千早茜のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
強さと弱さ、野生と抑制、絶望と生命力。正反対の性質が共存する者は、生々しくも美しい。
支配欲に満ちた父親に育てられた小波は、意志を持たない。自我を持たない人間は、何も求めてこない。また側にいる者の欲求を、自分のものだと錯覚している。だからなのか、小波と関わった男性は、彼女に強く惹かれ、取り込まれ、そして破滅していく。
自己主張は少なからず、加害性を帯びる。小波のように強固な人格形成をされていなくとも、繊細な心を持つが故に、大切な人といる時には我を持たないという選択を、無意識的にしている人は案外多いと思う。
しかしたとえ望んだとしても、人間は本当の人形にはなれない。常に小波の腹の底には、理不尽に傷つけられたことに対する怒りがある。だから敵意を持つ者には敏感に反応して、躊躇なく潰す。また深い絶望を味わっているから、痛みや恐怖をほとんど感じない。
「マカロンも果物のケーキも…ぺたんこの靴も本当はどうだっていい。耀に似合うものが好きなの。幸せのイメージに近づいていく気がして。」小波は最終的に、彼女から決して何も奪おうとしない耀と、「理解し合えなくても一緒にいること」に希望を見出す。人の心には、決して他人が無闇に暴いてはならない、神聖な領域が存在している。
人は変化する。よって、「あなたを信じている」と言うことは、実は暴力に近い。誰かを愛することは、祈りを捧げることと殆ど同義だ。 -
Posted by ブクログ
千早さんテイスト満載な一冊でした。
艶めかしくダークで、とても純粋で正直な登場人物がたくさん。
”危ないって思うまでは目を奪われることを恐れなくていい。『異形のものに神宿る』と申しますでしょう。何が良くて何が正しいかなんて一概に言えません。昔の人は今よりずっと大らかでしたよ。”
”露悪的に見えても遠回りしているように見えても、それは完成するために欠かせない工程なのです”
”無理して自分を納得させなくていい。生涯、自分の幽霊を見るような生き方はしなくていい”
私は桜が好きだろうか??
桜の思い出はいくつかある。
でも、その桜の光景ではなく、思い出すのは誰と一緒だったかだけだったりする。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ人間の心の底にある諦め、脆さ、
言い出せない想い、
わたしもこんな風に感じる‥
こんな風に想うのは自分だけじゃ無い、私だって分かり合えるかも
だからこそ、君は1人じゃ無い!
気づいて!
そう、気づいてくれる人はいる
からまった糸のように、人々の関係がありました
☆まいまい
一人暮らしの男の家に猫のようにふらっと現れて、横にいる女性 カタツムリ
この男性の姉の子供は金魚を殺してしまう
☆ゆらゆらと クラゲ
この男性武夫と一夜を共にした田村
田村の友人の華奈子は女性が好き
孤独はあたしの背骨を掴んでがくがくと揺らす。お前は独りだよ。誰にも必要とされず、何も残せず、たった一人で朽ちていくんだよ、
たまらなく寂しくなった。世界であたし1人しかいないみたいだった。誰にもあたしの声は届かない。誰もあたしなんか知らない。いても、いなくても同じ.
嫉妬 どろどろしたものが燃え上がったり、腐ったりして‥
武夫 女医を連れて係長と魚釣り
終電間近の車両、女の子は華奈子?
☆からまる イソメ
「ちゃんと肝心な人に感情を向けなきゃ駄目だ。怒りで誤魔化すのじゃなくて、ちゃんと寂しいってことを伝えなきゃ駄目だ」
「肝心なものをみないふりをしていた。本当は傷つけあってもいいから、絡まり合わなきゃいけなかったのに、1人きりでこんがらがっていたのかもしれない
係長 奥様が不倫
筒井武夫くん、係長と釣り
☆あししげく
篠田蒼と お母さんの19歳の過去
衝撃的なお話
☆ほしつぶ
あおとくんの惨めな気持ち、けむりみたいに消えてしまいたい、苦しさが伝わってくる
傷ついたということはわずがでも期待したということだ。先を望んでいたということだ、それが恥ずかしかった
最後まで良かったな
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Posted by ブクログ
どうしてこの本を手に取ったのかはもう思い出せないのですが(この本が先だったのか、透明な夜の香りが先だったのか)私が「物視点萌え」を拗らせた原因になった本です。
1話数ページの短編集。こことは違う世界かもしれない、不思議で美しく独特な輪郭の短編集。
好きなのは「スヴニール」「ビースト」「ワンフォーミー・ワンフォーユー」、中でも一番刺さったのは「ワンフォーミー・ワンフォーユー」。
冒頭に書いたように、この話は物視点、ティーポットが持ち主の少女と出会ってからのお話です。愛する日常、過ぎていく時間の先にある別れ。恋でもしているような(実際に持ち主を愛しているのでしょうが)ティーポットの焦がれるような祈りが胸に刺さります。きっとこういう感情を萌えというのでしょう。 -
匿名
購入済み深い余韻を残す
登場人物が少しずつオーバーラップしつつも語り手が変わっていくタイプの連作短編集。そういう本はいくつか読んだことがあるけれど、その中でも作者はこの形式をうまく扱っていると思った。各主人公が置かれているシチュエーションの幅広さも手伝ってか、読み進めていくごとに作品全体の奥行きが深まっていくようだった。
序盤はいまいちハマれなかったが、途中から好きな雰囲気の作品が出てきて印象が変わった。登場人物にもその関係性にも好感を持った。
美しい動植物が暗喩に使われている小説は世の中にたくさんあるけれど、この短編集は若干グロい生き物がその役割を果たしているのが斬新で、なおかつ雰囲気に合っていてよかった。