千早茜のレビュー一覧
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表紙を見たとき、何となく細田守さんの「おおかみ子供の雨と雪」が頭をよぎったのだけど、全然違った。
そもそもこちらは犬だった。
千早茜さん、初読みです。
文章から受けたイメージは、ひと言でいうのなら、クールビューティ。何だかこれがしっくりきました。
主人公が幼少期に過ごした海外の家で、番犬として迎え入れた犬(名は虎)との話。
飼い犬として心を通わす時と、番犬としての本能が働く時、虎はたちまち手がつけられなくなる。その葛藤。それは良かった。
でも、全体的に惜しい気がする。
現在の主人公も、あまり魅力的に感じられなかった。
幼少期、現在、虎目線あたりで連作短編集とかなら、もう少し入り込めたので -
Posted by ブクログ
思ってた話とは全然違ったけど、
アフリカ(と思われる)国で、野生味溢れる大型犬と共に過ごす日々を感じられて、それはそれとして面白かった。
動物を飼うってとてつもない責任が伴うよなぁ。
わたしも小学生の頃、家族に頼み込んで頼み込んで、トイプーを2匹飼っていたけど、今思うとその2匹に申し訳ないことをしたと思うこともあったり、それがどうしても償いきれない罪みたいに感じられたり…
でもまたやっぱり犬と過ごしたいと思ったり、そういう主人公の気持ちが結構重くのしかかってきたように思う。
最後の方は、もののけ姫みたいだなって思った。
P.S.
この国、ザンビア…なのか?
『わるい食べもの』に、千早 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「正しさ」をモチーフに
センシティブな女達の悩みを素直に描いた短編集
桐野 夏生さんの解説までも面白い
女の子たちの願望やコンプレックスを描き、
主人公は自分を正当化させ、見たくないもの・信じたくないことには蓋をし、自分の言動が正しいと言い聞かせる「温室の友情」
解説で考察されていた内容にドキッとした「海辺の先生」
正しいセックスとは何なのか。
人間の繁栄の根本であるセックスについて思想を持っている隣人の女に興味をそそられるセックスレス夫婦の夫。
いけない道だと、頭では理解しているものの、男性の脳が、本能が、身体が、嫌という程制御が効かず、動いてしまう。ラストは身体の制御が効かず、本能 -
Posted by ブクログ
ネタバレまるで読む美術館。洋服を通して、その時代と、生きた人々の価値観を知るのが面白い。好きな服を着ればいい、と言っても服と他人の視線は切り離せないものだと思う。
「気に入った服を長く着続けたかったらどうする?人との関係だって同じさ」印象的な言葉だった。
ガラスの靴は物理的に不可能だという話が興味深かったけれど、冒頭に戻ってみれば「クローゼットから一歩でると、現実の自分がいて、ガラスの靴は粉々になった」とあって、繋がりに気付いた。童話のなかのお姫様に憧れても、理想と現実は違う。けれど、理想に近付くために人は努力する。綺麗なドレスを着るために、身体の形を変える。そうやってお洒落をする人は、童話のなか -
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ネタバレ二話、四話目が連作とは桐野さんの解説を読むまで気づけなかった。最後の話が一番展開がありふれていなくて面白い。後離婚相手との温かい関係も◎
◯温室の友情
不倫する親友の為代わりに相手の妻に告げ口。私の顔は私を自分のものにしようとする母に似ていた。
↑文章が箇条書きを繋げたみたいなのに語り過ぎてる。不倫先の家に行く描写は事前には要らない。
私が書いて引っかかる文章に似ている。
◯海辺の先生
田舎のスナックの娘。客の「先生」に勉強を教えてもらい、東京の大学へ行くことを自ら選択。
↑三話目の男の昔の彼女?(行為中「先生」と呼ぶ)
◯偽物のセックス
同じマンションの女に欲情する男。「正しいセックスしか