千早茜のレビュー一覧
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ネタバレ2026.03.31
香水が軸にある物語だからか、匂いの濃淡が美しいお話だと思った。
離婚届を出すところから始まる序盤は元旦那のコリアンダーがベースの香りがねっとりとまとわりつくような、くぐもった窮屈な匂いで満たされていて。
一人暮らしにワクワクし、家具を揃えて、ハーブティーを入れて、朝日を感じながらまったりと1人時間を過ごす離婚後はキリッとした凛としたマリエの香りで爽やかに香りが立っていて。
由井くんと恋仲になり夢中になった中盤は、マリエの香りと、由井くんの体温の高い湿った心地よい暑さが入り混じって、でもお互い邪魔することなく調和していて潤った濃密な香りが部屋に充満していて。
でも最 -
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この作品、素直に好き。
ストーリーもだけれど、ハセオの強烈過ぎるキャラクターによるものが大きい。
彼の、どこまでも底が見えない分からない不思議さと、でも世界の終わりまで追いたくなる見ていたくなる魅力に惹かれた。最後まで2人は寝なかった。寝るだろうと思ったけれど、寝なかった。なぜなのか、それは愛なのだ。
神名の人生丸ごと愛しているから、彼は手を出さないし出そうとも思わない。本人以上に彼女のことを知っているから、男ともだちの一線を越えないのだろう。
紫色の手帳のプレゼントがすべてを物語っている気がした。
もう少しハセオ側の背景を知りたい気もしたが、やっぱりそこは謎に包まれているからこそ、なのだろう -
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ネタバレ愛着と執着の違い。最近すごく考えていたテーマだったから驚いた。まさかそんなことにまで、話が繋がっていくなんて。明確な言葉としての答えは私にはまだないけど、それを考えるためのヒントはたくさんつまっていたと思う。
傷つけてしまうからこそ、傷ついてしまうからこそ手放したくなる気持ちは、自覚していないだけできっと誰にでもあるものだと思っている。どうでもいい相手に対しては生まれえない、相手を大切に思っているからこその葛藤。不安になるから相手の気持ちを試したくなるのにも、そんなくだらないことをしたせいでまた感じてしまう不安にも、身に覚えがある。
最後のシーンは、一香が返す言葉が「遊びに行きます」なのが -
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前作、透明な夜の香りから連作で読みました。
千早茜さんの作品は描写が丁寧で、わたしも草花の香にまみれたいといつも考えながら読み進めます。
前作とはまた違う主人公の目線から、調香師朔の身の回りで起こることが見られて面白い。
前作の主人公だった一香も登場する。
前作同様一香と朔の間には彼らの独特な恋愛とも違う距離感で描かれている。
私の個人的に好きな花、ジャスミンに焦点が当たっている場面が夜の闇の中、白い花から芳醇な香りが流れてくる様が想像して綺麗だなと思った。(夜に咲くのは初めて知りました⋯)
朔の幼少期のことが少しずつ見えてきた。今年4月に次作の燻る骨の香りが出版されるようなのでまた引き続き読 -
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本屋で見かけて、ずっと気になっていた一冊。
気づけば、いつのまにか千早茜さんのファンになっていた。
五感に訴えかけるような繊細な表現がたまらない。
香りって、意外と記憶に強く残るものだと思う。
私も金木犀の香りを嗅ぐと、幼い頃に亡くなった祖母との記憶を思い出す。
ちょっとした出来事や依頼を、香りを通して解決していったり、逆に悪化してしまったり…。
香りが人間に与える影響や危険性など、知らないことばかりで読んでいてとても楽しかった。
朔がメロいと聞いていたけど、やっぱりメロい。
大人の色気というか、嗅覚が鋭いからこそ、内面まで見透かされているような気がして、もし自分だったらちょっと恥ずかし -
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ネタバレ色んな傷があって、もちろん外傷的なものも、心理的なものもあって、その傷に対する思いも人それぞれにあって、考えさせられるものがありました。でも、題材は重い感じがするのに千早さんが書くとなんでか洗練された美しい言葉になって、ストンと落ちる感じがして、読むのがキツくなったり、気持ちが落ちたりするようなこともなく、ただ綺麗な話しを読んだ感じになりました。
物語の中で「傷つけられた本人は忘れている。傷つけた方は覚えていて、見る度にその体に残る傷跡を探してしまう。どんなに薄くなっても、後悔の味はそのたびに蘇ってくるのだろう。」っていう文章があって、私がよく目にしたり聞くのは逆で、だいたい傷つけた方が忘れて -
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ネタバレ元・書店員の一香は、古い洋館の家事手伝いのアルバイトを始まる。
そこでは調香師の小川朔が、幼なじみの探偵・新城とともに、客の望む「香り」を作っていた。
どんな香りでも作り出せる朔のもとには、風変りな依頼が次々と届けられる。
一香は、人並外れた嗅覚を持つ朔が、それゆえに深い孤独を抱えていることに気づき─。
特殊嗅覚を持つ朔のもとで人間らしさを取り戻していくお話。
最初のころ公共交通機関を使っちゃダメと言われたのは体力をつけるためだったり
朔には言葉にしない優しさがたくさん詰まってるなと思いました。
匂いですべてが分かってしまうのは、対人関係を築いていくのにかなりのハンデになってしまっていて幼少