【感想・ネタバレ】からまるのレビュー

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感覚的な作品

とても読後感の良い作品でした。絵画をみてるようなそんな気分になれる、読んでいるといろんな風景が想像できます。で読み終わったら好きな人に会いに行きたくなる(笑)そんな気持ちにさせてくれる本です。オススメ!

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2014年08月09日

Posted by ブクログ

絡まり合っている人間関係も、それぞれが悩みや葛藤を抱えつつも良い感じにするっと解けておさまるところに落ち着くので最後に、良かったねと言いたくなるお話でした。千早さんの本は毎回引き込まれます。

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2023年12月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

人間の心の底にある諦め、脆さ、
言い出せない想い、

わたしもこんな風に感じる‥
こんな風に想うのは自分だけじゃ無い、私だって分かり合えるかも
だからこそ、君は1人じゃ無い!

気づいて!
そう、気づいてくれる人はいる
からまった糸のように、人々の関係がありました

☆まいまい
一人暮らしの男の家に猫のようにふらっと現れて、横にいる女性 カタツムリ

この男性の姉の子供は金魚を殺してしまう
☆ゆらゆらと クラゲ
この男性武夫と一夜を共にした田村
田村の友人の華奈子は女性が好き

孤独はあたしの背骨を掴んでがくがくと揺らす。お前は独りだよ。誰にも必要とされず、何も残せず、たった一人で朽ちていくんだよ、

たまらなく寂しくなった。世界であたし1人しかいないみたいだった。誰にもあたしの声は届かない。誰もあたしなんか知らない。いても、いなくても同じ.
嫉妬 どろどろしたものが燃え上がったり、腐ったりして‥

武夫 女医を連れて係長と魚釣り
終電間近の車両、女の子は華奈子?

☆からまる イソメ

「ちゃんと肝心な人に感情を向けなきゃ駄目だ。怒りで誤魔化すのじゃなくて、ちゃんと寂しいってことを伝えなきゃ駄目だ」
「肝心なものをみないふりをしていた。本当は傷つけあってもいいから、絡まり合わなきゃいけなかったのに、1人きりでこんがらがっていたのかもしれない

係長 奥様が不倫
筒井武夫くん、係長と釣り

☆あししげく 
篠田蒼と お母さんの19歳の過去
衝撃的なお話

☆ほしつぶ 
あおとくんの惨めな気持ち、けむりみたいに消えてしまいたい、苦しさが伝わってくる

傷ついたということはわずがでも期待したということだ。先を望んでいたということだ、それが恥ずかしかった

最後まで良かったな

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2023年11月06日

匿名

購入済み

深い余韻を残す

登場人物が少しずつオーバーラップしつつも語り手が変わっていくタイプの連作短編集。そういう本はいくつか読んだことがあるけれど、その中でも作者はこの形式をうまく扱っていると思った。各主人公が置かれているシチュエーションの幅広さも手伝ってか、読み進めていくごとに作品全体の奥行きが深まっていくようだった。

序盤はいまいちハマれなかったが、途中から好きな雰囲気の作品が出てきて印象が変わった。登場人物にもその関係性にも好感を持った。

美しい動植物が暗喩に使われている小説は世の中にたくさんあるけれど、この短編集は若干グロい生き物がその役割を果たしているのが斬新で、なおかつ雰囲気に合っていてよかった。

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2023年05月28日

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ゆるく、時に濃厚にからまった連作短編集。

光や水、生き物の表現がとても好き。
登場人物も静かな人たちが多くて、なんか好き。
静かで少し投げやりだけど、
たまに熱くなったり、人とつながったり。

『ほしつぶ』と『ひかりを』が特に心に残っていて、
その両方に出てくるとある登場人物が良かった。

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2023年04月26日

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実にすばらしい。

表紙の絵はまいまいの子だろうか。
音を立てずにそっとやってきて、そっと去っていく、危うい関係からスタートする。
男女の関係には体の関係は重要な意味を持つ。
その時、何を感じてきたか。
天窓から見える空、雨音。

そう、空から感じるものがあるし、何より空はつながっている。どこまでも

失ってしまったのかもしれない、もう取り返しがつかないかもしれない、そういう危うさ。
その危うさの方向が、「普段は自分の交友関係からはずれている、行きずりの誰か」(あとがきより)によって変えられていく。それが「からまる」なのだけれども。

ひとは一人では生きていけない。
行きずりの誰かであっても、その社会の中で生きている、そんなことを感じて読み終えた。

+++

えーっ、大麻だったんだ。。。(※本書とは関係ありません)

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2021年08月24日

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連作短編集。「男ともだち」を読んだ時にも思ったけど、堕ちそうで堕ちない、絶妙な揺れ具合を描くのがとても上手だと思った。
連作だから特に、一人一人の人物がそれぞれの章の中でそれぞれ違った立場で描かれているのだけど、どれだけ気ままで奔放で危うく見える人でも、ちゃんと地に足をつけて悩んだり考えたりしながら生きているのだなと思わされる。
逆も然りで、「あししげく」の主人公は第一話ではただしっかりした(厳しい)母親のように描かれていたけれど、その過去はまあまあはちゃめちゃだったり。

最後の「ひかりを」が特に好きだな。一話では全く見えてこなかった葛月先生の内面が見えて。
「転がっているだけに見えてもナマコもちゃんと生きている。」

決して明るい作風ではないけれど、どことなく前向きになれる不思議な作風の作家さんだなと思う。登場人物たちに漂う暗さも、彼らを闇から引き上げてくれる方法も、現実感があるというかなんとなく親しみがもてる。
私も大丈夫だ、と思わせてくれる。

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2021年06月12日

Posted by ブクログ

男に寄っかかって生きてる女ってほんまに馬鹿らしいよなーと、田村を見て思った。何をもって武生を「ものにできた」と思えたのか…(笑)まあ、好きな女がいるのに酔った勢いで部屋に田村を連れ込んだ武生もどうかと思うけど。

とりあえずみんな、最後に落ち着くとこに落ち着けて良かったんちゃう?

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2021年02月15日

Posted by ブクログ

点と点が最後にひとつの線になるような、絡まり合ってはいるけれど、とても綺麗に繋がりました。そして最後に思わず泣いてしまいました。千早さんが書かれた私にとっての大切な本がまた増えました。

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2020年09月02日

Posted by ブクログ

初千早さんの本。男女それぞれを描く連作短編集。夢中で読み通した。一つ短編を読むたびに、最初の短編の読み方が変わる。きっとみんなにこやかにクールに見えても、内心は孤独や狂おしい火を抱いているのだ。
紡がれる言葉は繊細で甘美。
綺麗なふわふわしただけの本ではなく、内容も言葉も満ちていて良かった。

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2017年09月09日

匿名

購入済み

すごく繊細な話し。
子供の頃数年ですが、人が触った物に触るのが気持ち悪いと、思う事がありました。
それを思い出しました。自然と治ったと感じてたけれど、人との出会いで自分が変われたのかもと、この本を読んで思いました。

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2024年03月04日

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タイトルの通り。誰かと誰かが、社会的にも経済的にも、精神的にも、肉体的にも絡まらないと生きていけない。それをサラサラと粘着質にならずに書いている。最後に綺麗にからまりを解いて去った大原さんと新しいからまりの始まりを予感させて繋がっていく終わり方だったなと感じた。

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2024年02月27日

Posted by ブクログ

全7話の連作短編集
そのどれもがからみあっていて、タイトル通りにまさに『からまる』だった

どの話も日常の中の絶望・堕落から希望が差し込む流れ。闇→光のような構成で読んでいてグッと締め付けられる苦しみから解放されていく感覚がとても良かった。

日常生活の中で、張り巡らされる人間関係
時に近く、時には遠く関係なさそうな人とも、もしかしたら生きるヒントや希望を与えてくれる存在がそこにあるのかもしれないですね
絡み合う網の目のような人間関係も、悪くないのかもしれない

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2023年11月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

それぞれの目線?からの物語が描かれていて
最終的になるほど〜と繋がる感じが面白いなと感じました。
それぞれの章が簡潔で読んでいて飽きずに読み終えれました!

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2023年09月04日

Posted by ブクログ

人は誰かとつながってしか生きられない。もがき迷いながら”いま”を生きる7人の男女たちが一筋の光を求めて歩き出す-。

『魚神』に続いての千早茜san。

第一話「まいまい」から、第7話「ひかりを」まで。相関図を見ずに読みました。次の話に進み、誰が軸で、どこで”からまる”のか、ドキドキしながら読み進めました。

一話:武生の”女”への想い(蝸牛)、二話:田村と華奈子の関係(クラゲの血)、三話:係長の家庭(イソメ)、四話:恵の過去(子ムカデ)、五話:蒼真の悩み(星の砂)、六話:華奈子の生い立ち(ヒドラ)、七話:葛月の生きる意味(ナマコ)など。

美しくて、妖艶な連作集。登場人物それぞれが抱える苦悩や喜びや悲しみが詰まっていました。お気に入りは、葛月先生。章見出しの名前や、かわいいイラストにも癒されました☆

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2023年07月15日

Posted by ブクログ

あなたは「からまる」ことが好きでしょうか?

人の関係性の好みはそれぞれです。わちゃわちゃと集うことが好きな人もいれば、正反対の関係性を希望する方もいるでしょう。それらのどれに正解があるわけではありません。それぞれの人にとって自分が心地よいと思える距離感というものはどこまでいってもあるはずだからです

ここしばらく世界を襲ったコロナ禍。特にこの国ではそれによって人と人との関係性が一変するくらいの状況が生まれました。コロナ禍で集えないことを嘆く人がいる一方で、コロナ禍は大変だけど、人間関係だけ考えると、この状態が永続して欲しいと願っていた方もいると思います。世の中、何にでも功と罪はあるものですが、コロナ禍の功は、人間関係のあり方というものにさまざまな可能性があることがわかったことではないかと思います。

さて、ここに『俺はやはり生々しいのは嫌だ。関係は薄い方が楽だ』と考える一人の男性が主人公となる物語があります。その男性は、『特に男女の関係は長引くと粘ってくる。余計なものがべたべた絡みだす』という中に女性との関係を続けています。この作品はそんな男性から繋がっていくさまざまな男と女の生き様を見る物語。世間は広いようでここまで狭いものなのかと驚くほどに人と人が繋がっていることを感じる物語。そしてそれは、それぞれの登場人物が悩める人生を送るその先に、人と人とが「からまる」ことの意味を感じる物語です。

『野良猫みたいな女がいる。俺がベッドに転がっていると、時折するりと入ってくる』と、『綿埃の舞う床を』『滑るように歩いてくる』女を見るのは主人公の筒井武生(つつい たけお)。『いつも疲れているようだ』という女は『月に二、三回』部屋を訪れますが、『携帯の番号も、住んでいる場所も、知らない』という武生。『うちには蝸牛(かたつむり)がいるの』と突然言い出した女は、『光るのよ、暗闇で。蛍みたいに発光するの』、『もちろん日本にはいないわ』、『アフリカのジャングル』と説明します。『生理的嫌悪感』で『蝸牛が嫌いだ』という武生は、女の『蝸牛、嫌いなの?』という質問に『ああ』と返すと『じゃあ、私の部屋には来られないわね』と言われてしまいます。場面は変わり、『筒井くん、休み何していた?』と『係長が柔和な笑みで聞いて』きたことに『寝てましたね』と返す武生。『地方公務員』として『介護保険料の収納、還付係』で働く武生は、同じ異動のタイミングで同じ部署になった係長のことを『頼りになる上司』と信頼しています。そんな係長に『筒井くんもどうだい?渓流釣り』と誘われ『僕、やったことないですし』と返すと、『案外、はまるかもしれんよ』と言われました。そんな二人の会話の中『また、さぼってたんですか?』と『バイトの女の子が悪戯そうな目で』見ながら近づいてきて『他の役所から送られてきた封筒の束を押しつけられ』た武生。『ブーツにミニスカートという働く気のない格好をしているくせに』と、田村というその女の子に不満を覚える武生。しかし、田村が行ってしまった後、『田村さんちょっと筒井くんに気があるよね』と係長に言われた武生は『ご名答。それは何となく気付いている』と思います。場面は再度変わり、『しばらく女は来なかった』という時を過ごしていた武生は、『ある朝、目が覚めると隣で田村が寝てい』るのに気づきます。『悪い癖だ。酔うとすぐ連れ込んでしまう』と昨夜のことを思い出し『田村の顔や、胸の大きな身体、声や口』を思い浮かべます。そして、『まったく、どうかしている』と思い『天窓を開けて新鮮な空気を入れようと思い、立ちあがった』時、『玄関のドアが控えめに開く音が聞こえ』ました。そして『女がそうっとドアの隙間から頭を覗かせ』ます。『目を細めて笑』う女の『足に、コツンと田村のヒールが当た』ります。『動きを止めた』女は笑い、肩をすくめると『片手でごめんのポーズをすると』『静かに出て行っ』てしまいました。そんな女と田村、そして武生のそれからが描かれていきます…という最初の短編『まいまい』。なるほど、『まいまい』=『蝸牛(かたつむり)』をこんな風に物語に絡ませるのか、と作りの上手さを感じさせる好編でした。

“もがき迷いながら’いま’を生きる7人の男女たちが一筋の光を求めて歩き出す―。視点が切り替わるごとに、それぞれが抱える苦悩や喜び悲しみが深まってくる。からまりあう男女を描いた、7つの連作集”と紹介されるこの作品。七つの短編がまるで蔦が絡まり合うように巧みに構成された連作短編集となっています。”蔦”という言葉を聞くと、千早さんには二つの短編がまさしく”蔦”が絡まり合うように展開する「眠りの庭」という傑作が思い浮かびます。連作短編を得意とされる作家さんは青山美智子さんなど多々いらっしゃいますが、短編間を結びつかせる上手さは千早さんが随一ではないかと思います。

では、まずは七つの短編から特に気に入った三つの短編をご紹介しましょう。

・〈第三話 からまる〉: 『妻の寝ている部屋をそっと振り返』り、『クーラーボックスを肩に担ぐと外に出』るのは主人公の『私』。『釣りに行くことには多分気付いている』と『置き手紙』を『残さなかった』『私』は、電車に乗ると『いつからかほとんど質問をしなくなった』二人の関係を思います。『半年ほど前』『遅くに帰って』きた妻は『浮気をしていたの』と語りだし『もう何ヶ月も前に終わっている』が『伝えておかなくてはフェアじゃない』と言う妻。『取りあえずもう遅いから寝よう』と幕引きした『私』は、結局それ以上のことを訊く『機を逃してしま』いました。そして、電車を降り堤防へとやってきた『私』の前に一人の女子高生が現れます。

・〈第四話 あししげく〉: 『卵白のボウルの中に、卵黄』が落ちたのに舌打ちするのは主人公の『私』。手を入れ『卵黄』を取り出そうとした時『まだ十九歳だった』『十年以上も前のこと』を思い出す『私』。『なまあたたかい液体が、体の奥からゆっくりと零れでてきている』のを感じた『私』は慌ててコンビニで買った下着に取り替え『脱いだ下着にそっと鼻を近づけ』『精液の植物じみた青臭いにおい』を嗅ぎます。『確か名前は村上さん、四十代半ば』という男性に『そそぎ込』まれた体液。そして、下着を捨てた『私』は短大での授業の後、バイト先のスナックに向かいます。『妊娠したことを打ち明け』ると『勧めないね』と『ママ』に言われた『私』。

・〈第七話 ひかりを〉: 『土ぼこりと青草の匂いがする』診察室で、『大原さんとはじめて会った』時のことを思い出すのは主人公の『私』。『外来の終わった待合室』に『ぽつんと』座る大原に声をかけると『見舞いに』きたついでに『キリンレモン』を探していたことを説明します。『秋か冬には入院することになりそう』と大原のことをやがてよく知ることになる『私』は、『緊急呼び出しの多い』『循環器内科』で『病院とアパートの往復だけという無機質な毎日』を送っていました。『プライベートなど、ほぼ、ない』という生活を『もう五年も続けて、二十代最後の歳になった』という『私』は、『趣味や恋人すら持たない』今を思います。

三つの短編を取り上げましたが、敢えて名前を出さずに『私』と記しています。これは、名前を出してしまうことで、これだけのあらすじでさえ、繋がりが見えてしまうためです。上記した通り、この作品は短編の絡まり具合がとても絶妙です。ある短編で名前が出なかった登場人物の名前を違う短編の会話の中で知ることになったり、まさかの繋がりで各短編の視点の主が繋がって行く様はぞくぞくするほどです。もちろん、途中で想像できてしまうものもありますが、そんな読者の予想の上を行く人物に視点が移る場合もあります。これから読まれる方には是非登場人物たちの繋がりの醍醐味を味わっていただきたいと思います。一つの短編中に、えっ!えっ!という位に他の複数の短編の視点の主が、そういう繋がりなの!と登場するなどなかなかに楽しませてくれます。書名の「からまる」の本来的な意味合いは異なりますが、この構成自体が、まさしく「からまる」だと思いました。

そんなこの作品は、他にも読みどころ満載です。それこそが千早さんらしい絶妙な比喩表現の頻出です。これは凄いなあと感じた表現を一つご紹介します。

『交差点で立ち尽くすあたしのまわりを、無表情の人の群れがどんどん行き交う』
→ 『それは銀色の魚たちに姿を変えた。魚たちはすごいスピードで泳ぐので、あたしはその中に閉じ込められてしまう』

『人の群れ』を『魚』に比喩していくこの表現。そこに『閉じ込められてしまう』というまとめ方によって読者の頭の中に見事にそのイメージが浮かび上がります。このような表現の登場にも是非ご期待ください。

また、この作品ではそれぞれの短編にさまざまな生物が登場し、その生物のイメージを物語に重ね合わせていくという極めて凝った作りがなされています。〈第二話 ゆらゆらと〉では、その短編タイトルそのままにイメージされる『クラゲ』の話題が登場します。『元はイソギンチャクみたいな生物で』『有性生殖をするために一部が離れて海を漂う』、それが『クラゲ』、という豆知識が自然な会話の中に語られる物語の主人公は『あたしは自分がクラゲに思える』と感じています。『趣味もなくて、取りたてて才能もなくて、夢も目標もなくて、ちゃんと大学までだしてもらったのにフリーターなんかしてふらふらしている』という『あたし』が視点の主となる物語は、『あたしはただ自分を認めて欲しかった。ちっぽけで寂しがりなあたしを肯定して欲しかったんだ』という思いの中に生きています。『ゆらゆらと』漂う『クラゲ』の生態を巧みに主人公に重ねて物語を展開していく千早さん。そんな物語は自分自身を否定するのではなく肯定する中にあたたかい結末を見せていきます。この短編同様、何かしらの生物を登場させていく他の短編もその重ね合わせ方の上手さと読後感の良さが共通しています。

そして、最後の短編〈第七話 ひかりを〉で物語の繋がりの全容が読者の前に明らかになります。まさしく「からまる」という書名通りの結末、光が見えるその結末に、千早さんの連作短編の魅力を改めて感じました。

『本当は傷つけ合ってもいいから、絡まり合わなきゃいけなかったのに、一人きりでこんがらがっていたのかもしれない』。

七つの短編が人と人との絶妙な繋がりによって見事な連作短編を構成するこの作品。そこには、それぞれの短編で視点の主を務める男女七人それぞれの生き様が描かれていました。それぞれの主人公たちがお互いの人生に影響を与え合っていく様が連作短編としての奥深さを醸し出していくこの作品。そんな作品を彩る千早さんの鮮やかな比喩表現にも魅せられるこの作品。

人は一人では生きてゆくことはできない、読後にそんな言葉を改めて思い浮かべた作品でした。

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2023年06月07日

Posted by ブクログ

からまりは、つながりでもある。

「相手を想って避けたはずのことが、単に面倒事を避けるための沈黙や我慢になっている」
「肝心な人に感情を向けなくては駄目だ。怒りで誤魔化すのじゃなくて、ちゃんと寂しいってことを伝えなきゃ駄目だ」

うっかり1人で勝手にからまって身動きを取れなくなることもあるけど、どうせなら大切な人とからまりたい。

「傷ついたということは、わずかでも期待していたということだ。先を望んでたということ。それが、恥ずかしかった」
ここ、自分の経験を思い出して気持ちを拾ってもらえた気がした。

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2023年05月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「自分はこうあるべきって決めつけない方がいいわ。長い目で見ないと分からないこともあるから。」


大好きな千早茜さんの作品、7つの短編でサクサクと読めた。それぞれのストーリーが繋がっていて面白いです。

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2023年05月07日

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あとがきどおり、湿度のある作品だった。短編集の中で登場人物が少しずつ重なりながら物語が進んでいく。私は水族館の水槽を、角度を変えながら覗いてる気分だなと思った。

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2023年03月25日

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読み手の読解レベルが試される作品だと思います。
全編を通して各登場人物が繋がりのあることは理解できたのですが、この作品のテーマというものが薄ぼんやりしているかなと感じました。
たぶん「愛」がテーマだとは思うのですが、その愛が意味するものを理解するには少し難しかったです。
一度読むだけでは読み解けないと思ったので時間を置いてもう一度読みたいと思いました。

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2023年03月10日

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ちょっとずつ絡まる人間達の短編物語。
ビー玉の中をのぞいたような、少しリアリティのない人々の世界だけど、それぞれの物語の中に出てくる虫やいきもの達の描写がリアルでそのギャップがなんだかグロテスク。
金魚を殺した少年の動機がなんだか切実ですき。

千早茜さんは「さんかく」が好きだけど、この本が2011年、「さんかく」が2019年。この間にすごく洗練されたんだなあと思った。ふんわりと幻のような世界だけど輪郭が少し尖ってしまってる印象。
でも「さんかく」と同じようにお料理の描写は秀逸。

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2022年02月14日

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人のことはその人にしかわからないし、自分のことも自分にしかわからない。
だから、みんなそれぞれにストーリーがある。
短編小説はそれがギュッと詰まっているから読んだときの昂揚感みたいなものがある

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2021年11月21日

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ネタバレ

私はこういう連作短編集と呼ばれるものが好きみたい。人の人生が絡みあっていく感じ。人生ってやっぱり一方面から見るだけじゃなんもわからない。人には人の事情があって、わかったようなふりしたくないなと思う。

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2021年09月26日

Posted by ブクログ

映像が浮かんでくる...。目を閉じては脳内で描く...。これだけ混み入っていながらも最後は清々しい気持ちにさせてもらえました。大原さんが素敵です! こんな歳の取り方をしたいなぁ...。避けてきたことに向き合う力をくれる一冊でした。

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2021年07月17日

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この作家の一番好きな所は内容がとてもフェアだという事。 全ての登場人物が老若男女問わず心に潜む弱さをさらけ出いしていて偏った描き方をしていない。 これはとてもすごい事だと思う。 全ての物語がとても繊細で読後感に切なさが残るのに何か暖かさを感じると言うか余韻に浸りたい気持ちになる。 短編集なのにダレることなく物語にどっぷり嵌っていく作品。 今、最も他の作品も読みたくなる作家。

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2020年10月21日

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僕には、誰もが表面上と内面とが違うし、色々な事で悩み、葛藤しながらも生きているんだとわからせてくれる作品でした。
そんな事はわかってはいたし、当たり前の事だけど、普段の生活で人と接していて、色々と考えさせられている今の僕にはピッタリとはまった感じです。
千早さんの作品をまた読みたいと思いました。

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2020年06月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「まいまい」を読みあまり興味が湧かなくて「からまる」の手前で数日鞄の中に放っておいた。
昨夜、別の小説を職場に置き忘れて読むものがなくて、鞄の中の「からまる」を思い出して読んでみると引き込まれた。

かなこの話におけるとある一文がとても響いた、後書きにも載っている文。

何度か浅く泣きそうになりながら、今朝読み終えた。
羨むくらいに小説の中の海が綺麗だった。

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2019年10月01日

Posted by ブクログ

面白かったです。
あるお話で脇役だった人が次のお話で主役となる、連作短編集でした。
なんだか湿度を感じるお話たちでした。登場人物たちも、ドライなようで心には沸々としたものを持っていて。
葛月と華奈子が好きです。皆さん、前に進んでいるところが良いです。なので、田村が好きになれませんでした。
あと、主役にはなりませんが印象的だったのは大原さんでした。
「時には迷いながらも目を逸らさずに、たゆまず進む」。これからも生きていきます。

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2019年03月30日

Posted by ブクログ

7人の男女の群像劇。
少しずつ登場人物達の事情が絡まり合って、日常が進んでいく。
主人公が変わるたびに登場人物たちの印象も塗り替えられて、一人の人間を色んな角度から見るような小説だった。

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2023年05月05日

Posted by ブクログ

連作短編集。いろんな人が他人と関係していくのに悩んだり恋したりしている。他人に対して関係を続けたいなら対話ですね。

「まいまい」の公務員と女医さんのカップルの話が好きでした。天窓に流れる雨が、深い海の底にいるような表現が綺麗でした。

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2022年12月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

現代を生きる男女の連作短編。
自分を形作っているのは自分だけの力じゃないから、時には受け入れてみることも大切なのだと感じる。心の奥底はどうなのかなんて自分のことですらはっきり掴んではいないけれど、複雑な人間のことだから多面的に捉えたい。
大原さんの、下手な慰めをせず、誠実で謙虚さがあるところにグッときた。
難しく考えないで、肩の力を抜いてみようと思える本だった。

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2021年03月04日

Posted by ブクログ

それぞれが独立した短編になっているけれど、同じ登場人物達が描かれていて、読み進めていくうちにその人達のことをより理解できるようになっています。
自分で思っている自分と外から見た自分
そんな感じ。
私は、自分は孤独だ、っていう気持ちを捨てられないでいるのだけれど、誰もがみなそんな思いをどこかに抱えつつ、周りの人に救われながら生きているのかもな。
どのお話も良かったけど、私は『からまる』と『ひかりを』が特に好きでした。

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2017年03月06日

Posted by ブクログ

とってもからまっていた。

最初と最後の話がよかった。
私の脳内でとってもきれいな人として映像化された。

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2017年01月19日

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