あらすじ
不老不死の一族の末裔としてただひとり強大な力を受け継ぎ、現代の都会でひっそりと暮らす御先(みさき)の前に同じ力を持つ青年・四(よん)が現れた。彼らは性別を持たず、治癒能力があり老いることもない。少女のような外見のまま150年以上の時を過ごす御先は、自分の体質を恐れ逃げるように生きてきた四と行動を共にするうちに、自らが過去に里で犯した罪と向き合いはじめる。
「わたしは誰かを愛せるのか」。時代を超えた、愛と命の物語。
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Posted by ブクログ
傷を癒す虫を体に飼うため、不老不死になる人達の話。最初はおとぎ話のようで悲しい話でした。その後、子孫の世代になってからの不思議加減もまた救いのない感じで苦しいですが。本人たちは死ねないけど、他の人を延々と救い続けてるんですよね。。
執着や憎しみなどの感情も虫の餌になってるっていうのがなるほど、不老不死はたしかに執着よなあ…と合点もいったり。面白かったです。
Posted by ブクログ
久しぶりに一気読みというものをした。
不死/不老という、ともすればあこがれや羨望の対象になるものと、それが伴う『生めない』という側面を切り取っているように感じられる。切り口は血のぬるりとしたにおいと、海に削られた陶器か何かのような滑らかな硬質さを併せ持つ。
個人的には連作の――物語の起点となる『かのじょ』が不死となった(だろう)きっかけのシーンに強く惹かれる。が、きっと登場者たちは各々の与える/受け取る物語によって残酷な現実を生きなおす機会を手に入れ、また私たち読者はその授受にカタルシスや救いを得るのかもしれない。
さながら、清らかに白い骨で作られたメスに病巣を切り取られたような快さがあると思う。