千早茜のレビュー一覧
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調香師小川朔第2弾。前作の主人公若宮一香もちょっとだけ出演。
朔の世界に完全に溶け込んでいた一香と異なり、朝倉はナチュラルハーブや静謐な空間とは相容れず、洋館の中では異分子だ。切れやすく不安定、おまけに備品に手を出す朝倉。物語も全体に猥雑だ。不透明に赤く澱んでいて、底が見えない。
今作でも朔の作り出す特別な香りを求める人たちが登場する。いじめの過去に拘束され、今も逡巡する持田くんの求める香りは、彼の求める結果には繋がらなかったが、先へと踏み出すきっかけとなる。その後も洋館を訪れる持田くんと朝倉は直接接するようになり、持田くんは後に朝倉を救う。持田くんは作中では異色のとても良い人だ。
朔は朝 -
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「透明な夜の香り」の続編
一香さんに代わり「la senteur secrète」に
新しくやって来た若い男性、朝倉満。
飲食店で働いていた満はトラブルを起こし、
ちょうどその場所に居合わせた小川朔に
「この職場は君には合っていない」と言われ、
うちで働くといいと名刺を渡される。
前作からのメンバー、朔の相棒であり探偵の新城、源さん、前作の主人公である一香さんも今作に
登場。今回は前作の静謐な世界からうって変わり、
暴力、血、怒り、悲しみ、いじめ、親子間の確執といった人間臭く、生々しいテーマで物語が進んでいく。
それぞれの事情で、香りを求めて来る客たち。
嗅覚を無くした女性の話が印象的だっ -
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好きなモノを好きなだけ食べようとしたら
死ぬほど満腹になってしまう話。
和食の良さは、凝った小鉢に尽きる。
毎日の食事は塩おにぎりが良い。
ただ誰かのために作るなら
相手が好む味付けにする高村さん。
付き合うなら料理が得意な相手がよい。
毎日、家に帰ると美味いものが食える。
つまりは賄いが好きなのだという伊東くん。
没頭できる喜びは何にも代えがたい。
家は巣穴が良い。
なのに、それは普通ではないといわれる華さん。
3人がそれぞれ、何かを満たせる相手がいながらも
特別なパートナーも見つけないといけない気がしている
スレ違いや曖昧なやり取りに
モヤモヤしつつも
登場する料理に何故かお腹が -
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いつもSNSに美味しそうな食卓を載せている千早氏。
彩り豊かなメニューはもちろん、器やテーブルウェアのコーディネートも美しく、文字通り、垂涎の的。
そんな千早氏だが、
このエッセイ「わる食べ」シリーズでは食べることへの凄まじい想いが書かれていて可笑しみがある。
わしわしと食べたり、
食欲の牙の剥くまま食べまくったり、
もりもり食べたり、
むしゃむしゃ食べたり。
映える見た目だけじゃなく、真剣に食に挑み、食と向き合う姿に好感。
食への強烈なこだわりというか、もはや流儀と言えるかも。
そして食べものの話なのに、時として人生観がチラリと見えて来るのもおもしろい。
お気に入りは
・包んで包んで -
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どこか仄暗く、じっとりとした時間が流れているような感覚に包まれる。しかしその湿り気は不快さとは無縁で、むしろ清涼で健やかな香りが根底にある。
感情に訴えかけずにその事象をダイレクトに表現するには、高度な筆力が求められる。それにもかかわらず、本作は多様な香りのニュアンスを、美しく繊細に力強く儚く訴えかけてきて、言葉の選び方と巧みさは見事としか言いようがない。
連作短編のような作りで読みやすい上に、丁寧な描写が連なり読み応えもある。漫画的な展開の軽快さに加えて重厚な言葉が多く使われており、読書初心者でも手軽に満腹感が味わえるかと。
健康的な生活を送りたくなる。旬の野菜をふんだんに拵えた料理を -
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ネタバレ天才調香師の朔と朔に雇われる一香の成長物語でした。基本的な舞台が洋館であったり、香りがテーマである通り香りや匂いの表現が豊富だったり、おしゃれな料理のシーンが多くて素敵な雰囲気でした。
あることをきっかけに完全に塞ぎ込んでしまった一香が調香師である朔と出会い、朔のもたらす香りや特別な香りを求めて朔の元を訪れる客との関わりで様々なことを感じて成長するという流れでした。
まず調香師の朔が異常な嗅覚の持ち主で、人間が放つ匂いで嘘がわかったり、思考や行動が読めるというのが少年ジャンプ的でした。若干やりすぎだとも感じます。そういう話ではあるのですが、大体が朔さんの作る香りと鼻で解決します。
個人的 -
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40歳を目前に、夫から「恋愛がしたい」と離婚を切り出されたマリエのお話。
結婚にまつわる小説は多いが、離婚がテーマというのも珍しい。結婚は、確実に幸せなものであると万人が思う一方で、離婚は、必ずしもそうとは限らない。
結婚相談所の実態?もとてもリアルに描かれていた。
効率的で、時間的制約の多い現代人にピッタリなシステムだと思う。けれど、成約のために自分の殻をどんどん分厚くしているようで、息苦しさも感じる。
離婚した人にしか見えない世界があるし、考え方や価値観も、結婚を経たことで変わることもあるだろう。
恋愛の怖さや儚さを十分に知りながらも、また恋愛をしているマリエが愛おしくなった。
少