千早茜のレビュー一覧
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森閑とした気味の悪さの物語。
登場人物それぞれの家族が錘のように、被さってしまう。
あとがきにあるように、この物語は不健康かもしれない。
こういったひとたちにとって、家族という存在や、子どもを産むという行為はまるで枷や呪いのようなのだ。
そして、こういうひとはどんなに楽しそうに仕向けられても、どこか世界や他人が不穏であると感じてしまう。
P.124『「なんか嘘くさいじゃない。あの夢みたいな場所も、あそこに連れて行けば喜ぶと思っている親も。きらきらしているのは表面だけで、中は空っぽな気がする。」』
P.128『「従業員も客もみんな笑っていて、何もかも楽しむだけに作られていて、遊び続け -
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Posted by ブクログ
面白かったです。
昏く、でも鮮やかな赤も感じる世界でした。
近すぎる父と娘、そして娘の小波と奪い合う人たち。
「アカイツタ」では堕ちていく人たちに魅せられて、澱んだ息苦しい空気でした。
「イヌガン」では小波は澪という新しい名前で新しい人生を選んでいきます。小波の気持ちわかる…となったので、耀と幸せになれたらいいなと思いました。
わたしの「好き」はどんな「好き」だろう?改めて考えてみると難しいです。
「人はわかり合えない」、というのは真理だと思うので、わたしも毎日そこから始めます。
冒頭の独白は多分、土の中の真壁教授のものなのでしょう。凄絶で綺麗。 -
Posted by ブクログ
女ともだちかぁ…ドロドロだろうな…
と、読むかどうか迷っていたのだが、気が付いたら読んでいた。
しかし、内容は、予想の斜め上を行くもの。
私の思い描いたドロドロは“三角関係”とか“ライバル”とか“嫉妬”だったのだが、それは、さすがオバチャン、認識が古い!!…という感じで。
最初の三作は、三部作?この本には裏テーマがあるの?と思わせるほどの共通点があり…なんというか、サイコパス?
普通と異常の認識が、いきなり反転するところなど、胃袋がグルッと裏がえるような気持ち悪さを味わう。
大崎氏の作品は、知ってる舞台に知ってるキャラが友情出演のサービスあり、テーマもひとひねり。
阿川氏の作品は、女の友情