千早茜のレビュー一覧
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「透明な夜の香り」シリーズで気になって、千早さんのエッセイを初めて読んでみた。作品での食描写もおしゃれだな〜と思っていたが、やはりご本人の食事もわたしから言わせればおしゃれ!丁寧な暮らしといった感じ。マヨネーズがなくてナンプラーが常備してあるところにそれを強く感じた。食エッセイは西加奈子ばかり読んでいた私。西加奈子が大阪の下町なら千早茜は京都のお上品な感じ。結論どちらも良い食エッセイ。最後の輝く朝ごはんが良い。
「ひとりの食も充分に楽しい。けれど、親しい誰かとの食事は瞬間の光をたたえていて、私はまだその輝きから自由になりきれずにいる。」 -
Posted by ブクログ
ネタバレ小説は私の作品で、私ではない。彼女のアクセサリーも彼女の作品で、彼女本体ではないし、彼女が繊細だろうが豪快だろうが、購入したアクセサリーはなにも変わらない。
言語化していなかっただけで、料理は小さな肯定感や達成感をくれる。生活の中で習慣になっている行為には、自分を保つ要素が隠れていることに気づく。
「SNSに食べものの写真をのせる意味がわかりません」というものがあった。する人はするし、しない人はしない。見たい人は見ればいいし、見たくない人は見なくていい。どちらが正しいわけでも間違っているわけでもないし、理解し合う必要もない。
すごく嫌なことがあったとき、仕事がうまくいかないとき、自分が世界で一番不幸だとくだらない妄想にとらわれるとき、誰かのちょっとした生活を知ることは小さなガス抜きになる。少くとも、私は、そうだ。
(二つのパフェを)ゆっくりと時間をかけて味わった。食べ終えて、楽しかったなと思った。ワタシにとってパフェとは純度の高いエンターテインメントなのだと改めて実感した。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ千早さん作品では珍しく、大切な人とつぎの約束があった。2度と会えなかったりしなかった。正直、私は桜があんまり好きじゃない。毎年「美しさ」を人間にしゃぶり尽くされて、アスファルトで黒ずむ花びらを見ると目を背けたくなる。私の喜びは、誰かの苦しさを踏みつけた上にあるんだろうなと自覚してしまう。どこまでを世の摂理として受けいれるべきなのか、最近よくわからない。
・画びょうで壁にぎゅっと貼りつけるような言い方
・人間なんて単純なものです。自分にとって価値があるものにね、金や時間を注ぎ込むんですよ。
・人が完全にわかり合うことはできないと私は思う。でも、繋がることはできる。美しいもの、優しいもの、鮮烈なもの、そういった心動かすものに触れた時、人の心は一瞬溶ける。そんな時に共感する誰かに出会えたなら、とても幸福なことだ。その瞬間はきっとその人の支えになるだろう。
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Posted by ブクログ
千早茜さんがインタビューで言っていた。
エッセイでは本当の自分を全て書けない
小説の方が(もちろん、全て本当の自分ばかりではないけど)本音の部分を描き入れる事ができる、と言うようなお話しでした。
千早茜さんの作り出す、透明感のある世界は
幻想的であり 清々しい。
深い心の奥底の方に溜まっているものの中からひとつずつ取り出して、一編にしてみたような短編集でした。
一冊200ページ超くらい本に、12編の短編
たとえば「スヴニール」と言う20ページ位の一編
出だしの2行で、季節感、時間帯、天気、温度感、
すべてを美しく表現してしまう。
すごいなぁ! -
Posted by ブクログ
桜がモチーフの短編集。
「あたしは…クラスの子たちより言葉を知っていると思う。言葉の数とかじゃなくて、その意味や味を知っている。例えば、失望とか、羞恥とか、後悔とか、孤独とか。だって、あたしはそれらの言葉を口に入れて、噛みしめて、涙がにじむくらいその苦しみを舌に浸み込ませて、やっと飲み込んできたから。そして、飲んだ後もその言葉たちによって内臓をぐちゃぐちゃにされたから。【初花】」
その言葉の、経験に基づいた本当の意味を知っている人と、そうでない人とで、同じ言葉を発していても、その重みが異なると感じることは度々あるけれど、その感覚が「言葉の味」という表現で、上手に描写されている文章。
「人々の流れの中で、私は古い建物や展示物の建物や展示品の一部になる。そして、乾いた時間に静かに埋もれる【春の狐憑き】」「お酒に酔えないわたしが溺れるのは恋愛なのよ、きっと。…わたしは他人を操りたい。操りながら束の間の関係に溺れたい。…過去も未来も日常の煩わしい想いもなく、ただ、肉体として存在するだけのわたしになりたい【エリクシール】」
美術館で働く女性も、夫への復讐を続ける女性も、“我を忘れ、自分が自分でなくなるような感覚”を渇望している。表立っては言いづらいけれどたしかに存在する、正気を狂わすような欲望が、どの作品にも登場し、読み手に揺さぶりをかけてくる。
「私がはじめて見た桜は紫色をしていた。【あとがき】」人と人は完全に分かり合えることはないとしつつも、「泣きたくなるくらい幸福」な景色を誰かと共有することを支えとし、そこに幸福を見出す作者にとって、桜は美しさや心動かすものの象徴なのかなと思った。