千早茜のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
【2024年197冊目】
ヘンゼルとグレーテル、みにくいアヒルの子、白雪姫、シンデレラ、マッチ売りの少女、ハーメルンの笛吹き男、いばら姫と誰もが知る童話を元に描かれた現代の寓話。時に美しく、時に恐ろしい7つの物語。
あとがきによれば、どの西洋童話を元にするかは編集さんが選んでいて、筆者にとって「大嫌いな話ばかり」をベースにしているという本作。相変わらず文章と表現の美しさに惚れ惚れしながらも、ぞっとしたり、心を打たれたりと楽しめる短編集でした。
人間の底にあるおぞましさを描いた「凍りついた眼」と女の執念が毒々しい「白梅虫」に、幸せを掴んだ「金の指輪」と「アマリリス」、物語と物語の対比がすごい -
Posted by ブクログ
【2024年185冊目】
かたつむり――を恐れる男、
くらげ――のように揺蕩う女、
いそめ――みたいに絡まる男、
むかで――の如き女、
金魚――に囚われた少年、
ヒドラ――と同じく底にいる女、
光――の中で溺れた女。
七人の男女の心の機微を捉えながら、日常を描いた連作短編集。
読み進めると「こことここが繋がっているのか」というのがわかる登場人物たちですが、現実と同じように考えていることや価値観は十人十色で、キャラクターひとりひとりに対する解像度が高すぎる、と慄く一冊です。
キャラクター設定とかどうしているのだろう、しっかり作り込んでおいて、そこからどう動くのかキャラクターに任せるみたいな感 -
Posted by ブクログ
“共犯者にしたかったの あなたを_”
千早茜さんの耽美な世界
今宵も堪能いたしました♡
むせ返るような“女”の匂いが色濃く漂い
哀しき過去を背負った女と
彼女に囚われた男たちの
妖しくも美しい短編が描かれている
それはまるで…妖しくもその美しさに魅了され
あえて囚われることを望んだ蝶のようでもあり…
深緑の蔦(つた)の中に映える真紅に心奪われ
その蔦に絡めとられたい…と思わせるような
耽美な世界観だった
ふたつの物語が繋がったとき
隠された真実が明らかになる
幻想的で不穏な空気が常に流れているのに
不思議とこの世界にとどまっていたい…
ああ…好き…… 抗えな -
Posted by ブクログ
薄い微笑みを誰かに見せたくなる気持ちが分かるというか、人間はどんな場所に辿り着いても、悲しみや孤独は消えないのだろうかという、一種の諦観めいたものを抱えながらも誰かを求めたくなる、そんな矛盾した存在に愛しさと苛立ちがない交ぜになることくらい分かっていたのにね、何なんだろう、このもどかしさは。
物語があるようで無いような心境を抱いたのは、その登場人物のことをどうこう考えるのではなく、そこから自分の人生と重なるものを抜き出して、自分とどう向き合うのかを教えてくれるようでもあり、あくまで他人じゃないのよということを強く実感させられたのは、物語に登場する『ファム・ファタール』という言葉も同様であ -
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「透明な夜の香り」が好きだった千早茜さん。
文庫新刊が発売されたので手に取った。
親の都合で東京から瀬戸内の小島で暮らす祖父母の家に預けられた葉。閉鎖的で男尊女卑の考えが根強く残る島で出会ったのは祖父と暮らす真以。
2人の少女時代から大人になるまでの物語。
第一部「海」では2人の少女時代、第二部「陸」(おか)では2人の別れから20年後の話が書かれている。他作品でも書かれているが、島ってどうしてこんなに生きにくい場所なんだろうか。
自分のプライバシーまで島民全員に知られるなんて恐ろしすぎる。
自分ではどうしようもない家族のことまでネタにされ蔑まれるのは辛い。
血縁からは逃げたくても逃げられな -
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Posted by ブクログ
誰もが知るおとぎ話をモチーフにした7つの現代物語。
「迷子のきまり」はヘンゼルとグレーテルを下敷きにする。
おとぎ話は残酷なものも多かった。
だいぶ前に、本当は残酷だったおとぎ話、のような書籍が流行ったことがあった。
それを思い出させる、なんだか嫌な感じのする物語だった。
私はとっくの昔に大人になって、世界は綺麗事だけでは成り立ってはいないことも、
汚くて卑しくて目を背けたいことが多いことも知っている。
だから、そのうちの一つ、児童買春があることもわかっている。
だけど、小さな命を産んで育てる身としては到底許し難いし、理解もしたくない。
もし我が子が被害者になったら、私は自身の自由も立場も、 -
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Posted by ブクログ
ネタバレ好きな作家さんの短編集。短編集は物語の世界に入りにくくて元々あまり得意ではないんだけど、人形がテーマになっているものが多くて気になって読んだ。
個人的に印象に残ったのは、時計職人が戦争で大切な人を亡くし、それから人型の時計(だけど人を殺す)を作るという『ロゼット』、幼い頃に本を通じて仲良くなった男女がすれ違いその思い出で今を生きる『モンデンキント』かなぁ。
他にも記憶を食べる『スヴニール』とか世界観が気になる『ビースト』も良かった。
いろいろな世界、時代で描かれている作品で、どれかは響く作品があるのは短編集の良いところ。逆に、読みにくい作品があるのも事実。面白いんだけど、どういうことだったん