千早茜のレビュー一覧
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ヤンジュさんのレビューを読んで面白そうと思ったので読んでみた。
傷には、軽重はあれ、必ずそれが出来るに至ったストーリーがある。自分の身体にも無数の傷がある。それは無数のストーリーがあるということ。まさにヒストリーだ。そして、傷は身体だけでなく心にも。つけたりつけられたり。それらのストーリーをヒストリーにしていくことが「生きる」ことなのかも知れない。そんなことを考えさせられた。
十の短編から成っているが、個人的に一番良かったのは「慈雨」。自分の不注意で子どもに傷をつけてしまった経験が、親なら誰でもあるのではないかな。それを悔やんでいる人ならきっと心にしみる話だと思う。(傷つけた相手が兄弟や友人でも。自分の場合は妹につけた傷を思い出さずにはいられなかった。)
素敵な読書時間を持つことごできた。星5つ! -
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洋菓子をテーマにした甘いだけの作品かと思っていましたが、良い意味で裏切られました。
甘美で少しほろ苦く、時々どきっとするほど官能的な大人のための連作短編集です。男女問わず、スイーツ好きな大人の方にぜひおすすめしたい一冊でした。
特に印象深かったのが、作中で語られる「クリームの科学」についての表現です。クリームは、二つ以上の脂肪球がぶつかり、溶け合い、繋がってこそ、ツノが立つような理想的な形になる。けれど、混ぜすぎると崩壊してしまう。
夫婦関係はもちろん、様々な人間関係に当てはまる深い比喩だと感じました。お互いを知ろうとしなければ一緒にはいられない。でも他人だから、完全に一緒にはなれないし、それでいい。その絶妙なバランス感覚は、まさに繊細な洋菓子そのものだと腑に落ちました。
千早茜さんならではの五感に訴える表現も本当に素晴らしいです。
「優しい黄色の皮に歯をたてると、生クリームがあふれでてくる。吸いついてクリームを飲む瞬間がたまらない。甘い幸福がとろとろと身体に流れ込み、脳を満たしていく。クリームと柔らかいシュー皮、単純な味に安心する。」このシュークリームの描写には完全にやられてしまい、読んでいる間、何度シュークリームを欲してしまったことか…この読後感を携えて近所の洋菓子店に行ってみようと思います。 -
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ネタバレまたまたまたまた、千早茜さん。
父親が精神を病んでいるため、瀬戸内海の小さな島に住む祖父母に預けられることになった葉。古い慣習や厳しい祖父になじめなかった葉は、毅然として島の人たちになじもうとしない、真以に憧れ、仲良くなる。でも真以は自分に心を開いているように見えない。でもだんだんと距離が近づき、二人だけの秘密も共有するようになる。
せっかく近づけたと思ったのに、ある日、真以は何も言わずに島から逃げ出してしまう。真以を連れて行ったのは大人の男(逃亡犯)で、マスコミの格好の餌食となる。責任を感じ、葉は傷つく。
後半は大人になった葉の物語。大手企業で総合職として働く葉は、傷を抱えたまま一生懸命に生きてきたのだろうと想像できる。そして会社ではセクハラ上司に目の敵にされ、同僚には見て見ぬふりをされ、自分に自信を失っていく。そしていつも、心の隅に真以との記憶を抱えている。
千早茜さんは、女性の生きづらさを描いた作品が多いけど、この小説ではそもそもなぜ女性が生きづらい世の中なのか、その根底にあるものを描き出している。
昔、GHQの軍人を相手にする女性が住む島があった。女郎屋が並ぶ島があった。女を買う男たちは責められないのに、性を売る女性は忌み嫌われ、差別される。風俗に通う男性は何も言われないのに、風俗で働く女性は差別され、その子どもまでも後ろ指をさされる。
大手企業の総合職で働く女性は男性に敬遠され、扱いづらいと言われる。
みんな女から生まれてきたのに。
最後は少し、救いがあって、良かった。 -
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もしかして、千早さんってすごく面白い人なのでは…???
と思ったわるたべ4作目。
今までのわるたべや、新井さんとの『胃が合うふたり』を読んで一方的に抱いていた千早さんのイメージは、繊細、冷静沈着、計画的、夜型、芸術家気質、あと神経質(すみません、でもご本人もそう書かれてるので)。そんなイメージの千早さんが新しいご家族に翻弄され、段々と朝型健康サザエさんみたいになっていくのが本作。元々そういう窓があり、ご家族に開かれていく過程が描かれているのではなかろうか。だってディズニーランド・シーへ姪っ子家族と行って、「茜さんがいちばん楽しんでいた」って言われてるくらいだもの。きっとめちゃくちゃ面白い人なのよこの方。 -
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ネタバレ見えない傷と見える傷がある
見えない傷は他人からは知られずずっとぐじゅぐじゅに膿んでたりする
見える傷は関わった大切に思ってくれる人がいつまでも忘れられない原因になる
案外本人は気にしてないこともあって
ただその人にも気にしてほしくないから隠す場合もある
見えない傷を無視されたくなくて見えるようにした
見える傷ができてやっと傷ついていたことに気づかれた
傷、をテーマにしてこんなに物語が広がるものなのかって驚いた
「私が描きたいのは生き延びたあかしだから。死体の傷口というのはひらいたままだ。血が乾き、腐敗し、蛆がわくことはあっても、ふさがることはない。傷痕になることはないんだ。だから、これらは生者の勲章だ。」
私は今幸せ
私の見えない部分についてた傷は
もう塞がった傷跡になったから
私が必死に生き延びた証
たまに、ここに傷があったんだよなって思い出す
思い出して切なくなるときがあっても
もう痛くて動けない日は多分来ない
それを誇らしく思ってる -
Posted by ブクログ
ネタバレ久しぶりにスラスラ読んでしまった!!
めっちゃ面白かった
短編集なんだけど、
登場人物がみんなどっかしら繋がってて、
こういう構成になってる本好きなんです!!
名前は一緒だけど、あの人から見た姿とこの人から見た姿が全然違う…本当に同じ人??みたいな混乱しながら読むの好きです!
そして1行目から文章が面白い。
「最初、わたしたちは四人だった。
わたしと環と麻美と恵奈の四人。わたしたちは太っても痩せてもなく、目立って愚図でも飛びぬけて優秀でもない普通の女の子で、大学までエスカレーター式の私立の中等部で出会った。(中略)わたしたちはなんでも話した。それぞれの彼氏のセックスの癖からペニスの形状まで知っていた。(中略)大学に入ると、少し様子が変わった。一番大人しかった麻美が彼氏と同棲をはじめて、バイトに明け暮れるようになった。環は芸能事務所に入って本格的にタレント活動をしはじめたりわたしと恵奈が一年の語学留学から帰ってくるとひとつ学年が上になってしまった二人の雰囲気が違っていた。いっそうスタイルが良くなった環は派手な服装になっていて、麻美は古着屋の店員みたいな格好をしていた。わたしは恵奈と二人でいることが多くなった。」
なんかもー最高でしょー
アラサーの女子なら刺さる感じがする!
女の友情って、自分だけじゃなくてみんなこんな感じなんだ〜びっくりと思いながら見てました。
面白かった!! -
Posted by ブクログ
ネタバレ情景描写の日本語が美しくも儚く
どんどん読んでしまった
読みながら耽美な甘い香りが届くかの如く
全ての考察を読者に任せる小説で、
甘いお伽話だった、、
白亜とスケキヨという兄妹愛なのか、
本当は血の繋がらない2人の恋愛物語なのか
前半は近親相姦めいた描写もある
蓮沼の理性、頭のキレの良さ、人情、が垣間見える場面がありその度格好良い男だと思った
ただ蓮沼は近親相姦を受けていたという境遇
白亜と似た境遇としたのは何故だったのか
白亜が蓮沼に想いを寄せるきっかけのためだったのか
白亜の蓮沼への思いは恋心だったと思いたい
スケキヨは雷魚の、白亜はかつての伝説の娼婦の生まれ変わりであることが随所で仄めかされているので、恐らくそうなのだろう
だが生まれ変わり後の関係性はあくまで兄妹
この辺りに愛の種類が混ざりうる要素があったのだろうか
最後、2人は元通り一緒に暮らすことが出来たが一度も関係を持つことはなかった、ただたまに首絞めという一種の性癖とも取れる部分をスケキヨに頼っていた
ここで、最後は究極の兄妹愛に落ち着いたが雷魚との愛もこうした形で残ったことが揶揄されていたのか
本作が映像化されて、美男美女の愛情を見たい気持ちはあるが、繊細で美しい日本語表現があってこそという点もある気がして、安易な映像化には向いていないとも思う、ただ見てみたい気持ちもあり、、難しい -
Posted by ブクログ
全話面白かった!
周りにこういう女の子居たなぁって
どれも身に馴染みのあるお話で、サクサク読めた!
特に刺さったのは
「こっちを向いて」というお話。
仕事の取引先のお姉さんが転職するからもう会えなくなる。寂しい。できればこれからは友達として付き合っていきたいと思ってる主人公。
でも相手がそれを望んでなかったら?とか、ごちゃごちゃ余計なことを考えて結局何も言い出せなかった。って内容なんやけど、
めちゃくちゃわかる、、、!私も過去に全く同じ経験したし、他にも経験された方は意外と多いのかなと思う!
大人になってからの友達作りって考えてみれば難しいかも(´-`).。oO
最後の「獣の夜」は、臨場感がすごい文章で、めちゃくちゃ惹き込まれました。
早く誕生日の友達をサプライズで会場まで連れて行かないといけない、皆が待ってるのに!と焦りつつ、ジビエフェスで楽しくなっちゃってどうでもよくなってきてる主人公。
責任感vsどうにでもなれ( ´∀`)⭐︎
の感情がずっと主人公の中で戦ってるのに、どんどんお酒と料理追加していくのおもろい!笑
わぁーー確かに!!!ってなった文章抜粋
↓ ↓ ↓
「いない人を否定したら女の友情はひびが入りだす。」
「今、自分が置かれている境遇に似た人と仲良くなる。女がともだちを作るときの条件は、基本的にそこにある。ただいま現在の悩みを共有できることが、女にとってともだちになる大切なポイントになりやすい。」