あらすじ
好きに食べて、好きに生きる――。茶をこよなく愛する記録魔の作家千早茜。季節を問わずかき氷を食べまくるストリッパーの元書店員新井見枝香。気が合う以上に「胃が合う」ふたりが集えば、とびきりの美味追求がはじまる。銀座のパフェ、芦原温泉のにごり酒、京都の生湯葉かけご飯、神保町の上海蟹。果てなきおいしさと人生の岐路を描く往復エッセイ。文庫版で番外編50ページ分を新たに収録。(鼎談・トミヤマユキコ)
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良いところだけ、弱みだけ、を見せ合うのではなく友情にできるだけエンターテイメント性を求める2人の関係が素敵。
同じ物事について書いてあるけど文体も視点も違う。その中でも胃はとんでもなく合うお2人。
するする読めるのに読み終わってしまうのが勿体無くて毎日ちょっとずつ読んだ。しばらく経ってからまた読み返しても、日常を少し楽しんでみようと思えるような気がする、そんな本でした。
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食べることが好きな2人のエッセイ。かと思いきや後半は徐々にお互いの人生が進んでいく。食も合わなくなっていき、不穏さが見える。胃が繋がっている、と千早さんは言う。ふたりの文体も違うし、読んでいて楽しい。
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言葉を紡ぐ人とそれを売る人の食べ物を通した交流がこんなにも心に響くなんて。読んでいると憧れと羨ましさがないまぜになった気持ちが湧き上がる。そう思っていたから単行本を買っていたのに積読していたんだなぁと思い出した。2人のようにはなれないけれど、食いしん坊な面がある私も食べ物への向きが同じタイプの人が周りにいたら良いなぁと思った。
言葉の使い方や文章の描かれかたが好みすぎて。
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2025/4/11- とても疲れていた出張帰りに書店で手に取った。筆者2人が同じ食体験をそれぞれの視点から書く。描写される食べ物は本当に美味しそうで、口がその気分になってくる。ただ、お気楽エッセイではない。読んでいると、コロナ禍、新井さん、千早さんそれぞれの人生の変化が感じられる。食べるということは結構その人の本質を突いている行為かもしれないと思った。個人的にはたまたま知っている場所が何ヵ所かあったので、今度行く機会があろうものなら、この本のような楽しみ方をしたい。
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出てくる食べ物がどれもこれも美味しそうでお腹が空いたし、食事にもっと集中して食を大切にしようと思った。
私は好きな作家のひとりに千早茜を挙げるが、好きな所のひとつに「食べ物の描写が異様に上手い」というのがある。どの作品でも読むとお腹が空いたり、作中に出てきたものを自分も食べたくなる。きっと美味しいものをたくさんご存知なのだろうと思っていたが、食に対する意識が私と全然違った。目の前にあるものを五感でまるっと体験し、それらをメモすることで経験値として蓄積している。彼女の文章には普段の積み重ねが遺憾無く発揮されているのだろう。
そんな『ちはやん』の胃の合う相棒『新井どん』こと新井見枝香という人のことを私はこの本で初めて知ったのだが、なかなかその辺にはいないユニークな方だと思う。文章も結構アクロバティックというか、「見事な着地」と思わず拍手したくなるような意外な発想は面白くて思わず笑ってしまう所が多々あった。
食に対して似た意識を持つ二人が一緒に食べながら全然違うことを考えているのが判明したり、二人の関係性が楽しい。こんな関係性の友人が私もほしいと少し羨ましくもある。挿絵はおふたりそれぞれのハイライト部分を一つの絵にうまく落とし込んでいてまた笑ってしまう。
これを読んでどうしても気になって初めて湯圓を食べたのは良い思い出。次は家で中国茶を楽しもうと思っている。
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ものすごく良かった!!!食べものにまつわるエッセイを、また読み返すだろうなって思えたのは初めてかもしれない。美味しいものを美味しいねって言い合える人に贈りたくなる本。
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うまーーーーいし、こんな感じでご飯食べられる相手がいるってめっちゃいいな!!
うまい、うまいって言葉だけ交わしてご飯食べられる環境、めっちゃいい!
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同じ出来事や食べたものを、2人の視点から描いた往復エッセイ。
思った以上に深く濃い内容のエッセイで、とても読み応えがあった。
出てくる食べ物が美味しそうなのは言わずもがな、それを味わうというか、もはや食らうかのような2人の描写が野生的で本能的で、気持ちいいくらいだった。
食にここまで真摯に向き合う姿勢にも感服。
また、食べものの話だけでない、2人の人との付き合い方や人生観みたいなものもたくさん書かれていて、とてもおもしろかった。
唯一無二の2人の関係がカッコイイ!
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⬛︎良い意味で裏切られた珠玉のエッセイ
2人の名前も知らずに、表紙とタイトルに惹かれて購入。予想外のエッセイにとても良い意味で裏切られました。ご飯屋さんをめぐるほっこり食エッセイかと思いきや、ちがうちがう。
ウマは合うけど真反対な性格の2人が綴る価値観や人生観が面白くて、するすると引き込まれていきました。
私は千早さん寄りの…変化は求めず、コツコツと一つのことに向き合う性格ですが、新井さんは本当に真反対で、欲望のままにやりたいことをして生きる姿がとても眩しく見えました。
あまりの新井さんの自由さに「なんなんだこの人は!?」「千早さんはなぜついていけるんだ!?」なんて最初は思いました。しかし読むほどに、彼女は本能に正直で裏表がなくて、心の奥底の大事なところでは人を慮り尊重する仕草を感じて…そういう価値観を千早さんは理解しているからなのかな、と感じました。
また、印象に残ったのは新井さんの嫉妬と悔しさの違いといった価値観です。
嫉妬と悔しさをイコールで考え、それらの感情を
悪とし「嫉妬しない」を意識していた自分は、金槌で頭を殴られた感覚になりました。そうか、刺激か。プラスに昇華できる悔しい気持ちは、もって然るべきなんだ…と。
軸は食事エッセイなので、行ってみたいなあと思うお店もたくさんありました!
老舗の北島亭、新井どんが死ぬ前に飲みたいスープがあるコム・ア・ラ・メゾン、中国茶藝館の甘露など…
2人の素敵な関係性を見ていると、自分も誰かとご飯に行きたくなる…そんな気持ちにさせてくれるエッセイでした
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タイトルに惹かれて手に取って気づいたら買ってたけど、大人になるにつれ食を美味しいねって無言で食べられる相手って貴重なのかもしれないって改めて気づいた。明日は何食べようかな
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新井さんも千早さんも知ってるけど、こんな文章を書くお二人なんだなーと、知って新鮮。
千早さんのエッセイも読んだことあるけど、それとはまた違った文章に感じて、面白かった。
こんなにたくさん食べれるなんて、なんで羨ましい。金銭的にもそーだけど、そもそもここまで胃に容量がない笑
羨ましすぎる。そして太らないだなんて!
単なる食についてのエッセイだけじゃなくて、人生の話にもなっており、そこもまた良かった。
すこーしずつ関係性が、変化しているのになぜかとても良い温度でまた読みたいと思った。
Posted by ブクログ
正反対の性格のふたりが健やかなときもそうではないときも、食べて飲んで旅をしてお湯に浸かって過ごした記憶を互いに綴ったエッセイ。一緒にいれば無二の相棒のようなのにさらりとした手触りの関係は、なるほど「磯野と中島」がしっくりくる。胃が合わなくなったとしても意が合う関係であり続けるおふたりをもっと見ていたい。
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どんな美味しそうなものに出会えるのだろうと思って手に取った一冊。でもそこに書かれていたのは美味しそうな食べ物についてよりも、「ちはやん」と「新井どん」について。"い"が合うところも、そうではないところも。ふたりの交換エッセイから互いへの、そして食べ物へのリスペクトが伝わってくる一冊。
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食レポ系のエッセイかな、と思った。
千早茜、新井美枝香、2人の往復エッセイ。
ふたりとも、美味しいものには目がなくて、
食への姿勢が合うらしい。
ただ何でもいっぱいと言うのではなく、好みに合致したものをかなりたっぷりと!
新井どん(文中千早さんがそう呼ぶ)は好みの物や事に正直で、思い切りよく、ひと目を気にせず豪胆!
しかし、繊細であり、配慮も出来て、気を許している人への可愛らしさが、いい味出している。
ちはやん(文中新井さんがそう呼ぶ)は、自分の事を記録魔と云う。
人の記録にはルールがある。
まず決して暴いてはいけない。
その人が見せてくれる顔、言動を文字にするだけ。
こういう人だろう予測を立てる事も、話してくれない事を探ることもしてはいけない。
自分の意図が絡むとそれは、もう記録ではないから。
そばにいることを許されているのだと忘れないようにする。
ちはやんの母は国語教師だった。
その母に毎日、日記を提出する日課があった。
赤ペンで真っ赤に染まった日記が返ってくる。
5歳頃からの積み重ねが今の素晴らしい文章表現に繋がっているのだろうか。
結局、この本は単なる食レポではなかった。
(美味しそうな店はいっぱい出てきたけれど!)
2人、それぞれの生き方、人との関わり方、大切にしていることが書いてあった。
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カリスマ書店員の新井氏と千早茜氏の食に纏わる往復エッセイ集。この本が面白いのは単にグルメ紹介本でなく、むしろ、同好の士が四つに組んで食べ物に挑む気迫がそこかしこに表れているからと思う。境遇も生活も異なる2人の互いを思いやる気持ちや、それでも「胃」が引き寄せられる関係性がとても気持ち良くて堪能した。餌場が同じ野良猫とは言い得て妙だった。
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食に対して真剣に向き合う二人がただ美味しいものを食べているだけではなく、日常のなかの生活の変化、友達に対する思い等も書かれています。自分はおそらく一般的な会社員なので、普段知ることができない職業の方々の暮らしぶりも垣間見えて、楽しかったです。
食べ物もとても美味しそうで、絶対に食べに行こうと決めたものがいくつかありましたが、すでにお店がなくなってしまっているところもありました。無念。
お二人の仲の良さ、お互いを大切に思っているのが伝わってくる一冊でした。
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単純に仲の良い二人が美味しいものを食べたことを書いたエッセイかと思っていたら、それだけではありませんでした。
性格、価値観は全く違うけど、同じものを食べたり、一緒に出かけたりしながら、新井さんが先に書いたエッセイを読んで、千早さんも書くスタイルなので、お互いちょっとずつ思ってることが違ってたりして、その違いも面白かったし、やっぱり出てくる食べ物も美味しそうでした。
やっぱり胃が合うことってすごく大事だなと思います。
Posted by ブクログ
すごい素敵なエッセイだと思った。
食べることが好きな2人だけど全然違うようで、お互いにリスペクトを持ち続けているから似てるように感じる。
人生観の深掘りもよかった。
これを読んでたら周りの人って自分より自分のことよく見えてるよなって思う。
Posted by ブクログ
おそらくお二人は、食を通して「ひとつ」になっていくのが嫌なんだろうな、と。
それぞれ独立した食材が、口の中で咀嚼されて、ぐずぐずの「ひとつ」になってしまう感じ。だけどお二人は、一緒に食事しても独立した「ひとりとひとり」でいられるから、それが心地良いのだろうな、などと考えてしまった(赤の他人がそのように分析し決めつけるのは、ひどく失礼だし無粋だとは思うが)。
食に対する妥協のないスタンスが、もはや運命的と言えるほど合っているのだろうな。
食に対するスタンスってもしかしたら一番重要で、そこが合わないと他の性格や価値観的なアレコレも合わないだろうし、だからお二人がとても羨ましく思えた。
自分ももっとパフェと真剣に向き合っていきたいと思った。
Posted by ブクログ
1人で食事するのは寂しいし、誰かと食事すると会話に気を遣って味わえないし、と思っていたけど、「自分と同じくらい食事に集中できる人」と食事することがベストなのでは!と、この本を読んで感じた。
「人は変化していく。友情だって、愛情だって変わるし、相手の気持ちはわからない。人は誰もが自分以外のリアルを知らないのだ。けれど、同じものを食べて、美味しいと言い合うその瞬間だけは信じられる気がする。」
Posted by ブクログ
笑って読んでいたはずなのに、時折、するどい言葉にハッとさせられました。それも、2人それぞれに。
大人になっても、いや、大人になったからこそできる友達づきあいがあるのよね。あと、無性に何か食べたくなるなあ。
直木賞受賞に「おめでとう」とひっきりなしに祝われて「ありがとうございます」と打ち込み続けるうちに、ありがとうのゲシュタルト崩壊を起こしかけていた千早さんの元に、新井さんが「乾杯!」とスタンプを一つだけ送ってくれて反射的に「おうよ!」と返して調子を立て直すエピソードが好き。