千早茜のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ*フランスで菓子作りの修業をしたパティシエールの亜樹は、菓子職人の祖父のもと、下町の西洋菓子店「プティ・フール」で働く。女ともだち、恋人、仕事仲間、そして店の常連客たち……。店を訪れる人々が抱える様々な事情と、それぞれの変化を描く連作短編集*
大人テイストのスイーツ小説、とでも言いましょうか。
甘くてかわいいお菓子たちが全てを解決してくれてハッピー♡みたいな単純な展開ではない所がとても良かった。
そして、甘さの裏に潜むほろ苦さにやるせなさ、人生のままならなさ…など、お菓子に絡めた心理描写が本当にお上手です。
もろもろ胸焼けせずに最後までじっくり堪能致しました。
装丁も内容にぴったりの雰囲気 -
Posted by ブクログ
グリフィスの傷とは…
見えない傷のこと。
p115
ガラスは仕方がないからって言った。
ガラスは本当はとても頑丈だけど、目に見えない傷がたくさんついていって、何か衝撃を受けた時に割れてしまうものだって。あなたが割ったように見えるけど、いままでの傷が積み重なった結果だから気にしなくていいのって。そういう目に見えない傷のことをグリフィスの傷っていうんだって教えてくれた
傷に関するお話。
どれも
身体の傷や心の傷、他人には、自分の痛みは正確には伝わらない。計り知れない痛さを想像できればいいけれど、文中にもあるように、人は他人の痛みには鈍感だ。
竜舌蘭のお話は、印象的。
国語の教科書にのらないか -
Posted by ブクログ
「傷」がテーマの短編集。
短編でも更に短い短編だった。
けれど、それぞれの中に、重くて深い長編が綴られていた。
竜舌蘭の棘だったり、リスカだったり、不慮の事故、犯罪被害などなど、体に付いた様々な傷。
刺青のように、自ら傷をつける人もいる。
見た目は分からなくなった傷跡も、心の中に小さな、あるいは深い傷を残しながらいつまでも引きずるだろう。
一度、傷をつけたら、そのことはなかったことにはならない。
「竜舌蘭」「この世のすべての」「からたちの」
は、胸がチリチリ痛んで、読んでいて辛かった。
「結露」「林檎のしるし」「慈雨」「まぶたの光」
は、読み終えて、何だか温かい気持ちになった。
「指の -
Posted by ブクログ
目を背けたくなるような傷。誰かの傷だったり、私自身の傷だったり。無垢で傷のない人間なんていない。もちろんそれは身体に付く見える傷だけではなく、心無い言葉なんかで心が傷ついてしまうこともある。
忘れて前に進むことだけが"治癒"じゃない。
いつかは消えて無くなって忘れてしまうこともあれば、どこまでも(もしかすると一生)この傷と付き合うかもしれない。
傷と向き合い、折り合いをつけることはその傷の持ち主だけが決めることができる。
本人だけが癒すことができて、付き合う覚悟を持つことができる。
ただ、誰もが持っている傷、その癒し方を指南するわけではなく、官能チックで艶やか。
傷があ