千早茜のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
十七世紀から現代までの西洋の服を
一万点以上収集している服飾美術館が舞台。
洋服補修師という職業があることを
この本で初めて知った。
クローゼットのような空間に保管されている
傷んだ服たちを、補修士と呼ばれる人達が
当時の姿に戻すために働いている。
千早さんの洋服たちの表現がとても美しく、
服飾の専門学校に少しの間通った事がある
自分としては、出てくる服たちが魅力的すぎて
読んでいるだけでワクワクしてしまった。
好きを極めた、プロフェッショナルな人達が
羨ましい。
服飾美術館で補修師として働いている
男性恐怖症のトラウマを抱えている纏子(まきこ)、
女性服が好きというだけで好奇な目で見られ、傷ついてきた男性の芳(かおる)、美人だが人あたりの
きつい晶。それぞれが生きづらさを抱えている。
古くても美しい洋服たちに囲まれ、纏子は
少しづつ自分の殻を破り始める。性別に関係なく
素敵な服を好きと言える環境で、認められ始める芳。纏子をいつも支えてきた晶、彼らはこの場所で
一歩を踏み出し始める。
162本の鯨のひげが埋め込まれている一八世紀から
二十世紀のコルセット。きつく締めすぎて気絶したり、肋骨が下すぼりになって内臓を圧迫したり、
理想の体型美を作るために女性たちは涙ぐましい
努力を続けてきたという話に驚く。美への追求は
昔も今も変わらない。
男性がレースやフリルのついた服を着ていた
時代がかつてあり、もしかしたら将来、男性が
レースやフリルのついた服やスカートを普通に着られるようなそんな時代が来るのかもしれない。
服に対する固定概念を改めたい、そんな風に思える小説だった。