千早茜のレビュー一覧
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ブックカルテで選書してもらった1冊目。自分では選ばない類のものだった。
ぬるくて生臭い、なのにエンタメ小説だった。
純小説が嫌いで。それは蹴りたい背中みたいなのを若いうちから読んでしまったからだと思う。いったいどこであんなの買ったんだか。純小説の定義は、生あたたかいくて湿っぽい、汚くて痛い、そんなところ。純小説とエンタメ小説の二通りとも限らない。人生図書とも言えるだろう瀬尾まい子さんの小説『卵の緒』は、エンタメ小説ながら、その水面下には美しい純文学の気配が流れている。又吉直樹の同じく小説『火花』も、塩梅は違えど純文学とエンタメ小説の間を行き来するような作品であったと記憶している。
さて、本書『神様の暇つぶし』に移る。この手の話を私が読み切ったのは実に8年やそこらぶりだろう。暗い気持ちになるのはまっぴらだった。しかし1行も読み飛ばさず読めたのは、これが選んでもらった本であったこと、飽きさせない情景描写力に要因があると思う。いままではなんとなく小説家になろうとしてたし、なれると思っていたけど、力量とか物語を一歩ずつ進めるための力が足りていないと痛感させられた。この痛感は寧ろ苦痛ではなく、ぼんやりとしか見えなかった未来の霧の一旦を晴らしてくれるような爽快さがあった。
読後感は好きではなかったが、読んでいると感じられる久しぶりの文章であった。
☆☆☆
ひと月経って思い出すと、食事のシーンが印象深い。自分のことが分からなくなる時のものの味わい方が綺麗だった。過去の私のような性描写の苦手な高校生以下にはおすすめできない。 -
Posted by ブクログ
ネタバレもし10代や20代前半に出会ったら多分好きになる本。主人公の藤子は、全さんという50代後半の男性と、本当に恋しか考えてなかった。人間はみんな幸せのために恋に落ちるもんだけじゃなかった。欲望をそのまま沿って行く、刺激のため、自分が誰の目の中に、一瞬でもいいから、見られたい、受け入れられたいから恋に落ちるのは、多数の大人かもしれない。その意味で、たしかに、健全の恋を求める意味が無くなる。
ただし、既婚者、30歳以上の歳の差、どうしても藤子の気持ち共感出来なかった。まるで、すべての自分を全部捨ててしまい、誰かに完全に支配され、依存され、従服される気持ち。ある意味、恋は宗教みたいなものかもしれない。
タイトルの『神様の暇つぶし』は気になる。一体神様は、全さんなのか、藤子なのか、それともこの眩しく、非日常な恋自体か、分からなくなる。
無論、藤子にとって、全さんは神様みたいな存在だと思う。でも、逆として、全さんにとって、もしかしたら藤子も神様かもしれない。50代からみると、20代の愛は純粋で、眩しくて、生き生きの存在だと思う。
でも、ひとつがわかる。この恋は、決して悪いものではなかった。 -
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私自身もお餅とチョコレートが大好きなので、この本を読みながら、何度食べたい食べたい今すぐ買いに行きたいと思ったことかっ!
私自身も京都の老舗のお餅屋さんは本当に大好き。有名なお寺やスポットには大抵美味しいお餅屋さんが並んでいるため、すぐに幸せな気分に浸れる。
しかし、花びら餅はいまだに口にしたことがなく、今度買ってみようと思う。
47都道府県様々なお餅があり、それぞれのルーツを辿りながら食べるのは、勉強にもなり、なにより味がより記憶に残りやすい。
私は特に福井の羽二重餅が好きで、一年に一度近くのスーパーで福井フェアが開催される時には手に取ることが多い。
この感想文を書いてる間も、豆大福を食べたくて食べたくてしょうがない(汗)寝る前なのに!!
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ネタバレ一文一文に情景が詰まっていて、一行ずつ丁寧に読む必要があるので、頭の中での物語の進みは遅く感じた。
「こういう内容の本だったんだー」というのが正直な感想。
続きが気になるから興味を持って読めたけど、共感はできないし、結末に至るまでの関係性もちょっと受け入れがたかった。
自分が物語に没入するというよりは、第三者の人生を客観的に見ている感覚。
全さんの歯が黄ばんでるとか、首のシワとかをリアルに描いていて少なからず読者はかっこいいと思えない状態なのに、藤子が夜の行為に溺れていくのが意図したギャップであり、ハマらなかった部分。
里見はいいやつ
文章は好きなので、次は香りシリーズを読んでみる。 -
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本作の軸となるのは、カメラの被写体となった藤子と、30歳年上のカメラマンとの儚い恋愛です。
それは、どこか憧れる恋愛でもあり、同時に避けたい恋愛でもあります。
生きる中での「鮮やかな記憶」と「こぼれ落ちる記憶」という作中の表現が、写真の現像という比喩を通して、クローズアップされたり遠ざかったりする情景の揺らぎとなって美しく現れます。
人間の様々な欲望のシーンが細やかな言葉で紡がれ、リアルな映像が脳裏に浮かぶよう。
特に美味しそうな食べ物の描写は、目の前で湯気が立っているかのような瑞々しい臨場感に満ちています。
特別、目を見張るような大事件が起きるわけではありません。それなのに、なぜこれほどまでに深く引き込まれてしまうのだろう。読み手を捉えて離さないこの不思議な引力は、作者の天性の感性なのかもしれません。
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ネタバレ同棲している恋人をないがしろにして、医者と不倫していて、昔からの男ともだちがいるイラストレーターの話。
前半は、男癖の悪い女の話で、自分の住んでいる世界と違いすぎてつまらないと思った。
同棲している恋人に振られたところは少し面白くなりそうと思った。
男ともだちは、絶対に体の関係にはなりたくないし、頼りすぎたくないけど、お互い、恋人や愛人よりも一番大切な人っていう関係性が不思議だと思った。熟年夫婦や兄妹のような絆があるけど、夫婦や兄妹よりもトキメキがあるような感じがする。
私にはそういう男ともだちがいないのでよくわからなかった。男の友達でここまでの距離感で仲良くなれたことってないなぁと…。 -
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ネタバレ透明な夜の香りに続いて。
今回は、一香ではなく満目線でのお話。
前作同様、一つ一つのシーンが丁寧に描かれており、
文章が繊細で美しく、評価が高い作品なのは納得だが、やはり自分の好みとは違うなと感じた。
なぜか朔のことがあまり好きになれない…。匂いで全てがわかる設定があまりにも都合良すぎると感じることも理由。もはや超能力、SFのよう。その他の登場人物も、なんだか感情移入しにくい。家庭環境を理由に心に闇を抱えているケースが多いが、その先の展開がパッとせず。まあ、そこにフォーカスしたい作品ではないことは理解しているので、ただの好みの問題。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ聞いたことのないフランス菓子の名前や、パティシエが描いているのかと思うほど繊細で細かな製菓の描写が興味深かった。読んでいる間ずっとスイーツが食べたくなる一冊。
スイーツは生きるために必ずしも必要ではないけれど、食べることで幸せになれたり、感動したり、心が救われたりする。なくても困らないものだからこそ得られる、心の栄養があるのだと思った。
美奈の「自分を卑下しても、自分が好きになったものを否定しちゃダメだ」という言葉が特に心に残った。好きなものを大切にして、罪悪感ではなく、おいしさをちゃんと味わって楽しみたい。
亜樹と祐介のすれ違いからは、まず自分自身と向き合うことの大切さを感じた。自分の気持ちに気づき、距離を置きながらも、亜樹が困ったときには駆けつける祐介の姿に深い愛を感じた。
「違う人間だから同じ事柄にも違う反応ができる」
「夫婦は他人で作るもの。2人で倒れないように違うでいいと思う」
相手を自分と同じだと思い込まず、違う人間として理解し合うこと。そして、クリームは混ざり合うことで理想的な形になるけれど、混ぜすぎると崩壊してしまうという描写も印象的だった。人間関係も、近づきすぎず、お互いの違いを大切にすることが必要なのかもしれない。
スイーツの甘さだけでなく、ほろ苦さや酸味もある複雑な味わいが、甘いだけではない恋愛や人間の感情と重なり合っていた。
自分の好きなものを否定しないこと。自分と向き合うこと。そして、違う人間同士だからこそ、互いを理解しようとすること。
お菓子の奥深さと、人の心や愛情について考えさせられた一冊だった。