千早茜のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ女性だから、という理由で下座で、食べ物や飲み物を運んだりしなくちゃいけないような、そういう「島」的価値観、読んでてうんざりする。
そしてそれは島を出ても、現代にもあって絶望してしまう。
職場の飲み会なんかで女性陣が甲斐甲斐しく大皿からおかずを取り分けたり、総合職に女性が一人だったり、セクハラ・マタハラを逆手に取った女性へのハラスメントがあったり、、、と。
それが、本書には痛々しいほどに書いてあって辛い。
私は女で、女であることが理由で何かを脅かされたことは今のとこない。
あるいは、女だからやらないといけない、やるのが当たり前、とされてきたことであっても、それに自身が納得できないことはしなかっ -
Posted by ブクログ
この作者さんは「赤い月の香り」が文庫になるまで既刊をボチボチと読んでいく、の4冊目。この前のランキングで見つけたこの本にしてみた。
寓話、風刺、童話、夢想、詩…、色々なテイストの12編が集まった、ちょっとダークで幻想的な短編集。
興を惹かれた話もあれば、正直よく分からなかった話もあり。
巻頭で描かれた、嘘をつけない男と嘘ばかりつく女の不思議な出会い(コットンパール)がなかなかお洒落。
娼婦に拾われて育てられた少女(プッタネスカ)、雪の積もる山に一人住み神聖視される少女と獣(ビースト)、復讐心に囚われて人間そっくりの殺人機械を作り出してしまう時計職人(ロゼット)、それぞれ残酷な運命の破滅的な -
Posted by ブクログ
【2024年197冊目】
ヘンゼルとグレーテル、みにくいアヒルの子、白雪姫、シンデレラ、マッチ売りの少女、ハーメルンの笛吹き男、いばら姫と誰もが知る童話を元に描かれた現代の寓話。時に美しく、時に恐ろしい7つの物語。
あとがきによれば、どの西洋童話を元にするかは編集さんが選んでいて、筆者にとって「大嫌いな話ばかり」をベースにしているという本作。相変わらず文章と表現の美しさに惚れ惚れしながらも、ぞっとしたり、心を打たれたりと楽しめる短編集でした。
人間の底にあるおぞましさを描いた「凍りついた眼」と女の執念が毒々しい「白梅虫」に、幸せを掴んだ「金の指輪」と「アマリリス」、物語と物語の対比がすごい -
Posted by ブクログ
【2024年185冊目】
かたつむり――を恐れる男、
くらげ――のように揺蕩う女、
いそめ――みたいに絡まる男、
むかで――の如き女、
金魚――に囚われた少年、
ヒドラ――と同じく底にいる女、
光――の中で溺れた女。
七人の男女の心の機微を捉えながら、日常を描いた連作短編集。
読み進めると「こことここが繋がっているのか」というのがわかる登場人物たちですが、現実と同じように考えていることや価値観は十人十色で、キャラクターひとりひとりに対する解像度が高すぎる、と慄く一冊です。
キャラクター設定とかどうしているのだろう、しっかり作り込んでおいて、そこからどう動くのかキャラクターに任せるみたいな感