千早茜のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
去年あたりから千早茜さんの小説がとても好きでけっこう読んでいるのだけど、本作はこれまで読んだものとはだいぶ印象が違った。歴史小説的な要素もある。
舞台は石見銀山が栄えていた頃。物語の開始時は幼女だったウメが、親と離れ離れになり、銀堀り達が棲む村にたどり着き、喜兵衛という男に拾われる。
時代が変わっても、女はどう足掻いても女だ、と感じることは多々ある。表面的には男女平等を謳っていても、人の意識に根付くものを覆すことはなかなか難しい。
この物語の時代は殊更で、幼女だったウメが少女から大人の女性になっていく中で、周りの男たちと対等に働くことから降りて女としての役割を受け入れ果たしていく姿が描かれて -
Posted by ブクログ
ネタバレ心がヒリヒリするのに読むのをやめられない。なぜなら若かりし頃の傷跡に触れているようで落ち着くから。という恐ろしく美しい作品だった。
20歳というだけで社会に放り投げられて、子どもでもなく大人になりきれていない時期にこういう方に出会うと人生が変わってしまう。引き返すタイミングはいくらでもあっただろうけど、若さが故に沼のように落ちていく姿が残酷に思えた。
作品のためにいとも簡単に手中に収めてしまう全さんは悪い人なんだろうけども、恋はお互いさまなんだよねどこまでいっても。私がその場にいてもきっと止めないと思う。行くところまで行かないと吹っ切れないことってあるし。それにしても、憎しみを吐き出す相手 -
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Posted by ブクログ
尾崎世界観さんの後書きの
千早さんの小説の登場人物は、いつでも個包装された清潔を持っている。どの繫がりもしっかりと精神的ソーシャルディスタンスを保っていて、読むと落ち着く。
という言葉に千早茜ワールドの魅力が詰まってる。
千早先生の作品の主人公は、社会一般の価値観や倫理観に迎合せず、それが凛としてもあり、傲慢でもある。割と社会に迎合してしまうタイプの私には魅力的にうつるのかもしれない。
私はきっと植物にすべてを注ぐことも、他人に理解してもらえないことをありのまま受け入れることもできない人間だけど、だからこそ自分にない要素を提供してくれる千早茜ワールドを定期的に摂取したくなるのかもしれな