千早茜のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ『薫る骨の香り』に向けて再読。
脆くて儚く、どこか冷たい空気がすうっと漂ってくるようなこの世界観がやっぱり好き。再びこの物語の中に戻ってこられたことが嬉しくて、読みながら幸せな気持ちになった。
千早茜さんの作品には、彼女にしか出せない独特の空気感がある。洋館の雰囲気や美味しそうな料理、光や香りの描写が本当に美しく、読んでいるだけで五感が刺激されるような読書体験ができる。情景が鮮やかに浮かび上がり、自然と物語の世界に引き込まれていった。
復習のために手に取ったものの、思っていた以上に内容を覚えていたことが嬉しかったし、久しぶりにこの世界観に浸ることができて満足。この余韻のまま、続けて3作目も読んでいきたい。 -
Posted by ブクログ
深い夜にそっと開きたくなる短編集。
千早茜らしい、静かでやわらかな言葉が夜の闇に溶け込み、眠れない時間を少しだけ特別なものにしてくれる。物語ごとに添えられた美しい挿絵も印象的で、文章の余韻をさらに深めていた。
とりわけ心に残ったのは第三夜「水のいきもの」と第四夜「あめ」の話。どちらも日常と幻想の境界をたゆたいながら、人の孤独や願いをすくい上げるような優しさがあった。水や雨というモチーフが持つ透明な寂しさと潤いが、夜に読むからこそより鮮やかに胸に染みる。
眠れない夜のための物語らしく、読後には心が静まり、少しだけ安らかな気持ちになれる一冊。 -
Posted by ブクログ
性というか性別(性自認や対象)というか、性欲というか性癖とか、性体験とか。
「性」のことはご法度的で親子、恋人、親友でも避けたりするわけで、孤独な世界だと思ってきたけれど。それが女性作家が17人も語るわけで下品上等、生々しくて面白い。
面白い、と言ってる事を下品と言う人もいると思いますが、多様性?とあえて言葉にすれば線引きしないでよ、と。
面白いというのは具体的に変えれば興味深い、が適切か。いやらしい意味でなく、前述のようにご法度な他者の世界に興味があるわたしは、作家がこうもあけすけにエッセイとして実体験や思想を語ってくれてありがたく。
本として残るので結構なカミングアウトもあったりするわけですが、それはどういう心境なのだろうか、とも思ったり。
他にもこの手の本はあるのかな?と探したくなったほど。
男性作家版も出して欲しい所存です。
-
Posted by ブクログ
久しぶりの千早さん
ちょっと暗めの本をぽけーと読みたい時、
仄暗さと、人の欲と、寂しさと、
少しずつ出てくる人が繋がっていく短編集
でもいつの間にその世界にのめり込みながら読み終わった。
「うろこ」の松本と松本の友達啓介がよかったな。
少しずつ欲を抑える人
どこかでそれを晴らす人
抑えて悲しみを抱える人
自分に正直に欲求を満たして生きることなど現実にはなかなかできないから時々千早さんの本を読んで、脳をシャッフルさせたくなるのだろうか。
人が求めるものとはなんなのだろう
肉体的なつながりなのか、気持ちなのか、カタチある何かなのか、
残るとは何か
あとかた 「あったというしるし」
わたしが傷ついたというしるし
わたしが悲しんだというしるし
わたしがいたというしるし
そういうものを誰かに受け止めてほしい
あったということを誰かに知ってほしい
そこにつながりを求めるのかな いろいろなカタチで
なんとも言えぬ不思議な余韻の残る本