小川糸のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
糸さんの森の中での生活。
時間、空間、自然を有意義に味わいながら、いや、その厳しさも味わいながら日々を満喫している様子をこちらも疑似体験させてもらった。
心にも、時間にも、空間にも常に余白を作りながら日々の暮らしに寄り添う姿勢が糸さんの魅力と勝手に思っている。
そう、どんな大変な時もちゃんと余白がある!それが小説やエッセイの中から伺える…とても魅力的で憧れる。
自分の置かれた状況を無理に捻じ曲げたりせず自然の流れに身を任せその中に自分が心地良く馴染み出来ることをしていく。
自然との共存がとても上手な方だなと…
素晴らしい人間力に本当に憧れます。
エッセイを読んでいると小説を連想させられる。
あっ、この表現、あの小説でも似たことを言っていたな…とか逆に小説を読んでいると、あっ、この内容、エッセイの中でも似た表現で綴られていたな…と糸さんの嗜好や考えに触れらることも喜びのひとつ!
優しくふんわりと物事に寄り添い、丁寧に感じているけれど、とても凛とした芯のある糸さんにこのエッセイでも出会えて幸せ! -
Posted by ブクログ
妻が妊娠したことをきっかけに、高校生の頃に読んだ『つるかめ助産院』を再読した。
高校時代に読んだときは、「妊娠ってこんな感じなんだ」「こんな知識があるんだ」くらいの感想だったと思う。物語としては楽しめたものの、その本当の意味までは理解できていなかった。
しかし今、夫という立場で読み返してみると、まったく違う本に思えた。
お腹の中で命を育てること。その命を産み出すこと。当たり前のように繰り返されてきた営みの中に、どれほどの奇跡と覚悟があるのかを改めて感じた。そして、出産という経験ができる女性の強さに心を打たれた。
小川糸さんの作品といえば、私は食事の描写が好きだ。本作にも温かな食の場面はあるが、それ以上に印象に残ったのは人と人との関わりだった。傷ついた人が少しずつ立ち直り、誰かに支えられながら前を向いていく。その過程が丁寧に描かれている。
派手な物語ではない。それでも読み終えたあと、人の優しさや生命の尊さについて静かに考えさせられる。
高校生だった自分には見えなかったものが、今の自分には見えた。
再読することの意味を教えてくれた一冊だった。