千早茜のレビュー一覧
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ネタバレ若い時って危険な匂いのする歳上の男性に惹かれてしまうことあるよね。全員かはわからないけど、少なくとも私はあった( ̄^ ̄)
自分の父親が亡くなって憔悴してる20歳の女の子(主人公)の前に突然現れた危険な男、全さん(父親の友達)がとにかく沼。
父親も全さんに憧れていたという事から、男から見てもかっこいい男っていうのがわかる。
全さんに沼って、他のことが手につかなくなったり、友達からの連絡もどうでもよくなったり、
全さんが仕事で女性と会ってる間は気が狂いそうになったり、もうとにかくめちゃくちゃ沼。
私も沼る自信しかない。
そんな沼にどっぷりハマったところで全さんは突然姿を消した。、、、クソジジ -
Posted by ブクログ
ああ、深くて脳の奥の方を刺激された感じのする物語だった。それはきっと嗅覚のお話だったからだな。読んでいる間はどこからか香りがするような気がして、お布団の柔軟剤の香りがいつもより強くするような気がした。あっという間に読んでしまった。
香りは人を壊し、人を再生させる。味覚はショッキングなことがあるとしなくなる。五感が鋭くなるように、小説の中の音も大きく聞こえるような気がした。こんなものを作り出せるのは、ほんとうにプロの技だ。
p.104
「当題なことはね、みんなそうだろう。でも、嘘をつくというのは気力のいることだか
ら」
「気力、ですか」
「自分を騙すにしろ、相手を騙すにしろ、それなりに身体に -
Posted by ブクログ
ネタバレまた千早茜さん。これは短篇集です。すべて、心や体に傷を負った人を描いている。高校でクラスメイトから完全に無視されていたけど、ある日ケガをして血を流しながら登校したところ、みんながぎょっとして、さわぎになった…心にいくら傷を負っても誰も気づかず、黙殺され続けていたのに、ちょっと(ちょっとではないんだけど)体に傷を負って少々血が流れているだけで無視されなくなるなんて変なの…という話や、
初めてのセックスで相手の女の子を傷つけてしまったかも…というカップルの話や、
かつて犬にやられて体や顔に傷を負っており、とにかく犬が嫌いな男と、かつて集団レイプされて心に深い傷を負っており、とにかく男が嫌いな女の子 -
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愛って、いったい何なんだろう。
この物語を読んで、改めてそう思った。
登場人物たちは決して理想的じゃない。
むしろ、自分の欲に忠実で、そのためには他人に無慈悲になれる人たち。
何を考えているのかわからない、恨まれても嫌われても平然としている。
そんな人ほど、なぜか心が惹かれてしまう。沼のように。忘れられない。
幸せになれそうにない人を、どうして愛してしまうのだろう。
その問いがずっと胸に残って離れない。
読んでいる間、心が痛くて、怖くて、
登場人物が離れていきそうになるたびに、
まるで自分の体まで反応してしまうほどリアルだった。
“人を愛することの残酷さ”と“それでも求めてしまう心”を -
Posted by ブクログ
傷ー痛みを伴う。身体に刻まれるものもあれば、魂に刻まれるものもある。傷のない人間なんていない。でも他人から見たら、その傷は分からない。そんなお話を10個集めた短編集。
艶やかで、それでいて澄んでいる。境界線がくっきりと浮かぶ話が多かった。
その中での「この世のすべての」の話は特徴的だった。でも、他者から見たお爺さんの傷と主人公の傷なんて、どっちも分からない。結末には驚かされたけど、理にはかなっている。読んだ後にモヤモヤっとしたけれど、納得はできてしまう。
「林檎のしるし」可愛い話だった。丸くツヤツヤした林檎色が浮かぶ。ちょっと切ないけど、湯たんぽを用意すること、そこに込められた想いが&quo -
Posted by ブクログ
両親と共に夜逃げしたウメは道中で両親と生き別れとなる。さまよいつつ一歩一歩き川を遡り間歩にたどり着いた先で山師喜兵衛と出会う。女児のウメを育てることに冷やかな反応も多い中、喜兵衛はつかず離れずでも大きな愛情をもってウメを育てていく。いつしか銀堀になりたかったウメだが、そこに立ちはだかる性の問題。家族を生かすために必死で銀堀する夫と家で子供を守りじっと夫の帰りを待つ妻。やがて夫は銀堀の病に侵され次々と死を迎える。妻は子供を養うために次の夫と結婚していく。このような銀山の生活の中にウメも入っていくこととなる。性別によりどうしてもかなわない事への悲しみ・怒りなどを自分の中でもがき、受け入れながら必死
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時代小説を初めて読んだ。今まで読む機会なく敬遠していたが、千早さんの作品ということで挑戦してみた!
最初は慣れない言葉や文体に慣れなくて読み進むのに時間がかかったが、千早さんの圧倒的な文章力に惹き込まれた。
銀掘りたちとそれを支える女たちの一生。力強さと儚さ。
この作品はフィクションだが、実際に昔の石見銀山ではこのような日常があったのだろう。
病に倒れていく男たち、それを最後まで見届ける女、辛い。でも掘り続ける。ここで生きていくという覚悟に魅せられた。
登場人物たちが魅力的だったな。
「死にたいと望むことは生きたいと同義なんかもしれん」
「銀がなくなっても、光るなにかを人は探すと思いま