千早茜のレビュー一覧

  • 神様の暇つぶし

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    全さんの圧倒的な存在感と
    藤子の純粋で自虐的だけど抑えきれない感情の
    どちらも違う角度の生々しさがあって、
    交わることの無い世界で生きてきた2人が交わったとき、
    人間の卑しさや美しさが溢れ出てきた気がした。
    全さんと藤子のひと夏は、短くて切なくてどのシーンも絶対に必要で忘れたくない景色ばかりで永遠に続いて欲しい日常だった。

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    2025年11月28日
  • 神様の暇つぶし

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    恋愛なんて似合わないと一歩引いてる女子大生・藤子が30歳年上の写真家の男性・全と出会うお話。

    肉感が強い文章が作中の夏という季節感と相まって湿度高く生々しい。
    描写がビビッドすぎて苦しく感じる部分もあった。
    もっと暑い時期に読みたかったような気もするけど、そしたらより生々しさは増したかもしれない。

    食欲旺盛な藤子の食事シーンがムシャムシャ食べてて気持ちよくて、生きてるー!って感じ。

    全さんは高い場所から下を見たときのように吸い寄せられるような魅力がある。
    全という名前にも何か意味を求めたくなるような人。

    生と死、ふたつの命の対比が美しい。

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    2025年11月27日
  • 女ともだち

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    ネタバレ

    色んな話があって、それぞれ面白かった。
    村山由佳さんのは人怖もあり、短篇ではないやつを読んでみたくなった。
    こっちを向いて、の話は凄くわかる!
    ブータン以外は好みだった。

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    2025年11月26日
  • 透明な夜の香り

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    香りと色を感じる本。
    千早茜せんせいの本にしては、料理の描写気持ち少なめ(それでもハープティーやら朔さんの指示するメニューは美味しそう)。
    どこか人間離れしている登場人物ばかりなのに、誰も彼も親しみがあったり、共感できる痛みを持っているんだよな〜。読み終わった後も、彼らが健康に生活していることを願うばかり。

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    2025年11月24日
  • 神様の暇つぶし

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    年齢差のある恋愛のお話。
    台詞や仕草、質感、食べるシーンなど人の魅力の描き方がすごく素敵だなと。全さんみたいな人は、近くにいたらきっと私も惹かれてしまうんだろうなと思った。

    大枠のストーリー自体に目新しさはないものの、惹き込まれる話だった。誰かに惹かれることで、自分の人生の主軸が乗っ取られ狂っていく様子がひりひりした。

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    2025年11月23日
  • しろがねの葉(新潮文庫)

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    島根県石見銀山を舞台とした。ウメの成長物語。貧しい村を抜け出し山師・喜兵衛に拾われる。しかし女という、差別や性の対象と見られる。しかし男達は銀山への弊害で若くして死して行く。そんな中、ウメもその渦に飲み込まれるが‥男は間歩と同じく女の肚の中(手のひらの上)の様。喜兵衛、隼人、龍の傍にはウメが!そんな大河ドラマを是非一読

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    2025年11月22日
  • 透明な夜の香り

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    ゆっくりと時間が流れる1冊

    とにかく「香り」に惹かれる作品だった
    なにかと、色や香りで感情や物事を表現するところが好みだった

    美味しそうなご飯や飲み物、嗅いでみたいなぁと思う香りも出てきた
    孤独、執着、愛情、記憶、色々な方面から考えさせられる作品です

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    2025年11月22日
  • しろがねの葉(新潮文庫)

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    面白かった!
    産まれた性別が女性か、男性かで人生が大きく変わる時代で、それぞれの生き様の描かれ方が印象的だった。

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    2025年11月21日
  • 西洋菓子店プティ・フール

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    直木賞と書いていたので気になりながらも手が出づらかったです。読んだらスラスラ読めて面白い話でした。短編集でいろんな視点で恋愛を見れて、お菓子の描写も丁寧でよかった!

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    2025年11月18日
  • しろがねの葉(新潮文庫)

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    もう何冊目読んだかわからない千早さんの作品。
    今回は時代物だったので、苦手な私は最初は少し読み進めるのに時間がかかりましたが、ウメが喜兵衛に出会ってからは、その世界観に入り込めどんどん読み進められました。
    癖の強い登場人物ばかりですが、その人の色々な面を知ると魅力的になり、なのに一人また一人と亡くなってしまうのが悲しかった。
    銀の山が無ければ、こんなことにならなかったけれど、銀の山があったからこそ、彼らは出逢えた…

    今まで読んだ千早さん作品とは全く違う作品でしたが、この作品で直木賞を受賞したことに納得しました。

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    2025年11月17日
  • 眠れない夜のために

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    夜の読書タイム、静かなピアノの曲やあたたかなお茶と一緒に読むのにピッタリでした。
    "第九夜 寝息"が好き。
    夜の底の黄金、なんて素敵な表現なんだ。
    眠れない夜、隣にいる君を起こさないように、まんじりともせず睡魔の訪いを待ったこと。救急車の音で目が覚めて寝返りをうったら、向かい合わせになった君はサイレンも構わず熟睡していたこと。
    そんなことを思い出したりしますね。

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    2025年11月16日
  • しろがねの葉(新潮文庫)

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    喜兵衛という山師が行き倒れていたウメを拾い育でた、ウメの凄まじい生き様を体験する事が出来ました。圧巻です。

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    2025年11月16日
  • なみまの わるい食べもの

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    わるたべシリーズを読むのはなんとこれが初めて。色んなタイミングもあって最新から読んでしまったけれど楽しめた。
    スイカの咀嚼音が『しょむしょむ』なの好き。
    丁寧にかつ貪欲にたべものを追い求める姿がカッコいい。なんだか少し高級な美味しいものが食べたくなる

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    2025年11月16日
  • 神様の暇つぶし

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    匂い、音、触覚の描写

    初めは単調。後半になるにつれて、前半部分はとつながっていく。白銀の…と同様

    20歳の女性の初恋はともかく、50代以上の中年〜初老男性の悲哀を描いている どうして40代女性の著者が感じられるのだろう

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    2025年11月15日
  • 神様の暇つぶし

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    夏に読むと、もっと良かったかもしれないなとどうにもならない事を思った。

    みずみずしい桃の描写が印象的で、水分を含んだ果実の輝きとグロテスクなほどの生々しさがひと夏の恋を象徴しているようだった。
    描かれているのは紛れもなく藤子の恋で、でも私の知っているどの恋とも違っていて、私は本当の恋をもしかして知らないんじゃないの?とまで思わされる、嵐のような感情。幸せな結末を迎えるわけではないのだけど、ここまで溺れられることがむしろ羨ましい。

    「みんな自分の恋愛だけがきれいなんだよ」
    恋は結局、ふたりでするものであっても、わたしとあなた、それぞれの物語でしかなく、それこそ神様の暇つぶし…。
    ズブズブに沈

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    2025年11月14日
  • 赤い月の香り

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    p.27 言った。「猪だってでるしね」
    「ここはまだ敷地内ですか」
    「そうだね。凍死されると迷惑だから迎えにきた。下の住宅街をでなければ見失わないよ。
    よほどの豪雨でない限り」
    「それも、匂いで、ですか」
    返事はなかった。薄く微笑んだ気配が伝わってくる。明らかに人の常識を超えたことなのに、なぜだか納得している自分がいた。
    なぜ逃げたんだろう、と思う。この人はすべてを見透かしているのに。
    ひどい言葉を浴びせられたことは無数にある。でも、この人の言葉が一番遠慮がない。なのに、攻撃されている感じはない。
    俺はきっと、俺から、逃げたい。
    「方向音痴みたいだけど、覚えてね。ここは果園の外れ。育てている

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    2025年11月24日
  • しろがねの葉(新潮文庫)

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    小学生の時に読んだ、『モチモチの木』を思い出した。
    どこか懐かしい感じがする。
    最初の方は一気に読み進め、
    最後の方はストーリー展開が早すぎて
    少々疲れてしまいました。

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    2025年11月14日
  • 胃が合うふたり(新潮文庫)

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    タイトルに惹かれて手に取って気づいたら買ってたけど、大人になるにつれ食を美味しいねって無言で食べられる相手って貴重なのかもしれないって改めて気づいた。明日は何食べようかな

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    2025年11月12日
  • ひきなみ

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    いつも、千早さんの描く繊細でたくさん傷をもち複雑だけれど懸命にいくている登場人物にいつも惹かれてしまいます。
    今回は、一部が
    小学六年生という多感でどんどん心も身体も変わっていく
    葉と真以が狭くて古い慣習の島の中で、いろいろな偏見や差別に
    もがきながらも、二人寄り添って過ごしていく姿をうつしています。
    悲しみや怒り戸惑い不安が手に取るように書かれていて
    あっという間に引き込まれてしまいました。

    第二部は
    事件に巻き込まれて別れ別れになった二人が、大人になって
    また再会した時、またお互いを思う力に後押しされながら、子どもの頃の傷を少しずつ再生して
    成長していく姿に
    まだ彼女たちの姿を見ていたい

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    2025年11月12日
  • しろがねの葉(新潮文庫)

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    ネタバレ

    千早茜さんの直木賞受賞作とのことで手に取りました。

    夜目が利くウメが、人生の暗い部分も目を凝らして現実を受け入れながら、人生の喜びと絶望の中でひたむきに生きる姿に胸を打たれました。

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    2025年11月12日