千早茜のレビュー一覧
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西加奈子さん、村田紗耶香さん、千早茜さん、、他にも豪華な方々のお名前が、、
もうこれ買うしかないやんと思って購入して即読みました。
それぞれの女性作家さんたちがご自身の身体をテーマにリレー形式でエッセイをつづられていて、どのエッセイもすごく赤裸々に描かれていて同じ女性として共感するところもあれば、驚かされることもあり、、それこそ、読んでからは「私の身体は私のもの」を強く感じた。
それぞれの身体に色々な経験や傷が合ったり、コンプレックスが合ったり。
それでも一つしかない自分の身体。
こんな私でももっと堂々と生きていていいんだと思わせてくれる作品でした。 -
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ネタバレ★3にしている作品の中ではかなり4に近い3だった。千早茜を読むのは2作目だったが、個人的には「透明な夜の香り」よりも好きな作品だった。短編集でありつつ、全体通して主人公周りの話が進んでいく構成。
千早茜は五感に訴えかける文章を書くのが好きで得意なんだなと思った。登場するお菓子がどれも味の想像がしやすい描写で、それがとてもよかった。複雑な味がするであろう亜樹の作る洋菓子も、不思議とその味の複雑さを想像できた。美味しそうだな、と思える描写の数々だった。
じいちゃんの洋菓子店で働く亜樹の中高生時代の甘美な記憶がグロゼイユ、尊敬でコーティングしていた亜樹への思いがヴァニーユ(バニラ)、不倫しているであ -
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相変わらず食への熱量がものすごくて惚れ惚れする。語気の強さがおもしろい。
直木賞受賞後のこと、引っ越す際のこと、小さな家族を迎えてからのこと、さまざまな局面での食との関係が綴られている。どんなことも食と結びついているのだなと感慨深く思って、同様に自分の記憶も掘り起こされた。
長ネギ生やしながら銀座を闊歩することはままあるけど、時季がきたらセリにも挑戦してみよう。
ここでしか聞かないような擬音語を見つけるのも千早さんの食エッセイを読む際の楽しみ。それを食べるときのことを想像しては「なるほど、まさに"バキッボリンッ"だわ」「たしかに"しょむしょむ"だわ」 -
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思ってたんと違った‥
というのがまず第一印象。
タイトルから「生」の話だと思っていた。
それぞれ病気や障害、特性などを抱えながら「私の身体を生きる」というような内容だと思っていたし、そういう内容が読みたかった。
‥それはそれとして、読み進めると
こんなに明け透けに自分の体験や性被害や性癖や生き方を世間に曝け出して大丈夫なのか?と心配になるような内容が多くて驚いた。
そして、みんな色々な事を抱え、考え生きているんだな‥と改めて考えさせられた。
普通に見えるあの人も、幸せそうだと感じるあの人も本当は色々な事情を抱えているのかもしれないと。
「性」に対する考え方・感じ方・捉え方も本当に様々で -
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主題は愛と本能。
早朝のランニング、ひとりただひたすら走るまどかの心は、
過去の愛と現在の愛を行ったり来たりする。
過去の愛は、海外で過ごした子どもの頃に飼っていた、虎という名の番犬。
言葉でも理屈でもなく、愛し愛された存在。
確実で強固な愛の存在を感じていたのに、
野生の本能が目覚める瞬間、愛は本能には太刀打ちできなくなる。
現在の愛は、恋人の博人。結婚を見据える博人の
気持ちと自分の気持ちに違和感がありつつも言葉として明確にならない。
愛情はあるのに、愛には理屈が必要。本能ではないものが蠢く。
過去でも現在でも、愛と本能に揺れ動く、
繊細なまどかの心理描写がとてもよかった。 -
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下町の商店街に店を構える、西洋菓子店「プティ・フール」を訪れる人々が抱える様々な思いと、その変化が描かれた連作短編集。
菓子職人である祖父が作り出すふわふわと柔らかい皮にとろりとしたクリームがたっぷりと詰まったシュークリームがとても美味しそうで、脳内で何度かぶりついたことか。
そんな祖父のもとで働く孫の亜樹が菓子づくりを通して人としての甘さに気づいていく過程を描いた「クレーム」は、パティシエとして、1人の人間として、自分自身と向き合っていく姿が読み応えありました。
甘いスイーツがメインの作品かと思いきや、欲望渦巻く人間模様が著者によって貪欲に描かれている作品でした。
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