小川糸のレビュー一覧
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死に対しての固定観念が覆った。すごい話。
人生をロウソクに例える表現も美しくて、そうなのかもしれないと思った。
「私ね、死って、最大級のオーガズムみたいなものなんじゃないかと、期待しているんですよ」
私は自分で、自らの死を受け入れたつもりになっていた。でも、そうじゃなかった。そう思うことの方が自分にとっては都合がいいから、受け入れようとしていたのだ。確かに外堀は埋まっていたけれど、肝心のここ、私自身が、私の心が、死を受け入れてはいなかった。私はホスピスに入りたいから、その方が楽で都合がいいから、死を受け入れたふりをしていたのかもしれない。
でも、本当の本当のところでは、まだ死にたくない。私は、もっと生きたい。
そう思うことが、欲張りみたいにも感じていた。往生際が悪くて、みっともないと。でも、そうじゃない。死を受け入れる、ということは、自分が死にたくない、という感情も含めて正直に認めることだった。 -
Posted by ブクログ
こういう暮らしをしたい。
こういう仕事をしたいと思った。
信州の森の中に建てた山小屋での春夏秋冬の日々を綴った本書。
写真に映るものは、家具や衣類はもちろんのことちょっとした小物も、隅々まで、ちゃんと選んだものに囲まれて暮らしている感じ。
執筆は朝の3時間だけ。
筆がのっていてもその日はそこで終了。
昼食をとり、
庭仕事をして、
近所の温泉に行って、
ワインでささやかな晩餐をして、
本を読んで9時過ぎには眠りにつく。
表現者の仕事とは、
職場で行う一定時間の労働ではなく
丁寧な暮らしの繰り返しから湧き上がってくる
精髄を掬い取ることだと感じた。
だから、
執筆はする3時間だけが仕事じゃない。
24時間の暮らしが仕事を生み出している。
ある意味気が抜けない気もするけれど、
でも僕もこんな暮らしの中から何か人に届けられる仕事をしたいと思う
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なかなか壮絶な子ども時代を過ごした主人公の人生が、実父かもしれない男性との出会いをきっかけに開けていくお話。
物語の本質そのものではないけれど、ある意味運命的な出会いをする、お弁当屋さんの彼が言った言葉が印象的。
「怒りとか悲しみとか不満とかって、確実に内臓に蓄積されるんだよ。そしていつか、深刻な病となって体に現れるんだ。大抵の人は、そこで初めて自分が我慢していたことに気づいて、食生活を改めたり、考え方を変えたりする。でも、その頃には手遅れになっている場合が結構多いの。だから、そうなる前に、このままだとヤバいなって本能が感じたら、引っ越したり仕事を辞めたり離婚したり、すればいいと思うんだ。人にどう言われようが、人にどう思われようが。そんなの他人の人生には関係ないことなんだから。」
私、今まさにこんな感じ。日本人、忍耐や我慢を美徳と捉えがち。でも、我慢を避けて次のアクションを起こした時に、それもうまくいかなかったら?と考えて今を我慢してしまう。物語のようにはいかないけど、考えるきっかけにさせてくれる。 -
Posted by ブクログ
小川糸さんの本は心が少し弱っている時に読むと言葉一つ一つが暖かくて優しい涙が出てくる。気がつけばボロボロ泣けてふと優しくなれる魔法をかけられた気分になります。
主人公の倫子はインド人の恋人がぬか床以外の全ての荷物と一緒に姿を消してしまってショックで声が出なくなってしまう。というところから物語は始まって、いろんな人と出会い。苦手だった人の素敵な一面を知ったり、おかんとの仲も少しずつ縮まったり、命の大切さをより一層実感して感謝したり、失ったものを一つずつ拾い集めていくような、大切なことに気付いていくような、素敵なお話でした。
倫子でいう「料理」のような自分の軸や強みを何か一つでも持っておくべきだなと改めて思いました。その軸が何かあった時に自分に手を差し伸べて助けてくれる時がくるのかなと。それを探すのもまた人生である。みたいな事なのかな。
おいしそうなお料理が沢山でてきて、読後はいつもよりちょっとだけ手の凝ったお料理を作ってしまいました(笑) -
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恋愛とその合間でちらりと覗く季節、お店、ご飯に惹かれた
日本をどん、と感じる場面が多くて頭の中で想像をしてゆくのがたのしい。季節をたのしもう、お店を開拓しよう、ご飯を味わおう、そう思えた。
東京は都会だ、というイメージをまるっと覆ささせていただいた。東京にもわたしの好きとする植物や日本、昔ながら〜といったことを味わえる場所は存在している。わたしの思い込みがいけなかった。もっと東京を知ろうと思う。
恋愛に関しては、なんだかもどかしくて、いけないような、でも気持ちには抗えないような、なんだかわたしまでもがきゅんとしたり、はらはらしたりとした。なんだか、こういう気持ちを抱くのは久しぶりだな〜と。後悔のない、そんな恋愛か〜。生きているうちにね、。
闇、星の話のとこのページの右上は折って、大切にしたい。 -
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以前読んだ時「このエッセイ好きだなぁ」と思ったけれど、再読してやっぱり好きだなぁ〜と!
鎌倉での一人暮らしの様子が綴られている。
気候や環境に不便さを感じながらもそれを楽しんでしまえる糸さんの懐の深さ(^^)
糸さんというと鎌倉、ベルリン、八ヶ岳の山小屋暮らし…本書を読んで現在の山小屋暮らしは糸さんの無意識の中で始まっていたのではないか?と思ってしまう!
や、もしかしたら実はこの頃から密かにいずれ大自然中でと計画されていたのかも…^^;
とにかく今の山小屋暮らしへのルーツが散りばめられていて繋がる部分がたくさんある。
「ツバキ文具店」の舞台でもある鎌倉、私も好き。
町の雰囲気というか時間の流れというか纏っているものがとてもゆったりしている(イメージ笑)
住みたい!けど私には無理かなぁ…
湿度の高さにやられてしまう(・・;)
あと、虫もね(^^;
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Posted by ブクログ
後悔のない恋愛って何だろう?
そんなことを考えさせられる物語。
小川糸氏のセンスが光る季節の風景や繊細な心理描写と美味しそうな食の世界は流石だな〜と毎回感心する。
色んなお店の料理も魅力的なのだけど、栞の手作りのものがすごく美味しそうで…!実は冒頭に登場する黒豆ヨーグルトは真似して何度もリピートしてる。
自分も日本の文化であれがやってみたいな、と興味が深まったものがある。時期を見て習い事で始めたい。そんな好奇心をものすごく高めるのがこの作品の最大のいいところ。
「好き」に一生懸命に生きてきた栞だからこそ自分の気持ちには素直に向き合おうとしていて、世間には許されない恋愛の結末をどうしたいのか悩み日々を過ごしている。結構戻れない段階になって一度は関係に決着はつけたものの。
お相手の男性に関しては…描写されているだけの頻度だけでも自分の家庭を蔑ろにしていると言えるレベルで栞と逢瀬してたからなあ。
プラトニックな期間は長かったかもしれないけど、心の浮気のほうが許せないパートナーだって少なからず居るのは当然な訳で。
栞の主観では自分を選んでくれた!と思いたくもなるだろうけど、成るべくして成っただけのことだから栞の元に転がり込まれただけなのでは…?としか考えられないが。
恋愛関係と感じられる幸せって何なんだろうなと
考えられるからこそ、正しい答えが決まっていないテーマのこういうフィクションを読むのが読書の醍醐味だと思えた作品。純文学がお好きな方は是非。 -
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糸さんの森の中での生活。
時間、空間、自然を有意義に味わいながら、いや、その厳しさも味わいながら日々を満喫している様子をこちらも疑似体験させてもらった。
心にも、時間にも、空間にも常に余白を作りながら日々の暮らしに寄り添う姿勢が糸さんの魅力と勝手に思っている。
そう、どんな大変な時もちゃんと余白がある!それが小説やエッセイの中から伺える…とても魅力的で憧れる。
自分の置かれた状況を無理に捻じ曲げたりせず自然の流れに身を任せその中に自分が心地良く馴染み出来ることをしていく。
自然との共存がとても上手な方だなと…
素晴らしい人間力に本当に憧れます。
エッセイを読んでいると小説を連想させられる。
あっ、この表現、あの小説でも似たことを言っていたな…とか逆に小説を読んでいると、あっ、この内容、エッセイの中でも似た表現で綴られていたな…と糸さんの嗜好や考えに触れらることも喜びのひとつ!
優しくふんわりと物事に寄り添い、丁寧に感じているけれど、とても凛とした芯のある糸さんにこのエッセイでも出会えて幸せ!