千早茜のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
この物語の流れる時間はとてもゆっくり.急いではいけない,そう語りかけてくる.そして丁寧に読み進める行為はとても心地いい.いつまでも読んでいたい.日常のふとした出会い,幻想的であり現実的,そして希望であったり哀愁であったり,いろんな色を醸し出す作品でした.
以下あらすじ(巻末より)
烈しくも切ない、桜と人生をめぐる7つの物語
あたたかい桜、冷たく微笑む桜、烈しく乱れ散る桜……
桜の季節に、人と人の心が繋がる一瞬を鮮やかに切り取った、感動の短編集。ステージママを嫌う子役の女の子(「初花」)、謎多き愛人をめぐる二人の男(「花荒れ」)、 見知らぬ女性から「青い桜の刺青の標本を探して」と頼まれる大学資料 -
Posted by ブクログ
「汚してみたくて仕方なかった」鈴木涼美
売春が無くならないのは、男側の問題の方が大きいけど、自分に値打ちが付くことに依存する女側の問題もあるのかもしれないと思った。女は性処理として利用されてきた時代が長く続いたせいもあり、完全に無くすことは難しいのだと悟った。
「トイレとハムレット」宇佐見りん
面白かった、、!確かに腹痛と苦悩のポーズは似ている。舞台が好きな理由として「シンプルだから」っていうのはすごく腑に落ちた。たった一つの物語、感情を演じているだけだもんな。現実の方が感情ごちゃ混ぜで騒がしいもの。
「私の三分の一なる軛」児玉雨子
生物は毎日ちょっと死んでおかないと生きられないって興味深 -
Posted by ブクログ
パティシエールの亜樹は菓子職人の祖父のもとで働く。彼女自身や後輩、恋人、それぞれの視点から描かれる短編集。お菓子に対する情熱、こだわりが感じられる作品。読んでいるだけでお腹が空いてくる。
亜樹の原点とも言える中学生時代の思い出が鮮烈な情景として浮かぶ。その赤さえも。彼女の珠香に対する感情に近しいものを私も持ったことがある。根底を成す部分が崩れていくのは辛いもの。
印象的だったのがミナ(美波)ちゃん。ネイリストである彼女は女の子はお菓子-着飾り、コーティングし、大切にされるべきもの、という信念がある。満足に仕事ができない環境に辟易していたが、入った喫茶店での景色に心が変わる。薔薇色に染めるのは