千早茜のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
服オタクとしては、洋服の歴史を深掘りするテーマそのものはとても面白かった。
シャネルがコルセットから女性を解放し、女性の社会進出にも寄与したという話は知っていたが、それ以前の歴史については断片的な知識しかなかった。そのため、コルセットには「男性が女性を支配していた時代の象徴」という悪いイメージの方が強かった。
一方で、そうした時代背景があったからこそ生まれた、美しい衣服や文化が数多くあるのだと知ることができた。現代の価値観だけでは測れない歴史の積み重ねを感じさせられる。
その反面、物語としてはやや淡々としていて、千早さんの他の作品と比べると盛り上がりに欠ける印象もあった。主人公たちの過去への言及が少なく(想像力が足りないだけかもしれない)、人物像を十分に掴めないまま話が進むため、感情移入しきれなかった。
それでも、毎回これほど幅広いテーマを掘り下げ、それを小説として成立させてしまう千早さんの知識の広さと探究心には、感心させられた。 -
Posted by ブクログ
様々な生き物が、それぞれ違う場所で眠れない夜を過ごすショートストーリー。千早さんの文章は、色や匂いがものすごく鮮明に伝わる。今回の話は夜の静寂が伝わって、読んでいる方が少し眠たくなった。(つまらないとかそういう意味じゃなくて)
今、生まれて間もない赤ちゃんと夜を一緒に過ごしているが、夜通し寝ることがない。泣き声で起こされて、泣いている赤ちゃんを抱いている夜は孤独を感じる。でも、この孤独もいつか愛おしくなる日がくるんだと信じて、毎日の夜を超える。これも私の眠れない夜の話。街の明かり、静寂の中、それぞれ眠らない人のストーリーがあるのかな、と思ったりした。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ終わり方が消化しきれなかった。批判とかではなく、この感情を理解できる経験値が自分の中にはなかったのかもしれないし、再読したらなんとなく理解できるのかもしれない。
・劇的な展開がある物語ではないが、時々出てくる町屋や空気感の描写が、懐かしさを想像させてくれて心地よかった。
・教授とのやりとりが大学時代の自分の恩師を彷彿とさせた。当時教授は自分のために時間を作ってくれていたのかもしれないと思っていたけど、単なる教授の日々の中に自分との会話があっただけなのかもしれないと感じなぜか心が軽くなった。
・高村さんがやりたいことを見つけたんだと言った時、毎日の生活の中で何かしらの目的を持たなきゃいけないと思いがちな私は、こういうなんとなく始まってしまった時間、これといって確かではないけど目的のある時間(誰かのために料理を作る生活)も後の自分の目的を探す時間に繋がっているのかもしれない大切な時間なんだと感じた。
・華の気持ちはよく分からなかったが、こんなにも何かに打ち込めることや友達との関係が羨ましく、大学時代に自分も学問で何か打ち込めるものがあれば良かったなと思った。