千早茜のレビュー一覧
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「ともだち」という甘美な言葉で繋がる男女の物語。「異性の間に友情は成立するのか」という人類が抱える未解決問題はさておき、読み進めるうちに思わず過去の自分に置き直してしまうほどリアルな人間関係を描いた良作でした。
登場人物は皆、なかなかのことをやってくれますが、「ハセオ」のように失いたくないからこそ、ある一線以上は近づくことができない人物は、誰しも一人はいるんじゃないかなと思います。私もそうでした。遂には結ばれることはないのですが、辛い時も含めて人生を確実に前に進めてくれた存在。イラストレーターとして成功する夢を叶えた主人公の言葉を借りるなら、「夢は夢としてずっと見続けていたい」という状態でし -
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ネタバレ物語の登場人物である若宮一香が新たに始めたアルバイトは調香師のいる古い洋館での家事手伝いだった。
天才調香師である小川朔のもとにはその腕を見込んで様々な依頼人がやってくる。
その中で登場人物の様々な心情を五感を通して感じられるような物語である。
メインの登場人物である調香師とアルバイトの朗らかな会話の中で描かれる心情や
物語を通して思い明かされる過去。それへの向き合い方が人間らしさを感じる部分でもあり、執着という言葉が刺さる場面があった。
物語の終盤で表現される愛情と執着という感情には物語全体を通しての題材だと感じるものがありました。
自身にも当てはまる執着という一感情はどのように取り扱 -
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前二作の主人公、小川朔がサロンを開く前の前日譚。
作中の朔の言動が前作前々作よりも尖っているというか、まだ自身の反応や心境の動きに気づいていない感じが印象的です。香りによって隠されている嘘を暴きたいという、興味本位が行動原理となっているのが強いなと思いました。その一方で新城のキャラは大きく変わらず、若いころから朔との補完がなされていたのだなと感じます。若さによって振り回されている感はありますが…。
作品のモチーフはお香。香水は纏うや薫らせるという感じですが、お香は熱や煙で纏わらせるというか…纏わりつくという感じの認識を持っていまして、作品を読み始めた時点で香りが纏わりつくような感覚を覚えま -
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まるで私のために書かれたのかというくらい、私には刺さる内容だった。
私はお洋服が大好きだ。でもそれに気がついたのは、今のアパレル系の会社に入社してから。
それでも思い返してみると、幼少期からお洋服好きの片鱗は表れていて、確かに今もファッション系の展示には積極的に足を運んでいる。
本作にはたくさんの有名デザイナーの服や、服装の変遷、素材や修理方法が登場する。私自身も学芸員の資格をもっていることから、展示の方法や収蔵庫の様子がありありと想像できたことと、今まで見てきた展示や図録などの知識が全て繋がった快感のようなものが、この本のページをめくる手を加速させた。
この本には挿絵も、勿論生地見本も -
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『神様の暇つぶし』は、恋をすることで人が美しく成長していく物語というより、誰かに深く触れられ、傷つけられ、もう以前の自分には戻れなくなるといった物語だった。
藤子は全さんに求められることで、初めて自分の身体を面白いものとして知っていくが、同時にその身体が自分だけのものではなくなっていく。
そんな関係が突然一方的に終わり、藤子は全さんを憎み、軽蔑し、呪った。しかしそれでも身体だけは全さんを待ってしまうという描写が、とても生々しかった。
藤子は恋によって変わったのではなく、全さんによって傷つけられ、以前とは違う人間にされたようである。
それでも、その傷を何度も確認することで、失った相手とのつ -
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ネタバレ身近に非凡な才を持つ人がいると苦しいよね!
と、真奈さんを通して思いました。
みんな誰かの特別になりたかったというのが切ない。
嫉妬も悔しさもあっても、真奈さんの根底は妹が大好きだったんだろうなぁ…。
散々、香りは人のエゴのような考え方をされてきた最後、新城さんの考えが沁みます。
「嘘でも、離れて欲しくなかったってことだろ」…優しくて素敵だと思いました。
朔さんと一香さんの描写にも歓喜しました。
「彼は見つけたのだ、自分の香りで染めなくてもいい人を」…第三者が2人をそう表現した事がすっごく嬉しいです。
大好きなシリーズが終わってしまった…。
全作変わらず香りの表現が綺麗でうっとりしました -
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犬という生きものは、いったいなんなのだろう。
絶対に裏切らない愛情をくれて、深い信頼関係を築ける存在。
それでいてあくまでも獣であり野生を宿す生きもの。
虎と名付けられた大型犬と暮らした主人公まどかは「あれが、あれこそが愛だったと確信している。虎は、私が所有した唯一の愛だった」「大人になったいまでも、虎以上に信じられた存在はいない」と、語る。
千早茜さんの文章は、自分がその場にいるかのような体験をくれる。
その文章で描く犬たちの姿が、鮮烈なアフリカの情景の中で生き生きと躍動する。
犬好きの私にとってはたまらなく魅力的だった。
物語は子どもの頃のアフリカでの日々と、32歳の現在の日々が交互