千早茜のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
久しぶりに本当に素晴らしい小説に出会った高揚感があります。小川洋子さんの『薬指の標本』が好きな人は絶対好きです。
1ページ目から最後のページまで、作品通して漂うおしゃれでロマンチックで、官能的な雰囲気。
メインで登場する人物たちのバランスの良さや、ユーモラスなコミュニケーションが差し色というかエッセンスになって、読み物として純粋におもしろい。
香りという見えないものや、香りを起点に広がる人間の生物的で理性的な心の奥底を、どうしたらこんなに綺麗に書けるんだろう。
香りから広がる風景や人物を、こんなに想像する素敵な機会をくれて、ありがとうと言いたいです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ千早茜さんの本の中ではじめて読んだ作品。
性や食を題材に、主人公の生きる姿を鮮やかに、生々しく描いている。
特に印象的だったのは、階段を登り、カラカラの喉を潤すために、桃を齧る主人公の描写。不老長寿の象徴である桃を貪り食う主人公と、それをただ見つめる全さんの、若さと老いの対比が悲しく、美しかった。
父親ほどの年齢である全さんと過ごしていくたびに、心惹かれていく主人公の心情に呼応するように、全さんが魅力的に見えてきて不思議だった。年齢を感じるようなカサカサの皮膚、レンズ越しの冷たい目、主人公をあしらう姿。家族や知人からは、祝福されるはずのない関係が、二人の関係の密度をぐっと高め、忘れられない -
Posted by ブクログ
ネタバレ鋭敏な嗅覚を持つ調香師である朔さんが、家政婦となった主人公と仲を深めていきながら、主人公の生活の場のありとあらゆる香りを支配していく様が、朔さんの独占欲の広がりのように感じられ、面白かった。
また、香りによって欲が理性を超えてしまい、人を攻撃してしまうという女性が描かれていたが、理性が崩壊するほどに魅力ある香りとはどんな香りか気になった。
屋台とかで良い香りがするとつい買ってしまうように、人間の根幹には、良い香りのものに包まれたい、良い香りのものを所有したいという欲があるのだなと再認識することができた。
続編である赤い月の香りも発注依頼をかけたので、届き次第、続きを読みたいと思う。