千早茜のレビュー一覧
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「汚してみたくて仕方なかった」鈴木涼美
売春が無くならないのは、男側の問題の方が大きいけど、自分に値打ちが付くことに依存する女側の問題もあるのかもしれないと思った。女は性処理として利用されてきた時代が長く続いたせいもあり、完全に無くすことは難しいのだと悟った。
「トイレとハムレット」宇佐見りん
面白かった、、!確かに腹痛と苦悩のポーズは似ている。舞台が好きな理由として「シンプルだから」っていうのはすごく腑に落ちた。たった一つの物語、感情を演じているだけだもんな。現実の方が感情ごちゃ混ぜで騒がしいもの。
「私の三分の一なる軛」児玉雨子
生物は毎日ちょっと死んでおかないと生きられないって興味深 -
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パティシエールの亜樹は菓子職人の祖父のもとで働く。彼女自身や後輩、恋人、それぞれの視点から描かれる短編集。お菓子に対する情熱、こだわりが感じられる作品。読んでいるだけでお腹が空いてくる。
亜樹の原点とも言える中学生時代の思い出が鮮烈な情景として浮かぶ。その赤さえも。彼女の珠香に対する感情に近しいものを私も持ったことがある。根底を成す部分が崩れていくのは辛いもの。
印象的だったのがミナ(美波)ちゃん。ネイリストである彼女は女の子はお菓子-着飾り、コーティングし、大切にされるべきもの、という信念がある。満足に仕事ができない環境に辟易していたが、入った喫茶店での景色に心が変わる。薔薇色に染めるのは -
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『わるい食べもの』に続く、千早茜さんの食エッセイ。
パーティー会場でたくさん食べようとしたり、パフェにかまけたり、コロナ過の今だけだからと食へのブレーキが緩む。
そんあn千早さんの”食”への前のめり感が、やっぱり好き。
今作はコロナによる緊急事態宣言中のエッセイも含まれていて、前作より深く千早さんにとっての食とは?について書かれている。
個人的には「異世界への黒い扉」の海苔の話が好き。
美味しい海苔をネット注文しようとする千早さんに、「おいしいものを知ってしまうと、もう戻ってこられないぞ」と忠告する殿。
「うー、わかる!特に海苔って、値段によって味違い過ぎるよね!」などと心の中でめちゃ -
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主人公の、人に心を開いていないどころか、
自分にさえも心を開いていない感じ。
一人称語りなのに、本当の心情、動揺、歓喜、熱量みたいなものが全く感じられず、そのまま話が進んでいく。
そつない動きや、大人の余裕を感じさせる言動は、一見すると綺麗なのかもしれないけど、人間らしく無いというか、温かみがない。
一つ一つの動作だけで、登場人物の感情さえも表現できる千早さんの作品なのに、こんなにも主人公が理解できないものなのか。
読み進めても読み進めても一向に距離が縮まらない。
そんなことを思っていた時に、ひなちゃんが主人公に向かって「誰かが庭を壊してくれたらいいのにね」
と発言。はっとした。ここで言う -
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身体や性についてのエッセイ集。この中で柴崎友香さんが呈示していた疑問「なぜ書き手の性別を限っているのか」、私もこれと同じことを思った。もう、このフェーズは終わっていないか。いま、同じテーマで、男性やその他の性の人の語ることも聞きたいし、それらが同じひとつの場所に並べられているところを見たい。
どのエッセイもそれぞれ興味深かったし、色んな方向に心動かされたが、上記の意味で、柴崎さんが「このような疑問を私が持っていることを編集者と共有できたので、書くと返答した」という経緯を書いてくれていたことが、いちばん嬉しかった。もちろん、疑問の詳細は私が書いたこととは違ったけれど。 -
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この作者さんの既刊をボチボチと読んでいく、の6冊目。
今回は直木賞を受賞されたこの本で。
夜逃げの途中で家族とはぐれ、山師の喜兵衛に拾われた少女ウメ。夜目が利くのを頼りに、女だてらに銀掘になろうと間歩(坑道)の中で働き出す…という出だし。
喜兵衛とウメ、加えて喜兵衛に従うヨキの銀山での日常が描かれる前半では、銀を掘る仕事やそこで働く銀堀たちの姿が描かれ、山の深さや間歩の暗さ、風の爽やかさや土の湿り気、水の冷たさなどの描写も染み渡る。
男ばかりの間歩の中での、女であるが故の窮屈さが、ウメが女を感じさせるようになるとともに増長して、物語の後半では、好きに生きたいように生きられないウメの半生が積み