千早茜のレビュー一覧
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眠れない夜のための物語でした。本の装丁は、深い夜のイメージでした。静かな夜に、ページをめくるのがいいかもしれないと思いました。
眠れない夜は、クッキー缶を開ける。
眠れない夜は、ばけものになる。
眠れない夜は、ないと思っていた。
眠れない夜は、雨が降っている。
眠れない夜は、ここに来るといいですよ。
眠れない夜は、お腹のなかからやってきます。
眠れない夜は、おれのもの。
眠れない夜は、すぐそばに■■がきているのだと云う。
眠れない夜は、君の呼吸に耳をすます。
眠れない夜は、どうやって過ごしていただろう。
これらの9つの冒頭の言葉から、紡がれた短編集。6話目の『木守柿』と9話目の『寝息』、そ -
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ネタバレ冒頭から「東京でひとり暮らしをはじめる」とあり。
前作、前前作に続き、食については変わらず面白い。ただ住まいが変わっただけ……というわけにはいかず、なんだなんだ?何があった??殿はどこいった??と、ずっと著者の身辺が気になって全集中ができない。
読み進めると唐突に恋人が出現。ああ、やっぱりそういうことね。とひとまず納得する。
著したものだけに興味を持てばいいのだけど。プライベートの一部を見せてくれているエッセイは、どうしたって身近な登場人物が存在し関係性も含めて、その人たちとの経過があるわけで。何か匂わせる変化があるとソワソワしてしまう。
ともあれ、著者がそれなりに元気でその時なりに幸せなら -
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「ほむら」「てがた」「ゆびわ」「やけど」「うろこ」「ねいろ」
6篇の短篇集。
はっきりと連作短篇を打ち出してはいないけれど、読んでいくと物語同士が繋がっていることが分かってくる。
人と人の関わりの物語なのに、そこはかとなく孤独の匂いが漂う。「一緒にいてもひとり」という言葉が読みながら頭に浮かんだ。
「ほむら」と「てがた」で色濃く登場し、他の物語でもうっすら存在を示すある男が、得体が知れなくて印象に残った。
飄々としていて、人や物事に対する執着が薄く、それなのに時々執念深いようなやや暴力的な姿を見せたりする。
その男が選んだ道のあとに残された「てがた」。男は一体、どのようなことを考えてその道を -
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「コットンパール」
嘘をつく女、嘘をつけない男、少女の腹話術人形、偽物の真珠、蜘蛛、首と足首。モチーフのきらめきがいい。
「プッタネスカ」
プッタネスカは「娼婦風」という名の辛味のトマトパスタのこと。主人公につけられたグレナデンという名前は柘榴の果汁の赤いシロップのことで、グレナデンの慕う姉貴分の娼婦の名前カンタロープは赤肉のメロンの名前。果肉の色というのは一層生々しい。赤色が鮮やかに残酷に全編に滴る。親に捨てられたグレナデンが握りしめていたのはやはり人形。階級によって纏える服の色が異なる世界で人形は最上級の青を、最下層の娼婦達は赤を纏う。赤と青のコントラストが光と影のように入れ替わる。
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やっぱり千早さんの文章はおもしろい!Xを見ていて、千早さんの食に関するお考えを聞きたい!と思っていたが、すでに出ていたとは…(しかも2巻も…!)これが美味しかったとかそういう食レポみたいなものではなく、食に関する考えというかこだわりというか、そういうのがとても上手に言語化されていて、おもしろかった〜!
p.46 でも帰宅してから飲み食いしてしまう。メンタルが弱いことが恥ずかしく、つい食による物理的な打撃を与えてしまう。それはなぜなのか。
きっと、ものすごく小心なのだ。小心だから、小心であることを認められない。胃弱なら体質だからと諦めもつくけれど、メンタルの弱さには自分で自分にがっかりする。