千早茜のレビュー一覧
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幸せかどうかは他人が決めるものではない。
意見される筋合いもなければ、評価される必要もない。本作は、そんな当たり前でいて難しい事実を、静かに突きつけてきます。
40歳手前で夫から切り出された離婚を受け入れたまりえ。喪失感より先に訪れたのは、思いがけない解放感でした。誰かに合わせる必要も、気を遣う相手もいない生活。自分のしたいことを、自分のペースで選べる環境が、これほど心地よいものだったのかと気付いていきます。
そんな中で出会う7歳年下の由井くん。一方で、まりえは結婚相談所にも登録し、「結婚相手」を探し続ける日々を送ります。
恋人と結婚相手は別なのか。
そもそも“幸せな形”とは何なのか。
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ネタバレ生々しい恋愛物語でした
触れたい、っていう思いは片思いで抱く感情の中でもかなり厄介だと感じた。そして、それが一時叶ってしまえば、もうほぼ執着のような粘っこい感情に司られる。今まで恋愛から遠かった20歳の女の子の、そういう感情の動きが繊細に描かれていて、苦しくもあり、私も幸せなあの夏にいたような気持ちになった。
ー私は変わったんじゃない。
変えられたのだと思いたいのだ。傷つけられたのだと。今はもう傷しか残っていないから、何度も何度も自分でかさぶたをはがし、痛みと見えない血が流れるのを感じて、あのひとのつけた傷を確認していたいのだ。ー
辛い、寂しい思いをずっと持ち続けてしまう現象がこう言語化さ -
Posted by ブクログ
千早茜の書く文章が好きすぎる。この人の文章からは香りが漂ってくるし、目の奥には鮮やかな色彩や眩しい白い光が浮かぶ。香水がつける人によって違う感じ方になること、濡れた植物の葉の青いにおいや土の臭い、花の香りや鮮やかさ、料理の湯気と美味しそうなにおい、窓から差し込んでくる朝日で部屋が白く照らされることを主人公まりえと一緒に自分も体験する。文章を読んでるだけなのに色んなことを感じ取れるのが楽しい。前々から言っているが千早茜は食べ物や料理や食事の描写に優れていると思う。
自分の周りが結婚したり妊娠出産子育てをしたり、恋人と結婚を考えたりマッチングアプリで真剣にパートナーを探したりしており、こういう人 -
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ネタバレこの話の趣旨は愛ではなく、救いでもない。時の流れというと短絡的だし、贖罪というには一方的すぎる。
そういった、何とも言えない感覚を味わうことのできるストーリーだった。
人間離れした嗅覚を持つ調香師、小川朔に雇われる元書店員、一香。
一香の過去と朔の作り出す香りはどのように交差するのだろうか。2人の関係は変化していくけれど、それを2人はどのような形で受け入れていくのだろうか。
友愛、家族愛、慈愛、そして執着。
すべて愛情という言葉で括ることが出来るけれど、それぞれがいかに人間と深く結びついているのか、また、その愛情ひとつ取ったとしても、どれほど形が違っているのか、と深く考えさせられる話だ -
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⬛︎ ほんわかだと思ったら、違いました
千早さんの小説を読みたい。でも重たい話はちょっと避けたい……(わがまま)そんな気分で本屋をうろうろしていて目に留まったのが本書でした。
甘いお菓子が登場する、ほんわかした物語かな?と思って手に取りましたが、実際はどっしりとした人間ドラマを描いたお仕事小説。いい意味で裏切られました。
主人公・亜樹は、有名パティシエールを退職し、将来的に店を継ぐことを見据えて祖父の営む洋菓子店に戻ります。
この祖父がとても魅力的。
昔ながらの頑固で職人気質な人物ながら、根は深く優しく、しかも人を見る目が鋭い。静かにかっこいいおじいちゃんでした。
亜樹もまた、幼少期 -
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p253 さつきちゃんが私の身体を心配するので、ときどき一緒に鍋をした。人と食卓を囲むと朔さん達との日々を思い出し胸が苦しくなったが、笑って食べた。
ちゃんと食べて眠って健康状態を保ちながら働く。
洋館での毎日で学んだ事だった。
p256 ずっと朔さんの香りに守られていた。心地よい香りは緊張を緩め、頭痛やだるさを和らげ、病を退けた。香草やスパイスには抗菌作用があり、免疫力を高めるものが多くあることを、洋館を離れてから知った。自然の香りに包まれた生活の中で私の心身はゆっくりと健康を取り戻していったのだ。
もう甘やかされる日々はおしまい。
香りにまつわる丁寧な表現が印象に残った。
香りだけではな -
Posted by ブクログ
ネタバレなんともどろりとした終末を迎えるお話たちでした。
あとがきにて、子どもの頃に民話や昔話、童話に対してどのように思われていたか、凄く独特な感性でどこか共感できる内容が綴られており、千早さんの頭の中を覗いてみたくなりました。
童話を現代に置き換えたとして、全く予想しなかった舞台や観点で感動しました…なんて引き出しの多さ…。
ディズニー仕様ではない、リアルな童話と向き合うと、ここまでどろどろしたものを飲み込まされるんだ…という気持ちです。
本当に幸せになれたのは…?
そもそも不幸な人はいるのか…?
甲乙つけ難いのですが、白雪姫がお気に入りです!