千早茜のレビュー一覧

  • グリフィスの傷
    好きな作家さんである千早茜さんの新作ということで本作を手に取りましたが、「傷」に対するエピソードがこんなにもあるのかと思うとともに、千早さんの繊細な描写が心地よくてとても面白かったです。

    本作は「傷」にまつわる10の物語が集まった短編集。傷つくことで得られる痛みや、トラウマとして残る傷、思い出とし...続きを読む
  • 男ともだち
    お互いの過去も何も、生い立ちを知っているわけでない。周りからは男女というと仲を勘ぐられることもあるけれど、それでも一緒にいることが自然で、まさにともだち。
    やっていること自体肯定できることではないし、実際に言われていたようにクズと言われることだと思う。神名もハセオもやっていることだけ見るとクズだけど...続きを読む
  • 神様の暇つぶし
    語り手の柏木藤子が、大学生の一夏を30歳以上歳の離れたカメラマン・廣瀬全と過ごした物語。切なくて哀しい、けれど「生きてる」ってこういうことかな、って思った。
    この小説には食事のシーンがたくさん出てきて、そこで藤子の生命力や若さも感じるのだけれど、とても美味しそうな描写ばかりだった。

    全さんとのたっ...続きを読む
  • 女ともだち
    女ともだちがテーマというだけあって
    共感も怖さも面白さもあって
    感情が良い意味でぐちゃぐちゃになる。

    短編だからサクッと読めるし
    作家さんによって文体も違うから
    一気読みというよりは作品ごとに間を開けて読んだ。

    最後の獣の夜が近い女ともだちが見事に描かれてて読みながらもドキドキした。
  • 人形たちの白昼夢
    静かな雰囲気の短編集。

    欲深い砂漠の民がヌカラとマムウが住む雪山を壊す「ビースト」が特に印象的だった。
  • 赤い月の香り
    私としたことが、本作が続編ということを知らずに読みました。


    朔さんが自分の中で執着と愛着の違いについて、きっと答えを見つけたのかなと嬉しかったです。
    一香に出会い、他人に興味がなかった朔さんの世界が少しづつ広がっているように感じました。

    またこの館に帰ってきたい、唯一無二の空間です。


    Do...続きを読む
  • マリエ
    結婚について
    きゅんきゅんとする場面あり!!
    比較するのは違うかもしれないけど個人的に、傲慢と善良よりこの本のが好き
  • マリエ
    面白かった!千早さんの文章はスッと心に入ってきて本当に好き、、

    まずページを開くと章題が全て3つの言葉で成されていて、新鮮でワクワクした!

    マリエさんが離婚して、一人暮らしをはじめて、小麦粉料理を作ったり、自立してひとりの暮らしを楽しんでいるかっこいい姿も良かったけど
    意外と新しい若い恋人にどっ...続きを読む
  • クローゼット(新潮文庫)
    洋服補修士として服飾美術館で働くまきこ。
    男性だけど女物の服が好きなデパート店員かおる。

    ふたりはそれぞれに秘められた、重く苦しい過去を背負っている。

    デパート展示を通してそんなふたりが出会い、かおるが服飾美術館にボランティアスタッフとして足繁く通うようになることで、ふたりの物語が進み出す。

    ...続きを読む
  • マリエ
    主人公が私と同世代という設定だからなのか、
    恋愛に対する価値観や心情がとても共感出来ました。

    そうそう!そうなの!!

    そう思うシーンがいくつも。
    千早茜さんの描写がとても好きです。


    結婚 について考えるきっかけになる良い本だと思います。

    私は結婚して良かった。
    旦那さんと一緒にいる時の私が...続きを読む
  • 西洋菓子店プティ・フール
    「可愛い爪がきれいなケーキに食い込むのを眺めるのが好きだという」p.69
    「でも、今日はネイルサロンに行く必要ができた」p.100
  • マリエ
    私の心情を代弁してくれているようなセリフにびっくりしました。

    『昔はもっとダイレクトに傷ついていた。仕事でも、恋愛でも、友情でも、親子関係でも、日常の中のちょっとした女性蔑視にも。でも、今は傷ついている自分に傷つく歳になった気がする』

    まさにそれです!
  • しつこく わるい食べもの
    すでにコロナの時代を忘れつつある今、振り返る機会を与えてもらって良かった。本の内容とは関係ないが、家族が揃って毎日夕食がとれた日はもう来ないかと思うと、良い機会だったとも思う。
  • マリエ
    まりえのお話。
    章のタイトルのワードで情景が、すぐに。
    そして、なんだか納得してしまう。
    空気の色や温度が伝わる。

    ~結婚をなかったことにできない~
    ~嗅覚は頭よりずっと多くのことを知っている~
    ~男は声~
    ~アクセクシャル アロマンティック~
    ~好きだけでは難しい~
    ~不覚にも心臓がはねた~
    ...続きを読む
  • 女ともだち
    女の子のころから感じていた女としての楽しさ、生きにくさ、めんどくささ、近くてうざったく思えるときもある母親との関係性など、さまざまなものを感じて大人になったなと自分の人生を重ね合わせながら読むことができる。
    これを読んだ男性陣はどのように感じるのか気になる。笑 きっと恐怖だろう。
  • マリエ
    自分の意見を程々に持っている主人公。生涯独身とは異なり離婚してからの独身となり、周りの見え方や知らない世界、知らない価値観に触れて自分を更に知っていく。
    他人の正解を私が決めてはならないし、私の正解を周りが決めることも違う。新しいことに触れることで、私も自身と向き合い、私の正解を生きたい。
  • 透明な夜の香り
    香りを通して気付く成長の物語りかな。この一言で片付けてしまうには勿体ないくらいの濃いお話。本の世界に没頭したい人向けです。
  • 透明な夜の香り
    香りをテーマとしつつ、その本質は哲学的だった。愛着と執着の違いや、変化に対する戸惑いや葛藤。人間の持つ自己矛盾など、頭に残るフレーズや考えさせる内容が散りばめられていた。
    地の文の表現力やセリフ回しが綺麗で、読んでいてスッと入ってきた。
  • 魚神
    こうゆうお話好きだ...となった作品です。
    蓮沼のキャラ良すぎるな
    スケキヨは欲を言うならもう少し掘り下げて欲しかったなという感じです。そしたらもっともっっと素晴らしい作品になったのに!と個人的に思いました。
  • しろがねの葉
    初めての作家さん。
    全体的に暗めではあったが、力強い作品だった。
    守り育まれる中で敬い憧れ慕い続けながらも、結ばれることのない愛。共に競い合いながら成長し、やがて夫となり家族となっていく、幼馴染との愛。自分の後を追いかけていた幼子が、いつしか全てを受け入れ包みこんでくれる存在となり、やがて身を委ねて...続きを読む