あらすじ
不老不死の一族の末裔としてただひとり強大な力を受け継ぎ、現代の都会でひっそりと暮らす御先(みさき)の前に同じ力を持つ青年・四(よん)が現れた。彼らは性別を持たず、治癒能力があり老いることもない。少女のような外見のまま150年以上の時を過ごす御先は、自分の体質を恐れ逃げるように生きてきた四と行動を共にするうちに、自らが過去に里で犯した罪と向き合いはじめる。
「わたしは誰かを愛せるのか」。時代を超えた、愛と命の物語。
感情タグBEST3
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始まりは、日本昔ばなしみたいだなぁと思った。
残酷な話であっても、淡々と進んでいく感じに既視感があった。
そこから時代は現代へ移り、シラの末裔、御先が主人公へと変わる。
水が流れるように描かれる世界に、息を呑んだ。
蟲たちの輝きや、御先の肌の白さ、四が流した血の色…そして真っ赤に咲き誇る躑躅。
冷静で淡白で、涼やかに生きているように見える御先。でも、本当はその皮膚の下に静かに燃える想いを持っていたのではないだろうか。
私は雅親の真っ直ぐさ、盲目さ、愚かさが愛おしい。それは限りある命を持つ人間だからこその愚かさだと思うから…
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100年単位で長生きなんてしたくねえ!
美夜子が何を思って死を選んだのか、幼い御先と美夜子の生活はどんなものだったのか、前日譚を読みたい。
四もかわいそうな生い立ちっぽくて、御先と出会えて良かったねって思う。
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なんとなく本屋でタイトルと表紙の雰囲気に惹かれて購入。ジャケ買いの割には非常に当たりでした。
不老不死を描く物語。
静かなんだけど激しい感情があって引き込まれた。
買ってよかったと思えた作品。
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とても好きなお話でした。
千早茜さんの幻想小説は久々だと思うのだけどもう…大好き。
物語の中心となる一族の、不老不死となった初めの人物を描く「シラ」から惹き付けられました。昔話や神話みたいでした。愛した人を探し続ける何百年…そしてラストに泣きそうになりました(職場の休み時間だったので堪えた)
その次の「はばたき」からは一族の末裔・御先の物語でした。不老不死で、強大な治癒力を持つ、人ではないもの。「肉体は若いままであっても、心は老いる」という言葉通り、人形のような外見ですが老成しています。
御先と、同じ能力を持つ四のやり取りに笑いました。四のツッコミが。。
御先も四も、周りが先に消えていく…というのはとても辛いだろうと思います。ラストの「躑躅」での、幼少の御先が「お前も消えてしまうのか」と言って泣いているところに胸が詰まりました。
不老不死とは苦しみなのですね。でも、僧はシラに「苦しみを背負うあんたが悪しきもののはずがない」と言いました。人ではないけど、化け物ではない。では、何だろう。。
ずっと浸っていたい物語でした。切なくて綺麗。
皆川博子さんの解説もさすがでした。皆川さんも色々なものを見られていらしたのだなぁ。。
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千早茜さんの物語はいつも愛の話で、描かれている話の空気や匂いを感じるような気がするから好きです。
今回も美しさとやるせなさが混在する愛の話でした。「かみさま」が1番好きでした!
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美しいファンタジー、だけど人間臭いお話しでした。
最初の章を読み始めた時は読みにくくて、なんだこれと思ってしまいました。
それが2章目からは御先に魅せられ、物語に一気に引き込まれます。
不老不死を生きることの孤独と切なさを感じました。
彼らはどう生きるのか。
御先と四のその先をもっと読みたかったです。
I saw the bugs in the dark.
They were so beautiful and occult.
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短編集のように読みやすくお伽噺のようにすっと入ってくる語り口で、通常の人間は持ち得ない能力を持って生まれた2人の物語が綴られる。第一章は全ての始まりとなった者、第二章はその子孫の御先が軸となっている。
特異な運命を背負って生まれた者が抱えるやるせなさ、そして側にいながらもいつかは先に去らなければならない者の切なさを感じると同時に、自分たちとは異なるものを畏れ傷つけるか異常に崇め縋ることしかできない人間の無力さ、異常性も感じさせられる物語。死は本当に、人間が考えるほど恐ろしいものなのだろうか。
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傷を癒す虫を体に飼うため、不老不死になる人達の話。最初はおとぎ話のようで悲しい話でした。その後、子孫の世代になってからの不思議加減もまた救いのない感じで苦しいですが。本人たちは死ねないけど、他の人を延々と救い続けてるんですよね。。
執着や憎しみなどの感情も虫の餌になってるっていうのがなるほど、不老不死はたしかに執着よなあ…と合点もいったり。面白かったです。
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*
夜に啼く鳥は
シラ
はばたき
梟
ひとだま
かみさま
躑躅
全六編
愛しい人を失った不老不死の身体をもつシラは
死ぬこともできず、生きる意味もわからないまま、
愛しい人を探し求め時を超えて彷徨い続ける。
長く長く時は流れ、地図にも載らない秘された里に
不死の一族はひっそりと社会から隠れて生きていた。
驚くほど強い力に選ばれた御先(みさき)は、
一族でもずば抜けた治癒の能力を持っていた。
愛する人は人間だから先に死んでしまう、
永遠に一人で生き続ける不老不死の身体をもつ
美しい化け物の切なくて哀しい物語。
**
人間は命に限りがあるから不死を望み願う。
でも、反対に不老不死の体をもってしまったら
どう感じるのだろう。
老いない体、繰り返し勝手に癒える傷や怪我、
大切な人はみんな自然の流れと共に老いて、
死んでいく中で自分だけが取り残される。
そんな孤独は哀しみ以外にないのかもしれない。
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身体に蟲を宿した不老不死の一族。
第一話は、一族の始まりのシラの話。
第二話以後は、150年以上生きる御先の話。
ひっそりと長く生きることの寂しさが伝わった。
長年続いた一族なのに、性別のない御先の後はどうなるんだろうと気になった。
デビュー作の魚神のように、ファンタジー溢れてて良かった。
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どうにも不老不死ものの死ねないが故の苦しさというところに耽美を感じてしまう性質のようでこの手の話でがとても好きである。
現代日本が舞台のポーの一族的な話か?と思っていたが、不老不死は同じだけれども血は吸わない。バンパイアではないので。
ミサキはそもそも人に興味ないのかなと思ったけど全然そんなことはないと感じた。
温度のない愛というのか、なんなのか言葉には出来ない。
靄がかかったような、薄明かりの中をぼんやり歩くような、けれども時々コントラストがはっきりとするようなお話でした。
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不老不死の一族の中で大きな力を受け継いだ御先と周囲の人たちの連作短編集。治癒能力を持つ光る蟲たちの情景がきれいだった。
「かみさま」がいちばん好き。
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不老不死の力をもった一族の物語。不老不死とはいかずとも、世界のどこかでは自分の知らないことが起こり続けていると思うと、すべての出逢いにご縁を感じざるを得ない。加えて、家族や周りとの関係が歪んでいる登場人物たちを見て、安心できる場所があることの奇跡を忘れたくないなあと思った。
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初読みの作者さん。
歴史に隠された、ある里に一族がいる。
長は青緑色に光る蟲(むし)を宿し、悠久の命をもつ。その蟲をつかい人間の病や傷を治す力をもつ。
この物語は、創始者シラとその祖先の御先(ミサキ)を語る。
稀有なる力をもつのに作品中にはずっと悲しさが漂う。
一族のなかでも力を持つものは僅かで、力をもった者は周りの者が死んでいくのを何回も見送り、一人残されて時代を過ごしていく。
またこの力を守るため、一族内での婚姻を続けていき、血の濃い間の子は健全な身体で生まれてこない……
一族を守るためが、一族が先細っていく……
男性でも女性でもない御先に、両性具有の四、二対あるはずの臓器が片方しかない者、健全な身体のものは子孫を残すために子作りを任される。
見た目の違いや身体の不完全さを、人々は怖れ蔑む。
傷や病を治す力には、すがってくる。
各話ごとに語りが変わるのと、夢のなかでほかの人物の追体験が起こるので、読み手は翻弄される。
身体や命を傷つける残虐性にも目を背けたくなる。そして心への傷も深い。
まったくタイプの違う四が現れて、御先は自分の道を選んだ。
長身で縮れ髪に黄色い目、鷲鼻という日本人離れした四は、感情が爆発するほうで良くも悪くも御先の人生に変化を起こしてくれるだろう。
なにより、初めてこれから御先に寄り添っていける人が現れたのだ。
きっと今も二人がどこかの神社佇んでいると思えてならない。
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【2023年159冊目】
千早さんとしてはちょっと珍しい?ファンタジー小説。不死を題材にしています。連作短編集で、それぞれのお話の主人公は異なるのですが、そこに登場するのは、物語の鍵を握る不死の人間2人です。死なないという事実を受け入れた人間はどう生きるのか、ずっと凪いでいるような御先と、不死であるからこそ人間味のある四。対象的な二人ですが、共通点も多いんだろうなぁと。
なかなか胸糞な話もありつつ、最後の話が一番好きでした。漢字が読めなくてタイトルわからないんですけど…一方的な熱い思いを持った主従関係は反則では…?
表現の豊かさと同時に幅の広い作家さんでもあるんだなぁと感嘆した一冊でした。
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おとぎ話のような物語。不老不死で性別を持たない御先。蟲と呼ばれる何かをその身に抱え、150年の生を揺蕩う。蟲が持つ記憶を永遠に見せられ、蟲が持つ治癒能力を使い、一族の長として生きながらえてきた御先の前に同じ蟲を宿す四と出会う。崇め讃えられ、腫れ物に触るように扱われる御先。気が狂っても不思議ではないが、正気を保っていられたのは雅親がいたからか。四との出会いは偶然なのか必然なのか。不老不死は決していいものではないなと健闘はずれなことを思ってみる。
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「からまる」を読んで気になったので。
その本とこれしか読んでないので、全然毛色の違う本でびっくりした。これは、不老不死で治癒能力を持つ一族の話。それぞれが、一族や血と折り合いをつけながら関わっていく。
プロットが和製ファンタジーで、でも現代で、なんか子供を作る力とか一族が生き延びるかとか、時代に負けてしまいそうな予感がしている。続編もあったら怖いものみたさで読みたい。
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久しぶりに一気読みというものをした。
不死/不老という、ともすればあこがれや羨望の対象になるものと、それが伴う『生めない』という側面を切り取っているように感じられる。切り口は血のぬるりとしたにおいと、海に削られた陶器か何かのような滑らかな硬質さを併せ持つ。
個人的には連作の――物語の起点となる『かのじょ』が不死となった(だろう)きっかけのシーンに強く惹かれる。が、きっと登場者たちは各々の与える/受け取る物語によって残酷な現実を生きなおす機会を手に入れ、また私たち読者はその授受にカタルシスや救いを得るのかもしれない。
さながら、清らかに白い骨で作られたメスに病巣を切り取られたような快さがあると思う。