千早茜のレビュー一覧

  • 透明な夜の香り

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    最後には自然と涙が出てきていた。
    寝る前に読むには魅力的すぎて寝不足だけれど。
    あたたかいのにどこかひんやりとした、素敵な話だった。

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    2025年11月07日
  • 透明な夜の香り

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    ネタバレ

    全体を通して落ち着いた雰囲気があって、尚且つただ淡々としているだけではなくて暖かさを感じる描写が多くて何だか心休まる本だった。
    そんな中で、少しがさつに感じる新城も良いアクセントになっていた。

    どこか掴みどころがなく、底も見えない朔が、最後少し素直になっていたのは「変化」が感じられて良かった。

    タイトルの「夜」が前面に出た話ではなかったと思うけど、確かに透明な夜の雰囲気を纏った本だった気がする。

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    2025年11月06日
  • 透明な夜の香り

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    庭園や料理、匂いなど、私の好きな要素が詰まった作品でした。文章からは大きな洋館や薔薇の花など、風景や香りが鮮やかに浮かび上がります。穏やかで和む場面もあれば、ワクワクするような場面、そして目を背けたくなるような場面もあり、最後まで引き込まれました。とても面白かったです。

    あまり関係ありませんが、朔さんのセリフがエヴァのカヲルくんの声で脳内再生されました。

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    2025年11月04日
  • 神様の暇つぶし

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    ネタバレ

    父親より年上の男、美しくないのに何故か惹かれてしまう恋愛。死と生。被写体になることと触れること。作品になるということは私と彼の間に何かがあるということ。うまくまとまらないけどそんなことを考えてしまう。

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    2025年11月03日
  • ひきなみ

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    閉鎖的な島へ転校した都会の女の子。
    そこで孤高を貫く女の子と出会い、惹かれる。
    あらすじを知らずに読みだしたので
    このままよくある青春小説のように終わるのかと
    思ったら、島へ逃げてきた脱獄犯によって
    2人の運命が大きく変わる。
    ここから面白くて、一気に読めた。
    世間からの偏見、ハラスメント、いろんな要素があり
    考えさせられることがあった。
    最後、葉がハラスメントに立ち向かっていけそうな
    終わり方で良かった。

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    2025年11月02日
  • 神様の暇つぶし

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    ネタバレ

    若い時って危険な匂いのする歳上の男性に惹かれてしまうことあるよね。全員かはわからないけど、少なくとも私はあった( ̄^ ̄)

    自分の父親が亡くなって憔悴してる20歳の女の子(主人公)の前に突然現れた危険な男、全さん(父親の友達)がとにかく沼。
    父親も全さんに憧れていたという事から、男から見てもかっこいい男っていうのがわかる。

    全さんに沼って、他のことが手につかなくなったり、友達からの連絡もどうでもよくなったり、
    全さんが仕事で女性と会ってる間は気が狂いそうになったり、もうとにかくめちゃくちゃ沼。
    私も沼る自信しかない。

    そんな沼にどっぷりハマったところで全さんは突然姿を消した。、、、クソジジ

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    2025年11月01日
  • 透明な夜の香り

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    ネタバレ

    読んでて文字から香りがする、風景の色が見える、美味しい料理の味がする素敵な作品

    一文の情報量が濃くTopNoteからLastNoteへ移り変わる章とともに、漂う雰囲気や主人公の内面の変化が感じられるのもいいし、登場人物の距離感が心地いい

    1pと260pでは同じ鮮やかな赤の蔓薔薇を見た時の反応が違う主人公の心情の変化に胸を打たれた
    嗅覚に秀でた天才が味覚で寂しさを感じたラスト、お洒落すぎ

    好きなフレーズ↓
    ー逃げてはいけない、なんて道理を聞かなくてもいいよ。そんなのは人を殺す正義だ。

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    2025年10月31日
  • 透明な夜の香り

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    全体として、千早さんの言葉の置き方がとても好きだなあと思った。しっくりくる表現が多くて体にすっと馴染む感じ。
     

    朔の天才と言われるが故の生きづらさと不器用さが、一香の人と深いところで対峙する怖さが共鳴してたんだなと。そしてその共鳴は人にはあまり共感されないからこそ、2人の間の結びつきを強めていったんだと思ったし、「2人にしか分からない何か」はやっぱりひどく憧れるけど、脆く、怖いものだとも思った。
    こんなふうな出会いをして、紡いでいけるのはどちらの思いやりも大切なんだと改めて実感した。

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    2025年10月26日
  • 透明な夜の香り

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    ああ、深くて脳の奥の方を刺激された感じのする物語だった。それはきっと嗅覚のお話だったからだな。読んでいる間はどこからか香りがするような気がして、お布団の柔軟剤の香りがいつもより強くするような気がした。あっという間に読んでしまった。

    香りは人を壊し、人を再生させる。味覚はショッキングなことがあるとしなくなる。五感が鋭くなるように、小説の中の音も大きく聞こえるような気がした。こんなものを作り出せるのは、ほんとうにプロの技だ。

    p.104
    「当題なことはね、みんなそうだろう。でも、嘘をつくというのは気力のいることだか
    ら」
    「気力、ですか」
    「自分を騙すにしろ、相手を騙すにしろ、それなりに身体に

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    2025年10月26日
  • 透明な夜の香り

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    HSPの人は朔と一香の感覚が少なからず分かるのではないかと思う。
    繊細で、読後感が良かった。
    続編も早速読みたい。

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    2025年10月22日
  • グリフィスの傷

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    ネタバレ

    また千早茜さん。これは短篇集です。すべて、心や体に傷を負った人を描いている。高校でクラスメイトから完全に無視されていたけど、ある日ケガをして血を流しながら登校したところ、みんながぎょっとして、さわぎになった…心にいくら傷を負っても誰も気づかず、黙殺され続けていたのに、ちょっと(ちょっとではないんだけど)体に傷を負って少々血が流れているだけで無視されなくなるなんて変なの…という話や、
    初めてのセックスで相手の女の子を傷つけてしまったかも…というカップルの話や、
    かつて犬にやられて体や顔に傷を負っており、とにかく犬が嫌いな男と、かつて集団レイプされて心に深い傷を負っており、とにかく男が嫌いな女の子

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    2025年10月21日
  • 透明な夜の香り

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    自分には見えない世界
    特殊な才能、そういうのに憧れてしまうけど
    きっと疲れちゃうんだろうな、大変なんだろうな
    分かってはいるけどやっぱり憧れちゃうな
    そしてそんな人の近くで過ごしてみたいと思ってしまった

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    2025年10月21日
  • 透明な夜の香り

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    ネタバレ

    始終いい香りのする本。あと千早さんの文体が好きすぎる。
    館の扉を開けた時の清涼な香りは、生の香りなんじゃないかな。それが日を追うごとに体に染み込んで一香は自分を取り戻していったように思えた。

    「香りは脳の海馬に直接届いて、永遠に記憶されるから。」なんて素敵なフレーズだろう。
    良くも悪くも香りが記憶を呼び覚ますことってあるよね。

    それにしても、『透明な夜の香り』はどの香りを指しているんだろうか?気になるのでまた読む。宝物の本が増えました。

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    2025年10月18日
  • しろがねの葉(新潮文庫)

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    後半の引き込まれ感がすごい。私も日に日に病気に侵されていく人と生活しているかのよう。辛い咳が、隣から聞こえてくるような、、、それでも生活のために間歩に入る。
    ウメの波瀾万丈すぎる人生。それでも生きていく。

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    2025年10月17日
  • 赤い月の香り

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    ネタバレ

    朔さんの「正しい執着」に対するアンサーが「赦し」なのであれば、朔さんが一香を傍においておくためには、まず朔さんが母親のことを赦すことが必要なのだろうけれど、『透明な夜の香り』であった通り、朔さんは"忘れられない"ひとだからこそ母を赦せないために一香を遠ざけることでしか大切にできないのがもどかしくて、でも美しい。
    あるいは赦さないことで、愛着と執着のちがいすら知らなかった自分が一香を傷つけないようにしているのか、、、どちらにせよ前作に対する朔さんのアンサーが聞けてよかった。

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    2025年10月16日
  • 神様の暇つぶし

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    愛って、いったい何なんだろう。
    この物語を読んで、改めてそう思った。

    登場人物たちは決して理想的じゃない。
    むしろ、自分の欲に忠実で、そのためには他人に無慈悲になれる人たち。
    何を考えているのかわからない、恨まれても嫌われても平然としている。
    そんな人ほど、なぜか心が惹かれてしまう。沼のように。忘れられない。

    幸せになれそうにない人を、どうして愛してしまうのだろう。
    その問いがずっと胸に残って離れない。

    読んでいる間、心が痛くて、怖くて、
    登場人物が離れていきそうになるたびに、
    まるで自分の体まで反応してしまうほどリアルだった。

    “人を愛することの残酷さ”と“それでも求めてしまう心”を

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    2025年10月16日
  • グリフィスの傷

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    傷ー痛みを伴う。身体に刻まれるものもあれば、魂に刻まれるものもある。傷のない人間なんていない。でも他人から見たら、その傷は分からない。そんなお話を10個集めた短編集。

    艶やかで、それでいて澄んでいる。境界線がくっきりと浮かぶ話が多かった。
    その中での「この世のすべての」の話は特徴的だった。でも、他者から見たお爺さんの傷と主人公の傷なんて、どっちも分からない。結末には驚かされたけど、理にはかなっている。読んだ後にモヤモヤっとしたけれど、納得はできてしまう。
    「林檎のしるし」可愛い話だった。丸くツヤツヤした林檎色が浮かぶ。ちょっと切ないけど、湯たんぽを用意すること、そこに込められた想いが&quo

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    2025年10月15日
  • しろがねの葉(新潮文庫)

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    両親と共に夜逃げしたウメは道中で両親と生き別れとなる。さまよいつつ一歩一歩き川を遡り間歩にたどり着いた先で山師喜兵衛と出会う。女児のウメを育てることに冷やかな反応も多い中、喜兵衛はつかず離れずでも大きな愛情をもってウメを育てていく。いつしか銀堀になりたかったウメだが、そこに立ちはだかる性の問題。家族を生かすために必死で銀堀する夫と家で子供を守りじっと夫の帰りを待つ妻。やがて夫は銀堀の病に侵され次々と死を迎える。妻は子供を養うために次の夫と結婚していく。このような銀山の生活の中にウメも入っていくこととなる。性別によりどうしてもかなわない事への悲しみ・怒りなどを自分の中でもがき、受け入れながら必死

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    2025年10月15日
  • しろがねの葉(新潮文庫)

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    時代小説を初めて読んだ。今まで読む機会なく敬遠していたが、千早さんの作品ということで挑戦してみた!

    最初は慣れない言葉や文体に慣れなくて読み進むのに時間がかかったが、千早さんの圧倒的な文章力に惹き込まれた。

    銀掘りたちとそれを支える女たちの一生。力強さと儚さ。
    この作品はフィクションだが、実際に昔の石見銀山ではこのような日常があったのだろう。
    病に倒れていく男たち、それを最後まで見届ける女、辛い。でも掘り続ける。ここで生きていくという覚悟に魅せられた。

    登場人物たちが魅力的だったな。

    「死にたいと望むことは生きたいと同義なんかもしれん」
    「銀がなくなっても、光るなにかを人は探すと思いま

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    2025年10月12日
  • しろがねの葉(新潮文庫)

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    静岡県の土肥金山に行ったことがある。呑気に砂金採りや坑道に潜るなどの体験をした。

    この小説は石見銀山の話。そうか、実際の鉱山というのはこれほど苛烈で闇で熱く苦しいものであったかと、啓かれた感じ。資料や観光地などで見聞きしてはいたが、ここで描かれる生活と金と権力と病、男たちは次々と死んで女は何人もの夫に嫁ぎ、男子は育つとまた坑道に送り込まれる、というリアルは全然わかっていなかった。

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    2025年10月11日