千早茜のレビュー一覧
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「私の身体」を「生きる」とは何だろう。いや、「私の身体」とは何だろう。そもそも、「私」とは何だろう。
各作家たちの切り口は様々だが、みな共通しているのが、己という存在を不可欠に構築するこの肉体というものの生物的な役割にも社会からの眼差しにもかなり戸惑い、苦しみ、受け入れたり受け入れられなかったりしながらどうにか生きている点で、強く連帯感を持ちながら読んだ。
痛ましさを感じたのが、執筆陣の女性たちはほぼほぼみな性被害の経験がある点。私にもあるし、私の友人たちもほとんどあると思う(学生の頃、痴漢が話題になったとき、その場にいた10人ぐらいのなかで痴漢に遭ったことがない子は1人しかいなかったことを -
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人の欲望が渦巻く銀山の間歩。銀色に色づく葉
そこに生きた一人の女ーウメーの物語。
喜兵衛の手下として、おなごとして、鬼娘として、間歩を歩き回った幼少期。
自分の女としての運命に振り回される青年期。
嫁として子を育てながら生きる、母親の時代。
隼人の最後を看取り、そのあとを生きる最後の時代。
そこに生きた一人の女ーウメーの物語。
子供の頃の情熱のような燃え盛る炎から、母親としての慈しみの炎まですべて、銀山という真っ暗闇の間歩を舞台に描ききっている。
情景描写や歴史背景も隙だけど、一番魅力的なのはやっぱり登場人物!!
主人公うの性格も好き。夜目が利くっていう能力?も応援したくなる。強く生きてほ -
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「わるたべ」シリーズ四作目。
このシリーズは大好きで刊行されたら直ぐ読んでいたのだが、珍しく三作目をまだ読めておらず(涙)
だったが、四作目を先に読んでも楽しめた。
今シリーズでは、作者が直木賞を受賞した際や後の心理状況や、離婚から再婚、新しい家族(猫)との生活、可愛い姪っ子のためにディズニーランドについての猛勉強、旅行話など、内容は盛り沢山。
環境の変化が大きく、目まぐるしい日々だったそうだが、食に関しては相変わらず偏屈で、食へのこだわりと執着の凄さは変わっておらず。
ただ忙しさのあまり冷蔵庫に入れている卵の数を忘れていたりしたことは読者の私にも衝撃的だった。(笑)
〝美味のための -
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戦国末期の石見銀山を舞台に、幼くして父母と生き別れた少女ウメがたくましく生きていく物語。
銀で潤う町の様子とは対照的な、まっ暗闇の坑道「間歩」(まぶ)。
「信じるものがないとその闇は耐えられない」という喜兵衛の言葉から、そこに向かう鉱夫たちがどうやって自分を奮い立たせていたかを考えてしまいます。
当時の鉱夫の平均寿命は30歳ほどだったとのことですが、そこに明るく健やかな女たちの存在は大きかったんだろうな。
間歩の闇に魅せられ、恐れたウメ。
目を覆いたくなるような酷い目にも遭い、胸にズシンとくる辛い場面も多いです。でも自分を見失わず、時にしたたかに立ち回るウメの姿に、どうか闇にのまれないでくれと -
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千早茜さんの作品は五つくらい読んでいる。
彼女の書く繊細で美しい文章が大好きだ。きっと、すごく薄くて美しいガラスみたいな、非現実的な妖精みたいな、そんな女性なのだろうと思っていた。
あら、ちゃんと人間^_^フェアリーじゃなかった笑
それもすごく面白い人間(言い方!)!
食にすごくこだわりのある人だと分かった。
食を大事に大事にしている人。
私は胃腸がとにかく弱く、腹痛に苦しむ人生を送っているせいか、味よりも私の胃腸が機嫌を損ねないかどうかが一番の問題である。量も食べられない。
そのせいなのか反面なのかわからないけど、食にこだわりのある人や食べるのが大好きな人を見るのは結構好きだ。
美味し -
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ネタバレまた千早茜さん。これは短篇集です。すべて、心や体に傷を負った人を描いている。高校でクラスメイトから完全に無視されていたけど、ある日ケガをして血を流しながら登校したところ、みんながぎょっとして、さわぎになった…心にいくら傷を負っても誰も気づかず、黙殺され続けていたのに、ちょっと(ちょっとではないんだけど)体に傷を負って少々血が流れているだけで無視されなくなるなんて変なの…という話や、
初めてのセックスで相手の女の子を傷つけてしまったかも…というカップルの話や、
かつて犬にやられて体や顔に傷を負っており、とにかく犬が嫌いな男と、かつて集団レイプされて心に深い傷を負っており、とにかく男が嫌いな女の子 -
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傷ー痛みを伴う。身体に刻まれるものもあれば、魂に刻まれるものもある。傷のない人間なんていない。でも他人から見たら、その傷は分からない。そんなお話を10個集めた短編集。
艶やかで、それでいて澄んでいる。境界線がくっきりと浮かぶ話が多かった。
その中での「この世のすべての」の話は特徴的だった。でも、他者から見たお爺さんの傷と主人公の傷なんて、どっちも分からない。結末には驚かされたけど、理にはかなっている。読んだ後にモヤモヤっとしたけれど、納得はできてしまう。
「林檎のしるし」可愛い話だった。丸くツヤツヤした林檎色が浮かぶ。ちょっと切ないけど、湯たんぽを用意すること、そこに込められた想いが&quo -
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ネタバレまたまた千早茜さんです。切なくて、とても良かった。
千早茜さんらしく、主人公は30歳を少し過ぎて、結婚を考えている恋人もいるんだけど、妊娠・出産に関しては少し慎重になっていて、その気持ちを恋人とうまく共有できていない、という設定。
そのことは、彼女の生い立ち(幼い頃の思い出)と関係している。
主人公は幼い頃、父親の仕事でアフリカにいて、そこは非常に治安が悪く、インターナショナルスクールには車で通い、自宅の広い敷地と、インターナショナルスクールは頑丈な塀で囲われ、そこから外に一歩でも出ると危険、という環境だった。自宅の敷地には、番犬用に大型犬を何匹も飼っていた。現地で生活する外国人は、番犬を飼う -
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ネタバレ千早茜さんの短編集。第一夜から第十夜まで、どの編も眠れない人が主人公です。第一夜の主人公は、眠れない夜にクッキーの缶を開ける。クッキーの缶っていいよね。小さい頃、ドキドキして開けて、姉と中身を分けたことを思い出すけど、そういう描写があって良い。ただ、この主人公は明らかに過食症だよね笑。シンクの下に、そうやって空にしたクッキー缶がたまっている。第三夜の「水のいきもの」は、不眠を克服する話なんだけど、自分と同じ不眠の青年に、深夜の住宅街で出会って、そっと手を差し伸べてもらったことがきっかけで、眠れない夜に出てくる水の中のイメージが克服できる。なかなか素敵なお話だった。
雨が降ると、身近な人の気持ち -
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タイトルから連想されるのは、三角関係、おむすび、サンドイッチ・・・・
最初に、大好物の「塩むすび」があって、
涎がでそうだった。
京都の町屋のちょっと薄暗い、じめっとした背景に、
東京の生活に疲れた女性と、年下の男性、その恋人の仕事に忙殺されている女性との、微妙な三角関係の描写が何とも言えなかった。
高村は、大人で、料理も上手で、仕事もできて、自分をしっかりと生きている感じだった。
真逆のタイプである華との間で、揺れ動く伊藤君の気持ちもよくわかる。
3人がそれぞれの目線でストーリーが進んでいく手法はよかったと思う。
「ヒトってさ、自分にとって都合が悪いものを変だっていうんだよ」
ともち -
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ネタバレ*フランスで菓子作りの修業をしたパティシエールの亜樹は、菓子職人の祖父のもと、下町の西洋菓子店「プティ・フール」で働く。女ともだち、恋人、仕事仲間、そして店の常連客たち……。店を訪れる人々が抱える様々な事情と、それぞれの変化を描く連作短編集*
大人テイストのスイーツ小説、とでも言いましょうか。
甘くてかわいいお菓子たちが全てを解決してくれてハッピー♡みたいな単純な展開ではない所がとても良かった。
そして、甘さの裏に潜むほろ苦さにやるせなさ、人生のままならなさ…など、お菓子に絡めた心理描写が本当にお上手です。
もろもろ胸焼けせずに最後までじっくり堪能致しました。
装丁も内容にぴったりの雰囲気