千早茜のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
千早茜さんの「香り」シリーズ!
『燻る骨の香り』って凄いタイトル…
装丁と相まって読む前から冷んやりとした美しさに魅せられてしまった。
物語の舞台は、京都の香老舗 瑞雲堂。
香の才能に恵まれた妹の丹穂が亡くなり、姉の真奈は丹穂の死後、引きこもってしまった父の代わりに、社長代理をつとめていた。そこへ丹穂との約束を果たすため、天才調香師 小川朔が現れる。
仄暗い空気感と、絶妙なミステリー要素が絶えず続く物語。繊細な香りの描写も、今回は人間の醜い部分を暴いたり、利用されたりする内容が多く、眩暈で酔いそうになった。
ラスト数頁で少し救われたものの、全3部作のなかでは一番暗く鬱々とした内容かもしれない。
唯一、小川朔と新城のコンビに癒された。
香りシリーズは感性に訴えかけてくる作品で、香りと匂いの描写と、心情の細やかな機微がとても丁寧に描かれた作品だと思う。
この空気感が好みの方には余韻まで愉しめそう。
ただ、私だけかも知れないが、前作までと同様に所々場面切替に戸惑う箇所があり、読みづらさを感じたのが少し残念だった。
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Posted by ブクログ
透明な夜の香りの続編。前作を読んだのが2、3年前だったため、もう一度読み直してから本作を読んだ。
やはりこのシリーズの作品は、香りの描写はもちろんだが、洋館の周りの自然描写がとても細かく丁寧で、四季の移ろいに伴う自然の変遷がありありと感じることができ、またこの作品の中に戻ってこられたことに嬉しさを感じた。
主人公は前作の一香から満にかわっているが、小川朔をはじめ、一香や新城、源さんといった登場人物は引き続き物語に関わってくるので前作を読んだ方は懐かしい気持ちになれると思う。
個人的に満の怒りっぽく神経質な性格があまり合わなかったため、序盤は少し読みづらかったが物語が進むにつれ、満の過去が明かされ、その性格に納得感を感じるようになった。再び読み返すと、だから他人の事情にあそこまで怒りを感じるのかと気づくことができた。
前作の静かに落ち着いた世界観が好きだったため、今作はそれよりも怒りや色気の描写が加わっており、個人的には前作の方が好みだったが、それでもやはりこの香りに関する描写はこの作品でしか感じ取れないなと思った。この作品の続編があると聞いたので、それも読んでみたいと思う。 -
Posted by ブクログ
身体の傷も老いも治してしまう「蟲」をまとい、祖先の記憶を持ちながら不老不死の人生を歩み続けている「御先(みさき)」。同じ不老不死の力を持つ「四(よん)」と出会い、物語は2人がバディとなって進んでいく。
本作において不老不死の力を持つことは途方もなく孤独に描かれていて、実際終わりがない人生というのはかなり辛いものなのではないかと思わされた。
人は当たり前のように傷ついて、老いて、それぞれに与えられた有限な時間を全うすることしかできないから、自分や周囲を愛し大切に思えるのではないだろうか。
「神話」のような要素、
「特別な能力」を持った登場人物、
「バディを組んで他者と対峙し、自分自身とも対峙していく」物語の構成など、
千早茜さんの得意とする物語の描き方を詰め込んだ作品だった。