千早茜のレビュー一覧

  • 眠りの庭

    Posted by ブクログ

    “共犯者にしたかったの あなたを_”

    千早茜さんの耽美な世界
    今宵も堪能いたしました♡



    むせ返るような“女”の匂いが色濃く漂い
    哀しき過去を背負った女と
    彼女に囚われた男たちの
    妖しくも美しい短編が描かれている

    それはまるで…妖しくもその美しさに魅了され
    あえて囚われることを望んだ蝶のようでもあり…

    深緑の蔦(つた)の中に映える真紅に心奪われ
    その蔦に絡めとられたい…と思わせるような
    耽美な世界観だった



    ふたつの物語が繋がったとき
    隠された真実が明らかになる



    幻想的で不穏な空気が常に流れているのに
    不思議とこの世界にとどまっていたい…
    ああ…好き…… 抗えな

    0
    2024年10月06日
  • 正しい女たち

    Posted by ブクログ

    あんたもそのうちわかる。
    この絡みつくような諦観が。
    現実はどろどろと
    期待や夢を溶かしていく。



    千早茜さんの 絡みつくような表現が…
    たまりません

    不倫に悩む友達に向ける友情…
    離婚日を決めて その日まで幸せに過ごす夫婦…
    それぞれが抱える “正しさ” を軸に描かれる
    6つの短編集_



    心がざわつき ヒリヒリとさせられる
    次第に私が軸としている正しさの境界線も
    曖昧になっていく…

    千早茜さんの小説は 狂おしいほど面白く
    いつも夢中になって読んでしまいます!!

    0
    2024年10月06日
  • ガーデン

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    羽野のことをとても淋しい人間だと思う
    けど、それはわたしが違うタイプだからで、同じ人生を送っていないから 幼少期の体験は良くも悪くも影響を与えすぎる
    彼のように人との関わりを避けて傷つけ傷つけられることから避けていたらきっと楽なのだと思う 過不足のない状態 でもそれは本当に充実していると言えるのだろうか 心は、その底では?ずっとジュースを差し出す誰かを求めているように思えた

    「でも、あの子は結婚に向いていると思うわ。自分を殺すことを愛や喜びと思えるタイプだから」
    うすうすそうだと分かっていながらも認めたくなかったところを刺された気がする

    0
    2024年09月30日
  • 眠りの庭

    Posted by ブクログ

     薄い微笑みを誰かに見せたくなる気持ちが分かるというか、人間はどんな場所に辿り着いても、悲しみや孤独は消えないのだろうかという、一種の諦観めいたものを抱えながらも誰かを求めたくなる、そんな矛盾した存在に愛しさと苛立ちがない交ぜになることくらい分かっていたのにね、何なんだろう、このもどかしさは。

     物語があるようで無いような心境を抱いたのは、その登場人物のことをどうこう考えるのではなく、そこから自分の人生と重なるものを抜き出して、自分とどう向き合うのかを教えてくれるようでもあり、あくまで他人じゃないのよということを強く実感させられたのは、物語に登場する『ファム・ファタール』という言葉も同様であ

    0
    2024年09月28日
  • 魚神

    Posted by ブクログ

    うつくしくて、ほの暗くて、せつなかった。

    遊郭で栄える閉ざされた島で生まれ育つうつくしい姉弟のお話。




    「いや、白亜は僕がいなくなったらたくさん泣いて、僕のことなんか忘れてしまうといいよ」

    ”人は忘れるために泣く”というスケキヨが白亜に語ったこの台詞がなんだかとても刺さった。

    0
    2024年09月22日
  • 正しい女たち

    Posted by ブクログ

    相変わらず解像度が高い。
    女性特有の視点や感情も嫌になるくらい的確に描写されてる。

    短編は初めて読んだけど読みやすかった。
    それぞれのお話がいつも少し物足りないくらいで終わる、ように感じた。

    0
    2024年09月18日
  • ひきなみ

    Posted by ブクログ

    「透明な夜の香り」が好きだった千早茜さん。
    文庫新刊が発売されたので手に取った。

    親の都合で東京から瀬戸内の小島で暮らす祖父母の家に預けられた葉。閉鎖的で男尊女卑の考えが根強く残る島で出会ったのは祖父と暮らす真以。
    2人の少女時代から大人になるまでの物語。

    第一部「海」では2人の少女時代、第二部「陸」(おか)では2人の別れから20年後の話が書かれている。他作品でも書かれているが、島ってどうしてこんなに生きにくい場所なんだろうか。
    自分のプライバシーまで島民全員に知られるなんて恐ろしすぎる。
    自分ではどうしようもない家族のことまでネタにされ蔑まれるのは辛い。
    血縁からは逃げたくても逃げられな

    0
    2024年09月16日
  • わるい食べもの

    Posted by ブクログ

    エッセイはあまり読んだことがないが、こうして読んでみると自分とは全く違う景色を見ていることがわかって驚くしおもしろい。

    千早さんの食への向き合い方、見方、こだわりも自分にはないもので、よくこんなに覚えてるなぁとか、自分ももっと食を楽しむ、味わうことをしてみたいなとか思った。

    普段記憶からすぐ去っていく食。
    千早さんのそれをちらりと垣間見る一冊。

    ☆3.3

    0
    2024年09月12日
  • ガーデン

    Posted by ブクログ

    自分のために生きることに疲れたら、物言わぬ何かに愛情を注ぐ__植物との空間は閉ざされた世界だった。植物は強い生命力に溢れているが、登場人物からは生きづらさと心の渇きを感じた。自分の世界という安全圏で生きたい気持ちはとても共感した。

    0
    2024年09月10日
  • 明日町こんぺいとう商店街 招きうさぎと七軒の物語【電子限定特典付】

    Posted by ブクログ

    懐かしくほのぼのとした短編集。昭和の味を出していて、人情物と言えるかも。シリーズ化しているようなので、続きも読んでみたい。それぞれの作家さんの雰囲気と特徴があって楽しめた。微かなリンクもニヤリとする。

    0
    2024年08月31日
  • おとぎのかけら 新釈西洋童話集

    Posted by ブクログ

    誰もが知るおとぎ話をモチーフにした7つの現代物語。

    「迷子のきまり」はヘンゼルとグレーテルを下敷きにする。
    おとぎ話は残酷なものも多かった。
    だいぶ前に、本当は残酷だったおとぎ話、のような書籍が流行ったことがあった。
    それを思い出させる、なんだか嫌な感じのする物語だった。
    私はとっくの昔に大人になって、世界は綺麗事だけでは成り立ってはいないことも、
    汚くて卑しくて目を背けたいことが多いことも知っている。
    だから、そのうちの一つ、児童買春があることもわかっている。
    だけど、小さな命を産んで育てる身としては到底許し難いし、理解もしたくない。
    もし我が子が被害者になったら、私は自身の自由も立場も、

    0
    2024年08月29日
  • 明日町こんぺいとう商店街 招きうさぎと七軒の物語【電子限定特典付】

    Posted by ブクログ

    やはり作家ごとの色があって、合うものもあれば合わないものもあり。
    ただ、全体的にそう転がってくれてよかったー、という気持ちになる終わり方ですっきりはする。

    0
    2024年08月18日
  • 人形たちの白昼夢

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    好きな作家さんの短編集。短編集は物語の世界に入りにくくて元々あまり得意ではないんだけど、人形がテーマになっているものが多くて気になって読んだ。
    個人的に印象に残ったのは、時計職人が戦争で大切な人を亡くし、それから人型の時計(だけど人を殺す)を作るという『ロゼット』、幼い頃に本を通じて仲良くなった男女がすれ違いその思い出で今を生きる『モンデンキント』かなぁ。
    他にも記憶を食べる『スヴニール』とか世界観が気になる『ビースト』も良かった。

    いろいろな世界、時代で描かれている作品で、どれかは響く作品があるのは短編集の良いところ。逆に、読みにくい作品があるのも事実。面白いんだけど、どういうことだったん

    0
    2024年08月14日
  • 魚神

    Posted by ブクログ

    現代よりも少し昔のような時代の伝説のような物語。
    まとわりつくような湿度や匂い・臭いが、文章から瑞々しく伝わってくる。

    0
    2024年08月13日
  • さんかく

    Posted by ブクログ

    生きていると潔白な人間関係ばかりじゃなく白黒つけられないグレーも多くて、そんな曖昧な関係が絶妙に描かれている。

    そして、ごはんの描写がリアルで誰かと一緒においしいごはんが食べたくなった。

    ☆3.5

    0
    2024年08月08日
  • 眠りの庭

    Posted by ブクログ

    なんだかよくわからないけれど、とても切なくてさみしくなった。

    理解しあえなくても一緒にいられるなら
    今を信じられるのなら

    ✳︎
    「僕がいるよ」
    そう言うと、澪は暗闇で笑った。
    「ずっと、何があっても?」
    ✳︎
    「共犯者にしたかったからなの」

    0
    2024年08月04日
  • しつこく わるい食べもの

    Posted by ブクログ

    何食べならぬわる食べ。文庫化お待ち申しておりました。WEB連載がコロナ禍真っ只中。千早茜さんにどっぷりはまったのもコロナ禍真っ只中だったな。小説はこだわりの強さとただでは転びっぱなしにならない意思の強さめいたものを感じていて、前作のわる食べではこだわりの強さにプラス偏屈さを感じて、でも、ギリギリのユーモアというかディスりすぎない匙加減はプロを感じた。今回は神経質な一面が全面的に出ているが、それもまた彼女らしいのかもしれないし、不本意なのかもしれない。記録。としての読み物としてはありだ。

    0
    2024年07月30日
  • 犬も食わない(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    千早茜が好きで、文庫発売当初に買ったまま1年以上本棚に眠らせていた。尾崎さんの文章は初めて読んだけれど、千早茜の静かで熱い文章にぴったりですごくよかった。

    0
    2024年11月07日
  • おとぎのかけら 新釈西洋童話集

    Posted by ブクログ

    千早さんの西洋童話の現代的な新解釈により、童話の内容を身近な出来事として自身の想像の範疇に置き換えることができ、童話の「裏の意味」を考えさせられた。あとがきで、千早さんは「西洋童話にはうまく馴染めなかった」と記されているが、私も小さい頃、童話の世界観に対して心躍らせられながらも若干の恐ろしさを感じていたような記憶があり、なんとなく共感できる部分があった。今振り返ってみると、それは、キラキラしたベールを纏う「教訓性」や「勧善懲悪」への気づきや違和感のような感情だったのかもしれないと思った。本作は、その辺りをうまく掬い取っており、人間のドロドロとした恐ろしさ、醜さ、それらの背景となる社会問題がより

    0
    2024年07月26日
  • さんかく

    Posted by ブクログ

    高村さんのお料理が終始美味しそうで、私もこんなふうにお料理を振る舞えるようになりたいな〜と思った。
    最後、高村さんが関係を潔く断ち切って、伊東くんと華がもう一度やり直していくが、後味が良かった。自分のやりたいこと、ほしいものに向き合って進んでいってほしい。

    以下、印象に残ったフレーズ。
    風景を描く言葉の美しさがすごいと思った。
    普段自身も目にするような光景、そのすてきさが言葉にしっかり込められていて、あの風景はこんな言葉で表現できるのか、と思った。
    「選べる自由って一番を見失うよね」
    「見あげると、桜が咲いていた。音もなく降ってくる。枝先にぽんぽんと咲く白い塊はホイップクリームのようで、やわ

    0
    2024年07月24日