千早茜のレビュー一覧
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「人とかかわるとき、まず意識してしまうのが加害であり、どうしても自分の加害性が出てくると思っている。特に顕著なのは恋愛な気がする。イライラして心ない言葉をぶつけたり、束縛したり、嫉妬してしまったり。」、「愛情と加害は結びついてくるもの。」、「愛情という名目が絡むと、暴力すら正当化されてしまうことがある。」本作は加害をふまえながら考えたのが、「正しい執着のかたち」辿り着いた答えは赦し。相手を責めないことなのだろうか?考えがまとまらない。しかし、香りの感じ方は人それぞれであるように、答えは一つではないのだろう。終わりのインタビューを読んで、前作もあわせて読みなおそうと思った。
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朔の人柄が、これまでとは違って見えた。優れた嗅覚による洞察力の鋭さは変わらないが、この頃の朔は尖った印象が強い。
燻る骨の香りは1、2作目の前日譚にあたるが、朔がそうなってしまうのも無理はないように思えた。由緒ある瑞雲堂で繰り広げられるドロドロした人間関係のなかで、朔はよそ者でありながら、その類まれな嗅覚ゆえに、そこに漂う嘘や執着、人の業まで見抜いてしまう。閉ざされた世界の内側には入りきれないのに、見えすぎてしまう。そのことが、朔を心底疲れさせ、消耗させたのだと思う。
正直、そこまで内容そのものに強く惹かれたわけではないが、この作品には、人の業のような生々しさと、京都のもつ高貴で閉ざされ -
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今まで読んだ本の中で、これはすごく余韻が残る作品だった。
どの冒頭の描写も独特な雰囲気から展開される10の傷をテーマにした短編からなる。
その中で特に印象に残ったのが、あおたんと指の記憶で、他の話があるから、特にこの2つの物語が際だっていた話だった。
あおたんは、不幸な生い立ちから容姿を捨てて、亡くなったおっちゃんを心の支えに健気に生きていく主人公の生き様が凄く心に刺さった。
もう一つ、指の記憶は、この話が一番生々しく心理的に嫌な描写があるが、主人公ではないが、嫌われ者の千田さんの生き様が心情的に心に残った作品だった。
ぜひ他の人にも読んでほしいと思った1作です。 -
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ネタバレ小川朔の紺色の声と、物語の雰囲気が大好きだった。
朔さんがどうしても想像できなくて、ぼやっとした輪郭のまま物語に没頭した。けれど、このつかめなさが朔さんそのもののような気がして、私も輪郭を掴まないまま読みたかったんだと思う。
蝶々のフェロモンの話のところで朔さんが言ってた「気づいて欲しいっていう匂いなんだよ…それでも、命をかけて、こっちに気づいて、ここにきて、と主張するんだ」と言うところ、きっと一香さんのことをそっと思って言ったんだと思う。
それから最後の、「あなたがいなくなってから紅茶の味が違う。香りは変わらないのに」というところ、、、朔さん、それ告白じゃん!!!!!と、、最初は一香さ -
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二股や不倫は絶対ダメ。そこの部分を勿論除いてだけど、私はハセオみたいな人に惹かれる。
歳を重ねるにつれ減っていく男ともだち。
でもこれを読んで不意に思い出した人が1人いた。ふらっと連絡が来て買い物行ったり鍋パしたり。2人で過ごしても身体の関係だけは決して重ねない。
数年に一度連絡を取るような、この距離感が居心地良い。そんな関係。
その彼を思い出し、無意識に重ねながら物語を読んでいた。
もし彼が、ハセオみたいに無意識の優しさで包み込んでくれる人だったら、私はきっと好きになっていた。
ハセオみたいな男性に惹かれる女性は多い気がする。賛否分かれるかもだけど私には沼でた。 -
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“香りは再起動のスイッチ”
読後、土に触れたくなる。植物の匂いを深く吸い込みたくなる。そして、自分にとって心地よい香りに包まれて暮らしたい気持ちが強くなる一冊。
以前、保育園で働いていた頃、夏になると園児のための虫除けスプレーを手作りしていた。ラベンダー、ユーカリ、ミント、レモン……アロマオイルを少しずつ小瓶に垂らしていく時間。ふわりと香りに包まれるあの感覚が、私はとても好きだった。
香りや匂いは、記憶や感情を静かに連れてくる。
きっと多くの読者が、“小川朔”のスキンケアセットを欲しくなったのではないだろうか。自分に合った香りをまといながら暮らせたら――そんな憧れまで呼び起こされる。
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文字による表現が難しいはずの「香り」が多彩な語彙によって描写されており、まるで一頁ごとに香りづけされているかのよう。没頭すると言うよりはむしろ、静謐な美の漂う本作の世界に、香りごと閉じ込められてしまったかのような感覚で読み進めた。
また、決して長い物語ではないにもかかわらず、主要人物から周辺人物に至るまで、輪郭がはっきりしている点が素晴らしい。
二人の心情を「恋情」という安直な言葉で片付けず、各々の前進を予感させる結末が、すっきりとした余韻を残してくれた。
……「執着」と「愛着」の違いに関する論については、少々耳が痛くなる部分もあったり。