千早茜のレビュー一覧

  • あやかし草子

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    夢か現か、妖か 六つの短編全てに共通するように感じるのが「どちらにも属さない」です。いえ、「どちらにも属している」のかもしれません。
    そして、そのあやふやさから立ちのぼる色気、文章の間に香る湿度、美しい文体で綴られる摩訶不思議な世界は、かつては今の世とそれほどかけ離れてはおらず、見える人には見える、分かる人には分かる世界を淡々と描いています。どれもがきらりと輝く朝露のように美しい物語でした。

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    2025年12月18日
  • クローゼット(新潮文庫)

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    服の修復に絡めた心の修復 千早茜さんには脱帽です。本当に素晴らしい作家さんだ!
    幼少時にとあることがきっかけで心に傷を負い、閉じたままの纏子。
    そして、彼女が心に傷を負った事件に関与していたけれどもそれを知らず纏子と知り合う芳。
    二人の関係性と、纏子が少しずつ開いていく様子の描写、そしてアンティークな服の補修士としての仕事振りが見事に関連し合います。

    新品のように直すわけではない。
    服にはその人が記録されている。
    その服が今、ベストであるように、どこにも無理がないように直せるところにだけ手を入れて行く…最新の注意を払いながら。

    人の心の修復もそれでいい。
    無理にポジティブに、とか、乗り越えて、なんかなくていい。
    寄り添い、待つことの大切さと、弱さの中にある強さが、しかしさりげなく描かれているので心の奥にずしん、と心地良く響きました。

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    2025年12月18日
  • 女ともだち

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    ネタバレ

    女の嫉妬、依存、束縛、共鳴、味方
    全部つまった1冊だった。

    支配したいほど相手を想うことはもはやもう友情ではなくなってるところが怖いところで。

    怖い部分ももちろんあるけど、やっぱりいつまでも変わらずしょうもないところで笑いあえるのも女友だちのいいところというのも伝わった本だった。

    個人的にはブータンのうたが好きだった。

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    2022年04月17日
  • 女ともだち

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    完全に個人的好みででいうと、前半の千早さんまではおもしろかった。
    (これは個人的趣味。女同士の業の深い話ばっかりが好みだったので、残りのお話は、結構すがすがしい話だったから)

    特にしょっぱなの村山さんの話は叙述トリック!という感じで「ぎゃー!そうだったのそういうことだったの騙された~~~~~!!!!」という、シンプルかつインパクトの強い驚きがあった。あれは絶対見破れない。

    坂井さんはやっぱり好きだ。前回BUTTERを読んだけど、短編の方が好きなのかも、と思った。坂井さんの短編があれば読んでみたい!

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    2022年03月01日
  • からまる

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    ちょっとずつ絡まる人間達の短編物語。
    ビー玉の中をのぞいたような、少しリアリティのない人々の世界だけど、それぞれの物語の中に出てくる虫やいきもの達の描写がリアルでそのギャップがなんだかグロテスク。
    金魚を殺した少年の動機がなんだか切実ですき。

    千早茜さんは「さんかく」が好きだけど、この本が2011年、「さんかく」が2019年。この間にすごく洗練されたんだなあと思った。ふんわりと幻のような世界だけど輪郭が少し尖ってしまってる印象。
    でも「さんかく」と同じようにお料理の描写は秀逸。

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    2022年02月14日
  • 夜に啼く鳥は

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    *
    夜に啼く鳥は

    シラ
    はばたき
    梟
    ひとだま
    かみさま
    躑躅
    全六編

    愛しい人を失った不老不死の身体をもつシラは
    死ぬこともできず、生きる意味もわからないまま、
    愛しい人を探し求め時を超えて彷徨い続ける。

    長く長く時は流れ、地図にも載らない秘された里に
    不死の一族はひっそりと社会から隠れて生きていた。

    驚くほど強い力に選ばれた御先(みさき)は、
    一族でもずば抜けた治癒の能力を持っていた。

    愛する人は人間だから先に死んでしまう、
    永遠に一人で生き続ける不老不死の身体をもつ
    美しい化け物の切なくて哀しい物語。


    **
    人間は命に限りがあるから不死を望み願う。
    でも、反対に不老不死の体をもってしまったら
    どう感じるのだろう。
    老いない体、繰り返し勝手に癒える傷や怪我、
    大切な人はみんな自然の流れと共に老いて、
    死んでいく中で自分だけが取り残される。
    そんな孤独は哀しみ以外にないのかもしれない。

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    2022年01月11日
  • 女ともだち

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    女性作家たちが描く、「女ともだち」のアンソロジー。
    やさしかったり、ヒリヒリしたり。離れたりくっついたり。女同士だから分かり合えること、女同士だから叶わないこと。

    どれも絶妙な距離感がたまらない作品ばかりだった。

    初めの2作はゾッとする感じ。

    額賀澪さんと嶋津輝さんは初めましてだったけど好きな感じだった〜‪

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    2021年12月17日
  • 女ともだち

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    千早茜さんが書く小説が好きで買ってみたけど
    正しい女たちに出てくる読んだ事ある短編小説でした( ¨̮ )

    他の作家さんも面白いと思うのがあって
    他にも読んで見ようと思った。

    ゾッとしたりお前かーいて思ったりできて
    面白かったです。

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    2021年08月15日
  • 明日町こんぺいとう商店街 招きうさぎと七軒の物語【電子限定特典付】

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    スカイツリーが見える、東京の下町。
    古くからのお店と新しいお店が混じり合う、明日町こんぺいとう商店街の、七軒のお店の物語を7人の作家が描くアンソロジー。

    既読の作家さんは、大島真寿美さん、彩瀬まるさん、千早茜さん、中島京子さん。
    それぞれの持ち味が出ていて、どれも面白かった。

    大山淳子さんの『あずかりやさん』が、盲目の店主が一日百円で大切なものをあずかるというお店を舞台にしていて、にぎやかな商店街の中、しんとしずかな店という感じが良かった。
    アンソロジーを手に取ると、こうして新しく好みに合いそうな作家さんが見つかるのが楽しみ。

    こんぺいとう商店街シリーズとして続刊もあるらしいので、続きものんびり読みたい。
    また違う作家さん、違うお店が登場するのか、それともまた同じお店も登場するのかな?
    『カフェ スルス』がどんなお店になっていくのか、続きが読みたい。

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    2021年07月04日
  • あやかし草子

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    俺はこういう昔話、まんが日本昔話(古っ)的な展開が好きなんだなぁと思った。いや。違う。改めてこの作家の持つ不思議な力に、自然に惹き込まれていくんだなぁと一晩明けて気づいた。
    まったく時代の古さは感じず、あたかもいま日本のどこかで起きているような新鮮な感じすらする(ンなことはないか)。あやかし、の持つなんとも言えない、ゾクっとする感じが心地よし。間違っても朝の通勤電車

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    2021年05月14日
  • あやかし草子

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    ひとと、ひとならざるものとのかかわりの短篇集。個人的には「ムジナ和尚」「真向きの龍」が好き。
    舞台は現代ではないが、どこかかなしかったり、おそれを抱かされたりと、『異なる』ものに目を向かせられた、ように感じた。

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    2021年04月30日
  • 桜の首飾り

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    桜をテーマにした短編集。
    それぞれ独立した話ですが、内に秘められたほのかな色香や静謐さが漂う雰囲気が共通の素敵な作品でした。

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    2021年03月01日
  • 明日町こんぺいとう商店街 招きうさぎと七軒の物語【電子限定特典付】

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    中島京子さんと大島真寿美さん目当てに読んだ。どれも角が取れてて、程よい甘さ。こんぺいとうって美味しいもんね。

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    2021年02月24日
  • 女ともだち

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    COPY 村山由佳
    ト・モ・ダ・チ 坂井希久子
    卵の殻 千早茜
    水底の星 大崎梢
    こっちを向いて。 額賀澪
    ブータンの歌 阿川佐和子
    ラインのふたり 島津輝
    獣の夜 森絵都
    8人の女性作家による、女性ばかり出てくる8つの短編集。豪華な顔ぶれの短い話が詰まっているから読み終わるのがあっという間でなんとももったいない。けど、読んだことのない作者の作品を読んで興味を持つきっかけとしていい機会になったかも。
    男性目線でよく描かれるような、勘違いとか思い込みによるおかしな描かれ方を全くしてないから、不快感がなくて安心して読める。その代わり女同士のイヤな感じの世界観はごまかしがなく描かれてしまうから、思い当たるフシがある分、胸が痛い。

    COPY
    あーいるいる。こういう子。と思わせておいて、えっ、そうなの?というどんでん返し。佐智子が大学辞める理由とか、玲がなぜそんな回りくどい方法を取るのかよくわからなかった所があった。
    ト・モ・ダ・チ
    人との距離感をすごくうまくやっていけてる、と思わせる早苗。途中、普通なら1時間で終わらせる入力作業を指1本で午前中いっぱいかかっているあたりからあれ?と思わせて、やっぱり、問題のある女子はキミだったのね。怖い怖い。
    卵の殻
    いいよいいんだよ。遼子さんは何も間違ってない。私だってそうしたいと思うもの。普通はそこまで出来ないけど。
    水底の星
    子ども時代のスイミングスクールでの話。女ともだちというよりもスポーツを習うということに主体がある。けどやっぱり女子同士の嫉妬や怒りで起きてる話だから、やっぱり女友達の話なのかな。自分の生きてきた中でも思い当たることがたくさんありすぎて、ずっしりきた。裕のその後が気になる。

    こっちを向いて。
    あまりピンと来なかった。仕事上の付き合いの人とは所詮仕事が切れたら赤の他人なのか?というような話?いい大人の女性が二人でいつまでもメニューを決められないでいるところとか、私情でクライアントの無理な値引き交渉にダメと言えない所とか。読んでいてイライラ。仕事の出来ない女だってそこまでバカじゃないだろう。

    ブータンの歌
    学生時代の思い出せないくらい地味なクラスメート。たまたま再会して、いつの間にか自分に元気をくれる、すっごく大事な存在となっていたようだ。もう会えないけれど。なんだかいい話。ほっこり。

    ラインのふたり
    工場のラインで仲良くなった二人。何でもない日常なんだけどおもしろい。毎日こんな感じでいいじゃないか。と思わせてくれる。

    獣の夜
    これはね。いいよいいよー!自由!
    肉を食べて、ボトルを空けて、思うがままに自由に生きるのさ。乾杯!イェイ!って感じ。読後感爽快!

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    2021年02月19日
  • あやかし草子

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    『真向きの龍』、白石晃士監督の『戦慄怪奇ファイル 超コワすぎ!FILE-02【暗黒奇譚!蛇女の怪】』って作品を彷彿とさせる…

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    2021年02月04日
  • あやかし草子

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    千早作品は最初に「魚神」を読んで以来、現代物ばかり読んでたので久しぶりの時代物。
    京極夏彦や恒川光太郎の様な雰囲気があってとても好み。
    作者独特の世界観と言うか何とも言えない温かさがある。
    藤沢周平の短編のような、どれだけ読んでも飽きさせない筆力を感じる。
    改めて作者との相性の良さを感じた作品。

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    2020年12月21日
  • 夜に啼く鳥は

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    身体に蟲を宿した不老不死の一族。

    第一話は、一族の始まりのシラの話。
    第二話以後は、150年以上生きる御先の話。
    ひっそりと長く生きることの寂しさが伝わった。

    長年続いた一族なのに、性別のない御先の後はどうなるんだろうと気になった。

    デビュー作の魚神のように、ファンタジー溢れてて良かった。

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    2020年09月08日
  • 森の家

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    森閑とした気味の悪さの物語。

    登場人物それぞれの家族が錘のように、被さってしまう。

    あとがきにあるように、この物語は不健康かもしれない。

    こういったひとたちにとって、家族という存在や、子どもを産むという行為はまるで枷や呪いのようなのだ。

    そして、こういうひとはどんなに楽しそうに仕向けられても、どこか世界や他人が不穏であると感じてしまう。

    P.124『「なんか嘘くさいじゃない。あの夢みたいな場所も、あそこに連れて行けば喜ぶと思っている親も。きらきらしているのは表面だけで、中は空っぽな気がする。」』

    P.128『「従業員も客もみんな笑っていて、何もかも楽しむだけに作られていて、遊び続けなくてはいけないような気分にさせられる場所だと思った。(・・・)心から楽しめる人もいるのだろうけど、私は小さい頃からそうじゃなかったな。怖いし、なんか、すごくさ みしかった。」』

    こうした恐怖心やさみしさは深く、自他を知らず知らず傷つけてしまう。

    他者との距離感をどうしても掴みにくくなってしまうのだろう。

    美里はこれに加えて女性性という枷も加わり、出産した友人の姿を薄気味悪くとってしまう。

    出産直後の原初的没頭の姿も気味が悪いのだろう。

    まりも君も知らず知らず他者を傷つる。

    p.144『嘘をついても本当のことを言っても怒られてしまった。おまけに怒らせただけでなく傷つけてしまった。』

    この物語は家族という呪いの物語であって、その呪いは「家」という家族の器に湖のように溜められ、その湖は深く一度沈むと浮き上がれないように、のしかかる。

    物語後半のあおの湖はこうした家族という繋がり、ひととひとの境界という暴力的な側面の象徴なのかもしれない。

    あおの湖の逸話は大黒柱としての男性によって作られたものであるのも暴力的で気味が悪い。

    しかし、本当に気味が悪いのはまりもの母親(?)である香穂子だ。

    空虚で中身のない、まるで気配だけの存在のようだ。

    P.98『「気配はあるけど、顔は見えない」』

    しかし、その気配は生々しい。

    森閑とした、気味の悪さが漂う物語。

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    2020年07月26日
  • 眠りの庭

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    ネタバレ

    むせ返るような「女」の匂いが色濃く漂う二編。

    由緒正しい女学院と少女たちと美術教師…幻想的で湿度の高い不穏な雰囲気に吸い込まれるようだった。
    読み終わっても、何かふと遠い目をして考え込むような囚われ方をしてしまう。なんだか言葉にできない業の深さを感じた。
    嫌悪しているのに、抗えない。そんな一冊だった。

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    2020年02月10日
  • 明日町こんぺいとう商店街 招きうさぎと七軒の物語【電子限定特典付】

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    「あずかりやさん」からの訪問。
    粒ぞろいの短編集でした。

    「あずかりやさん」の大山さん以外は初読み作家さんばかりでしたが、もっと読んでみようと強く思った方も見つかりました。
    でもとりあえず、こんぺいとう商店街24の物語を全部読んでみようと思います。

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    2021年12月23日