澤村伊智のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
比嘉姉妹シリーズの短編集第2弾。
ぼぎわんやずうのめのような長編も、などらきや今作のような短編も安定して面白いです。
収録は5編。
『鏡』は、例のあの人が登場。
全てを差し置いてもやはりこの人の、無自覚モラハラっぷりが最強。
それにしてもあの娘がこんな未来を歩むのか?や、真琴の意味深なシーンなど後味悪めな展開。
表題作でもある『ぜんしゅの跫』は怪異もかわいい。
完璧無敵な琴子お姉さんも可愛い大満足。
『赤い学生服の女子』は美晴ちゃんが再登場してうれしい。
それにしても、シリーズが進めば進むほど色々な怪異と遭遇してきた人すべてに勝ったずうのめ人形の凶悪さが際立ちますね。 -
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Posted by ブクログ
もうタイトルのワードセンスが最高。
どこにもそう書いてないのに、明らかにフルボッコの残虐もの。
7篇の短編+自作解説の構成なのですが、
この7話の短編が、シングルB面集かと思うくらいになかなか盛り上がらない。
モキュメンタリー的な澤村さんにしてはチャレンジングな構成かもだが、なんかどっかにある話のようなものばかり。
表題作も、悪くはないけど…的な…
で、澤村伊智が終わるわけがない。
5話目からじわじわ上がってきて、最後の、
「鬼、あるいは終わりの始まり」
見事なマッシュアップ。読後感も最高。
タイトルが見事に回収。
川から流れてきたあいつが退治するのは…
そして、自作解説もまた良い。
毒 -
Posted by ブクログ
ネタバレ今作は前作と比べて圧倒的に怖い。と思うのは単純に和ホラーの方が怖いと思う自分の主観なのだが、人形を題材としているだけあってじわじわと迫りくる恐怖、直接的な害はなくても末路の想像が付く展開がシンプルにヤバい化け物に付け狙われていた前作より断然に怖かった。 加えて終盤の真相開示シーンがしっかりホラーだと感じられたのも大きい。元凶と対峙し制裁を下す展開なのは同じだが、差はおそらく人間の力か呪いの利用かの違いだと思う。真実を読み解き、的確に自爆特攻を行った手際がホラーの枠を超えない範囲で見事な戦闘だったと感じる。あと、真相自体もゆかりちゃん周りは一切想定しなかった角度で殴られた驚愕もデカい。 ホラー周
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Posted by ブクログ
一口で言えばホラー短編集でありますが、一作一作非常に独特で強烈な味わいなのが面白いなと思いました。
全作甲乙付け難いのですが、「禍〜」の現場の狂気と怪奇現象がスピードと共にスケールアップする様(と過去類似作へのオマージュ)、「ゾンビと〜」の現代批判とゴア描写の気持ち良さ、「縊〜」の他の証言者との整合性の無さ、「貍〜」のあれ?と気付いてからのツイスト、「自作解説」のメタっぽい作りから伏線回収してのホラーな落ち、辺りが非常に好みでした。
初出を見ると「自説解説」以外テーマに沿ったアンソロジー収録作のようなので、そのテーマに振り切った作品が集められたからここまでバラエティ豊かなのでしょうが、でも