千早茜のレビュー一覧

  • おとぎのかけら 新釈西洋童話集

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    初めて読んだ千早茜さんの作品です。
    西洋のおとぎ話を元にした短篇集で、バッドエンドもハッピーエンドもあります。
    バッドエンドは影のようなねっとりとしたような暗い感覚が付き纏いますが、むしろ引き込まれていきます。
    元になったおとぎ話の内容を知らなくても楽しめました。

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    2025年01月08日
  • あとかた

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    恋愛とは、他人には説明のつかないもの。
    だけど誰かに伝えなくても、確実に自分の中に鮮やかな炎として残る。

    この物語は連作短編という形式でなければ、八方塞がりで息苦しくなってしまいそうです。
    孤独の渦に巻きこまれ、登場人物それぞれが寂しさだけをを漂わせているように見えるけれど、実はとても美しい物語なのだと思います。

    終盤、少しの光が射してきてほっとします。
    誰かを好きになることは、こんなにも尊いことなのだと気づかせてくれるような、今までに読んだことのない恋愛の世界に浸れるような、連作短編集でした。

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    2025年01月07日
  • ひきなみ

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    女性ジェンダーの苦しみが、寄せ続ける波や潮のように、じっとり重くのしかかる話。この方の書くジェンダー問題は、本当に苦しい。主人公は、瀬戸内の小さな島の一つに住む祖父母のもとに引き取られた小学高高学年の女の子。そして唯一の友になるのが、橋がつなぐ隣の島に住む、やはり祖父に引き取られている同い年の女の子。 

    古い価値観のままの、狭い島。寄り合いでは男が上座に座り、女は下座で立ち働く。男は大声で威嚇し、女は男の世話をする。大人の振る舞いを鏡に映したような子供の世界と嫌がらせ。ああ苦しい。私だったら…きっと立ち向かいたくなる。いや、どうかな、いざとなったら立ち向かえないのかな。

    第1部「海」は島で

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    2025年01月06日
  • こりずに わるい食べもの

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    千早さんの食エッセイシリーズ3作目。相変わらず食に関連するエピソードが濃くて面白い。
    本作は千早さんが離婚して東京に引っ越した2021年ごろのエピソードが収録されている。ステイホームで自炊に関連する話、たまに外食する話などが多い。
    印象に残っている話の1つは、「鰻といえば『ごんぎつね』」という「狐色のどんぶり」。『ごんぎつね』の切なさ悲しさとうなぎの異色の組み合わせのインパクトが大。
    他にも山形に引っ越したという担当編集者のT嬢との山形旅行に関するお話や、浅草で「どぜう」を食べたお話もインパクトが大きかった。大食漢の千早さんと一緒に、いつもたくさんのグルメを堪能しているT嬢の胃袋もすごいなとい

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    2025年01月05日
  • 正しい女たち

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    短編集だと思って読んでたら繋がってた、連続短編集。
    「温室の友情」の遼子、恵奈、麻美、環の4人が関係してくる。学生時代は似たもの同士仲良しグループ。大学に入ってからそれぞれの恋愛、仕事でばらけはじめる。偏見、セックス、結婚、プライド、老いなどの、正しさをモチーフとしてあるが、正しさはないと思う。世間体の正しさはあれど、人それぞれ価値観も考え方も違う、難しい、、、桃食べたくなった。

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    2025年01月03日
  • ひきなみ

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    五島への一人旅、道中のフェリーの上で読んだ。
    ひきなみという現象を、フェリーの上から見ながら読んだ。
    千早茜さんの作品は初めて。もっとたくさん読もうと思った。
    五島市の本処てるてるさんにお渡しして、代わりに飛族をすすめてもらい購入した。

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    2024年12月31日
  • 魚神

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    装丁が気になって、手に取った本でした。
    場面だけでなく、感情の描写も濃厚な一冊でした。
    例えば、ぬるく濁った川面で大型の古代魚が無感情に目の前を横切るような体感した事のない畏怖がありありと想像できる感覚がありました。
    感情や情事もぶつかり合いますが、どこか儚げで俯瞰的に主人公の白亜が捉えているのが印象的で、新鮮、痛々しい場面描写でも不思議な感覚で読み進められます。小説体験とでも言いましょうか。
    千早先生の他の作品も気になります。

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    2024年12月27日
  • アンソロジー 料理をつくる人

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    なかなか良かった。
    千早さん目当てで購入したけど、なんか幻想的で求めていたものではなかったのが残念。
    とはいえ、1番印象に残ってるのはやはり千早さんの作品だった。
    好きだったのは初作家さんの松永さん。
    深縁さんも良かったな。
    織守さんのはさすが。晴れやかな雰囲気から一気にそんな展開に!という感じです読み応えあった。

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    2024年12月24日
  • 眠れない夜のために

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    眠れない夜のための物語でした。本の装丁は、深い夜のイメージでした。静かな夜に、ページをめくるのがいいかもしれないと思いました。

    眠れない夜は、クッキー缶を開ける。
    眠れない夜は、ばけものになる。
    眠れない夜は、ないと思っていた。
    眠れない夜は、雨が降っている。
    眠れない夜は、ここに来るといいですよ。
    眠れない夜は、お腹のなかからやってきます。
    眠れない夜は、おれのもの。
    眠れない夜は、すぐそばに■■がきているのだと云う。
    眠れない夜は、君の呼吸に耳をすます。
    眠れない夜は、どうやって過ごしていただろう。

    これらの9つの冒頭の言葉から、紡がれた短編集。6話目の『木守柿』と9話目の『寝息』、そ

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    2025年11月02日
  • さんかく

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    美味しいを分かち合えるのって嬉しい。

    話し合うって大事。
    どうでもいいことも話してほしい。
    それをちゃんと聞いてくれる人を大事にする。

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    2024年12月15日
  • あとかた

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    雰囲気がいい。さみしくて、とてもよかった。結婚した相手も、すきな男も、自分が産んだ子どもも、どんなに愛してる存在だとしても、なに考えてるかわからない。前向きなお話もあったけど、人は死ぬまでずっとひとりだなって思った。「生々しいのは嫌だよね」からの台詞、ちょっとどきりとした。読み終わったあとも黒崎についてぼんやりと考えてしまう。所詮は他人って、つめたいけど事実なんだろうな。

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    2024年12月10日
  • 犬も食わない(新潮文庫)

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    人と暮らすことのままならなさがやや癖の強い主人公たちによって切り取られていく感覚。日々のモヤモヤを言葉にしたらこんなにも面白がれるものなのに、真剣に戦い過ぎてしまう。

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    2024年12月04日
  • こりずに わるい食べもの

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    ネタバレ

    冒頭から「東京でひとり暮らしをはじめる」とあり。

    前作、前前作に続き、食については変わらず面白い。ただ住まいが変わっただけ……というわけにはいかず、なんだなんだ?何があった??殿はどこいった??と、ずっと著者の身辺が気になって全集中ができない。
    読み進めると唐突に恋人が出現。ああ、やっぱりそういうことね。とひとまず納得する。
    著したものだけに興味を持てばいいのだけど。プライベートの一部を見せてくれているエッセイは、どうしたって身近な登場人物が存在し関係性も含めて、その人たちとの経過があるわけで。何か匂わせる変化があるとソワソワしてしまう。
    ともあれ、著者がそれなりに元気でその時なりに幸せなら

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    2024年12月02日
  • 女ともだち

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    「女ともだち」をテーマにしたアンソロジー。女性が書く女性の描写ってほんとに良くも悪くも容赦がなくて、でもあたたかくて冷たくて、最高だな~~~!と思う。仲がいいのか悪いのかわからない。それでいてなんかわかりあえるところがあるという、絶妙な関係性の話ばかりでどれもおもしろかった

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    2024年11月29日
  • しつこく わるい食べもの

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    コロナ禍真っ盛りの頃に書かれたもの。
    世の中がガラッと変わり、口にする食にまつわるいろいろも変化した。
    純粋に単純に美味を追い求める…とはいかなかったジレンマを著している。
    それでも全体を通してみても「食べる」を諦めていない。やっぱり面白い。

    前作から同じく装画・挿画は北澤平祐氏。
    味のあるタッチが、著者の何とも掴みどころのない個性とマッチしていて楽しい。

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    2024年11月27日
  • わるい食べもの

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    食エッセイといえば、匂い立つ料理が目の前にあるような描写や、四季折々の食材の話、オススメの店でのエピソードなどが多く、食べ物が主役感が強いけれど。
    この方の食エッセイは「食べる」と「生きる」が不可分であることを改めて感じさせるほうが強い。
    生命とは!とか、栄養が!とか、そんな鯱鉾ばった堅苦しい意味ではなく、ただただ「生きるとは食べる」なんだなぁと。難しいハナシではなくて。
    淡々と読み進めているのに、不意に、噴き出しそうになったりニヤついたりしてしまう「あるある」が随所に。

    続編の『しつこく』と『こりずに』が控えている。楽しみだ。

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    2024年11月25日
  • あとかた

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    自分としては「ねいろ」の最後の水草くんの言葉が印象的だった。
    心のどこかでは望んでいるはずなのに、言葉としてカタチとして表せず自分の中にしまい込むようにする。
    心の声を代弁してくれる人に出会えたらそりゃいいだろうなぁ。

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    2024年11月20日
  • あとかた

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    「ほむら」「てがた」「ゆびわ」「やけど」「うろこ」「ねいろ」
    6篇の短篇集。
    はっきりと連作短篇を打ち出してはいないけれど、読んでいくと物語同士が繋がっていることが分かってくる。
    人と人の関わりの物語なのに、そこはかとなく孤独の匂いが漂う。「一緒にいてもひとり」という言葉が読みながら頭に浮かんだ。

    「ほむら」と「てがた」で色濃く登場し、他の物語でもうっすら存在を示すある男が、得体が知れなくて印象に残った。
    飄々としていて、人や物事に対する執着が薄く、それなのに時々執念深いようなやや暴力的な姿を見せたりする。
    その男が選んだ道のあとに残された「てがた」。男は一体、どのようなことを考えてその道を

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    2024年11月10日
  • 明日町こんぺいとう商店街 招きうさぎと七軒の物語【電子限定特典付】

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    不思議な商店街での話。

    人気作家さんたちが描くストーリー、どれも印象的でした。

    招きうさぎ、いてくれたらいいなぁー

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    2024年11月04日
  • 犬も食わない(新潮文庫)

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    福の視点の時には「早くそんな人とは別れなよ」って思いながら読んでるのに、大輔視点では「そんなクズな奴じゃないだろ、ちゃんと気持ち伝えな」ってなぜか思いながら読んでいた。
    相手の言いたいことを分かった気になって、自分の気持ちを伝えないのは損してるのかなぁ。

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    2024年11月04日