千早茜のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
1番最初の話がいきなり浮気からはじまり、とっつきにくく、飲み込みにくさを感じた。わたしにはこの本は向いてないのかもしれないと思ったけど、読み進めていくうちに物語の中にストンとはまりこんでいた。
自分とは似ても似つかない考えや行動の登場人物たちに、気がつけば惹きつけられて、気持ちが寄せられていた。
物語の中で揺らぐ情動が根ざすのは、だれもが抱えている普遍的な孤独や悲しみや苦しみだ。正しいかどうかでは測れない。感情が導き出す道は不合理で複雑で、幸せなんて一口に語れる出口はない。
読み終わった後も物語の余韻が悲しく残っている。人生がもっと単純で明快だったら良かったのに。 -
Posted by ブクログ
最初ピンとこない感じだったのに、途中からめっちゃ引き込まれて一気に読んでしまった。
あれこれ理由をこじつけて、自分を納得させようと頑張って、それでもうまくコントロールできない現実から逃げたくなる。
そんな人達が主人公の連作短編集。
ふんわり甘くて心地いいお菓子で、一瞬見たくない現実から逃れられても、容赦のない現実から目を背け続けることはできない。
嗜好品をはけ口として消費するのではなく、ちゃんと楽しめるように、この主人公たちのように、向き合いたくない現実に立ち向かいたいと思った。
特に、ネイリストの主人公が発したセリフがお気に入り。
「自分を卑下しても、自分が好きになったものを否定しちゃ -
Posted by ブクログ
⬛︎ ほんわかだと思ったら、違いました
千早さんの小説を読みたい。でも重たい話はちょっと避けたい……(わがまま)そんな気分で本屋をうろうろしていて目に留まったのが本書でした。
甘いお菓子が登場する、ほんわかした物語かな?と思って手に取りましたが、実際はどっしりとした人間ドラマを描いたお仕事小説。いい意味で裏切られました。
主人公・亜樹は、有名パティシエールを退職し、将来的に店を継ぐことを見据えて祖父の営む洋菓子店に戻ります。
この祖父がとても魅力的。
昔ながらの頑固で職人気質な人物ながら、根は深く優しく、しかも人を見る目が鋭い。静かにかっこいいおじいちゃんでした。
亜樹もまた、幼少期 -
Posted by ブクログ
ネタバレなんともどろりとした終末を迎えるお話たちでした。
あとがきにて、子どもの頃に民話や昔話、童話に対してどのように思われていたか、凄く独特な感性でどこか共感できる内容が綴られており、千早さんの頭の中を覗いてみたくなりました。
童話を現代に置き換えたとして、全く予想しなかった舞台や観点で感動しました…なんて引き出しの多さ…。
ディズニー仕様ではない、リアルな童話と向き合うと、ここまでどろどろしたものを飲み込まされるんだ…という気持ちです。
本当に幸せになれたのは…?
そもそも不幸な人はいるのか…?
甲乙つけ難いのですが、白雪姫がお気に入りです! -
Posted by ブクログ
仕事と恋と食べること。
三角関係未満の3人の男女の物語。
恋に振り回されず自分のペースで暮らしたい夕香。
そんな夕香のもとへ、以前の勤務先で知り合った正和がルームシェアで同居することに。
食の好みが合う2人は、知らず知らずのうちに距離を縮めていくのだが、正和には研究が第一優先の華という恋人がいて・・・
等身大の揺れ動く3人それぞれの想いが、繊細で丁寧に描かれていて、とても良かった。
千早茜さんは季節や風景の描写に、色彩や湿度を加えるのがとても長けていると思う。今回は、更に様々な食事のメニューが加わるので、どれもこれも美味しそうで堪らない。そして何度もお酒がのみたくなった。
毎回、章ごと