小川糸のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
『ファミリーツリー』
1. 本書を手に取った理由
小川糸さんの作品には、いつも心を「ほっと」させてくれる温かさがあります。
最近、体調を崩しがちで、心を癒やしたいと思っていた私にとって、本書『ファミリーツリー』はまさにぴったりの一冊でした。
読み終えてみると、想像以上に心が温まる読後感に包まれました。
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2. 物語の概要と登場人物
この物語は、長野県穂高で育った一人の男性、主人公の幼少期から大学生になるまでの成長を描いています。
彼には、東京に住む同い年の従姉妹がいました。夏の間だけ穂高に遊びに来ていた彼女は、単なる幼なじみという関係から、少しずつ、異性として -
Posted by ブクログ
とってもいい本だなって思えるものに久しぶりに出会えた!!
去年妊娠していたことをすごく思い出した。
妊娠中ってメンタル病んじゃう時もあるけど、
「この子だけは絶対守る」
「お腹に来てくれてありがとう」
「他には何もいらない、無事に生まれてくれれば」
とか、そんな映画のセリフみたいなことずっと思ってたなぁ。
まりあがそんなふうにポジティブなことを思っているのを見ると、妊娠はすごいと思ったけど、何より島の人々と出会えたこと、大きいだろうなと思った。
しかも、多分まりあが妊娠していてもいなくてもとても素敵な出会いになっただろうし、島で過ごした時間はかけがえのないものだったろうな。
先生みたい -
Posted by ブクログ
糸さんの森の暮らしが始まるまでと、その日々を綴ったエッセイ。
文章はもちろんですが、森での暮らしを写した美しい写真の数々に、ほうっとため息が出てしまいました。
木の温もりと森の緑とのコントラストがとても美しい。手仕事のお風呂の椅子、ドイツで買ったクルミ割り器、友人からもらった魔女の箒……
写真で見ただけの私でも愛でたくなる素敵な道具たち。
この本には、私の憧れがつまってる。
読みながら、すごく贅沢な時間を過ごしているような気分になりました。
シンプルなのにお洒落。それでいてすごく心地良さそうな空間になっている。
いいなぁ、こんな生活がしてみたい。
森の静寂の中での読書、植物から精油を抽出 -
Posted by ブクログ
ネタバレ小川糸さんの日記エッセイ4弾目、2010年の1年間をランダムに綴った1冊。「糸通信」のブログをまとめたものなのだけど。
この年の小川さんはモンゴル、カナダ、イタリアと飛び回っていた。ほんとに自然が好きで、ありのままの不便さも含めた地球の姿を大切にして愛している人なんだなぁと思った。
それにしても、なんてかわいらしい方なんだろって思う。現実のシビアさより、現実の見えない部分を楽しくてかわいらしい想像でつないでいく方。
夏に1ヶ月、カナダのバンクーバーで過ごすのだけど、海が近いから魚介類も豊富だし、カナダは多民族国家だから、色んな国の美味しいものが自由に広がっている。美味しいものを発掘して、市 -
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読みたい本や積読に多数ある著者作品。初読みは本書で。短編集への評価が厳しくなりがちな私だがどの話も面白く、早速著者の評価が上がる。「バーバのかき氷」から始まり、全然あつあつじゃないなと思いつつも、どんどん話にのめり込んでいく。「こーちゃんのおみそ汁」「親父のぶたばら飯」などのじーんとくる良い話はもちろん、「いとしのハートコロリット」や「さよなら松茸」「ポルクの晩餐」といった他の作家さんではあまり見られない作品が好み。食をテーマに書かれる作家さんは多いが、文章で読者に涎が出るほど美味しそうと思わせる筆力がある方はそう多くないと感じるので、他作品も追いかけよう。
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Posted by ブクログ
⬛︎食べること、生きること。
食事をテーマにした7編の短編集。二回目の拝読です。
小川糸さんが紡ぐ食事表現が大好きなのですが、この小説はそれをたっぷりと堪能できる、読む美食小説。
ただ美味しいだけではなくて、ほろ苦かったり切なかったり、喜びであったり…人生の節目と食事、生きることは食べることである、としみじみと感じる一冊です。
バーバのかき氷、では老衰した祖母の香りを発酵になぞらえ「醸している」と表現。その比喩と感性にため息が出てしまいました。
糸さんの美食表現はどこか艶めかしくて、それが魅力のひとつ。親父のぶたばら飯、ポルクの晩餐ではその魅力が炸裂していました。
一番心に沁みたのは、こ