千早茜のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
初読みの作者さん。
歴史に隠された、ある里に一族がいる。
長は青緑色に光る蟲(むし)を宿し、悠久の命をもつ。その蟲をつかい人間の病や傷を治す力をもつ。
この物語は、創始者シラとその祖先の御先(ミサキ)を語る。
稀有なる力をもつのに作品中にはずっと悲しさが漂う。
一族のなかでも力を持つものは僅かで、力をもった者は周りの者が死んでいくのを何回も見送り、一人残されて時代を過ごしていく。
またこの力を守るため、一族内での婚姻を続けていき、血の濃い間の子は健全な身体で生まれてこない……
一族を守るためが、一族が先細っていく……
男性でも女性でもない御先に、両性具有の四、二対あるはずの臓器が片方しかない者、健全な身体のものは子孫を残すために子作りを任される。
見た目の違いや身体の不完全さを、人々は怖れ蔑む。
傷や病を治す力には、すがってくる。
各話ごとに語りが変わるのと、夢のなかでほかの人物の追体験が起こるので、読み手は翻弄される。
身体や命を傷つける残虐性にも目を背けたくなる。そして心への傷も深い。
まったくタイプの違う四が現れて、御先は自分の道を選んだ。
長身で縮れ髪に黄色い目、鷲鼻という日本人離れした四は、感情が爆発するほうで良くも悪くも御先の人生に変化を起こしてくれるだろう。
なにより、初めてこれから御先に寄り添っていける人が現れたのだ。
きっと今も二人がどこかの神社佇んでいると思えてならない。 -
Posted by ブクログ
【2023年159冊目】
千早さんとしてはちょっと珍しい?ファンタジー小説。不死を題材にしています。連作短編集で、それぞれのお話の主人公は異なるのですが、そこに登場するのは、物語の鍵を握る不死の人間2人です。死なないという事実を受け入れた人間はどう生きるのか、ずっと凪いでいるような御先と、不死であるからこそ人間味のある四。対象的な二人ですが、共通点も多いんだろうなぁと。
なかなか胸糞な話もありつつ、最後の話が一番好きでした。漢字が読めなくてタイトルわからないんですけど…一方的な熱い思いを持った主従関係は反則では…?
表現の豊かさと同時に幅の広い作家さんでもあるんだなぁと感嘆した一冊でした。 -
Posted by ブクログ
愛されたら、受け入れるしかない。共犯者にしたかったの、あなたを-。
『あやかし草子』に続いての千早茜san。
「つめたい土の中にいる。」から始まる、2つの物語。過去を背負った哀しき女と、彼女に囚われていく男たち。
1話目「アカイツタ」は、女子校の臨時職員となった萩原、暗い目でこちらを見つめる少女の絵、絵を描いた生徒の謎の死、真壁教授、娘の小波(さなみ)。
2話目「イヌガン」は、家電メーカーに勤める耀(よう)、同棲する年上の彼女の澪(みお)、少しずつの不安。
主人公が変わったので完全に違う話かと思っていたら、海が近い、澪の名字・・・?などと気になりつつ、紅い蔦が生い茂る「建物」の前で、すべてが繋がりました。
また、耀が澪との出会いの頃として語られた言葉に胸をつかれました。
”信じるのって相手に失礼じゃない?”
彼女はよく闘いました。夾竹桃(きょうちくとう)が見える庭で、少しでも眠れますように。 -
Posted by ブクログ
色の描写がすごい。"色んな色の絵の具がのってるパレット"が、この物語を読み出してすぐ頭に浮かんだイメージ。前に読んだ『透明な夜の香り』も色がいっぱい出てきたけど、香り、嗅覚の話だったからこっちは視覚の話?なんて思った。
女子校と若い男性教師が出てくるから爽やかな恋愛かもと思う反面、それはないだろうと思ったら、やっぱりドロドロとイヤミスな感じ。私はどっちかというとドロドロ、イヤミスは苦手なんだけど、この作品はすんなりと読めたし、面白かった。終始謎めいてて真相はどうなの?と考えながら読んだ。最後に全部繋がった時、ただ切ない、可哀想としか思えなかった。幸せになってほしいけど、そうはならないかも…。
真壁小波から出てるミステリアスな雰囲気が、周りの人間を惑わすのか?みんな破滅してる気が…。真壁小波は別に何も悪くはないと思うんだけどな。
千早茜さんの作品は数冊読んだけど、正直私はあまりハマらなかった。でも『眠りの庭』は面白く読めた。