千早茜のレビュー一覧

  • 魚神

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    ネタバレ

    没入して読んだ。蓮沼という男がまぁ言ってしまうと当て馬なのだけれど、あまりにもツボだった。どうして結ばれない……(結ばれないからいいんでしょうが)。
    読んでるうちに世界観に浸り込んで、情景が目に浮かび音も匂いも体感した気分になる。遊郭という楽園の檻、煌びやかでありながら人の業が渦巻く薄暗さとそこに漂う哀愁がいい。

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    2026年05月23日
  • わるい食べもの

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    一文目から凄く面白くてページをめくる手が止まらなかった。食の好みは歳を重ねるにつれ変わっていくとあって、自分も自分の好みの味の変化を楽しみたいなと思った。

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    2026年05月16日
  • クローゼット(新潮文庫)

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    冒頭から細かい描写が美しく小説の世界へ誘ってくれた。
    服が好きで吸い寄せらる様に集まってきた登場人物たちの美術館での物語は、読んでいてワクワクさせられた。
    そして2人の主人公それぞれの心の傷が2人が出会うことで、周りを巻き込みながら少しずつ癒されていくところがいいなぁと。
    お守りみたいな言葉がいくつもあり、また再読したい。
    オススメ
    ・手仕事が好きな方
    ・服が好きな方
    ・少し心に傷がある方

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    2026年05月12日
  • グリフィスの傷

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    今まで読んだ本の中で、これはすごく余韻が残る作品だった。
    どの冒頭の描写も独特な雰囲気から展開される10の傷をテーマにした短編からなる。
    その中で特に印象に残ったのが、あおたんと指の記憶で、他の話があるから、特にこの2つの物語が際だっていた話だった。
    あおたんは、不幸な生い立ちから容姿を捨てて、亡くなったおっちゃんを心の支えに健気に生きていく主人公の生き様が凄く心に刺さった。
    もう一つ、指の記憶は、この話が一番生々しく心理的に嫌な描写があるが、主人公ではないが、嫌われ者の千田さんの生き様が心情的に心に残った作品だった。
    ぜひ他の人にも読んでほしいと思った1作です。

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    2026年05月08日
  • 魚神

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    夢を見ているような美しさを感じました

    白亜たちが住んでいる環境は
    ぬたっとしている描写で綺麗とは言い難いような場所や人間関係が多く感じられたけれど

    スケキヨと白亜、雷魚伝説の描写には澄んだ心地よさを感じこの描写の対比と神が現れたような清らかさが文字から安易に想像できた

    2人はきっと生まれ変わりなんだろうか

    雷魚伝説との交差もすごく良く
    たくさんの人の愛情が心苦しくも愛おしかった

    あとは純粋に、千早さんが描く目に見えない空気や匂い、情景などの描写がたまらなく良い

    個人的には蓮沼が好きでした。読んでよかった!

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    2026年05月07日
  • 私の身体を生きる

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    凄かった。エッセイというものをほぼ読んだことがなかった私にとって強烈な読書体験だった。
    ほんタメというYouTubeチャンネルで紹介されており興味を持って読んでみた。これは、映像化はきっと難しい、本という媒体のみを通して伝えられる感覚だと思った。
    共感できる部分も多く、一方で共感できなかったあの子の振る舞いはこんな感覚にルーツがあったのではと思い至るところもあって、強烈に胸に響いた。私の感じたもやもやを言語化してもらったようで嬉しさもあった。自身も女性性を元とした経験はポジティブ面、ネガティブ面ともにあり、同じような経験をした作家がそれをどう捉えるかを聞けたことが嬉しかった。
    性に関する体験をもとに感情が描かれていて、一読するだけでは飲み込みきれなかった部分もあった。一作ずつ丁寧に読みといていきたい。

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    2026年05月04日
  • ひきなみ

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    祖母に預けられ瀬戸内の島で暮らすことになった小学生の女の子、葉と、その島で血を理由に差別されてしまっていた女の子、真以の話。
    物語は小学生の頃の2人と、大人になった2人という2つの時系列で語られる。

    初めの時系列では、大人に翻弄されながらも子供らしく純粋に生きる時間や人間関係が綺麗な言葉で描写される。

    「約束するのは信じていないみたいだから」
    「海を見慣れるように、一人でいることにも慣れるんだ」
    「戻るという言葉がしっくりくることに気がついた。でも、喜ぶことも悲しむこともできない」
    「凪いだ海のような起伏のない時間は、胸を騒がせることもなくゆるゆると過ぎていって、それはそれで楽でもあった」


    思い出は美化される。頭の中で勝手に相手の気持ちを推測して、物語を作ってしまう。いつしかその物語は聖書化してしまい、崇拝してしまう。
    こういう経験はあるけれど、この本は、世界が自分が理解してる通りといえるほどわかりやすくなくて、わからなくてもいいと言ってくれるような小説だった。

    「口下手だったあの子が私に伝えたいことがあったのではないかと思いたいのだ。勝手に自分に都合のいい解釈をしようとしている」
    「向かいに座る真以を見る。目の前にいることが、うまく、信じられない。強い記憶はいつしか自分の中で物語のようになっていたのだと気づかされる。」

    同時に、理解したつもりになっている他人も世の中には沢山いる。「理解されたはず、こうあってほしいと思われている自分」を押し付けられて苦しむ葉。
    でも、そんなことは切り離して、自分の生きたいように生きればいいと。
    あくまで、否定するでもなく、従属するでもなく、切り離して。
    「人の目を変えるのは難しい。みんな、見たいように見る。」「その人の見ている世界はわたしの世界とは関係ないから」
    「葉が島にきて、私の周りにもきれいなものがいっぱいあったんだって知った。葉はわたしのことも、母のことも、そのままの姿を見てくれた。見ようとしてくれた。」

    ありのままの葉でいればいい。そうあって欲しい。ひきなみのように後ろに見える、自分という人間を純粋に生きればいい。そういう意味を込めて真以が言う。

    「葉は葉のやり方で、生きて」

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    2026年04月30日
  • 雷と走る

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    行ったこともない、異国の地の情景が、千早茜さんの力で、ありありと目に浮かぶ。
    流石です、、
    今回も素晴らしかったです。

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    2026年04月22日
  • おとぎのかけら 新釈西洋童話集

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    シンデレラや白雪姫などの童話を現代の人間にしたらどんな残酷で苦しい世界なのか。
    かといって無理にグリム童話っぽくするわけではなく、まるで振り返ったらシンデレラみたいねっていう皮肉に落ち着くような甘美だけど残酷な物語。
    個人的にはヘンゼルとグレーテル、白雪姫が好きです。
    純粋無垢な子供たちが邪悪な大人に騙されて…でも最後にはヘンゼルとグレーテルは悪い魔女を倒して。現代でそれが一体何とされるのか。
    白雪姫も、毒林檎を食べてしまう白雪姫は実は黒い笑みを浮かべる恐ろしい女だったかもしれないと思えるようなゾクッと感。
    だけどもどこか現代女性のひとつの考え方として腑に落ちるような言葉の使い方がさすが千早茜先生だと思います。その言葉遣いが好きでどの作品も大ファンなんです。
    短編は久しぶりに読みましたが、もっといろんな童話で見てみたいし、この長さの話だからこそ想像を膨らまさせられる毒々しさでした。

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    2026年04月20日
  • 西洋菓子店プティ・フール

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    ネタバレ

    食べたくなるようなスイーツがたくさん。
    千早さんの作品は感情を匂いや色で表現していてとても美しい。今作は味で表現していてそれもまた秀逸。

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    2026年04月20日
  • 眠れない夜のために

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    千早さんの美しい文章と独特の空気感を存分に味わえる一冊。この少し冷んやりでしっとりした空気感が本当に好きです。特に水のいきものと木守柿がよかった。イラストともとても合っていました。
    透明な夜の香りの新作も楽しみです。

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    2026年04月12日
  • 眠れない夜のために

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    それぞれ眠れない夜の短編集。

    眠れない日って何をしても何故か眠れない。
    身体は疲れて寝たいのにのに頭は起きて自分がバラバラになるみたいで少し嫌い。
    そんな日の眠れない日のお供が出来て嬉しい。

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    2026年04月04日
  • 私の身体を生きる

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    個人的にはむっちゃ面白かったが、娘を持つ父親としてはマジ複雑。危険すぎるやん、満員電車に乗せられないし、共学にも入れられない。とかやってると箱に入れすぎて社会に出て路頭に迷う。
    特に若い女性は希少性が高いし、あらゆる年齢層の男性から性的視線を向けられるキモさ、精神的苦痛は想像してもキツイ。
    しかも性被害に遭えば一生悩まされるし、キモい男性、痴漢は一定程度発生して避けようがないとしたら、。地獄に落ちないようにだけはしっかりと自衛せなあかんよな。

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    2026年03月31日
  • 胃が合うふたり(新潮文庫)

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    おいしいものやお店を紹介しあう食エッセイかと思いきや、いい意味で裏切られた! これは「食」という窓を通じて、新井三枝香・千早茜というふたりの人間に向き合うという、ずっと胆力のいる作業だった。読むことを通して、食や生に対する自分自身の向き合い方をも問われることになる。ドキッとしつつも、ユーモアあふれる唯一無二のふたりの関係性や、それぞれのかっこいい生き方に憧れて、自分の背筋も伸びるような読書体験になった。

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    2026年03月30日
  • グリフィスの傷

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    やっぱり千早さん好きだなぁ
    すべて傷にまつわる話の短編集で、静かなのに何故か色を感じる。
    千早茜ワールド。

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    2026年03月28日
  • ひきなみ

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    葉がその島で会ったのは同年の真以だった。
    親友だと思っていた。
    その真以が、島に逃げてきた逃亡犯と一緒に島から逃げ出す。

    それから20年が経って、葉はウェブ上で見つけた真以に会いに行く。

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    2026年03月20日
  • ガーデン

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    千早さんの本はいつも読むと安心をくれる。
    満月の夜に爽やかな風に吹かれているような気分になる。

    登場人物の羽野に自分を重ねた。人との距離感が冷たく、羽野は植物を愛する。私は、人との関係が煩わしく本を愛する。本はいつも静かにしているが、開けばいつでも同じように口をひらいてくれる。
    植物と本。ものは違えど、静かにいつもそこにいてくれる彼らを愛することにそこまで差はないのではないかと思う。

    羽野が語った昔の使用人と2人だけの夜が居心地が良かったという話に心から共感した。お互い干渉しすぎず、頼りすぎず、でも空間は共有する。そんな居心地の良い関係を望むのは贅沢なのか?

    私は交際をしても、冷たいとかもっと頼って欲しかったと言われて相手が去っていってしまう。
    羽野がもしこの世のどこかに居るのであれば、良い関係が築けるのだろうか…
    やはり、お互いの庭を見せることができず別れが訪れてしまうだろうか…

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    2026年03月18日
  • 雷と走る

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    ネタバレ

    虎との生活、現在の生活の描写が現実的で好きだった。
    虎は獣で自分の思うようには動かない。博人は他人でどうしても自分の全てを理解することはできない。他の人と動物とどう関わっていくか選択して生きている。

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    2026年03月12日
  • なみまの わるい食べもの

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    このシリーズは本当にあっという間に読み終わってしまう。
    待ち会がまたあったり、私の住んでいる地元の石見銀山が登場したり。数年でバタバタと環境が変わっていくけど、やっぱり食が千早さんを支えているのかなと。
    読み終わってしまったー、、

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    2026年03月11日
  • ひきなみ

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    第1部 葉は祖父母の住む島に預けられた。7月までの間という。父の具合が悪いそうだからだが、葉には父の機嫌が悪いだけにしか見えない。お母さんはお父さんだけが大事で、私を見てくれないと葉は思っている。

    島で真衣と仲良くなった。といっても、真衣はふとどこかに行ってしまう。真衣の家も父母がいない。真衣は別荘の管理人の祖父を手伝っている。けど自分のことは語らない。

    夏休みになっても母は迎えに来ない。初潮を迎えた日、葉は真衣と本土に渡る。

    クリスマスに母は来たけど帰っていき、中学は島にはなかったので高速船で通うことになった。

    第2部 父は若い女に走り、母と葉は捨てられた。祖父母の姓になっている。広報誌の仕事で、たまたま過去回を洗っていたら真衣を見つけた。

    真衣は神社の参道でアクセサリーを売っていた。葉が行った時はもうほぼ売り切れている。ランチをすることに。真衣は相変わらず自分のことを語らない。

    社内で葉は部長のターゲットにされている。月経で具合が悪い時にやられて吐いてしまった。早退する。次の日も出勤できなかった。

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    2026年03月04日