千早茜のレビュー一覧

  • おとぎのかけら 新釈西洋童話集

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    初めましての作家さん。
    本当は怖いと言われる西洋童話。
    本作は化け物よりも人間が怖いっていう感じのお話し。
    ザワザワと皮膚の表面を撫でる冷気のような不気味さが
    淡々とした文章の中から滲み出るような感じがたまりませぇ~ん
    「金の指輪」と「アマリリス」は(´▽`) ホッとする話だけど、
    この感性には痺れますなぁ~。他の作品も読んでみよう。

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    2016年03月19日
  • 森の家

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    血は繋がらないが同居する三人。自由だけを求める美里、他人に興味がないまりも、自分勝手な観念を持つ聡平。崩壊寸前の疑似家族の行き先を描く新家族小説。
    千早茜さん初読み。静かな海のような文体ながら、その底は暗くて深い。家族とは何かを問う物語だが、登場する三人各々の考えていることは、私たちの心の奥底に隠している感情に近いものがある。それを剥き出しの刃にせず、羽毛のような感触で痛いところを突いてくる巧さ。これからも追っかけていきたい作家さんです。

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    2016年03月14日
  • 本をめぐる物語 小説よ、永遠に

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    8人の作家による「小説」をテーマにしたアンソロジー。色んな切り口で切り刻まれた「小説」や「物語」を小説で読むことで、物語の深みに勝手に囚われたり、メタ的なゾワゾワ感に包まれたりする。小説って面白い、と実感。

    秀作が揃っているが、ワシは、物語の禁じられた世界で物語を知覚し出会う男女を描く「赤と青の物語」(加藤千恵、著)と、物語を創り出すAIの成長とブレイクスルー後の世界を描いたSF要素もある「ワールドエンド×ブックエンド」(海老沢めろん、著)が、特にお気に入り。

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    2015年12月24日
  • 森の家

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    不健康ないびつな物語だけど、千早さんの文章が綺麗なせいかどこか現実味がなく、幻のような感覚で読める。
    近くに見えるのに遠いみたいな。

    いびつな形で暮らしてきた家族の再生物語と言えば軽いけど、それぞれの抱えてる物は重く暗く、冷静に考えると結構なものだ。
    だけど、各々が自分と向き合い相手を見て求め気持ちにケリをつけていく様はどこかカッコいい。

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    2015年12月20日
  • 本をめぐる物語 小説よ、永遠に

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    作家陣も表紙も、10代向け直球。中堅作家が並んで、平均点以上は約束されている。知らない作家を発見する喜びはなかったけれど、どの作品もお話を読む楽しさを提示してくれ、安定感があった。

    奇しくも「いじめ」がからんでくるものが8本中3〜4本あり、いじめにあってる子が本を読んで本の世界に救いを見いだすという図式が、かなり一般的なようである(本といじめって親和性高いんだなあ…)。

    神永学で軽やかに入り、一番よかったのが千早茜、そして藤谷治の問題提起で終わる。小ぶりながらよくまとまったアンソロジーだった。

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    2015年12月14日
  • あやかし草子

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     人と妖の、不気味ながらも切ない交流を描く短編六作。言葉が平易なので読みやすく、さらさらと入りこんで堪能出来る一冊です。作品それぞれ、人も妖もきちんと個性が描き分けられているのが良いですね。個人的には「ムジナ和尚」と「天つ姫」がお気に入り。後者はイケメンならぬイケ天狗が男前で素敵でした(笑)

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    2015年03月03日
  • おとぎのかけら 新釈西洋童話集

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    ジャケ買い
    中身もダークメルヘンな感じで楽しめた
    鵺の話は昔の黒乙一を思い出すようなテイスト
    色んな味が1話ごとにあって、飽きることなく読めた

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    2015年02月09日
  • 桜の首飾り

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    この物語の流れる時間はとてもゆっくり.急いではいけない,そう語りかけてくる.そして丁寧に読み進める行為はとても心地いい.いつまでも読んでいたい.日常のふとした出会い,幻想的であり現実的,そして希望であったり哀愁であったり,いろんな色を醸し出す作品でした.
    以下あらすじ(巻末より)
    烈しくも切ない、桜と人生をめぐる7つの物語
    あたたかい桜、冷たく微笑む桜、烈しく乱れ散る桜……
    桜の季節に、人と人の心が繋がる一瞬を鮮やかに切り取った、感動の短編集。ステージママを嫌う子役の女の子(「初花」)、謎多き愛人をめぐる二人の男(「花荒れ」)、 見知らぬ女性から「青い桜の刺青の標本を探して」と頼まれる大学資料

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    2015年02月04日
  • あやかし草子

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    妖しい世界を堪能できた。派手さはないが、それゆえに現実離れした世界が身近に感じられた気がする。文章もまさに妖艶。

    あやかしの舞台で人を描き、人と人がよく描かれていた。
    個人的にはむじな和尚が好き。

    たまにはこういう本もいいな。

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    2015年01月23日
  • あやかし草子

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    切なくも美しい短編集。題材は古典から取っているものの、心理描写が瑞々しく、秀逸。特に前半の3話が気に入った。

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    2015年01月09日
  • おとぎのかけら 新釈西洋童話集

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    これもほぼジャケ買いだった。
    どれも読後感がいいとは言えないと思うけど、とても面白かった。

    子供むけ絵本では童話ってとてもキラキラしたものとして扱われているけど、実際はそうでもないのよな、と改めて実感させられた。

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    2014年08月03日
  • おとぎのかけら 新釈西洋童話集

    購入済み

    童話の良さ

    童話を見事に現代のお話にアレンジされてました。童話をもう一度読みたくなりました

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    2014年07月23日
  • おとぎのかけら 新釈西洋童話集

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    「本当は怖い~」に代表される様に、童話の多くは教訓、警告といった要素を含んだ作品が非常に多いです。内容も時代を反映した表現、描写をしています。
    この作品はそうした警鐘を鳴らす原作からインスピレーションを得て、作品の設定をより恐ろしく、残酷な物語として書き上げています。
    原作とは一味違う恐怖をご賞味あれ。

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    2013年09月07日
  • グリフィスの傷

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    短編集。なかなか、理解が難しかったが、後半の短編を読み出して、傷跡の意味がわかり、再度。前半のものを読み直した。
    慈雨かな、傷つけられた本人は、忘れているか。相手は忘れないか。人を実は、沢山傷けていたかも知れないと思うと。

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    2024年06月23日
  • クローゼット(新潮文庫)

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    千早さんらしい作品だった。
    17世紀から現代まで、1万点以上の服を保管している服飾美術館が舞台の小説。ダブル主人公の芳と纏子の視点から交互に物語は語られる。
    幼い頃から女性の服が好きで、それが理由で周囲からの拒絶を経験した芳と、男性恐怖症の纏子はそれぞれ心に傷がある。服が好きな芳、学芸員の晶、洋服補修士の纏子は、服を通じてどんどんお互いの過去や傷を克服していく。
    洋服補修士の作業の描写がとても詳細に記されていて、その仕事の緻密さや困難さを垣間見ることができた。初めは心を閉ざした登場人物の多さが少し嫌だったけど、纏子がどんどん変わっていく様子はとても応援したくなったし、変わることができて良かった

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    2024年06月20日
  • グリフィスの傷

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    傷にまつわる10編。

    どの編も僅かに心が軋む。
    読み進めていくと、どこかにしまわれていたいた傷?が苦しくなるような感覚をおぼえる。

    著者の作品は、どれもこんな傷を孕んでると改めて知る。

    「林檎のしるし」
    「からたちの」
    少しほっとして読めた2編

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    2024年06月18日
  • グリフィスの傷

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    千早作品を読んでると一本ピーンと張りつめた冷たい空気感をいつも感じるが、その中に何とも言えない優しさを感じる。

    読んでいくと凄く集中させられるが読み終えると何だか心が清らかになると言うか心が洗浄された気分になる。

    それは登場人物がとても己に素直で正直に描かれているからか。

    やはりとても
    好きな作家。

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    2024年06月17日
  • 私の身体を生きる

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    ネタバレ

    身体というより、性についての本だな、と思った。けれど、身体と性は切っても切れないのでこのテーマでは必然なのかなとも。

    有名な作家さんや、多方面で活躍している方も多く、違う本を読んでみたいなと作家探しにもぴったりだった。しかもパーソナルをかなりあけすけに書いている。

    特に読みやすかったのは、児玉雨子さん、藤原真里菜さん、村田沙耶香さん。

    性に向き合うことの肯定、女特有の被害、悪意、妊娠への恐怖、女らしさとは、無意識に舐められる事、など、これは男性に読んでもらいたいなと思いつつ、自分でもびっくりする新鮮な価値観もあった為、同性とか関係なく、みんな他人は違う事と考えて、違う事を抱えて生きている

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    2024年06月16日
  • グリフィスの傷

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    傷って何なんだろうなあ。
    傷にまつわる短編。男女の話も多くちょっと中盤まではイメージと違った。
    千早さんらしいといえばらしいのか。全体的に不穏。

    傷の話なのに、紙がものすごく滑らかなのが不釣り合いで、そこに一番ざわめいた。

    見えない傷と見える傷。
    どっちもしんどいな。

    今度手術があるから尚更思う。
    やっぱり傷ができるのが嫌なんだろうな。

    「からたちの」が心に残った。
    手術の傷は不条理な傷になるだろうか。

    でも、その後の「慈雨」で、「傷なくして生きていくことは不可能だとわかっていても、祈ってしまう気持ちを私は知っている。」

    とあって、なんかそうだよなと。

    しゃあないな、と思えた。

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    2024年06月16日
  • グリフィスの傷

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    赤く滲んだ私の傷はヒステリーなものばかりではない。そこに至るヒストリーが私が私である証なのだから。

    千早茜さんの『グリフィスの傷』の概要と感想になります。その前に、本作は傷をテーマにした短編集ですが痛々しい描写が苦手な方はご注意下さい。

    では改めて概要です。
    2編の書き下ろしを含む10編の「傷」は、当人しか知らない物語があるものです。時には恨み、妬み、哀れみ、悔やむ。様々な傷は負った時の痛みを忘れても、見えない傷は忘れずに残るもの。あなたの傷には、どんな物語が残っていますか?

    感想です。
    千早茜さんのように生々しさが伝わってくる描写が上手い方が、「傷」を題材にしちゃダメですよ。読み進める

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    2024年06月15日