千早茜のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
桜をめぐる7つの短編集。
丘の上の美術館や、長い石段、神社の境内など、一つの街を舞台にした物語たちであることも示唆されている。
それならばきっと、彼らが見ている桜の花も、違う桜ではないはずだ。
少しセンチメンタル過剰な気がしないでもなかった。
けれどそれはまあ、桜の樹の精の霊力みたいなもののせいということだろう。もしくは管の中に棲む狐の瘴気に中てられたとか。
「人が完全に分かり合うことはできないと私は思う」
とあとがきで述べられているけれど、確かにそうだと自分も思う。
けれど、同じものを同じ場所で見ることはできるはず。
だからと言って、隣でそれを見ているあなたが、私と同じことを感じているは -
Posted by ブクログ
桜をモチーフにした、寂しい女の人が多く出て来る話。
切ないような冷たさが、よく合っていて、読んでいると自分まで苦しくなってくる。
冒頭、管狐の話はハードカバーからずっとお気に入り。
人に接するのが苦手な主人公が、思いっきり変わった世界を持つ男にゆっくり近づいてゆく。
夫への復讐に他の男と遊びながら、癒されてゆく女や、遊びでしかなかった関係を引きずりながら日々を過ごす男。
求めているものが手に入らない苦しさの中で、桜という刹那の美がそれぞれの瞬間に彩りを添えていく。
決して美しいだけではない、ぶるっと寒くなる感覚も多いが、空気感の好きな作品。 -