千早茜のレビュー一覧

  • 透明な夜の香り 赤い月の香り

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    ネタバレ

    読んでいると、図らずとも独特の世界観に引き込まれてしまうような本だった。
    前作では登場しなかった人物が出てきたことで、静かな雰囲気の中に新しいアクセントが加わっていて良かった。
    前作では語られることのなかった登場人物の過去や、人間関係などが新しく描かれていて、よりそれぞれの人物の深淵に触れることができた。
    一香と朔の関係がどう変化していくのかも気になるので、続編も読みたいと思った。

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    2026年09月05日
  • 西洋菓子店プティ・フール

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    再読。前読んだときはこんなに響かなかったのに、なにこれ。

    好きなフレーズ
    "甘さっていうのはな、人を溶かすんだよ。ほっと肩の力を抜けさせる。でも、ただ甘いだけなら馬鹿でもできる。相手の感じ方を想像して、旨みを感じさせる甘さをださなきゃいけない。"

    私もできてない。

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    2026年09月02日
  • しろがねの葉(新潮文庫)

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    とにかく胸がぎゅうっとなり、泣いた。
    読み始めから読み終わりまででだいぶ印象を覆されました。
    夜目がきくというスペックをもった孤児の女の子(ウメ)が男社会で奮闘していくのか?みたいな印象で読み進めていましたが、間歩という闇をベースに、人が人に対して抱える情念みたいなものがいい塩梅で官能的に描かれていて、よくあるそっち方向じゃない話の広がり方にまるで葉脈のようだと感じました。

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    2026年09月01日
  • からまる

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    心にじんわりと しみこむ
    7編からなる 物語は
    隣あい からまる
    ラストのお話は 泣いた
    どんなかたちでも
    生きているし
    生きていていい

    それぞれの人物がかかえるもの。

    心理描写が とても繊細で丁寧に
    書かれていて
    その場の空気も伝わるよう
    ぐっと心を掴まれる

    3話の からまる
    このお話が一番好きだった

    そして大原さん。
    素敵な人だ

    何度も読み返すだろう1冊になった

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    2026年08月30日
  • 西洋菓子店プティ・フール

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    おじいちゃんと孫娘が主に経営している、昭和のおもかげを残す商店街にある西洋菓子店が舞台の短編集。甘くて美味しそうなお菓子は出てくるが、それに絡めた人間関係や恋愛模様が結構ドロドロしていた笑 ネイリストや弁護士の仕事の様子も丁寧に書かれ、社会科見学できない意味で勉強になった。

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    2026年08月29日
  • わるい食べもの

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    「私の食生活、つまらなくない?」って落ち込むくらい面白かった。食べ物ってこんなふうに表現できるんだ。びっくりした。
    1番驚いたのは、「果物を狩るけもの」に出てくる文章。果物について書かれていることを忘れるくらい、甘美な表現だった。うっかりスーパーで果物を見る目が変わってしまいそう。果物は、剥くのがめんどくさくてあまり食べないけど、久々に味わいたいなと思った。
    何かを考えたり、感じたりした時に、もっとぴったりな言葉で表現したいといつも思う。この本を読んで、その気持ちに拍車がかかった。言葉の引き出しをもっと増やしたい。色んな体験を残したい。

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    2026年08月27日
  • あとかた

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    どの人物も愛したり愛されたりすることが下手くそで、でもそれを切実に必要としていると感じた。差し込む光のようにふいに希望が見つかるのがあたたかくて美しかった。
    千早茜さんの作品を読むのはこれが初めてだったが、他の作品も読んでみたくなった。

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    2026年08月26日
  • 眠れない夜のために

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    記憶が間違ってなければ、『ほんタメ』であかりんが紹介していたはずです。
    私も夜に一人で読みました。
    あっという間に読みました。
    どの短篇も本当に短いのに、心に残るものばかりでした。こんなに短い文章でも、時には不思議な世界に、時には切ない現実に、またはごく身近な都会の暮らしの風景があったりしました。
    希望を見たり、心えぐられたり、なるほどなあと思ったり、十篇どれも素敵でした。

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    2026年08月24日
  • マリエ

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    離婚というビッグイベントを経験した主人公の心境の変化を辿っていく物語。ただそこだけに終始せず、
     結婚と恋愛の違いとは何か、
     離婚は悪いことなのか、
     人の価値観の受け入れ方、
     男性と女性の社会的立場の違い、
     相手を「選ぶ」ということについて、
     そもそも幸せってなんなのか、
    いろいろなことを考えさせられる小説だった。

    最後の金原ひとみさんとの対談も赤裸々で、作家は自身の人生と知見を凝縮して作品を生み出しているのだなと畏敬の念に駆られた。

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    2026年08月23日
  • しろがねの葉(新潮文庫)

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    千早さんの紡ぐ世界はやはり繊細で、儚くて、胸がきゅうっと締め付けられるような切なさを覚える。

    銀の山を舞台に、間歩で生きる男たちと、それらにどうしようもなく惹かれながらも、女であるために同じようには生きられないウメ。
    どの人物もぶっきらぼうながらも愛に溢れていて、とても魅力的だった。

    長く生きられないと知りながらも、間歩に入り銀を求め続ける銀堀たち。
    夫が死ぬたびに他の銀堀のもとに嫁ぎ、男が生まれればまた間歩へと送り込む女たち。
    銀の山で命を繋いでいく覚悟や強さが物悲しい。
    子猿のようだったウメも立派にその環の一端となったことが、嬉しいような、切ないような。

    千早さんは色や香りの表現が美しいので、映像化されたら是非見てみたい。

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    2026年08月20日
  • マリエ

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    ネタバレ

    いくつになっても拠り所がある方が生きやすい。そんな中、人生の分岐点になるような出来事が起きて、年下の男の子から迫られたら、瞬時にこの人は年上の女性に夢を見てるのかなと思ってしまう。

    急に名前で呼んでくるのあざといなぁ。
    あと料理しにくるのが口実なのもあざとい。
    全部マリエのためなのもあざとい。

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    2026年08月16日
  • ガーデン

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    ネタバレ

    『ガーデン』
    自分だけの庭を大切に守っている主人公。
    その世界に土足で踏み入れられないように大切に守りすぎていると、いつしか自分も、そして周囲にも理解されずに、いつのまにか失ってしまっていることに気付く。
    その時こそがターニングポイント(=転機)なのかもしれない。
    登場人物も粒立っていて、匂いと色の描写も人との距離を保つ主人公に対する良いアクセントになっている作品でした。

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    2026年08月15日
  • しろがねの葉(新潮文庫)

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    「なにか縋れるもんを心の中に灯してないと呑まれるんじゃろうなあ」
    最初から話の中に引き込んでくれた。
    途中ウルッとするところもあった。
    個人的には隼人が好きだった。ウメに対しての愛情深さにキュンキュンさせてもらった。面白かった。

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    2026年08月16日
  • 胃が合うふたり(新潮文庫)

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    面白くてすらすら読めた。食べ物をじっくり味わうのが良いなと思った。外食に行こうにも、「服装が…予算が…」と考えてしまう私。これではいけない、もっと食を楽しまなければ、と思わせられた。

    印象的なフレーズ
    「そばにいることを「許されている」のだと忘れないようにする。人が人といるのは当たり前ではない。」

    ふたりの仲はとても良いように見えたけど、一定のラインをきちんと意識しているからかなと思った。同時に、そう自分を戒めるくらい好きで一緒にいたいんだなーと感じた。素敵な表現。

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    2026年08月09日
  • 透明な夜の香り 赤い月の香り

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    『その男の周りだけ青い夜の気配がただよっているように見えた』

    この一文だけで前作の感動が蘇った。
    五感に訴える文章と繊細な感情描写が狂おしいほど好きなシリーズだ。

    タイトルにも入っている「月」。
    序盤で月に関する謎めいた描写が連続していることから、月に着目して読み始めた。

    今回の主人公・満はカッとなりやすい性格であること以外情報が少なく、月との関連性も不明で序盤は感情移入が難しかった。

    だが依頼客のエピソードを通してパズルのピースが少しずつ揃い始め、次第に生い立ちとそこに隠された悲劇がうっすらと予見できてくる。

    絵が出来上がった時には、とっつきにくかった彼の行動原理が腑に落ちた。
    人間の意識に刻まれた傷の描き方も素晴らしい。

    余韻を残した終わり方も味わい深かった。

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    2026年08月09日
  • 西洋菓子店プティ・フール

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    初めて読んだ千早茜さんの作品。
    食べ物の表現が素敵で、食べてみたいスイーツが沢山出来た。
    この人の文章が好きで他の作品も読み漁ってしまった。

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    2026年08月02日
  • 男ともだち

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    人との関係は変化していくもので
    怖いけど、嫌だけど、変化は避けられなくて
    自分だけではどうにもできないから

    だから、大切にされていた、愛を注がれたという事実を抱きしめて、生きていきたい
    愛されていた、特別な存在だった、人生が交差する時間が確かにがあったことが、わたしにとっての温もり

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    2026年10月20日
  • ひきなみ

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    大事なことをたくさん受け取った気がする。
    印象に残ったシーン。担任の先生の言葉、そのあと2人が仲良くなるシーン、中学生の葉と真以、再会してお店をみて回るところ。

    閉鎖的な環境を通して描かれるしんどさ。あまりにも美しい場所だから、人々の差別的な感情の醜くさが際立ったし、向けられる者を痛々しく感じてしまった。
    葉のまわりの大人は皆勝手に思えたけど、祖母のことは嫌いにはなりきれなかった。この人も、女性だからか、島で生きていくために身についた考えと葉に向ける感情とに、少しの葛藤を感じる。

    “脱獄犯”ほどの異質さを頼らないと逃げられなかった真以。
    大義名分がないと、自分に乗せられた“女”から逃げられないなんてしんどすぎる。

    大人になってからの葉の物語も、だいぶ苦しかった。この苦しさが物語の核だとも思う。読み終わったら、心がすーっと静かになって、自分の中の揺らぎみたいなものに、少し軸ができる気がした。

    文庫の桜木紫乃さんの解説も、すごく染みた。

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    2026年07月28日
  • わるい食べもの

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    千早茜先生の初エッセイ。
    『わるい食べもの』というタイトルから嫌いな食べものとかが色々出てくるのかなーと思っていたら、ちょっと違った。
    食べものの話というよりは、食を通して千早先生の人生観を垣間見ているような作品でした。
    ユーモアと毒気に溢れていて面白かった。
    読み終わったあと、千早先生のXを覗いてみたら、この本通りの食生活がアップされていて嬉しくなってしまった。これぞエッセイの醍醐味。

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    2026年07月25日
  • クローゼット(新潮文庫)

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    ジェンダーレスが多く語られる現代において色んな視点を持たせてくれる作品。それぞれに辛い過去や傷を持つ芳と纏子。章ごとに一人称が入れ替わる構成はまるで縦糸と横糸のように長い時間をかけて繊細に折り重なり合い、晶という人物の存在によって最後に見事な一枚のピースになる。傷を治すことや痛みを克服することばかりに囚われるのではなく、それらと上手く丁寧に向き合いながら生きて行く大切さを学んだ。
    洋服の歴史やトレンド、補修士の仕事など膨大であったであろうリサーチに裏付けされた情報はアパレル業界に長くいた自分にとって読んでいて楽しかったし、知らない人にとっても面白く学べる内容となってる。
    心情や色やカタチをピタリと寸分の狂いもなく言い表す千早さんの言葉はただただ美しかった。

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    2026年07月23日