千早茜のレビュー一覧
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ネタバレわる食べシリーズ第一弾に引き続き、とてもおもしろい。
千早さんの食へのこだわりは変わらずだが、本作の後半はコロナ禍に綴られたエッセイなので当時の記憶が蘇ってくる。
大胆で強烈な文章が多いので忘れてしまうけれど、基本的に千早さんは繊細な方なんだろうなと思う。
ストレスでお腹を下すし、気持ちが揺らぐとお茶で落ち着けようとする。
そんな千早さんにとって、コロナ禍で世界がぐちゃぐちゃになったあの時期は、気持ちがざわざわすることも多かっただろう。
そんな様子がよくわかるような内容になっていた。
とはいえ、千早さんのインパクトある文章は前作同様健在で、笑っちゃう箇所が本当にたくさんあった。
食に貪欲だ -
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Posted by ブクログ
他の読者さんからのおすすめで、本のタイトルと表紙の写真が美しく手に取った本。
真以と葉、2人の小学生時代から話は始まる。
読み始めたら止まらなくなって一気に読んだ。
読み進めたいけど終わらないでほしいと思いながら読んでいたら、後半は2人が大人になってからの物語で更に止まらない。
葉と真以の関係性はどこか恋人同士のようで、頼れる両親のいない2人は絆を深める。真以の、どこか掴めなくて不器用ででも優しくて頼もしいところは女性の私でもかっこいいと思った。
2人の物語の中にフェミニズムの概念が散りばめられている。小さなコミュニティでのいじめや差別、上司からの女性に対する嫌がらせ、そんな中を必死にもが -
Posted by ブクログ
タイトルの通り、眠れない夜に自分に読み聞かせるための短いお話10話。様々なテイストの短編集。真夜中にクッキー缶を開ける第一夜はうっかり真似すると大変なことになりそう。だけど真似したくなる。第二夜もしかりで夜明けのラーメンのヤバさ。暖かい余韻の残る第三夜と第四話。怪異な情緒がある不思議な第五夜。しんみりとじんわりと愛を感じる第六夜。お茶目で微笑ましい第七夜。人の世の残酷さ不条理さを美しく刺繍する第八夜。悲しい第九屋。切ない夜明けが印象的な第十夜。短いけれどどれも言葉や文章、イラストが美しくて満足度が高いです。枕元に常備しておきたい素敵な本だと思います。
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Posted by ブクログ
2025.5.7〜2025.5.10
メンタルが不安定で、とにかく優しい本が読みたいと思った時に、本棚にあった中で1番最初に目に入った本をチョイス。
内容はあらゆる「傷」がテーマの短編集。登場人物に沢山愛着を持ちたいタイプなので短編集って実は苦手なのですが、最初の作品を読んだ瞬間「この作家さん、めちゃくちゃ好きだ…!」と何と言うわけでもなく感じて、読めば読むほどするすると心と頭に入ってくる感じがしました。タイトルがあえて短編集の中の「グリフィスの傷」を持ってきたのも、意味を知ると本当に素敵だなと思います。
面白いだけじゃなくて考えさせられる部分や、思わずポロッと涙が出てしまうところもあるとって -
Posted by ブクログ
ネタバレ色々な男女(7人)の人生が複雑に絡み合う話。
一見関係がなさそうに思えても、そことそこの人間関つむがってたんだー、ってなって面白い。
あと、ひとつの出来事に対して凄く深く追求するというか、感受性がとても豊かな作家さんだな、と思った。
「一人でいることに慣れすぎかと、自分以外のことが全て値切になってくる。他人に合わせなくてはいけないことに守立ちさえ覚えるようになる。そこに自己嫌悪があるかないかだろう。」
「わかるはずがないんだ」。私にちには。自分がどういるかも、自分が何であるかも。」
「優しくでさるのは何も関心がないから。」
「人生って計画通りじゃないのよ。思がけないことで決わってしまうの。だか -
Posted by ブクログ
やっぱり、千早茜さんの作品、大好き。
千早さんの見てる世界って色とか光とかの情景がくっきりハッキリしていて、読んでいて清々しいし、自分が今見てる現実も千早さんの様な感受性で見てみたいと思う。
そして、今回もキャラクターの一人ひとりが魅力的だった。
短編集だけど全ての人物がどこかで繋がっていて、それぞれの視点から、同じ時間軸を過ごしているのが分かるから面白い。
華奈子が特に魅力的で素敵な女性だった。水の中に咲いている花っていう表現がぴったりな人なんて素敵すぎる。
他人と距離があるって言う表現も兼ねてるみたいだけど、第三者から見て近づき難い高嶺の花のような魅力があるんだろうなと思う。田村との関わ