千早茜のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
千早茜さん。
気になっていたけれど、今回はじめましてかな?と思っていたら、かなり前に『西洋菓子店プティ・フール』を読んだことがあった。
なるほど、そういう感じの作風なのね。
と腑に落ちた。
女性の生きづらさを重めのエピソードで描いた作品。
第一部は少女時代。
心の病気で不安定な父親がいるから(?)島に預けられる。
完全なる男尊女卑の前時代的な閉鎖空間で、主人公の思いも及ばない理由で追い詰められていた少女と出会う。
強い彼女に憧れるけど、彼女はイマイチ自分に心を開いていないように感じて不安になる矢先、脱獄犯と一緒にいなくなってしまう。
第二部は大人になってから。
女性であることが理由で受ける、 -
-
Posted by ブクログ
親を亡くし一人になった20歳の夏、父よりも年上の写真家の男と出会った――。男の最後の写真集を前にあのひとときが蘇る。妙に人懐っこいくせに、時折みせるひやりとした目つき。臆病な私の心に踏み込んで揺さぶった。彼と出会う前の自分にはもう戻れない。唯一無二の関係を生々しく鮮烈に描いた恋愛小説。
私はここまでの激烈な恋心を誰かに抱いたことがそもそもない。でも、年とか関係ないんだよなあ、とは思う。私も恋愛関係ではないけれど、この人と出会って自分は変わったと思える、ソウルメイトみたいなものだと解釈している人がいるので藤子の気持ちは少し分かる。自分が何もかも失ったと思っているときに押し付けがましくない優しさ -
Posted by ブクログ
ネタバレ藤子はなぜ全さんを好きになったのか
全さんは、これまで出会った承認欲求と自己愛の塊みたいな女ではなく、よく見せようと取り繕うこともしない荒々しく若い藤子の生命力に惹かれた。
美しい瞬間を切り取って残すことが出来る全さんはそこまでで満足できていた。しかし、自分にはない生命力に惹かれその先を期待してしまった。自分にないものを近くで見たとき、残酷な現実を突きつけられる。互いに求め合うようになると欲が出てしまう。求め合う男女の終わりと始まりが交錯している。全さんが撮った藤子には人間そのものの生々しさが切り取られているのだろう。
当事者から見た物語、第三者が客観的に見た物語。それぞれの物語が完全 -
Posted by ブクログ
ネタバレ最初は神様は全さんのことだと思っていたけど、全さんから見た藤子でもあり、そして本物の神様の暇つぶしのようにあっさりと終わってしまった一夏だった、ってことなのかな。
実際の恋愛らしいというか…
著名な写真家と親を亡くした子供との30歳差の恋愛がありがちということではなく、美しく描かれるフィクションの中のきちんとした大人じゃなくて、あっさりいなくなって、何もわからないまま終わらせられるところがリアルだと感じた。
私もこの出会いになんの意味があるのかとか考えてしまうけど、そんなものは人間が納得したいがためだけに考えられることで、全ては神様の暇つぶしだと思うと納得できる気がした。 -
Posted by ブクログ
恋人同士じゃない男女が、一緒の時間を過ごす理由はお互いが楽で気兼ねなく過ごせるから。寂しくなれば、その時いつ連絡しても大丈夫な相手だから。
主人公と男友達のハセオの2人はとても似たもの同士です。しかし男女とはいえ、それぞれの屑っぷりがすごい。また、それを互いにわかっていながら本気で非難しません。
ありのままを受け入れてくれて、まともな大人へ軌道調整してくれる、でも男女間の付き合いはなし。一定の距離を保ちつつ友人関係を保っています。
応援されるのも、することにも疲れる場合ありますよね。だまってこっちが呼ぶまではほっといてくれる、そんな男ともだちが理想かも。
主人公が、途中から仕事に真摯に -
Posted by ブクログ
ネタバレ読みやすいストーリー構成ですぐ読めた。
「みんな自分の恋愛だけが綺麗」
その通りだと思う。本当に嫌になる。
自分の理解を通り越したものは異端として徹底的に殴られる。
その痛み、とても解る。
全さんは生を肯定し、享受するためにカメラに収めていたんだろうな。
自分の話になるが、おじいちゃんとおばあちゃんの何気ない瞬間をフィルムカメラに収めた時に思ったことがある。
僕たちは「永遠」を手に出来ないから、「一瞬」を愛でる事で「永遠」を彷彿とさせる事が出来るんだろうなぁ、と。
タイトルの神様の暇つぶし。
彼女にとっての神様は全さんであり、その生活はエデンの園にある禁断の果実だったんだろう。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ恋愛経験のない高身長の20才の藤子。
女性関係豊富な既婚者・全。
藤子が父親より年上の全と出会いひと夏の切ない恋愛を描いた小説。
知り合った時、全の余命は半年だった。
感情移入をしない全に対して、若くて正直な藤子に無愛想ながらも惹かれていった。そして藤子も。
千早さんの小説は初めて。文章の表現がとても魅力的だった。とても読みやすい。
だけど生々しく重い表現が多いし、この二人、私的には好きになれなかった。
『神様の暇つぶし』の神様とは二人を出会わせるいたずらをした神様であって、お互いを神様だと表現し、ひと夏の暇をつぶした(暇つぶしではあってほしくない恋愛だけど)二人のことなのかと思った。