千早茜のレビュー一覧

  • 神様の暇つぶし

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    自分もどんな出会い方や別れにしろ、それらを経験する前の自分には決して戻れないという事を再認識した。
    周りの深い関わりを持つ人間がいかに今の自分を構成しているのかを思い知ったと同時に、里見くんの言葉に共感して、盲目的に自分の恋愛を肯定するあまり周囲の恋愛を無意識に卑下する自分に嫌気がさした。

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    2026年06月26日
  • 男ともだち

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    「ともだち」という甘美な言葉で繋がる男女の物語。「異性の間に友情は成立するのか」という人類が抱える未解決問題はさておき、読み進めるうちに思わず過去の自分に置き直してしまうほどリアルな人間関係を描いた良作でした。

    登場人物は皆、なかなかのことをやってくれますが、「ハセオ」のように失いたくないからこそ、ある一線以上は近づくことができない人物は、誰しも一人はいるんじゃないかなと思います。私もそうでした。遂には結ばれることはないのですが、辛い時も含めて人生を確実に前に進めてくれた存在。イラストレーターとして成功する夢を叶えた主人公の言葉を借りるなら、「夢は夢としてずっと見続けていたい」という状態でし

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    2026年06月26日
  • 透明な夜の香り

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    登場人物の暗く重い過去や感情、人に言えない欲望を「匂い」を通して綴られている小説。
    テーマは重いのに、登場人物の明るさや軽やかな文章で読み心地が良い本でした。

    以前読んだ作品がバチバチの恋愛小説だったので今回も恋愛色強め…かと思いきや恋愛は主題ではなく、ただうっすらと愛が香っていて不思議な高揚感がありました。

    千早茜さんは「自分は見向きもされないけど、こんな人に好かれてみたい」という人物を見事に描かれていて、毎回ぶっ刺さります。
    全ての主要人物を好きになってしまいました。

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    2026年06月25日
  • 燻る骨の香り

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    ネタバレ

    香りシリーズの完結編にして前日譚。
    前2作と比べて小川さんの冷たさというか、人に対する興味の無さ、ある種見限っている感じが強かったように思う。近い嗅覚を持つ丹穂さんからさえも、共感ではなく強い憎しみを持たれていたなんて本当に孤独の中に居たんだろうなと感じた。だからこそ、一香さんの来訪に対する空気感に嬉しくなった。
    とても好きなシリーズだったので、完結編となってしまったこととこの先が読めないことだけが残念。いつかまた、書いてくれることがあるといいな。

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    2026年06月25日
  • 透明な夜の香り

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    ネタバレ

    物語の登場人物である若宮一香が新たに始めたアルバイトは調香師のいる古い洋館での家事手伝いだった。
    天才調香師である小川朔のもとにはその腕を見込んで様々な依頼人がやってくる。
    その中で登場人物の様々な心情を五感を通して感じられるような物語である。

    メインの登場人物である調香師とアルバイトの朗らかな会話の中で描かれる心情や
    物語を通して思い明かされる過去。それへの向き合い方が人間らしさを感じる部分でもあり、執着という言葉が刺さる場面があった。

    物語の終盤で表現される愛情と執着という感情には物語全体を通しての題材だと感じるものがありました。

    自身にも当てはまる執着という一感情はどのように取り扱

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    2026年06月24日
  • 男ともだち

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    怠惰に流される生活をしている女性が、自らの足でしっかりと立っていく様を書いた作品。

    イラストレーターの葵は彰人と同棲している。そして医師の真司と浮気をしている。男友達のハセオから電話がかかってくる。MRをしているらしい。

    年末年始ハセオに会いに富山に行く。帰ってきて愛人に会う。同棲相手の彰人とはもうずっと触れ合っていない。同棲相手と揉み合っていたら、殴られた。家に帰るとがらんとしていた。彰人は逃げたのだ。

    昔の担当者が児童書の担当になったと作品を見てくれるという。もう少し自分を出した作品をと言われた。ハセオと愛人が鉢合わせる。

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    2026年06月24日
  • 燻る骨の香り

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    前二作の主人公、小川朔がサロンを開く前の前日譚。

    作中の朔の言動が前作前々作よりも尖っているというか、まだ自身の反応や心境の動きに気づいていない感じが印象的です。香りによって隠されている嘘を暴きたいという、興味本位が行動原理となっているのが強いなと思いました。その一方で新城のキャラは大きく変わらず、若いころから朔との補完がなされていたのだなと感じます。若さによって振り回されている感はありますが…。

    作品のモチーフはお香。香水は纏うや薫らせるという感じですが、お香は熱や煙で纏わらせるというか…纏わりつくという感じの認識を持っていまして、作品を読み始めた時点で香りが纏わりつくような感覚を覚えま

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    2026年06月24日
  • 眠れない夜のために

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    ネタバレ

    毎晩、一日一話読み進めました。
    どの作品もいとおしかったです。
    あなたを知りたいって言葉はすごく素敵な愛の言葉だと感じました。

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    2026年06月23日
  • クローゼット(新潮文庫)

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    まるで私のために書かれたのかというくらい、私には刺さる内容だった。

    私はお洋服が大好きだ。でもそれに気がついたのは、今のアパレル系の会社に入社してから。
    それでも思い返してみると、幼少期からお洋服好きの片鱗は表れていて、確かに今もファッション系の展示には積極的に足を運んでいる。

    本作にはたくさんの有名デザイナーの服や、服装の変遷、素材や修理方法が登場する。私自身も学芸員の資格をもっていることから、展示の方法や収蔵庫の様子がありありと想像できたことと、今まで見てきた展示や図録などの知識が全て繋がった快感のようなものが、この本のページをめくる手を加速させた。

    この本には挿絵も、勿論生地見本も

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    2026年06月26日
  • 神様の暇つぶし

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    千早さん好きとして読まずにはいられなかった。「自分たちは他人から見て気持ち悪いのか」が忘れられない。里見の言ってた「皆自分の恋愛だけがきれい」って言葉も。自分の中の差別的な部分にも気付いて自分に幻滅してしまった…崇高な理由で本を読んでる訳じゃないのに、読書はいつも自分の価値観を見つめなおすきっかけになる。

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    2026年06月22日
  • 男ともだち

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    曖昧さに耐えられない人には向かないかもしれない。

    この小説がとても好きで、尊いなと思った。
    神名、ハセオ、あと個人的に印象的だったのは美穂。それぞれ不誠実だけど言葉に嘘がない感じがした。

    社会からこう見られている、とか
    こうあるべき、正しくない、とか。
    わかりながら出来ないから苦しい。そんな中で、守ったり守られたり大切にしたりする関係性があるのはすごいことだと思う。

    恋愛や関係の話だけど、個人を語るうえで、この物語はかなり仕事にも比重を置いている。神名の刹那的な仕事への向き合い方と、それを理解されている関係はやはりすごいと思った。

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    2026年06月21日
  • 透明な夜の香り 赤い月の香り

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    読んでいると不思議と香りがするような気がした。
    でも、読む人によって感じ取る匂いって全く違うんだろうな…。

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    2026年06月20日
  • 神様の暇つぶし

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    『神様の暇つぶし』は、恋をすることで人が美しく成長していく物語というより、誰かに深く触れられ、傷つけられ、もう以前の自分には戻れなくなるといった物語だった。

    藤子は全さんに求められることで、初めて自分の身体を面白いものとして知っていくが、同時にその身体が自分だけのものではなくなっていく。

    そんな関係が突然一方的に終わり、藤子は全さんを憎み、軽蔑し、呪った。しかしそれでも身体だけは全さんを待ってしまうという描写が、とても生々しかった。

    藤子は恋によって変わったのではなく、全さんによって傷つけられ、以前とは違う人間にされたようである。
    それでも、その傷を何度も確認することで、失った相手とのつ

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    2026年06月19日
  • 透明な夜の香り

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    ネタバレ

    とても静かで美しい話だった。
    新城というキャラがいてもずーっと静かなのに、終盤一香が洋館から離れて以降は賑やかで騒がしく、一香の感情の起伏が物語にしっかり滲み出てて、表現力えげつな、と思った。
    朔さんのような人は沼だな。
    依頼者ひとりひとりのお話を短編みたいにも読めて、かなり読みやすく一気に読めちゃう感じだったけど、あまりにも空気感が好きすぎて大事に味わいたくてゆっくり読んだ。
    静かな気持ちになりたい時とか、自分の中の時間をゆっくりにしたい時に読み返したい作品。

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    2026年06月18日
  • 透明な夜の香り

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    はーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。





    朔ロス。
    Aēsopへ行けばいいのかな…いや違うか…。

    栗の渋皮煮をやりながら栗ご飯を作る丁寧な暮らしの隙間に、なかなかの癖(へき)が見え隠れしていて、いいスパイスだった。

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    2026年06月18日
  • 透明な夜の香り 赤い月の香り

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    ネタバレ

    文庫化に伴って、購入して再読。
    やっぱりこの世界観なんですよ…
    ぐっと惹きつける非日常的な世界観、静かで、読み手まで香ってくるような描写。

    巻末のインタビューも良かった。
    加害についてがテーマということで、
    自分もあるなぁ、加害者意識。
    被害者意識ももちろん感じたことはあるけど、加害者意識って厄介かも。
    相手を許すより、自分を許すことの方が難しい。
    本当の意味で精算されるのは向き合った時か、見方が変わった時なんだろうなぁ。

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    2026年06月18日
  • 燻る骨の香り

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    ネタバレ

    身近に非凡な才を持つ人がいると苦しいよね!
    と、真奈さんを通して思いました。
    みんな誰かの特別になりたかったというのが切ない。
    嫉妬も悔しさもあっても、真奈さんの根底は妹が大好きだったんだろうなぁ…。

    散々、香りは人のエゴのような考え方をされてきた最後、新城さんの考えが沁みます。
    「嘘でも、離れて欲しくなかったってことだろ」…優しくて素敵だと思いました。

    朔さんと一香さんの描写にも歓喜しました。
    「彼は見つけたのだ、自分の香りで染めなくてもいい人を」…第三者が2人をそう表現した事がすっごく嬉しいです。

    大好きなシリーズが終わってしまった…。
    全作変わらず香りの表現が綺麗でうっとりしました

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    2026年06月17日
  • 透明な夜の香り

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    おもしろかった!というより、心に残る作品でした。香りに紐づいて、わたしも静かな洋館にいたような感覚になるから?ストーリー性重視の方には物足りなさを感じるのかな

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    2026年06月17日
  • 雷と走る

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    犬という生きものは、いったいなんなのだろう。
    絶対に裏切らない愛情をくれて、深い信頼関係を築ける存在。
    それでいてあくまでも獣であり野生を宿す生きもの。

    虎と名付けられた大型犬と暮らした主人公まどかは「あれが、あれこそが愛だったと確信している。虎は、私が所有した唯一の愛だった」「大人になったいまでも、虎以上に信じられた存在はいない」と、語る。

    千早茜さんの文章は、自分がその場にいるかのような体験をくれる。
    その文章で描く犬たちの姿が、鮮烈なアフリカの情景の中で生き生きと躍動する。
    犬好きの私にとってはたまらなく魅力的だった。

    物語は子どもの頃のアフリカでの日々と、32歳の現在の日々が交互

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    2026年06月16日
  • 透明な夜の香り

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    ネタバレ

    「あなたがいなくなってから紅茶の味が違う。香りは変わらないのに」
    なんて美しいILoveYouの台詞なんでしょう

    愛情と執着の違いで、相手が嫌がっても手放さないのが執着という台詞にもはっとした
    という事は愛情は相手が離れたくなった時に尊重して手放せるって事なのかな
    そのふたつの比較を今までした事がなかったけど、なんか凄く腑に落ちた

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    2026年06月16日