千早茜のレビュー一覧

  • ひきなみ

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    情景や、それに合わせた心理描写やストーリー展開が絶妙。切なさ、やるせなさが先に立つものの、最後には希望も見出せた。表現の巧さが秀逸。

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    2025年11月13日
  • ガーデン

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    主人公の、人に心を開いていないどころか、
    自分にさえも心を開いていない感じ。
    一人称語りなのに、本当の心情、動揺、歓喜、熱量みたいなものが全く感じられず、そのまま話が進んでいく。
    そつない動きや、大人の余裕を感じさせる言動は、一見すると綺麗なのかもしれないけど、人間らしく無いというか、温かみがない。

    一つ一つの動作だけで、登場人物の感情さえも表現できる千早さんの作品なのに、こんなにも主人公が理解できないものなのか。
    読み進めても読み進めても一向に距離が縮まらない。

    そんなことを思っていた時に、ひなちゃんが主人公に向かって「誰かが庭を壊してくれたらいいのにね」
    と発言。はっとした。ここで言う“庭”とは、主人公が大切にしている、植物で溢れかえる美しい部屋だけではなく、主人公の内部に宿るものも皮肉を交えて指していると思う。

    物語内で他の登場人物らに腹の底を見せない主人公は沢山いると思うがこの主人公は自分の“庭”から出られなくなっている。本人もそれに気がついてない。

    植物に対しても愛情というより管理、完璧。
    枯れてほしく無いな、元気でいてねといような植物を育てている人なら持つであろう当然の想いと言うより、あくまで自分のお気に入りで周りを埋めていたい、枯れたらそのままそこには執着しない、と言った具合で、愛でる行為がない。

    愛情の一部は対象への執着心も多少はあると思う。
    その塩梅というか、肝心の部分が感じられないのだ。

    それについても終盤、ひなに「あなたの部屋は不自然」と指摘されている。

    ここまで伝えてくれたひなの言葉にも特に気づきや焦り?なども無く、そのままひなも主人公の前から姿を消す。

    一体この主人公は何人の女性に呆れられているのか。世間一般的な「ダメな人、ひどい人」というような呆れではない。
    可哀想に、、というような哀れみ。

    物語冒頭からやたら主人公1人に対してさまざまな女性が絡んでくると思っていたが、それもあってか、この主人公の呆れられ具合は一層引き立つ。

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    2025年11月02日
  • 私の身体を生きる

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     身体や性についてのエッセイ集。この中で柴崎友香さんが呈示していた疑問「なぜ書き手の性別を限っているのか」、私もこれと同じことを思った。もう、このフェーズは終わっていないか。いま、同じテーマで、男性やその他の性の人の語ることも聞きたいし、それらが同じひとつの場所に並べられているところを見たい。
     どのエッセイもそれぞれ興味深かったし、色んな方向に心動かされたが、上記の意味で、柴崎さんが「このような疑問を私が持っていることを編集者と共有できたので、書くと返答した」という経緯を書いてくれていたことが、いちばん嬉しかった。もちろん、疑問の詳細は私が書いたこととは違ったけれど。

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    2025年11月02日
  • ガーデン

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    ネタバレ

    千早さんの描く登場人物たちはみんな人間らしくて好きだ。羽野って人間に興味なさそうなのに、本心では人が気になって仕方ないから距離を置いてるんだろうなと思った。近づけば近づくほど乱されると分かっているから。
    文章なのに読めば読むほど植物たちの青臭さで体が満たされた。梅雨の日、むせ返る緑の中でもう一度読み返してみたい。

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    2025年11月01日
  • ガーデン

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    この作者さんの作品は植物がたくさん、酵母パン?もよく出てきた。すき。私も感化されて部屋に新しい植物を迎えてみました。他の作品も読むぞ〜!

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    2025年11月01日
  • 明日町こんぺいとう商店街 招きうさぎと七軒の物語【電子限定特典付】

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    『なんどでも生まれる』彩瀬まるさんの作品がきっかけで読み始めた。商店街の短編アンソロジー。色々な作家を読みたい時には良いとは思う。おはなしの傾向は商店街ならではの人情味だろう。さらっと読んでしまうのにはちょうどよかった。

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    2025年11月01日
  • なみまの わるい食べもの

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    『わるたべ』四作目。
    著者の質というか傾向に慣れてきたからか、初めの頃に感じた食に対するただならぬ欲求&行動に度肝を抜かれるようなエピソードはあまりなく。
    直木賞受賞前後の体調不良や、全般にそこはかとなく散りばめられた不調と老いを感じる今作。
    それでも、新たな家族を得て以前とは少し違った彼女なりの食に向き合う愛の形が記されています。
    印象的だったのは、
    「あとかた姫」こと姪っ子ちゃんに傅きまくってる伯母ちゃんの奔走っぷり。
    あとは『しろがねの葉』を読んでおかねば、気になるじゃないか、とも。

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    2025年10月29日
  • 魚神

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    これはライトノベルになるのかな。
    遊郭を主な産業とする不思議な島で生きる白亜とスケキヨ。強く惹かれ、お互いを求めながらも得られない、究極の片想いのヒリヒリ感を存分に味わえる。
    千早茜さんは近親相姦ものが好きなのか、ファザコンなのか、「しろがねの葉」もそうだったけど、この手の、簡単に手を出せない(特に年上の)男を書かせるととても上手だ。
    スケキヨもいいけど、個人的には蓮沼の危険な香りに魅力を感じる。しかしスケキヨはなんでこの名前なんだろう。もう「犬神家の一族」のBGMが脳裏に流れまくり。

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    2025年10月28日
  • 胃が合うふたり(新潮文庫)

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    1人で食事するのは寂しいし、誰かと食事すると会話に気を遣って味わえないし、と思っていたけど、「自分と同じくらい食事に集中できる人」と食事することがベストなのでは!と、この本を読んで感じた。

    「人は変化していく。友情だって、愛情だって変わるし、相手の気持ちはわからない。人は誰もが自分以外のリアルを知らないのだ。けれど、同じものを食べて、美味しいと言い合うその瞬間だけは信じられる気がする。」

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    2025年11月08日
  • 雷と走る

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    幼い頃、乾季と雨季しかない治安の悪い国で大型犬を飼っていた時の回想がずーと続きます。
    主人にだけは忠実だけど野生が出ると何をしでかすかわからないところがあり、本能のままの振舞いが愛おしさもあるが怖さも感じる。

    私も小さい時、犬を飼ってた事があるので随所にみられる犬の習性が古い記憶を呼び覚ましてくれました。
    犬とは主君関係が成り立つように感じますが、猫とは違い対等な関係性を感じたことがないので愛とゆうにはちと傲慢な感じでした。

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    2025年10月09日
  • グリフィスの傷

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    傷にまつわる短編集。
    傷跡になっていても、チクリと残るようなそんな痛みを感じるような少し苦しめの内容が多かった。

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    2025年10月05日
  • 私の身体を生きる

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    どんなことをどんな風に語るかは自由なはずなのに、不思議と受ける印象が近い方も多い。圧倒されたのは、自身の自慰について複数名の方が赤裸々に書かれていたこと。もちろん秘めておくべきかどうかは個人の自由だが、同じことを目の前の男性に言われたらきっと眉間にシワを寄せてしまうと思うので、(こんな性差を感じてどうかとも思うが)そうならないのを織り込み済みの、女性性を逆手に取った表現ような気もする。私のお気に入りはセブンルールで見たことのある藤原麻里菜さん。「もし、技術が発達して、アバターを作って仮想空間で生きれるとしたら、私は女の身体を選ばず、カービィみたいなピンク色の球体を選ぶだろうと思うのだ。そうしたら、女であることの不安や恐怖から解放される。ピンク色でかわいいし。丸くてかわいいし。そういった願望があるけれど、身体からは解放されない。生殖器があるからだろうか。生殖器が私の身体にばっちり組み込まれてるからかな。テトリスだったらセックスしたときに消えそうだけど、そうもいかない。私の身体は消えない。だから、愛するしかないのだ」。

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    2025年10月05日
  • 胃が合うふたり(新潮文庫)

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    笑って読んでいたはずなのに、時折、するどい言葉にハッとさせられました。それも、2人それぞれに。
    大人になっても、いや、大人になったからこそできる友達づきあいがあるのよね。あと、無性に何か食べたくなるなあ。

    直木賞受賞に「おめでとう」とひっきりなしに祝われて「ありがとうございます」と打ち込み続けるうちに、ありがとうのゲシュタルト崩壊を起こしかけていた千早さんの元に、新井さんが「乾杯!」とスタンプを一つだけ送ってくれて反射的に「おうよ!」と返して調子を立て直すエピソードが好き。

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    2025年10月03日
  • 犬も食わない(新潮文庫)

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    読ませるなあ、と思った。
    読み進めていくうちにもっと先が気になってくる感じ。
    「得をしない小説を書く」、尾崎さんが言っている通りの小説だった。

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    2025年09月30日
  • 私の身体を生きる

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    テーマはとても興味深い。
    面白いかと言われれば分からない。
    人の隠しておく部分を覗き見したような気持ちになった。「隠しておく」部分ではないのである、もっとオープンに話そうよ、自分の身体のことなんだから、がメッセージか?

    年を経ると病気の「身体」のことをしょっちゅう話すようになるのに、この本読んで「隠しておく」部分と感じたのは何故なのだろうか? 社会による刷り込みか?

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    2025年09月18日
  • 私の身体を生きる

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    高橋源一郎さんのラジオで紹介されているのを聞いて読んでみた。
    同じ状況でも「気づいてしまう人」と「気づかずスルーする人」がいると思うが、
    「女であること」で少なからず嫌な思いをした経験は誰にでもあると思う。
    痴漢について、本筋からはずれるかもしれないが、これだけ多くの女性が被害に遭ってる、ということはそれだけ痴漢をやったヤツがたくさんいる、ということよね?
    もしかしたらそこにいる善良そうなおぢさん、爽やかそうなお兄さん、しょぼくれたおじいさんだって!
    それでもみんな知らんぷりして普通の生活をしているんだろう、と思うとものすごく腹立たしい。
    またまた話がズレるが最近読んだ大谷晶さんが自分をすごく好いている、と書かれていたことがとても印象的だった。
    いろんな思い、様々な経験をした上での発言だと思うが、ぜひともこのリレーエッセイに、大谷さんも寄稿してもらいたい、と思った。

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    2025年09月09日
  • 雷と走る

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    この本を正確に理解しようとすると難しいのかもしれない。
    幼い頃愛を注いでた犬の本能に目を背け、異国の地に置いて来た事を後悔する自分と、その後悔故に今の恋人への愛に自信を持てない自分が交錯する。
    何か結論があるわけではなく、淡々とした語り口。
    停滞した自分を停滞したままに描く。短いので読みやすい。

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    2025年09月08日
  • なみまの わるい食べもの

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    大好きなシリーズ。
    相変わらず千早さんのこだわり目白押し。

    どんなに周りの環境が変わっても食べることは毎日の中にあって、だからこそ大事にしたい。

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    2025年09月07日
  • 人形たちの白昼夢

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    毎日寝る前に一つずつ御伽話を開くような気持ちで読んだ。挿絵もすごく素敵。
    モンデンキントだけ少し毛色が違っていたけれど、思春期のほろ苦い思い出の一欠片が童話のような物語と並べて収められてる構図がなんだか良い。
    ポットの視点で語られる「あなた」がとても素敵で、ワンフォーミー・ワンフォーユーがすごく好きだった。

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    2025年09月05日
  • 私の身体を生きる

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    こんなにも赤裸々に皆書いて良いのか!?と最初動揺したが、それぞれ考えさせられるものが多く、有意義な時間が過ごせた。

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    2025年08月29日