折り合いをつけていくのだろう
    源さんについても
    描写がとても繊細で、どんな香りが漂っているのか、洋館や森の様子、畑で採れた瑞々しい夏野菜
    、ハーブを使った料理など想像を掻きたてられる
    今回...続きを読む
  • クローゼット(新潮文庫)
    百貨店での服飾展覧会をきっかけに出会った、服を愛する三人のお話。

    服を、ただ博物学的に修復して保存して記録して、で終わるのではなく、その一着から当時の人々の暮らし、ひいてはその服の持ち主の人生まで蘇らせる工程がとても美しい。

  • グリフィスの傷
    傷という一つのテーマでここまで書ききれるのはすごいな。千早茜にしては珍しく、あんまり香りの表現がなかったような。

    傷は体にも心にもできる。モノにもできる。その傷を見せることによって変わることもさまざま。
  • しろがねの葉
    かなり読み応えがあった。この作家さんには珍しく骨太な物語に驚いた。
    石見銀山に迷い込んだウメは山師と呼ばれる頭領のような喜兵衛に拾われる。
    最初はウメが女だてらに喜兵衛の右腕となり、銀掘の道を歩んでいく物語かと思ったら予想と全く違う方向へと進んでいき、でも不快ではなくページをめくる手が止まらなくなっ...続きを読む
  • こりずに わるい食べもの
    「透明な夜の香り」シリーズで気になって、千早さんのエッセイを初めて読んでみた。作品での食描写もおしゃれだな〜と思っていたが、やはりご本人の食事もわたしから言わせればおしゃれ!丁寧な暮らしといった感じ。マヨネーズがなくてナンプラーが常備してあるところにそれを強く感じた。食エッセイは西加奈子ばかり読んで...続きを読む
  • ガーデン
    植物を愛する羽野は、人間と深く関わるのが苦手で人と常に一定の距離を置いている。どこか周りの人たちを達観して見ているような羽野だったが、実は人の気持ちを何もわかっていなかったことに気付かされるお話。

    終盤で緋奈が羽野の生き方や部屋を「不自然だ」と指摘していくシーンには圧倒された。緋奈の言葉が適切で、...続きを読む
  • 神様の暇つぶし
     千早茜さんの小説には、いつも濃密な空気が漂っている気がします。湿気、人や物などの匂い、肌触りの温度や質感など、五感に訴える描写が生々しく迫ってくる印象を受けます。

     本作は、20歳の女子大生・藤子と親子ほど歳の離れたカメラマン・全との関係を描いており、上述の表現も含め多くの歪さが見て取れます。加...続きを読む
  • しろがねの葉
    石見銀山で山師吉兵衛に拾われ銀掘となることを目指したウメだが女である事が障害となる。
    女は男には勝てない。
    男たちは山に魅力され病となり短い一生を終える。
    銀山に取り憑かれたような男と女の悲しくも愛の溢れる話だと思いました。