千早茜のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
主題は愛と本能。
早朝のランニング、ひとりただひたすら走るまどかの心は、
過去の愛と現在の愛を行ったり来たりする。
過去の愛は、海外で過ごした子どもの頃に飼っていた、虎という名の番犬。
言葉でも理屈でもなく、愛し愛された存在。
確実で強固な愛の存在を感じていたのに、
野生の本能が目覚める瞬間、愛は本能には太刀打ちできなくなる。
現在の愛は、恋人の博人。結婚を見据える博人の
気持ちと自分の気持ちに違和感がありつつも言葉として明確にならない。
愛情はあるのに、愛には理屈が必要。本能ではないものが蠢く。
過去でも現在でも、愛と本能に揺れ動く、
繊細なまどかの心理描写がとてもよかった。 -
Posted by ブクログ
下町の商店街に店を構える、西洋菓子店「プティ・フール」を訪れる人々が抱える様々な思いと、その変化が描かれた連作短編集。
菓子職人である祖父が作り出すふわふわと柔らかい皮にとろりとしたクリームがたっぷりと詰まったシュークリームがとても美味しそうで、脳内で何度かぶりついたことか。
そんな祖父のもとで働く孫の亜樹が菓子づくりを通して人としての甘さに気づいていく過程を描いた「クレーム」は、パティシエとして、1人の人間として、自分自身と向き合っていく姿が読み応えありました。
甘いスイーツがメインの作品かと思いきや、欲望渦巻く人間模様が著者によって貪欲に描かれている作品でした。
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Posted by ブクログ
ネタバレ千早茜さんの文章すごく好きだな〜!なんでこんなに読みやすいのに、いつもかゆいところに手が届くような、言語化しにくい繊細な気持ちにさせてくれるんだろう。
千早先生の食事の描写が好きで、今回は、想像すると美味しそう…ではあるんだけどどこか白々しかったり、毒々しい食べ物の描写が印象に残った(桃とか、アフタヌーンティーとか…おいしいはずなのに…)。幸福な離婚の食事だけはおいしそうだった!桃のプライドの「季節感のあるものを楽しめるのは余裕のある人間だけだ。」にすごく共感して、だからこそ季節感のあるものを楽しむようにしたいなと思った。
1話目の4人と同じくらいの年齢の女だからひりひり…ひりひり…しながら読 -
Posted by ブクログ
表紙を見たとき、何となく細田守さんの「おおかみ子供の雨と雪」が頭をよぎったのだけど、全然違った。
そもそもこちらは犬だった。
千早茜さん、初読みです。
文章から受けたイメージは、ひと言でいうのなら、クールビューティ。何だかこれがしっくりきました。
主人公が幼少期に過ごした海外の家で、番犬として迎え入れた犬(名は虎)との話。
飼い犬として心を通わす時と、番犬としての本能が働く時、虎はたちまち手がつけられなくなる。その葛藤。それは良かった。
でも、全体的に惜しい気がする。
現在の主人公も、あまり魅力的に感じられなかった。
幼少期、現在、虎目線あたりで連作短編集とかなら、もう少し入り込めたので