千早茜のレビュー一覧
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短編集をあまり読み慣れていないが、連作集だったので世界観に没入しやすかった。各話主人公が異なり、視点が変わるので各々の思考・嗜好を味わえるのは短編の面白さだと思う。
性別・年齢・学歴が様々な人物たちの価値観の癖を理解できるくらいには、自分は大人になった気がする。ひとつ目の「ほむら」は難しかったので、まだまだガキだなとは思いつつ。
学生時代に、「大学4年の卒業前に自分が死んだら葬儀の参列者は最多になるに違いない」と思ったけど、死んだらそこでみんなの記憶が止まり忘れ去られるだけなので、生き続けた方が「あとかた」は残せるんだろう。良くも悪くも -
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すっぴん茜
ってな事で、千早茜の『わるい食べもの』
千早茜さんの食を通してのエッセイと言うより、千早茜の取り扱い説明書的な本じゃね
より千早さんの事が知れるし、これ読んだ後に千早さんの本読むとまた格別に面白味が増すじゃろなぁ
千早さんの思考回路好きじゃなぁ
ちょっと西加奈子さんのエッセイの『まにまに』にも近い感じがあるね
海原雄山やハンニバル・レクター博士を敬愛してるとか
あと、赤坂憲雄さんの『性食考』を読まなくてはと思うね
わしの『わるい食べもの』の定義はしょうも無い、下らん人と食べる事じゃね。
美味しい料理も、美味しい日本酒も不味くなって仕方が無い
2021年44冊目 -
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主人公は帰国子女の羽野くん。
植物(観葉植物や南国の草花)を愛し、自宅では沢山のそれらに囲まれて暮らしている。
編集という仕事柄か周りには沢山の女性たちが居るが、華々しい彼女たちとはいつも、一定の距離感を保っている。
いや、女性たちだけでなく、羽野は他者と深く関わらないように生きているように思える。
決して人付き合いが下手なわけではないけれど、
口先だけの褒め言葉や、信念を曲げてまでの軽口はたたかない。
スマートと言えばスマートなのだけど。。。
その場で口にするかは別にして、言いたいことがズバズバとト書きで書かれるのはちょっぴり清々しい。
また、植物の描き方が美しい。
濃密で、こちらにまでむ -
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初読みの作者さん。
歴史に隠された、ある里に一族がいる。
長は青緑色に光る蟲(むし)を宿し、悠久の命をもつ。その蟲をつかい人間の病や傷を治す力をもつ。
この物語は、創始者シラとその祖先の御先(ミサキ)を語る。
稀有なる力をもつのに作品中にはずっと悲しさが漂う。
一族のなかでも力を持つものは僅かで、力をもった者は周りの者が死んでいくのを何回も見送り、一人残されて時代を過ごしていく。
またこの力を守るため、一族内での婚姻を続けていき、血の濃い間の子は健全な身体で生まれてこない……
一族を守るためが、一族が先細っていく……
男性でも女性でもない御先に、両性具有の四、二対あるはずの臓器が片方し -
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【2023年159冊目】
千早さんとしてはちょっと珍しい?ファンタジー小説。不死を題材にしています。連作短編集で、それぞれのお話の主人公は異なるのですが、そこに登場するのは、物語の鍵を握る不死の人間2人です。死なないという事実を受け入れた人間はどう生きるのか、ずっと凪いでいるような御先と、不死であるからこそ人間味のある四。対象的な二人ですが、共通点も多いんだろうなぁと。
なかなか胸糞な話もありつつ、最後の話が一番好きでした。漢字が読めなくてタイトルわからないんですけど…一方的な熱い思いを持った主従関係は反則では…?
表現の豊かさと同時に幅の広い作家さんでもあるんだなぁと感嘆した一冊でした。 -
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千早茜さんの織りなす、現代版の西洋童話。
ご本人のあとがきでは「話の筋は大体そのままで、既存のモチーフを鏤めて、その中で血や肉を持った西洋童話の登場人物がどう感じたかを描きたかった」と語られていた。
いやぁ、とても斬新でダークな世界観だった笑
やはり香りに纏わる描写が秀悦な作家さんだ。
以下、全7章の簡単なレビュー
私は特に「白梅虫」ハーメルンの笛吹き男と、「アマリリス」いばら姫、この2作品の西洋童話からの転換が独創的で印象に残った。
「迷子のきまり」ヘンゼルとグレーテル
背筋がゾクっとした。お兄ちゃんが用心深くて知恵があって良かったが、母を殺めた罪は消えない。兄妹だけで生きる道を探す -
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千早茜さんが好きで、過去作品をを読むべく手に取った1冊。
10年前の作品なのか…
湿気の多い雨の季節のような、
肌にじとっとまとわりつく湿っぽさが凄まじい。
テーマもテーマなので、これは好き嫌いが分かれるかもしれない。
短編集だけど登場人物が繋がっているので、
様々な人の視点から他の場面の事実が描かれ、
そういうことだったのかと後から気付く。
人って本当に都合が良い。
とにかくさらっと読めてしまう。扱う内容的にこの軽さがちょうど良い。
そして表現の繊細さはやはり秀逸。
食事の描写も、エッセイを読んだ後なのでなおのこと注目してしまった。
何気なく登場する花の花言葉が意味を持っていたり、とにか -
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愛されたら、受け入れるしかない。共犯者にしたかったの、あなたを-。
『あやかし草子』に続いての千早茜san。
「つめたい土の中にいる。」から始まる、2つの物語。過去を背負った哀しき女と、彼女に囚われていく男たち。
1話目「アカイツタ」は、女子校の臨時職員となった萩原、暗い目でこちらを見つめる少女の絵、絵を描いた生徒の謎の死、真壁教授、娘の小波(さなみ)。
2話目「イヌガン」は、家電メーカーに勤める耀(よう)、同棲する年上の彼女の澪(みお)、少しずつの不安。
主人公が変わったので完全に違う話かと思っていたら、海が近い、澪の名字・・・?などと気になりつつ、紅い蔦が生い茂る「建物」の前で、 -
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色の描写がすごい。"色んな色の絵の具がのってるパレット"が、この物語を読み出してすぐ頭に浮かんだイメージ。前に読んだ『透明な夜の香り』も色がいっぱい出てきたけど、香り、嗅覚の話だったからこっちは視覚の話?なんて思った。
女子校と若い男性教師が出てくるから爽やかな恋愛かもと思う反面、それはないだろうと思ったら、やっぱりドロドロとイヤミスな感じ。私はどっちかというとドロドロ、イヤミスは苦手なんだけど、この作品はすんなりと読めたし、面白かった。終始謎めいてて真相はどうなの?と考えながら読んだ。最後に全部繋がった時、ただ切ない、可哀想としか思えなかった。幸せになってほしいけど、そ