千早茜のレビュー一覧

  • グリフィスの傷

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    傷を題材とした短編集。
    傷と言っても様々な傷の形があり、そしてストーリーがあるということを改めて感じた。
    グリフィスの傷、からたちの、慈雨の3つが特に印象深かった。
    その中でも本のタイトルにもなっているグリフィスの傷。
    目に見えない傷のことをグリフィスの傷ということを初めて知った。
    "その見えない傷が、いつの日かよみがえってあなたを壊してしまわないよう、わたしはずっと祈り続けます。"っという一文が
    涙が溢れてしまいそうになるくらい心に触れて、刺さった。

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    2026年02月07日
  • 赤い月の香り

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    透明な夜の香りに続き今回もすごく良かったです!
    今回少し小川朔のことが出ていたと思います。もし続きがあるなら少しずつ朔のことを読んでいきたいなと思いました。そして一香が出てきてて嬉しい!洋館での仕事を去ったあともみんなとの関係が続いていて良かったです。香りは記憶に残る、香れば記憶が戻るなら私も朔に作って欲しいです、

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    2026年02月07日
  • 男ともだち

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     千早茜さんの書く小説は、人間の醜さと不完全さが生々しく描かれていて、まるで誰かの人生を覗いてるみたいに思える。
     本作「男ともだち」では、神名とハセオの関係性は形容し難く、恋人でもなければ男友達と言うにも距離が近すぎる。だが読み進めるうちに、これは男ともだち以外には言い表せない関係なんだと気付いた。
     最高の1冊だった。

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    2026年02月03日
  • 西洋菓子店プティ・フール

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    洋菓子をテーマにした甘いだけの作品かと思っていましたが、良い意味で裏切られました。
    甘美で少しほろ苦く、時々どきっとするほど官能的な大人のための連作短編集です。男女問わず、スイーツ好きな大人の方にぜひおすすめしたい一冊でした。

    特に印象深かったのが、作中で語られる「クリームの科学」についての表現です。クリームは、二つ以上の脂肪球がぶつかり、溶け合い、繋がってこそ、ツノが立つような理想的な形になる。けれど、混ぜすぎると崩壊してしまう。
    夫婦関係はもちろん、様々な人間関係に当てはまる深い比喩だと感じました。お互いを知ろうとしなければ一緒にはいられない。でも他人だから、完全に一緒にはなれないし、そ

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    2026年02月02日
  • ひきなみ

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    ネタバレ

    またまたまたまた、千早茜さん。
    父親が精神を病んでいるため、瀬戸内海の小さな島に住む祖父母に預けられることになった葉。古い慣習や厳しい祖父になじめなかった葉は、毅然として島の人たちになじもうとしない、真以に憧れ、仲良くなる。でも真以は自分に心を開いているように見えない。でもだんだんと距離が近づき、二人だけの秘密も共有するようになる。
    せっかく近づけたと思ったのに、ある日、真以は何も言わずに島から逃げ出してしまう。真以を連れて行ったのは大人の男(逃亡犯)で、マスコミの格好の餌食となる。責任を感じ、葉は傷つく。

    後半は大人になった葉の物語。大手企業で総合職として働く葉は、傷を抱えたまま一生懸命に

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    2026年02月01日
  • しろがねの葉(新潮文庫)

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    人間の業を感じた。石見銀山の史実を元にしながらも女性や山や銀掘の関係を生き生きとそして冷静で深く向き合いながら書いている。
    夜目がきくウメと山師の喜兵衛は蛇の寝ござを始めとして生い茂る草木を見分け天気の変わり目の空気を感じ生命の息吹たる山の地脈と対話しながら銀掘を使っている。それが貨幣経済に頭を支配されて銀を富としか見ない権力者が管理するようになったら。途端に間歩はぽっかりと冷たく暗い口を開け銀掘たちはその闇に飲まれて黒い血を吐き胸を病んでしまう。それでも営みを続ける者たち。銀を生み出すこと、女であること、命を生み出すこと、血が繋がらなくても伝え繋がっていく者たち。
    後半は隼人が血を吐き苦しん

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    2026年02月01日
  • しろがねの葉(新潮文庫)

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    ものすごく濃ゆいウメという石見銀山で生きる女性の一生の物語。
    富、権力、愛を求める人間の業が息苦しいほどに色濃く描かれていた。
    四季折々の山の景色、銀を掘る穴の闇、冷たさ、人の肌の温もり、匂い、音など、五感が圧倒された。
    生きること理、いろんな辛いことがありながらも何故生きるのか?何故生きようとするのか?そう問いかけられ、それでも逞しく生きる姿に胸が締め付けられる思いがした。

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    2026年01月30日
  • なみまの わるい食べもの

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    もしかして、千早さんってすごく面白い人なのでは…???
    と思ったわるたべ4作目。

    今までのわるたべや、新井さんとの『胃が合うふたり』を読んで一方的に抱いていた千早さんのイメージは、繊細、冷静沈着、計画的、夜型、芸術家気質、あと神経質(すみません、でもご本人もそう書かれてるので)。そんなイメージの千早さんが新しいご家族に翻弄され、段々と朝型健康サザエさんみたいになっていくのが本作。元々そういう窓があり、ご家族に開かれていく過程が描かれているのではなかろうか。だってディズニーランド・シーへ姪っ子家族と行って、「茜さんがいちばん楽しんでいた」って言われてるくらいだもの。きっとめちゃくちゃ面白い人な

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    2026年01月29日
  • 男ともだち

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    恋愛経験重ねた人にこそ読んでほしい。

    不完全であることを認めた人間が真っ直ぐ生きている小説。

    どんな状況でも捨てては、前には進まないといけなくて。でもそれを見ることだけしてくれる、男ともだちこそが本当の愛なのかもしれない。

    私にもそんな男ともだちがいること思い出された。

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    2026年01月29日
  • しろがねの葉(新潮文庫)

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    ウメの生き方がとても格好良く、沢山傷ついてきているのに堂々と生きていこうとする姿が美しくてとても好き。
    また、銀を長い間掘っていると鉱毒に体を蝕まれてしまい長生きする人がほとんどいないことを全く知らなかったので驚いた。

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    2026年01月23日
  • 男ともだち

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    本作品を読んだ第一印象は「気持ち悪い」だった。

    こんな感覚で生きている人がいるとしたら嫌悪するし、自分のパートナーがカンナやハセオのようなことをしているとしたら絶対に許せないだろうと思った。
    だけど読み進めるにつれて、これは自分に似ているのだ、と感じるようになった。

    確かにこんな男女は滅多にいないだろうと思う。
    ごく稀にはいるかもしれないが、少なくとも普通ではない。
    私自身、異性との間に純粋な友情が持てるとも考えにくいし。
    そもそも、「男ともだち」というものが私のトラウマティックな部分に触れる。私は異性との境界に危険を感じてしまうのだ。だから私は普通に男ともだちと言って親しくする人に対して

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    2026年01月23日
  • 男ともだち

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    イラストレーターの神名と、大学生からの男友達のハセオ、夫の彰人、不倫相手の真司の3人の男性との話。

    恋愛や友情の話というよりは、神名という人物が壊れないために選び続けてきた人間関係の話だと感じた。

    神名は誰と寝ても、強い罪悪感や激情に揺さぶられることがない。それは快楽や逃避というよりも、心の奥に沈んだ感情に触れるための行為のように描かれている。
    そのフラットさは、人として成熟しきっているからなのか、あるいは諦めきっているからなのかは明確には示されない。
    ただ、過去に一度深い傷を負った人間が、その後「安定」を最優先に生きてきた結果なのだろうという想像は自然に浮かぶ。

    神名とハセオの関係は、

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    2026年01月23日
  • 男ともだち

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    男ともだちってずるい響きだよね、という言葉。
    それからたくさんの形のない関係性。セックスしてしまうと、終わってしまうような関係。
    複雑な思いもずっと持ったままに生きるのかもしれない。

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    2026年01月22日
  • 男ともだち

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    ネタバレ

    タイトルに惹かれて購入。
    読み始め数分して、自己投影を全然させてこないタイプの主人公だ!と何故か安心しました。
    それくらい自分と言うものを根底で持っていて、でも不器用で乾きがある貪欲な女性と、負けないくらい自分の軸がぶれなさそうな食えない男性が出てきて、普通に恋愛に進んで…とならないのがまた安心。
    異性のともだちだからこその、ドライな気楽さに少しの湿っぽさが絶妙に描かれてるのがすごく良い。

    最後に残るのが恋人でも愛人でもなくて、自分の描きたかった絵での仕事と男ともだちなのが、清々しさもある。
    神名と美穂の対比は、大切だから触れない/触れたの先で、それぞれ別の強かな女になっていくのが印象に残っ

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    2026年01月22日
  • グリフィスの傷

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    ネタバレ

    見えない傷と見える傷がある
    見えない傷は他人からは知られずずっとぐじゅぐじゅに膿んでたりする
    見える傷は関わった大切に思ってくれる人がいつまでも忘れられない原因になる
    案外本人は気にしてないこともあって
    ただその人にも気にしてほしくないから隠す場合もある
    見えない傷を無視されたくなくて見えるようにした
    見える傷ができてやっと傷ついていたことに気づかれた
    傷、をテーマにしてこんなに物語が広がるものなのかって驚いた

    「私が描きたいのは生き延びたあかしだから。死体の傷口というのはひらいたままだ。血が乾き、腐敗し、蛆がわくことはあっても、ふさがることはない。傷痕になることはないんだ。だから、これらは

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    2026年01月21日
  • 魚神

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    唯一無二の世界観、仄暗い雰囲気、紡がれる言葉全てが素晴らしかったです!白亜とスケキヨの関係性が良かった。個人的に蓼原も大好き。装丁も印象的でお気に入り!また再読したい作品

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    2026年01月21日
  • 西洋菓子店プティ・フール

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     千早茜さんの作風の持ち味は、読み手の五感にストレートに訴えるところにあると思う。今回は、洋菓子についての描写がふんだんに盛り込まれていて、目の前にシュークリームやお洒落なケーキが浮かんで、読み手は想像上のおやつを堪能できる。
     じいちゃんと主人公の亜樹はパティシエの師弟関係。じいちゃんが亜樹やその周りの人々に時折かける言葉が金言でそこに作者の熱量を感じた。再読したい作品。

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    2026年01月20日
  • 正しい女たち

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    ネタバレ

    久しぶりにスラスラ読んでしまった!!
    めっちゃ面白かった

    短編集なんだけど、
    登場人物がみんなどっかしら繋がってて、
    こういう構成になってる本好きなんです!!
    名前は一緒だけど、あの人から見た姿とこの人から見た姿が全然違う…本当に同じ人??みたいな混乱しながら読むの好きです!

    そして1行目から文章が面白い。
    「最初、わたしたちは四人だった。
    わたしと環と麻美と恵奈の四人。わたしたちは太っても痩せてもなく、目立って愚図でも飛びぬけて優秀でもない普通の女の子で、大学までエスカレーター式の私立の中等部で出会った。(中略)わたしたちはなんでも話した。それぞれの彼氏のセックスの癖からペニスの形状まで

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    2026年01月12日
  • 眠れない夜のために

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    「夜」というテーマ一つで、経験したような夜にも、これからも見ることができない幻想的なファンタジーの世界にも、静かに、気づいたら深く入り込める作品でした。

    間に挟まる挿入の絵も綺麗なものばかりで癒されました。

    夜は、自分の嫌いな自分と対峙してしまう時間でもあるけれど、裏腹に、次への一歩を踏み出す決意ができる時間でもあるんだな。

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    2026年01月12日
  • 眠れない夜のために

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    装丁から挿絵、文章のすべてが良い。
    「眠れない夜」をテーマにしていることもあり、あたたかい物語ばかりではなかったけれど、読み終えて本を閉じて、表紙を眺めて呆然としてしまうほどに良かった。

    著作に『わるたべ』シリーズがあるためか、第二夜『森をさまよう』に出てくるインスタントラーメンの描写があまりに良く、お腹がグルグルと鳴いてしまう。
    第八夜『繡しい夜』の挿絵が特に美しく印象的だった。「知らない」ということは本当に罪なのか?と何度も問うてしまうような物語だった。

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    2026年01月12日