あらすじ
天才調香師は、人の「欲望」を「香り」に変える――。
直木賞受賞第一作。『透明な夜の香り』続編!
「君からはいつも強い怒りの匂いがした」
カフェでアルバイトをしていた朝倉満は、客として来店した小川朔に、自身が暮らす洋館で働かないかと勧誘される。朔は人並外れた嗅覚を持つ調香師で、その洋館では依頼人の望む香りをオーダーメイドで作り出す仕事をしていたのだ。
朔のもとには、香りにまつわるさまざまな執着を持った依頼人が訪れる。その欲望に向き合ううちに、やがて朔が満を仕事に誘った本当の理由が分かり……。
香りを文学へと昇華した、第6回渡辺淳一文学賞受賞作『透明な夜の香り』に続く、ドラマティックな長編小説。
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透明な夜の香りに続き今回もすごく良かったです!
今回少し小川朔のことが出ていたと思います。もし続きがあるなら少しずつ朔のことを読んでいきたいなと思いました。そして一香が出てきてて嬉しい!洋館での仕事を去ったあともみんなとの関係が続いていて良かったです。香りは記憶に残る、香れば記憶が戻るなら私も朔に作って欲しいです、
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初めの五行で撃ち抜いてくるのが千早茜さん。
今回も、冒頭からぐっと引き込まれて、その日のうちに読み切りました。
次の続編があればぜひ一香と朔のお話をもっと…とは思いつつ、二作目ということもあって世界観にも入り込みやすく、また明かされた過去も、朔のキャラクターを深く知ることにつながり、サスペンスじゃないけど謎解きのような気持ちで読み進めた。
そして、最後の五行で、また撃ち抜かれた…。朔の、千早さんの言葉が頭の中を駆け巡って、記憶の引き出しをばんばか開けていく。その片付けをしながら、記憶が再整理される。これだから読書はやめられない…!
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前作を読んで面白かったので。文章や表現が綺麗で好み。前作の主人公(一香)が所々登場し、他者視点から描写されたのも良かった。
満がどんな過去を持っているのか?赤い月とは?前作に比べて不穏な緊迫感も感じつつ読み進めた。どちらかといえば前作のほうが心地よい余韻は残ったが、今作も好きな終わりかただった。
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天才的な嗅覚を持つ調香師と、そのアシスタント、顧客が織りなす物語
読み終えた後、圧倒的な清々しさを覚えた
この調香師が登場する作品を読んだことがあり、衝撃的だったことを覚えている
前回はある女性アシスタントが主役だったが、今回は調香師と同じ施設で育った男性が主役となる
2人とも、母親に捨てられた経験を持ちながら、異なるタイプの人間に成長する
アシスタントは全力で母親を憎み、常に冷静な調香師はそんな彼を羨ましく感じる
本書ではいろんな傷を持った人が登場する
ただ、調香師を含めた人の繋がりの中で、少しずつ救われていく
完全にハッピーエンドというわけではないのだが、なぜかみんな救われたように感じた
この作品は久々に感じた傑作の一つだ
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前作の『透明な夜の香り』を読んで、"香り"という新しいジャンルがすごく興味深かったから作者のことを調べていたら続編であるこの本に辿り着いた
もうすでに続編が読みたいくらい魅了されている
早く出ないかな
実際に香りが漂ってくる訳ではないのに、香りが想像できてしまうのが不思議で、作者の語彙力と伝える力に驚くばかり
朔さんの掴めない感じがまた良くて。
気高い一匹の白猫のような人だなと改めて思った
私も香りに敏感な方ではあると思うけど、一体朔さんから見る世界はどんなものなのだろうと考えてしまう
生きづらい世界ではないといいな
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透明な夜の香りを読んでいて、続編を読まずにはいられなかった。朔の言動の一つひとつが、ひっそりと人を救っていく。決して見えやすくはない優しさに包まれているなぁと感じた。
この柔らかな文章がとても好き。
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早くも次巻を手に取りました!
日常の一コマは時間が経つにつれあやふやになっていきますが、そこに香りがあったなら忘れられない記憶として刻み込まれるんだろうなと思いました。
素敵な思い出ならまだしも、トラウマレベルだとするなら「香り」って美しくて残酷ですね…。
終盤で満さんが茉莉花さんの「においが好きだ」と言ったシーンでは、何故だか泣きそうになりました。
「香り」が永遠に忘れられない記憶として刻み込まれるのだとしたら、「体臭を求めることは唯一無二の欲望」というのに納得ですし、表現が素敵だなと思いました。
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文字から香りのする「透明な夜の香り」に続き、静謐な色と香りの描写が美しい
新月から満月への月の満ち欠けと並行して少しずつ追い詰められていく主人公に感情移入し、怒りや執着、自分と向き合い赦すことについて考えた
小瓶に永遠に保存したい隠れ家のような本
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朔さんの「正しい執着」に対するアンサーが「赦し」なのであれば、朔さんが一香を傍においておくためには、まず朔さんが母親のことを赦すことが必要なのだろうけれど、『透明な夜の香り』であった通り、朔さんは"忘れられない"ひとだからこそ母を赦せないために一香を遠ざけることでしか大切にできないのがもどかしくて、でも美しい。
あるいは赦さないことで、愛着と執着のちがいすら知らなかった自分が一香を傷つけないようにしているのか、、、どちらにせよ前作に対する朔さんのアンサーが聞けてよかった。
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前作の一香さんと朔の間の、不思議と落ち着く雰囲気、通じ合っている関係性と比べると、今作の主人公と朔さんとの関係はかなりちぐはぐ。
主人公の特徴が強めで自己主張がある。だから、新城や朔さん、屋敷や依頼人だけに注目して見られた前作と比べると、主観的な印象を受けた。
前作とはまた違った朔さんや新城、そして同じ所があって、読んでいて楽しかった。
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香りはすごい 第一作目よりも好き。
香りの輪郭が明確になり、私もあらゆる日用品を自作したくなった。
それにしても、香りの記憶がもたらす影響よ…と思わずにはいられない。
日常は香りで満ちているのに、おそらく私たちはそれに無頓着すぎるのかもしれない。
せめて人工の香りと自然の香りの違いを感知できる能力を培いたい。
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『透明な夜の香り』の続編。
前半は、いらない感じがした。絵のないマンガを読んでいるような比喩や表現が多かった。
後半は、主人公、満にフォーカスされていって、面白く読めた。
前作同様、傷ついた人を少しずつ癒していく、その世界観作りが、千早 茜さんならではで、素敵です。
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世界観に没入してしまった。
皆が推す理由がよく分かる。
私の語彙力ではこの世界観を感想で表現できないのがもどかしい。
秘密と欲。香りと色。執着と愛着。青と赤。
2人にしか分からない一香と朔の関係性が好き。
本から漂ってくる薄暗い仄かな香りに誘われ、一気読み間違いなし。
Posted by ブクログ
こんなに最終章に満足できる物語はそう多くない。
かなり時間をかけてゆっくり読んだこともあって、世界感から出たり入ったりしたのに最後の章は一気読みだった。
前作の「透明な夜の香り」もそうだったけど、ずっとこの世界を見ていたいと思うような作品。
ひとりの夜を満喫できる日にまた読みたい。
Posted by ブクログ
透明な夜の香りの続編。
前回同様に描写が丁寧で場面や景色が想像しやすくて読み心地が良かった。
菜園や香りに興味があるので持ってこい。
今回の登場人物は過去に拭えない苦しみを背負っているけど最後には伏線が回収されるので救いがあると思わせてくれました。
Posted by ブクログ
透明な夜の香りの続編ということで期待して読みました!が……
個人的には今回の主人公?の朝倉くんがあまり好きになれなかった……。
話の内容はすごく面白かったし、一香ちゃんが出て来てくれたことも嬉しかったんだけど、朝倉くんが……。
辛い過去があるのも分かるんだけど、わたし怖い男の人が苦手で…それでかな…。
母親がテーマなところもあったからそこも重たかった…。
そして今回も前回と同様、朔さんと一香ちゃん、早くくっつけ〜と念じながら読んでましたが、あの2人はあの距離感がいいんですね…( ᵕ ᵕ̩̩ )
朝倉くんが苦手というだけで本自体はとても良かったです。
Posted by ブクログ
おすすめポイント
・前作「透明な夜の香り」の続編が読みたい人
・透明感のある、上質かつ読みやすい文章に浸りたい人
・源さんの過去とか、朔の過去を知りたい人
残念ポイント
・朔は短髪ブロンドなのが私は受け入れられないんだな〜!無機質で儚げ、涼やかで透明な雰囲気を保つ人だったら、線の細い長髪がテンプレじゃないのかなー。
・前作みたいな朔の強さが見たい人には物足りないかも!今作は朔ではなく満が主役なので、朔推しの人には、「うーん」かも。
・バイの姉さんの登場シーンが寒い。突如深夜アニメのテンションになる、切り替えが突然すぎて寒い。静謐な雰囲気を一貫して欲しかったな。不意打ちでオタク臭を醸し出す行為は、読者に共感性羞恥を覚えさすのでやめて欲しかったwこのシーン提案したの誰?担当なのか作家本人なのか知らないが悪手です
Posted by ブクログ
p.27 言った。「猪だってでるしね」
「ここはまだ敷地内ですか」
「そうだね。凍死されると迷惑だから迎えにきた。下の住宅街をでなければ見失わないよ。
よほどの豪雨でない限り」
「それも、匂いで、ですか」
返事はなかった。薄く微笑んだ気配が伝わってくる。明らかに人の常識を超えたことなのに、なぜだか納得している自分がいた。
なぜ逃げたんだろう、と思う。この人はすべてを見透かしているのに。
ひどい言葉を浴びせられたことは無数にある。でも、この人の言葉が一番遠慮がない。なのに、攻撃されている感じはない。
俺はきっと、俺から、逃げたい。
「方向音痴みたいだけど、覚えてね。ここは果園の外れ。育てている植物はすべて香りの原料にする。橙の果実の皮からはオレンジビターが、花からはネロリ、葉や枝からはプチグレンという精油が採れる。ローズウォーターのように花弁からはオレンジフラワーウォーターもできる。どれも香りが違う。同じ木が違う顔を見せるんだ」頭に入ってこないが、黙って頷く。
「でも、僕にしてみればどの植物だってそうだ。それをひとつひとつ見つけていくのが面白い。君だっていろんな顔があるだろう」
Posted by ブクログ
やはりこのシリーズが好き
主人公が香りに染まっていく、溶け込んでいくという感覚と同じように
私は清々しい透明な香りが私の体の中を通って私自身を浄化してくれているような感覚になる。
神聖な神社に行って鳥居をくぐる時と同じ感覚。
Posted by ブクログ
前作を読んで感じた色は、静かな夜の黒や、空虚さの無色透明だったけど、今作はタイトルにあるとおり赤を感じる内容。
静かで非現実的な香りが漂う空気感は前作と似ているけど、今作では、血の香り、怒りの香り、男臭さやバタ臭さからくる赤を感じます。
表面的には静かで平穏なはずなのに、心の奥でフツフツと赤い何かが沸き続けているような、唯一無二の世界観を堪能しました。
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「透明な夜の香り」を読んで是非続編を読みたいと望んでいたら、続編を見つけて歓喜!
もっと一香に登場してほしかったが、朔の過去の話が読めて良かった
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このシリーズには共感できる人物は出てこないけれど、朔さんの作る香りで救われて欲しいと願ってしまいます
一香と朔さんの関係性も素敵だと思います
2人にしか分からない世界だ…
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前作を読んでいなかったからか、ちゃんと言葉にしようとすると、するっと逃げていく感じの読後感。
登場人物が掴みきれない感覚のまま、それでも美しい文章に惹かれて一気読みでした。
朔と一香の関係が気になるので、透明な夜の香りも読んでみようっと。
Posted by ブクログ
透明な夜の香りがとても良かったのでこちらも読んでみたのだけど、個人的には前作の方が好き。
一香さんが出てくるたびに一香さん!!と叫びたい衝動に駆られた。二人、いい関係だな。私はこの二人の名前のつけられない関係性に惹かれているのだと思う。
今回は主人公が男性だったのでいまいち入り込めなかったのが残念。
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前作の読後に残った香りの余韻が忘れられず本書に。
そう、もうこの本の香りが記憶されてしまった訳です。
次回作はあるのでしょうか。
一香の登場には旧友に会った感覚に(笑)
朔よ、正直になりなさい(笑)
源さんも良かったね。
私にとってもう一つの魅力は洋館と庭。
浄化というか整いそうというか。
Posted by ブクログ
【綺麗な文章を読みたいときに開く本】
ーー感想ーー
透明な夜の香りの続編。前作と同様に文章の美しさが際立つ作品だった。(読むテンポが自分にはちょうど良く、おそらく一文ごとの文章量が影響しているのではないかと推測している)
前作の主人公・一香の朔への関わりが、最も心を打たれた。自分が立ち入れない距離感を理解する。その割り切りができることの崇高さを目の当たりにした。もしさらに続編が発刊されるのであれば、ぜひ朔と一香の距離を描いて欲しいと思った。
洋館の庭師、源さんの過去の深掘り描写があるのも、ドラマの奥行きを感じられて良かった。満月のジャスミン畑での最終幕、朔と満の記憶を蘇らせる場面も描写が美しい。
続編を待ちたい。
ーーあらすじーー
カフェでアルバイトをしている朝倉満の視点から物語は始まる。彼は激昂すると怒りに支配されてしまい自分を抑えられない性格をしており、カフェ仲間とうまく折り合いをつけることができず、ストレスを抱えていた。そのカフェに新城とともに訪れていた朔は、彼を自分の洋館で雇うことを決断する。
朔は女優リリーの依頼を受けた。付人は暴力団の兄。リリーは遠くない未来に離れていく兄の背中の香りを朔に依頼した。ただし、どのような香りを作ったかは依頼者以外には守秘義務がある。その朔のポリシーに満は初めて触れる。
夫に浮気調査されているレズビアンの女性、昔クラスメイトにいじめられていた同じ年齢の青年、母親にネグレクトを受けていた影響で嗅覚を失った女性。
そして買い出しの途中、ベーカリーで一香に出会う。朔とのちょうどいい距離感を保っている一香。洋館の一部になりたかった過去の自分と決別し、今を生きていく姿に、満は自分の行いを反省する。
歯科助手の茉莉花という女性と恋仲に落ちた満。その関係を保ち続けられたのは朔が作った香りだと信じている満は、洋館に保管している香水瓶から何度も盗んで茉莉花に与えていたのだった。香水が原因でその彼女にアレルギー反応が出ていると朔から指摘を受けると、満は謝罪と猛省をする。
満月の夜、朔と満はジャスミンの花を収穫する。朔の香水をトリガーに、母親に虐待をされていた幼少期の記憶を徐々に取り戻していく。母親を包丁で刺した記憶、そして奥底にあった息子への愛情。それに気がついた満は、数十年越しに母親に会う覚悟を決めたのだった。
Posted by ブクログ
透明な夜の香りの続編。
主人公は女性から男性になった。あくまで香りを中心に物語が進んでいき、依頼人に深く焦点が当たることはない。色んな香りを想像しながら読み進めるのは心地よく、前作と同様に穏やかさが感じられた。ただ、主人公への興味が前作ほどは感じられず、過去の話に対しても感情移入ができなかったため少し物足りなさを感じた。
Posted by ブクログ
愛着と執着の差は紙一重で時に入れ替わることもあるのだろう。香りの感じ方は人それぞれで、同じ香りでも同じ気持ちを思い出すことはできず、本当に同じ香りにするなら違う配合になる。繊細で密やかに暴力的な強さも持つ不思議な香りの世界を堪能。
Posted by ブクログ
続編も前作に引き続いて良かった。
香りをイメージしてここまで話を広げられることが本当にすごい。
香りと一概に言っても、そこに含まれる意味やイメージするモノは人それぞれ異なるというのがよく分かる。
千早先生言葉の使い方が好みドンピシャなためか、読んでいて物語の中にドンドン引き込まれていく。
私の頭の中で、登場人物が生きているような感じだ。
他の先生が書かれた作品でも同じようなことは多々あるが、千早先生の作品は言葉にして表現できない不思議な感じがする。
先生が書かれた他の作品もぜひ読んでみたい。