千早茜のレビュー一覧
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「傷」がテーマの短編集。
短編でも更に短い短編だった。
けれど、それぞれの中に、重くて深い長編が綴られていた。
竜舌蘭の棘だったり、リスカだったり、不慮の事故、犯罪被害などなど、体に付いた様々な傷。
刺青のように、自ら傷をつける人もいる。
見た目は分からなくなった傷跡も、心の中に小さな、あるいは深い傷を残しながらいつまでも引きずるだろう。
一度、傷をつけたら、そのことはなかったことにはならない。
「竜舌蘭」「この世のすべての」「からたちの」
は、胸がチリチリ痛んで、読んでいて辛かった。
「結露」「林檎のしるし」「慈雨」「まぶたの光」
は、読み終えて、何だか温かい気持ちになった。
「指の -
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目を背けたくなるような傷。誰かの傷だったり、私自身の傷だったり。無垢で傷のない人間なんていない。もちろんそれは身体に付く見える傷だけではなく、心無い言葉なんかで心が傷ついてしまうこともある。
忘れて前に進むことだけが"治癒"じゃない。
いつかは消えて無くなって忘れてしまうこともあれば、どこまでも(もしかすると一生)この傷と付き合うかもしれない。
傷と向き合い、折り合いをつけることはその傷の持ち主だけが決めることができる。
本人だけが癒すことができて、付き合う覚悟を持つことができる。
ただ、誰もが持っている傷、その癒し方を指南するわけではなく、官能チックで艶やか。
傷があ -
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Posted by ブクログ
ネタバレ作者読み3作品めだけどやっぱり、言葉選びが本当に良い、素敵。あと、キャラクターも。
物語の中で関連しあった人達の作品集だったけど、最後まで黒崎が謎だったなあ。詳しく語らない方が美しいんだろうけど、過去や考え方、その時思ってたこと、知りたかったなあ全部の物語は違う人達の話だったけど、人がなにか遺したい、と思う気持ちっていうのがメインにあったのかな?子供だって、妻だって所詮他人って考え方、薄情でもあるし気楽な考え方だなと思った。
「ゆびわ」の話、最後は本当のさようならってことなのかな、明美が泣きじゃくってた描写すごく切なくて良かった -
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ネタバレ千早茜さんの「西洋菓子プティ・フール」読んだ
やっぱ言葉の表現が素敵〜千早さんのお菓子の味とか見た目の表現が素晴らしすぎて、読む度に今すぐにでも近くのケーキ屋さんにケーキを買いに行こうとしてた。お菓子の話の他にも恋愛も絡んできてて、スミ、祐介、ミナの一方通行なな恋心、愛が切ない部分もあった。(あと過食嘔吐の人もか、、)面白かったー、ナミとすみたかくんは結ばれるのだろーか。すみたかくんはパリへ行って、すっぱり亜樹を諦められるだろーか。色々気になる所はあるけどそれぞれ、前に進んで歩いててかっこよかった。でもお菓子の表現は最高だったけど書かれたのが2014年って言うのもあって、服とかネイルのセンスみ