千早茜のレビュー一覧

  • 西洋菓子店プティ・フール

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    ネタバレ

    *フランスで菓子作りの修業をしたパティシエールの亜樹は、菓子職人の祖父のもと、下町の西洋菓子店「プティ・フール」で働く。女ともだち、恋人、仕事仲間、そして店の常連客たち……。店を訪れる人々が抱える様々な事情と、それぞれの変化を描く連作短編集*

    大人テイストのスイーツ小説、とでも言いましょうか。
    甘くてかわいいお菓子たちが全てを解決してくれてハッピー♡みたいな単純な展開ではない所がとても良かった。

    そして、甘さの裏に潜むほろ苦さにやるせなさ、人生のままならなさ…など、お菓子に絡めた心理描写が本当にお上手です。
    もろもろ胸焼けせずに最後までじっくり堪能致しました。
    装丁も内容にぴったりの雰囲気

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    2025年09月18日
  • しろがねの葉(新潮文庫)

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    千早さんは、誰も入る隙のない2人で完結された空間を描くのがお上手だと思っていて、今回もそんな静謐な雰囲気の漂う作品。
    変えられない運命を嘆きながらも、やはり間歩から離れずに、男たちを最期まで支えたウメは、銀堀にはなれずとも確かに喜兵衛の手子だったと思う。
    胸が引き裂かれそうな闇の中でも、"おなご"として、母として、ひたむきに強く生き抜いたウメは
    とても美しく輝いて見えました。

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    2025年09月15日
  • おとぎのかけら 新釈西洋童話集

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    一気に読みました。
    おとぎ話の新しい解釈だけれども、話の筋は崩していない。
    キラキラした物語もあれば、
    人間て怖いな、
    ホラー小説の方が怖くないのでは?
    と思う作品もあり、中に引き込まれる感じがした。
    本当はこんなこと無いよね?と思うけれども実際にはどっかであるのでは?
    とも思わせてくれる部分もあり、一気に読んだことを少し後悔しました

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    2025年09月12日
  • 西洋菓子店プティ・フール

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    パティシエの亜樹が主人公だけど
    各短編でいろんな登場人物の目線でかかれていて面白かった。
    ネイリストのミナの、美味しかったことをおそらく憎いであろう相手に思わず伝えた描写で
    やはりスイーツは人を幸せにするなぁとおもった。
    「世界に色がつくみたい」 紅茶屋さんの長岡さんの話が読みたい。

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    2025年09月11日
  • グリフィスの傷

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    グリフィスの傷とは…
    見えない傷のこと。

    p115
    ガラスは仕方がないからって言った。
    ガラスは本当はとても頑丈だけど、目に見えない傷がたくさんついていって、何か衝撃を受けた時に割れてしまうものだって。あなたが割ったように見えるけど、いままでの傷が積み重なった結果だから気にしなくていいのって。そういう目に見えない傷のことをグリフィスの傷っていうんだって教えてくれた

    傷に関するお話。
    どれも
    身体の傷や心の傷、他人には、自分の痛みは正確には伝わらない。計り知れない痛さを想像できればいいけれど、文中にもあるように、人は他人の痛みには鈍感だ。

    竜舌蘭のお話は、印象的。
    国語の教科書にのらないか

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    2025年09月09日
  • しろがねの葉(新潮文庫)

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    私が普段読まないタイプの本で、読みにくいと感じながらも徐々に引き込まれていき、読む手が止まらず映画を観ているようだった。
    泣けた。

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    2025年09月08日
  • 赤い月の香り

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    ネタバレ

    p108思い出して欲しかった

    p109あんたは一度も傷つけようとしていない。同じ目に遭わせてやろうとか、苦しめてやろうとか言ってない。ただ、思い出してほしいだけだろ。それの、何が悪い。あんたは強いよ。殴り返さない強さを誇るべきだ。


    p96 気持ち悪いですね、すみません
      いえ、思ったことを謝らなくていいです。

    p206 拒絶された怒りだったのか。悲しみや寂しさを感じないように真っ赤な怒りで染めて、そうやって俺は生きてきたのだ。
    中略
    腹の底にポッカリとした穴が空いて、力や熱が奪われていく気がした。ああ、これが虚しさなのか。

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    2025年09月08日
  • しろがねの葉(新潮文庫)

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    ネタバレ

    銀山に生きたウメと、彼女を取り巻く男たちの物語。
    山師のもとで男でも女でもないような存在から、女となり妻となり母となり、世の中の奔流に踠きながら必死で生きたウメの一生の物語ではあったのだが、何よりそのとりまく男たちが魅力的な小説だった。ウメの全てだった喜兵衛、喜兵衛の影を宿すウメを包んだ隼人、その隼人の影を宿すウメを包んだ龍。すべてが銀山に飲み込まれ、そして全てが無に帰っていく無情を、美しく描き切った名作であった。

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    2025年09月08日
  • しつこく わるい食べもの

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    私が感じている世界は、私の体を通したものなのだから、体の状態が変われば変わるものなのだ。

    嗅覚の判断は速い。きっと、頭で考えるよりもずっとずっと早く感情を動かす。

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    2025年09月06日
  • 犬も食わない(新潮文庫)

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    大好き。尾崎さんも千早さんも好きなので最高~~と思って買った。出てくる男も女もめんどくさ~~~~いけど、やけにリアルで面白かった。
    尾崎さんの言葉選びが、クリープだなあと思うところが何か所かあって、そのたび好きだなあと思った。

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    2025年09月05日
  • グリフィスの傷

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    「傷」がテーマの短編集。
    短編でも更に短い短編だった。
    けれど、それぞれの中に、重くて深い長編が綴られていた。

    竜舌蘭の棘だったり、リスカだったり、不慮の事故、犯罪被害などなど、体に付いた様々な傷。
    刺青のように、自ら傷をつける人もいる。
    見た目は分からなくなった傷跡も、心の中に小さな、あるいは深い傷を残しながらいつまでも引きずるだろう。
    一度、傷をつけたら、そのことはなかったことにはならない。

    「竜舌蘭」「この世のすべての」「からたちの」
    は、胸がチリチリ痛んで、読んでいて辛かった。

    「結露」「林檎のしるし」「慈雨」「まぶたの光」
    は、読み終えて、何だか温かい気持ちになった。

    「指の

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    2025年09月04日
  • グリフィスの傷

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    目を背けたくなるような傷。誰かの傷だったり、私自身の傷だったり。無垢で傷のない人間なんていない。もちろんそれは身体に付く見える傷だけではなく、心無い言葉なんかで心が傷ついてしまうこともある。

    忘れて前に進むことだけが"治癒"じゃない。
    いつかは消えて無くなって忘れてしまうこともあれば、どこまでも(もしかすると一生)この傷と付き合うかもしれない。
    傷と向き合い、折り合いをつけることはその傷の持ち主だけが決めることができる。
    本人だけが癒すことができて、付き合う覚悟を持つことができる。

    ただ、誰もが持っている傷、その癒し方を指南するわけではなく、官能チックで艶やか。
    傷があ

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    2025年09月03日
  • しつこく わるい食べもの

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    千早茜の食にまつわるエッセイ第二弾。
    途中まで楽しく読んでいて、コロナ禍に突入していくところが生々しかった。「しつこく わるい食べもの」を執筆されているときは、2020年4月、あのときだった。
    こうやって書き起こされていると思い出すことがたくさんあるな。記録していくのは大事なことだと思った。

    ところで今回はなんといってもパフェ。
    「パフェが1番エロい。」は最高だった。わたしもパフェとデートしにいこう。

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    2025年08月30日
  • わるい食べもの

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    面白かった〜!
    エッセイ得意じゃないのだが、くどうれいんのエッセイは好きで、もしかして食のエッセイが好きなのかも?と気づいた。

    千早茜、エッセイまで面白いとは本当にお見事。
    とりあえずレモンの蜂蜜漬けをつくりたい。

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    2025年08月30日
  • あとかた

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    恋愛の幸せなところじゃなくて、もっと暗くて難しくて嫌なところをこれでもかっていうくらい突きつけられる。表面上はなんてことない幸せを装ってる人も、みんなこういう気持ちを抱えているのかな。
    人間は難しいし、特に恋愛がやっぱり難しすぎる。

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    2025年08月29日
  • 赤い月の香り

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    「透明な…」続きが有るなら絶対読みたいと思っていました。期待通りの内容に次ぎも書いて欲しいと思います。

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    2025年08月27日
  • 男ともだち

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    ネタバレ

    ハセオが最後まで友達だったことに少し残念と思う反面、安心する気持ちになった。こんな乱れた生活を送ったことがないのに共感できる所があり、没頭して読み進めることができた。

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    2025年08月26日
  • 赤い月の香り

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    「透明な夜の香り」が大好きで、続編も読んでみました。やっぱり、世界観が素敵だなと思いました。
    「俺のことを過敏と言った人は、俺よりもはるかに孤独な世界を生きている人だった」この言葉にとても考えさせられました。

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    2025年08月26日
  • クローゼット(新潮文庫)

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    クローゼットをきっかけに繋がるお話。
    透明感があって、静けさを感じた。
    繊細に綴られてゆく物語の中で、華やかで煌びやかな服がとても美しかった。
    服にはそれぞれ過去があって、物語がある。着ていた人の人生が服に染み付いていることが心に残った。
    自分の好きな服を追求すると、自信がつくのだと感じた。

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    2025年08月19日
  • 魚神

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    10年以上前に読んだことがあり、好きな世界観だったことを覚えていた。再読し、その感想は変わらなかった。読後の余韻がなんとも言えないほど素晴らしい。風景や心情の描写が美しい。

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    2025年08月17日