千早茜のレビュー一覧
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木漏れ日を透かすような色素の薄い髪と眼。
少年と見まがうような薄い体なのに、奇妙に老成したまなざし。
人の姿をしているのに、人ではない生きものに見えた。(P29)
天才調香師・小川朔という人間には、
掴もうとすると、するりと手のひらからこぼれ落ちていくような、
抗いがたい魅力がある。
それは、畏怖に近いのかもしれない。
『燻る骨の香り』千早茜
〈香り〉三部作、とうとう完結。
私が千早作品を好きになったきっかけは、デビュー作『魚神』。
でも、匂い立つような清廉な文章や、静謐な世界観に
完全にのめり込んでしまったのは、
間違いなくこの〈香り〉三部作だ。
文章から、こんなにも香りが立ち -
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祖母に預けられ瀬戸内の島で暮らすことになった小学生の女の子、葉と、その島で血を理由に差別されてしまっていた女の子、真以の話。
物語は小学生の頃の2人と、大人になった2人という2つの時系列で語られる。
初めの時系列では、大人に翻弄されながらも子供らしく純粋に生きる時間や人間関係が綺麗な言葉で描写される。
「約束するのは信じていないみたいだから」
「海を見慣れるように、一人でいることにも慣れるんだ」
「戻るという言葉がしっくりくることに気がついた。でも、喜ぶことも悲しむこともできない」
「凪いだ海のような起伏のない時間は、胸を騒がせることもなくゆるゆると過ぎていって、それはそれで楽でもあった」 -
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■作品
透明な夜の香り
■全体の印象
派手さはないが、静かに引き込まれる作品。読後にじわっと余韻が残るタイプ。「普通に面白い」と感じやすいが、あとから効いてくる。
■テーマ
・香りと記憶の結びつき
・人との距離感(近すぎず遠すぎず)
・過去との向き合い方
■良かった点
・「香り」という抽象的なものを軸にした独特の世界観
・文章が落ち着いていて読みやすい
・感情を説明しすぎない余白のある描写
・静かなのに、人物の内面がしっかり伝わる
■気になった点
・大きな事件や展開を求めると物足りない
・解釈を読者に委ねる部分が多く、人によっては曖昧に感じる
■印象に残ったこと
香りが記憶を呼び起こす描写がリ -
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調香師の特殊な環境で働くことになった一香の話。
確かに意識はしていないが、街で知ってる香りを感じると、その人のことを思い出すことがある。
ある香水の香りを嗅いだ時、中学の同級生が卒業式前に香水瓶を割ってしまい、とんでもない香りで出たことを思いました。
こういう能力?特性?は割と刑事やら探偵やらのチート能力として紹介されるような本を読んだことがあるが、どちらかと言うと「良くないこと」の様な扱いをしていたのが印象的だった。
確かに、人の感情を機敏に察してしまうのは嫌だなと思った。
朔と一香の関係がどうなるのか気になり、続編も出ているのを知ったので、読みたいと思う。 -
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家に引きこもっていた若宮一香の新しいアルバイトは、調香師の小川朔の家で家政婦として働く事だった。小川朔は他人が分からない匂いを感じることができ、どんな匂いでも作ることが可能だった。その友人の新城という男が、依頼を引き受ける。一香、朔、新城の3人が、様々な依頼人の過去や心の傷に、香水を通して触れていく。そしてお互いの過去にも…
文章から匂いがする。本を読むということは、文字を追い、話を理解し、頭の中に情景を思い浮かべることだと思っていたが、この本を読むと情景だけでなく、匂いまで思い浮かべることができるのに驚いた。あと、静寂。「透明な夜の香り」というタイトルのように、物語の中に静寂を感じる。スト -
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シンデレラや白雪姫などの童話を現代の人間にしたらどんな残酷で苦しい世界なのか。
かといって無理にグリム童話っぽくするわけではなく、まるで振り返ったらシンデレラみたいねっていう皮肉に落ち着くような甘美だけど残酷な物語。
個人的にはヘンゼルとグレーテル、白雪姫が好きです。
純粋無垢な子供たちが邪悪な大人に騙されて…でも最後にはヘンゼルとグレーテルは悪い魔女を倒して。現代でそれが一体何とされるのか。
白雪姫も、毒林檎を食べてしまう白雪姫は実は黒い笑みを浮かべる恐ろしい女だったかもしれないと思えるようなゾクッと感。
だけどもどこか現代女性のひとつの考え方として腑に落ちるような言葉の使い方がさすが千早茜