あらすじ
「おいしいね」を分け合える,そんな人に、出会ってしまった。古い京町家で暮らす夕香と同居することになった正和。理由は“食の趣味”が合うから。ただそれだけ。なのに、恋人の華には言えなくて……。
三角関係未満の揺れ動く女、男、女の物語。恋はもういらないと言うデザイナーの夕香。夕香の“まかないが”が忘れられない営業職の正和。食事より彼氏より、研究一筋の日々を送る華。一人で立っているはずだった。二人になると、寂しさに気づいてしまう。三人が過ごした季節の先に待つものとはー。
感情タグBEST3
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タイトルから連想されるのは、三角関係、おむすび、サンドイッチ・・・・
最初に、大好物の「塩むすび」があって、
涎がでそうだった。
京都の町屋のちょっと薄暗い、じめっとした背景に、
東京の生活に疲れた女性と、年下の男性、その恋人の仕事に忙殺されている女性との、微妙な三角関係の描写が何とも言えなかった。
高村は、大人で、料理も上手で、仕事もできて、自分をしっかりと生きている感じだった。
真逆のタイプである華との間で、揺れ動く伊藤君の気持ちもよくわかる。
3人がそれぞれの目線でストーリーが進んでいく手法はよかったと思う。
「ヒトってさ、自分にとって都合が悪いものを変だっていうんだよ」
ともちゃんの言葉は、普通じゃないと言われ傷ついた心に温かい灯をともしたと思う。
カップ麺ばかり食べる堀教授といい、わき役たちのキャラもなかなか良かった。
人は生き物である限り、どんな状況でも、食べ物から離れることはできない。
食べることは命を保つこと。
丁寧に手をかけられたたくさんの料理、マネしたいものや、食べたいものが盛沢山だった。
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そのタイトル通り3人の人物の目線でそれぞれ物語が進んでいく。
章ごとに主人公が代わるので、3人のそれぞれのキャラクターや考えていることがより深く読者に伝わりやすくなっていた。
例えば伊東くんが主人公の章でも高村さんのその時考えていることが容易に想像出来るような構造だ。
三角関係の話かと思いきや安易に想像するような三角関係ではなく、この後どうなるのだろうと読み進む手が止まらなかった。
どこかほっこりとするようなそんな物語だった。
重ねてこの本を読んでいると食事シーンや繊細な食べ物の描写が多く、酷くお腹が空いてしまった。
空腹時に読むのは注意な本。
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とても好きです。
こういうタイプの小説って、生活の描写が丁寧すぎて読みづらいイメージがあるけど、この本はそこの加減がちょうど良かった。
ご飯が美味しそうなのはもちろん、季節の変化や京都の空気が感じられる表現もひとつひとつ素敵。
Posted by ブクログ
さんかく…ねー!!
パフェとか、ベトナム料理とか…
たくさんたくさん美味しそうなお料理出てきたけど、
華ちゃんのターンがね〜(泣)
例のブツが入った同じ冷蔵庫から豚汁出して、食べる??
いやー、本筋とは別のところで、あたし、かなり怖かったです…
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三角関係のそれぞれの人が癖があって面白い。又、出てくる食べ物がともかく詳しく表現されていて美味しそう何度も食べたく成りました。
最後も良かったね〜。
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初めての千早作品。
高村さんの作る数々の手料理と共に伊東くんと華さんとの感情が交錯していく。
「さんかく」関係。
美味しいものを美味しいと共有できて、同じ感覚で食べられるとより美味しいのだろう。
その美味しさに見え隠れしながら、役割や愛情が上乗せされてしまう。
自分の生活スタイルを守っていくために自問しながら決めていく。
今時らしくていいなとも思う。
手料理してみたくなる。
次も千早茜作品探してみようと思う。
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夕香と正和はなんか恋愛というか、ソウルメイトみたいな感じだったのかなぁ。食べ物を一緒に美味しく食べられる相手は貴重。ソウルメイトと恋愛はちがうかもだけど、男女だとややこしい。正和は華も夕香も手に入れるのは無理なんだろうか、いや無理か。正和と夕香がずっと一緒にいてほしいと1読者としては結末にモヤモヤしてしまった。
Posted by ブクログ
腹が減る…。文章だけで口がもぐもぐしてしまってお腹がすく。ご飯を竈で炊いた匂いがする(気がする)。
自分は自分を作るご飯にどれぐらい興味を持ててる?って改めて思った。食事を楽しみたい!美味いものだけを食べたい!!
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ああ〜千早茜良いわ〜〜最高ですよ…
落ち着いていて上質な恋愛小説だったな…
ありきたりな感想だと思いますが、料理の描写もすごくおいしそうで良かった!
丁寧な暮らしを目と心で摂取した気分
栄養があって美味しい、手作りの和食をこさえられるようになりたいものです
でも最後のらへんはそうはならんやろと思ってしまったのですが、他の人はどう思うだろう?
高村さんが伊藤くんに少しでも好意を見せたら彼は華と別れてころっと高村とくっついたと思うなあ
華も華で、私に理系の似たような研究室に通っていた友達がいるのもあって、あれだけ研究に一心不乱な人は踏んだり蹴ったりになった恋愛をやり直そうと思わないと思うのね
で、華目線の語りと伊藤くん目線の華のイメージの乖離がすごくてだな…
研究室での華はくたびれつつも理性的なのに、オフとはいえあんなに子供になる?とかも考えたり
ということを誰かと議論したいです
あ〜面白かったあ〜〜!!
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おいしそうなご飯がいっぱい出てきてお腹がすく。
やっぱりまた京都で暮らしたいな〜と思った。地獄のような暑さと底冷えする冬に耐えられるかはわからない...町屋の暮らしは大変そう。
恋人がいるのに異性と同棲するのも同居人の恋人の有無を確認しないのもちょっと変じゃない?と思ったけれど、恋愛とか性欲抜きで誰かに受け入れられたいという気持ちはなんとなくわかる気がする。好きなことに真っ直ぐすぎて恋人に時間を割かないのも変?ではあるのかも?お互いの関係性に名前がついていない、お互いに責任がない関係は楽だし居心地が良いのかな これが人間なのかもしれない、とか思った。恋愛経験が乏しいためあまりわからないが
本の帯を見て読むか迷ったけれど(恋人がいるのに食の趣味が合うからって異性と同居するのは変じゃないか?と思ってしまったため。)読んで良かった。じんわりするお話。お腹がすく。
Posted by ブクログ
30代後半独身女性フリーデザイナーの高村、後輩の伊藤と彼女の華。
伊藤は華とすれ違いを感じながら高村さんと同居を始める。
居心地の良さと好きってなんだろう。イコールじゃないのかな?と答えのない疑問を投げかける一冊。ゆるゆるとした空気感の物語ですが不思議と考えさせられた。
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美味しいご飯のお話だと思っていたら、恋愛?人間関係?が複雑に絡み合っていてびっくりしました。
最後の着地がどうなるか続きが気になるストーリーで、さくさく読み進めることが出来ました。
共感できるところもありましたが、なんともいえない読後感です。。
Posted by ブクログ
三角関係の「さんかく」なんだろうけど、三角関係とも言えない三人の視点で物語が進む。
美味しそうな料理と京都の雰囲気が印象的。ほんわか柔らかい空気感で語られていて、ゆったりした気持ちになれる。
と思いきや、華ちゃん登場の章では、突然動物(しかも大型)の解剖場面となり、若い女の子が血と死体の匂いまみれで、ヤバイ。四六時中、動物の解体とか内臓とかについて考えている華ちゃんは、やっぱりちょっと普通じゃなく、でも好きなことに打ち込む姿はカッコイイなぁ。
一方で、高村さんの穏やかな暮らしもすごく魅力的で、同居する伊東くん、羨ましいなぁ(ネズミは勘弁)。 古い町屋、実際に住んだら大変そうだけれど。
ちょっとした諍いはあるけれど、読んでいて気持ちのいい話だった。
これからの高村さんが忙しすぎないといいな。
Posted by ブクログ
「雨が降ると、木造の古い町家は濡れた土の匂いでいっぱいになる。」
始めの一文から、いい感じだなあと思った。雨の匂い、コーヒーの香り、坪庭の青もみじの色、そして角のまるい三角の塩むすび。京都の町家の情景や、料理を表現する文章にひきこまれた。それは、読み進めても変わらず、自然描写が素敵で、料理は本当に美味しそうな香りや湯気を感じられるようだった。
その町家に住んでいる高村さんと、学生時代にバイト先が同じだった伊東君は、食の好みが同じという理由で、一緒に住み始める。でも伊東君には、付き合っている華がいる。さんかくとは、この事でもあった。
食はやはり、好みが同じ方が楽だと思う。伊東君が高村さんと日々食事を共にする気持ちもよくわかる。高村さんが、作った料理をおいしいといってくれる人と暮らす楽しさもよくわかる。華さんが、解剖することが大好きで大学での仕事を第一に思う気持ちもよくわかる。三人の気持ちはとてもよくわかるのだけれど、ここに恋愛が絡むと、気持ちの面で受け入れられないことが出てくるなあと思った。
日々暮らしていくうちに、高村さんが気づいたことは、私にも当てはまることかもしれないと思った。居心地のよさを与えることは、自分の居心地がよくなることとは限らない。
最後に高村さんが潔い結論をだしたことで、伊東君が動きだし、華さんと向き合えたことは、よかったと思った。読後感がスッキリしたのは、それが理由だと思った。
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さんかくのタイトルだから、おにぎり、サンドイッチ…と続いて食べ物関連の話題なのかと思っていたら、さんかく関係だった。
千早さんの作品には一人で自立している女性がよく出てくる。
きれいで料理が上手でお金もそれなりにある、でも恋人がいない、もしくは必要としていない。
三角関係もよくある、二人が一人を好きというのとは違う。
食って生きる上で大切だけど、別に手づくりじゃなくても困らない。
でも食の好みって同じだといろいろ共有できる。
普通、変、自分が求めているのは本当は何なのか、自分が逃げていたことは何なのか、価値観で優先順位をつけたらなにが一番なのか、考えさせられた作品だった。
結局優柔不断だった彼は選ぶことなく、消去法でもう一人の彼女とよりを戻す。
そっちか〜という思いと、それはハッピーエンド…か?という思いが交錯した。
Posted by ブクログ
誰だって、恋愛のおいしい(たのしい)部分だけを味わいたい。自分の居心地のいい生活を維持したい。楽でたのしくてしんどくないことをからだも心も求めているに決まっている。と思う。
恋愛なのかそうじゃないのかよくわからないさんかく関係。その一角であると伊東くん(正和)はいい思いをしていると思う。
高村さん(夕香)との食べ物でつながる生活を楽しみ、恋愛では華との肉体と情愛でつながる生活を味わっている。それぞれに自分の望む部分があり、どちらをより優先すべきなのか、初めは自分の感情を第一に考えるから選ぶことができない。結局どちらを選ぶかとなったとき、自分からではなく相手の出方で選ぶ……というところが本当にしょうがないやつだなあと……(失笑)
けれどこの素直さが、ある意味憎めない愛しさとなって手放せないんだろうなあ、と。
正和に合わせるために自分を変えていた華はそれをやめ、これが自分、と己の生き方・生活を曲げずに生きていくことを決意したのでそれもまたすごい決意だなあと。何かを通すためには諦めなければならないものがあるわけで。皆それぞれお互い様で、お互いに我慢したり相手に合わせていたりする部分はあって……自分がしたいようにしていてそれが通っているのが当たり前と思っている人は、一度周りがどれだけ自分のことを思いやってくれているか、気づいた方がいいなと思った……。
高村さんと伊東くんの関係、
伊東くんと華の関係、
このふたつは対になっているようにも思う。
高村さんと伊東くんは結構言葉にしなくても相手の思っていることを深く察していて、
伊東くんと華は言葉にしないために相手を思って行動したことが空回りしていて、
これが生活を共にして馴染んでいる人同士と
恋愛をしていてお互いのことがあまり見えていないときがある人同士
なのかなあ、どうかなあと面白く、考えまくって楽しんだ。
いつも小説を読むときは、大体こんな展開かなと想像したり、こんな展開だといいなと思ったりするのだけれど……
最後は伊東くんが願う未来につながる選択ができたのならそれでいいや、と読み進めていった。胸にぐってくるものがそこかしこにあって、これは今自分の生活を大事にしたいと思う自分のときに読んで本当に良かった……と心から思った。
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さんかくは色々だけど男女のさんかく関係も。
けどどろどろとした恋愛のお話じゃなくて美味しそうなご飯も出てくるから両方楽しめる。
どうして彼女が居るのに他の女性とルームシェアをしてしまうんだ???それ甘い甘すぎるぞ!となりました。
登場人物事に話が展開される章になっているので読みやすかった。
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三角関係未満の女、男、女のお話。高村さん、伊東くん、華の話が順番に書かれて繰り返されている!
伊東くんの彼女さん(なんだよね?)のお話は最初何だか難しいしちょっとグロい気がして半分適当に読んでしまったけど:( ;´꒳`;)汗
各章のタイトルにもあるように食べ物のお話がたくさん詰まった1冊でした。どのご飯も美味しそうだなぁ、私も食べてみたい(*ˊ˘ˋ*)
食の好みが合うって大事だと思う今日この頃。
とはいえ、彼女がいるのに別の人と同居を始める伊東くんは意味が分からないけど。まあ高村さんも確認はしてないんだが…。お互いに責任がない関係だから楽ってのはあったんだろうけど、、。あと伊東くんあんなに作ってもらってたのに食費もほとんど出してなかったのもどうなんってなる。
一応最後はまるくおさまった(?)けど、あの2人が今後も上手くいくのかどうかは謎だなと思った( ´・ω・` )
高村さんと伊東くんの同居生活は楽しさが伝わってきて今後も続けられたら良かったのになとしみじみ。(恋人とのことを解決出来ていたらの話だが)
千早茜さんは初めてでしたが読みやすくサクサク読めてあっという間に読み終わることができました!
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高村さん、伊東君、華ちゃんの3人の視点で進んでいく話。
華ちゃんという恋人がいるにも関わらず、食の趣味が合って居心地のいい高村さんとルームシェアし始めてしまう伊東君…。それはよくないなぁ。
割り切れない思いをそれぞれが抱えて物語は進んでいく。
最後は高村さんが心機一転引っ越しと転職をすることで伊東君との関係は終わるけれど、伊東君のはっきりしなさがモヤモヤ。あまりスッキリしない終わり方だったけれど、とにかく出てくるお料理がどれもリアルに思い浮かんで美味しそうでした!
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そのさんかくか、途中で理解した
主な登場人物は三人
間に入ってるのは男
悪いことしてる訳ではないけど、
それはあかんことやろうと思う
とはいえご飯の描写がやっぱり美味しそう
手巻き寿司やりたくなったw
今が春だから山菜料理とかやってほしい
私も料理を教えて欲しい
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後半にいくにつれて、読むスピードかあがってスラスラ読んだ。
3人の感情がそれぞれの目線で描かれていて、混じり合わないと、言葉にしないと相手には伝わらない感情だよな〜と。
パン屋さんのパンが食べたくなった!ぶどうパンにかじりつきたい。
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日々のご飯や何気ない日常を美しく書いていて素敵だなぁと思う反面、大きなイベントがなく、読んでいる間は文章が脳を滑っていくような感覚がした。
登場するメニューは美味しそうだけど、味の表現が「しゃきしゃきしてる」とか「みずみずしい」とか簡潔な一言でまとめられていることが多く、グルメ小説は読者も食べた気分になってこそと思う私にとっては物足りなかった。
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ラムとパクチーの水餃子が食べたい。そして行きつけの居酒屋のつまみの美味しそうなこと。通いたい!
さんかく、というタイトルだけど、見栄っ張りとぼんやりのカップルの関係に人生の踊り場にいる年上の女性が巻き込まれて、3人とも自分を見失いそうになる(けどもいちど見つめ直す)話だった。
生活と恋愛というテーマに、今の自分の状況と共鳴するところがあった。
Posted by ブクログ
生きていると潔白な人間関係ばかりじゃなく白黒つけられないグレーも多くて、そんな曖昧な関係が絶妙に描かれている。
そして、ごはんの描写がリアルで誰かと一緒においしいごはんが食べたくなった。
☆3.5
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高村さんのお料理が終始美味しそうで、私もこんなふうにお料理を振る舞えるようになりたいな〜と思った。
最後、高村さんが関係を潔く断ち切って、伊東くんと華がもう一度やり直していくが、後味が良かった。自分のやりたいこと、ほしいものに向き合って進んでいってほしい。
以下、印象に残ったフレーズ。
風景を描く言葉の美しさがすごいと思った。
普段自身も目にするような光景、そのすてきさが言葉にしっかり込められていて、あの風景はこんな言葉で表現できるのか、と思った。
「選べる自由って一番を見失うよね」
「見あげると、桜が咲いていた。音もなく降ってくる。枝先にぽんぽんと咲く白い塊はホイップクリームのようで、やわらかい気持ちになった。」
「炊き立てのご飯に目を細める。まぶしい白。光を吸い込んだような米粒が、ぴちぴちとかすかな音をあげている。」
Posted by ブクログ
世の中には説明が難しい、割り切れない関係性もあるだなと思いました。
物語に出てくる料理がどれも美味しそうで、自分自身が料理好きだったらよかったなと思いました。
Posted by ブクログ
ご飯が美味しそう。私も大切に美味しいご飯を食べたい。
1日2食しか食べない主人公は食事をとても大切にする。そのシーンはかなり印象的だ。
大人なのに、大人だからこそ、上手に出来ない。仕事や恋愛、暮らし。不器用で少しずるい、そんな大人たちの物語。