千早茜のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
強さと弱さ、野生と抑制、絶望と生命力。正反対の性質が共存する者は、生々しくも美しい。
支配欲に満ちた父親に育てられた小波は、意志を持たない。自我を持たない人間は、何も求めてこない。また側にいる者の欲求を、自分のものだと錯覚している。だからなのか、小波と関わった男性は、彼女に強く惹かれ、取り込まれ、そして破滅していく。
自己主張は少なからず、加害性を帯びる。小波のように強固な人格形成をされていなくとも、繊細な心を持つが故に、大切な人といる時には我を持たないという選択を、無意識的にしている人は案外多いと思う。
しかしたとえ望んだとしても、人間は本当の人形にはなれない。常に小波の腹の底には、 -
Posted by ブクログ
千早さんテイスト満載な一冊でした。
艶めかしくダークで、とても純粋で正直な登場人物がたくさん。
”危ないって思うまでは目を奪われることを恐れなくていい。『異形のものに神宿る』と申しますでしょう。何が良くて何が正しいかなんて一概に言えません。昔の人は今よりずっと大らかでしたよ。”
”露悪的に見えても遠回りしているように見えても、それは完成するために欠かせない工程なのです”
”無理して自分を納得させなくていい。生涯、自分の幽霊を見るような生き方はしなくていい”
私は桜が好きだろうか??
桜の思い出はいくつかある。
でも、その桜の光景ではなく、思い出すのは誰と一緒だったかだけだったりする。 -
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ネタバレ人間の心の底にある諦め、脆さ、
言い出せない想い、
わたしもこんな風に感じる‥
こんな風に想うのは自分だけじゃ無い、私だって分かり合えるかも
だからこそ、君は1人じゃ無い!
気づいて!
そう、気づいてくれる人はいる
からまった糸のように、人々の関係がありました
☆まいまい
一人暮らしの男の家に猫のようにふらっと現れて、横にいる女性 カタツムリ
この男性の姉の子供は金魚を殺してしまう
☆ゆらゆらと クラゲ
この男性武夫と一夜を共にした田村
田村の友人の華奈子は女性が好き
孤独はあたしの背骨を掴んでがくがくと揺らす。お前は独りだよ。誰にも必要とされず、何も残せず、たった一人で朽 -
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どうしてこの本を手に取ったのかはもう思い出せないのですが(この本が先だったのか、透明な夜の香りが先だったのか)私が「物視点萌え」を拗らせた原因になった本です。
1話数ページの短編集。こことは違う世界かもしれない、不思議で美しく独特な輪郭の短編集。
好きなのは「スヴニール」「ビースト」「ワンフォーミー・ワンフォーユー」、中でも一番刺さったのは「ワンフォーミー・ワンフォーユー」。
冒頭に書いたように、この話は物視点、ティーポットが持ち主の少女と出会ってからのお話です。愛する日常、過ぎていく時間の先にある別れ。恋でもしているような(実際に持ち主を愛しているのでしょうが)ティーポットの焦がれるよう -
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魚の目を覗いてはいけないよ。人間とは心の作りが違うのだから。デンキは無い。夢は見られない。あるのはただ、水の臭いと、遊女屋の灯火-。
『ひきなみ』に続いての千早茜san。本作で3作品となったので、ひさしぶりにカテゴリー追加となりました。
「この島の人間は皆、夢を見ない。」から始まる物語。生ぬるい水に囲まれた孤島。一大遊郭。捨て子の姉弟、白亜とスケキヨ。現在の白亜と伝説の遊女白亜との交差。特に、白亜とスケキヨの距離感が絶妙でした。惹かれあってるのに避けあって、一歩も踏み出せない二人。終盤の蓮沼の言葉が的確でした。また、新笠の娘ハナへ「覚悟」を諭すシーンは残酷でしたが、側にいた白亜の微動だにし -
匿名
購入済み深い余韻を残す
登場人物が少しずつオーバーラップしつつも語り手が変わっていくタイプの連作短編集。そういう本はいくつか読んだことがあるけれど、その中でも作者はこの形式をうまく扱っていると思った。各主人公が置かれているシチュエーションの幅広さも手伝ってか、読み進めていくごとに作品全体の奥行きが深まっていくようだった。
序盤はいまいちハマれなかったが、途中から好きな雰囲気の作品が出てきて印象が変わった。登場人物にもその関係性にも好感を持った。
美しい動植物が暗喩に使われている小説は世の中にたくさんあるけれど、この短編集は若干グロい生き物がその役割を果たしているのが斬新で、なおかつ雰囲気に合っていてよかった。