眠りの庭

眠りの庭

小説・文芸
704円 (税込)

3pt

女子校の臨時教員・萩原は美術準備室で見つけた少女の絵に惹かれる。それは彼の恩師の娘・小波がモデルだった。やがて萩原は、小波と父親の秘密を知ってしまう……。(「アカイツタ」)
大手家電メーカーに勤める耀は、年上の澪と同棲していた。その言動に不安を抱いた耀が彼女を尾行すると、そこには意外な人物がいた……。(「イヌガン」)
過去を背負った女と、囚われる男たち。2つの物語が繋がるとき隠された真実が浮かび上がる。

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  • カテゴリ
    :
    小説・文芸
  • ジャンル
    :
    小説 / 国内小説
  • 出版社
    :
    KADOKAWA
  • 掲載誌・レーベル
    :
    角川文庫
  • タイトル
    :
    眠りの庭(角川文庫)
  • タイトルID
    :
    382059
  • 電子版発売日
    :
    2016年06月18日
  • コンテンツ形式
    :
    EPUB
  • サイズ(目安)
    :
    1MB

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眠りの庭 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

     強さと弱さ、野生と抑制、絶望と生命力。正反対の性質が共存する者は、生々しくも美しい。
     支配欲に満ちた父親に育てられた小波は、意志を持たない。自我を持たない人間は、何も求めてこない。また側にいる者の欲求を、自分のものだと錯覚している。だからなのか、小波と関わった男性は、彼女に強く惹かれ、取り込まれ、そして破滅していく。
     自己主張は少なからず、加害性を帯びる。小波のように強固な人格形成をされていなくとも、繊細な心を持つが故に、大切な人といる時には我を持たないという選択を、無意識的にしている人は案外多いと思う。
     しかしたとえ望んだとしても、人間は本当の人形にはなれない。常に小波の腹の底には、理不尽に傷つけられたことに対する怒りがある。だから敵意を持つ者には敏感に反応して、躊躇なく潰す。また深い絶望を味わっているから、痛みや恐怖をほとんど感じない。
     「マカロンも果物のケーキも…ぺたんこの靴も本当はどうだっていい。耀に似合うものが好きなの。幸せのイメージに近づいていく気がして。」小波は最終的に、彼女から決して何も奪おうとしない耀と、「理解し合えなくても一緒にいること」に希望を見出す。人の心には、決して他人が無闇に暴いてはならない、神聖な領域が存在している。
     人は変化する。よって、「あなたを信じている」と言うことは、実は暴力に近い。誰かを愛することは、祈りを捧げることと殆ど同義だ。

    0
    2024年04月15日

    Posted by ブクログ

    気持ちの悪い物語である。

    この物語で悪者を見つけるのは難しい。

    誰もが加害側であって、誰もが被害側である。

    “洗礼者ヨハネの首を持つサロメ”がモチーフのひとつになっているようだが、主人公は果たしてサロメだったのか、ならばヨハネは誰で、ヘロデは誰だったのか。

    どうやらこの物語では誰もが各々の物語、神話から抜け出せずに、ツタに絡まりようにしてもがきながら生きている。

    その物語、願望を各々が好きなように小波と澪、二人の解離した対象に体良く投影させる。

    そして、小波も澪はただ投影されるだけであるけれど、その分裂した未熟な自我は他者を暗に操作させる。

    第一部はどこか北米のハードボイルド小説のようでいて、後半は恋愛小説のようでいて、文体までも解離しているようだ。

    物語の最後、これは救済なのか死なのか、複数回読み返しても答えが出ない。

    ある時は救いであるように思うし、ある時は受難の再生産にも思える。

    従って、最後の最後まで、投影がやまない。

    気持ちの悪い物語だ。

    0
    2020年08月08日

    Posted by ブクログ

    不穏。ただならぬ雰囲気に目が離せない。好きではないジャンルなのに、その世界に留まっていたいと思ってしまった。「好き」という二文字に込められる妖しく切ない想い。きっとこの物語のことは忘れないだろう。
    あらすじ(背表紙より)
    女子校の臨時教員・萩原は美術準備室で見つけた少女の絵に惹かれる。それは彼の恩師の娘・小波がモデルだった。やがて萩原は、小波と父親の秘密を知ってしまう…。(「アカイツタ」)大手家電メーカーに勤める耀は、年上の澪と同棲していた。その言動に不安を抱いた耀が彼女を尾行すると、そこには意外な人物がいた…。(「イヌガン」)過去を背負った女と、囚われる男たち。2つの物語が繋がるとき、隠された真実が浮かび上がる。

    0
    2016年07月17日

    Posted by ブクログ

    複数の物語が繋がり、別の目線から描かれる彼女の作品が大好きだが、眠りの庭は単なる繋がりではないように感じた。
    それは、イヌガンに出てくる寓話が絶妙に本編にシンクロしているところ。2つの本編の物語の繋がりだけに止まらず、その中に登場する寓話までもつながる。ここが今まで読んだ小説にはない新しさを感じた作品。

    0
    2026年09月27日

    Posted by ブクログ

    美術家を惹きつけるファム・ファタル小説は、時として女性本人の人格や意思が抜け落ちたまま描写されたり、欲望の鏡扱いされがちだけれども(最近も、そちらに振り切った作品を読んだなと思い出した)、女性性を持つ人の痛々しいほどの葛藤にもフォーカスして描いていたのが、さすが千早茜さんとなった。

    すっきり解決、と言えるものはひとつも無く、情念、欲望、本質的な孤独に傷付ききった登場人物たちが、暗い夜の庭に取り残されるばかりの物語。
    そう書くと、どうにも救いが無いように思えるけれども(実際そうだけれども)、その暗がりの芳醇さに、ついつい惹き込まれてしまった

    0
    2025年05月15日

    Posted by ブクログ

    前半のアカイツタ、ここで終わりと思ったら後半のイヌガンが実は繋がっていることが分かって、ぞくり。千早さんらしく生々しくて、仄暗い。

    0
    2025年02月21日

    Posted by ブクログ

    前半の「アカイツタ」と後半の「イヌガン」。後半を読み始めた時は別の話なのかな?と思ったけど、10年後のお話でした。今まで読んだ千早さんの中では1番の耽美さや幻想が漂う作品でした。
    明確な解釈が記されているわけではなく、読者に委ねられているお話です。
    私的には結末がちゃんとしていて、なるほどねーそうきたか。でもこういうのもありだよなぁと想像するのが好きなので、千早さんの決めた結末を知りたいなーと思いました。

    0
    2024年01月21日

    Posted by ブクログ

    アカイツタとイヌガン
    別々のお話のようで深く絡みついている一冊

    理解できないような闇や薄暗さがある
    深い闇に興味をそそられ
    のめり込んでしまう感じ
    久しぶりに味わった
    嫌いじゃないんだなこの感覚

    0
    2023年05月15日

    Posted by ブクログ

    難しかったとか複雑だったとか、そういう言葉では表せられないような神秘的な作品だった。
    アカイツタとイヌガンの2部が折り重なってひとつの物語となることがすごく印象的だった。ただ、わからなかった、、、

    0
    2023年03月30日

    Posted by ブクログ

    面白かったです。
    昏く、でも鮮やかな赤も感じる世界でした。
    近すぎる父と娘、そして娘の小波と奪い合う人たち。
    「アカイツタ」では堕ちていく人たちに魅せられて、澱んだ息苦しい空気でした。
    「イヌガン」では小波は澪という新しい名前で新しい人生を選んでいきます。小波の気持ちわかる…となったので、耀と幸せになれたらいいなと思いました。
    わたしの「好き」はどんな「好き」だろう?改めて考えてみると難しいです。
    「人はわかり合えない」、というのは真理だと思うので、わたしも毎日そこから始めます。
    冒頭の独白は多分、土の中の真壁教授のものなのでしょう。凄絶で綺麗。

    0
    2019年07月19日

眠りの庭 の詳細情報

  • カテゴリ
    :
    小説・文芸
  • ジャンル
    :
    小説 / 国内小説
  • 出版社
    :
    KADOKAWA
  • 掲載誌・レーベル
    :
    角川文庫
  • タイトル
    :
    眠りの庭(角川文庫)
  • タイトルID
    :
    382059
  • 電子版発売日
    :
    2016年06月18日
  • コンテンツ形式
    :
    EPUB
  • サイズ(目安)
    :
    1MB

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  • ・ブックライブ for Windows PC(アプリ)
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  • ・ブックライブ for Android(アプリ)
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