あらすじ
古民家を買った男は、なぜ家の中にある氷室のことが気になってならないのか(宇佐美まこと「氷室」)。自殺した妹の部屋が、しばらく後に訪ねていくと、元通りに復元されている(神永学「妹の部屋」)。家の中に真ん中にある座敷牢は、誰を閉じ込めるためのものだったのか(黒木あるじ「牢屋」)。その家は、何か変だ(平山夢明「ろろるいの家」)。
当代随一の作家たちが紡ぐ、「超怖い」物語。
感情タグBEST3
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寝る前に読むんじゃなかったと後悔しながらこの感想を書いています。
物件怪談アンソロジーということで、色んな怖さを楽しめる贅沢な1冊でした。
勿論怪異の存在はあるのですが、所謂ヒトコワでしたり伝染系に近いお話もあって驚きました。
個人的に終の棲家、ろろるいの家はちょっと怖すぎて数回本を閉じそうになりましたね。続きを読みたいけど、これ以上読んではいけないような、好奇心と恐怖心の狭間ってここかぁと思いながらも結局全部楽しく読んでしまいました。
郷内心瞳先生のトガハラミはあまりにも文体が艶やかで感動しました。果物を食べる様子をあんなにもセクシーに書くことができるなんて…。郷内心瞳先生は今回はじめましてだったので、また別の作品も読んでみたいと思いました。
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嘘か真か
名手たちの家に纏わるオムニバス
めっちゃおもしろい!
体験談や明らかなフィクションなどバリエーションに富んでるから飽きないし、それぞれのクオリティが高くて読んでてワクワクした。
一番好きなのは「やなぎっ記」
トガハラミ、笛を吹く家、終の棲家、ろろるいの家が良かった。
特にろろるいはかなり怖くてゾクゾクした。
トガハラミから読んだせいでまたカニバリズム関連が目に触れることに…
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全部怖い。
どれがお気に入り!とは、ならないぐらい全ての作品が面白かった。
こんな作家様も内容も全てが豪華な1冊。
夜に読むと怖さ倍増ですね。
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「物件」に関する怪談小説のアンソロジー。おすすめ作品
神永学『妹の部屋』死んだはずの妹の部屋がいつしか復元されている。おかしいのは自分か、家族か。ミステリ要素のあるホラー。
澤村伊智『笛を吹く家』一番おすすめの作品。ラストにどんでん返しがあるホラーミステリー。
郷内心瞳『トガハラミ』人間に取り憑いて人を喰らう物の怪、トガハラミの話。ラストシーンの伏線回収が美しい。語り手は美佐子に憑いたトガハラミで、「姉」はトガハラミが見せていた幻覚ではないか。
芦花公園『終の棲家』最後の一文にゾッとする。怪異は話を聞いた者に取り憑き、伝染する。
平山夢明『ろろるいの家』実話怪談風の作品。短編集の中で一番怖かった。最後のページで恐怖が一気に襲ってくる。
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著者は著名な人ばかり、内容もそれぞれ毛色が違って、面白くて一気に読みました。
物語形式とルポ形式、両方を一冊にまとめるというのは、なかなか良い試みだと思います。
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物件を起点にするホラーは、幽霊ものと同じく特定の場所(人物)が要因なため、読んでいる限りは真実「対岸の火事」で楽しめる…からこそ、絡め手も被るよね、などと。
アンソロジーだけに合う合わないを感じるが、比較的前者が多くてよきかな。
『旧居の記憶』福澤徹三
『笛を吹く家』澤村伊智
『終の棲家』芦花公園
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家や土地にまつわるホラーアンソロジー。
事故物件だけでなく住民そのものが怖いヒトコワものまで豪華11話収録。
糸柳寿昭氏『やなぎっ記』軽い雰囲気の日記だと思っていたら最後のメールで鳥肌立っちゃうやつ。
澤村伊智氏『笛を吹く家』この方の描く歪んだ家族っていつも気味が悪いし悲惨…本当にいそうなのがまた怖い。
芦花公園氏『終の棲家』宗教が関わるホラーではやっぱりこの方。得体が知れない信仰の気持ち悪さと逃げられない絶望感。
平山夢明氏『ろろるいの家』ホラー描写が本書で一番怖かったかもしれない。不気味な現象に徐々に侵食されていく感じがゾクゾクした。
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物件ホラーが好きなのと芦花公園先生の短編が入っているので手に取った。他の参加メンツも豪華すぎる、、、バラエティに富んだ様々な物件の嫌な話が入っていて満足度が高い。
福澤先生の話読んだことある、、、?って思ったけど「怪を訊く日々」のエピソードと若干重複してた。「忌み地」のシリーズも好きなので糸柳さんの日記っぽいやつも好き。晩御飯の献立書いてあるのかわいい。
郷内心瞳は拝み屋怪談しか読んだことなかったのでカニバリズム百合姉妹ホラーみたいなのお出しされて新鮮だった。よかった。
芦花公園先生のやつもかなり邪悪だったけどそれに続く最後の平山夢明先生のやつがあまりにも凶悪すぎて最高だった。何この流れ。助からなさすぎて逆に助かる。
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テーマに惹かれたのと、澤村作品目当てと、ホラー作家を発掘したくて手に取った。
イマイチなものもあったが、いくつか好きな話が読めたのでトータルでは良かった。
芦花公園先生の「終の棲家」がとても良かった。この人の作品は他にも読んでみようと思った。
①氷室
家のつくりはワクワクしたが、主人公の罪は余計だった気がする。地域活性化おばちゃん大暴走のサスペンス仕立てで最後に元住人に殺されるの方が良かった。途中からカラクリが見えてしまったし、おじいちゃんが普通に話し始めた時点でちょっと冷めちゃった(笑)
②倒福
軽い読み物としてはギリギリ許せるけど、詮の文字を小さくしてほしかった。読むのに邪魔過ぎた。倒福の意味を調べたけど、この手紙にこのタイトルをつけた意味はよく分からなかった。
③旧家の記憶
自著の宣伝とおじちゃんの思い出話。これはテーマに沿わないし、バラバラとまとまりがない上に、時々下ネタを挟まずにはいられないらしく不快。我慢して読んだが全然面白くなかった。私がスナックの従業員でお金貰ってるなら聞いてやってもいいというレベルの内容。
④やなぎっ記
自動餃子焼きマンに和んでたのに最後怖かった。この女性の襲撃は本当にあったのか教えてほしいです。怪談系っておかしな人も寄ってくるよな〜と思いつつ、順不同で読んでいたので恐ろしい話の後だと人の日々の営みを感じていくらか癒された。創作だとしてもよく出来てる。こういう顔文字使いまくるヤバ過ぎるおばさんは実在する。
⑤たかむらの家
匂いが漂ってきそうな良さがあった。雰囲気があったし、花の腐った匂いというのが良かった。ただ最後の殺人は絶対バレると思う。そしてこの妹は牢屋に入っても生き霊飛ばしてきそうなので、捕まる前に兄に殺されるのではと思う。でも死んでも会いに来そう。家を処分して引っ越したらワンチャン助かるかも。
⑥妹の部屋
元々の家族が異常過ぎて、殺された妹にも同情が湧かない。彼氏も揃っておかしくなるのはちょっと都合が良過ぎるし、最後の方の描写は中高生が書いているように稚拙なヒトコワに感じた。異常な家族で終わらせた方が味わいがあったかも。
⑦笛を吹く家
シンプルに笛吹家が怖かったので、霊的ホラーなままにしてほしかった感がある。オチで冷めちゃったが、家の描写は流石だった。だからこそちゃんとホラーとして、もっと読みたかった。
⑧牢家
なぞなぞみたいで面白かったが、大量行方不明事件の時はごっそり食べ切って、前2つの事件では食べ残しがあったのは何故なんだろう。
⑨トガハラミ
一番描写がグロかったので二度目はもう読みたくない。話は面白かった。性をこじらせると殺人衝動になりやすい、みたいな話は聞いた事があるけど、主人公はなんだか気の毒だったな。相手の男の子ももっと可哀想。セックスは第三者目線で見るもんではないよなぁ。トガハラミの場合は、性的本能が食欲に結びついちゃう感じだったな。
毎夜仏壇の果物をくすねて外に出てる娘に母親が気付かないはずないと思うので、姉()の元に通ってたのは夢の中だったかもしれないな。
⑩終の棲家
怖かったし面白かった。女医さんが統合失調症のおばあちゃんの話を冷静に分析しながら、少し面白がって聞いていたらそれは死の呪いだった…というのがいいし、もっていき方も鮮やか。ゾッとする描写が多くて頭に残った。なにより読みやすかった。
⑪ろろるいの家
海外の悪魔ものに近い印象を受けた。あまりに絶望的でこれはちょっとしんどい。インパクトはあるが。子供や犬を平気で殺すところが容赦なかった。改行もせずに書き切っているところに自信を感じるが、そこまで魅力は感じなかった。もう少しこう…希望がほしい。最後の儀式のくだりで何故そうなったのか答えが欲しかった。家庭教師は話さえしなければ逃れられたのか。なにもかも幻覚にして、一瞬助かりそうな気配を見せておいて「どう足掻いても逃げられないよ」と落とす展開は一周回ってB級ホラー映画でよくあるので、好きじゃないな。
そもそも主人公がこの女性から電話を受けて、詳しくは他の者に連絡させる…と始まって、昔大学生の頃話を伺った回想が入って、最後また電話で終わるのがよく分からなかった。結局詳細を電話で聞いたという事でいいのか?最後の方は話してたよな。
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家についての怖い話短編集。わりと家より人間メインみたいな話も多かったけど面白かったです。
個人的には「笛を吹く家」、「トガハラミ」、「ろろるいの家」が個人的に性癖に刺さります。
ろろるいの家とトガハラミは結構ファンタジー味が強いかも
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結構好きだった。有名な事故物件サイトの方も実話系の方も小説家の方もふんだんに入ってて、お話の並びもリレー小説かのように必然性のある並びをしていて良い。平山夢明さんのトリの小説が本当に怖かった。花房観音さんのも情念って感じで良い。文章が好きだった。
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普段から心霊系の動画をよく鑑賞しているので、興味があり読んでみた。
うん、物件にまつわる怖い話がギュッと詰まっていました。
「終の住処」「ろろるいの家」等、海外でのホラー作品にはない日本ならではの、背筋の凍る感じの怖さがありました。
また、「笛を吹く家」や「トガハラミ」は、”ホラー“を意外なところで感じさせてくれて、オリジナリティがあって新鮮でした。
面白い話しかなかったように感じます。
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来月公開の映画『変な家』の予告編を劇場で観るたび、怖い、観たい、怖いという思いの繰り返し。原作には手を出せなかったけど、これなら読めそうな気がして。
書き手はとても魅力的な11人。曰く付きの家だったり部屋だったりが登場します。内藤了の“よろず建物”シリーズ中にあった座敷牢の話が凄く怖くて、以来、座敷牢をイメージさせる物語にビビりまくり。ここにもひとつありました。
全話読んで思うのは、「出られない家」は恐ろしいということ。当たり前か(笑)。怖くて飲酒しつつテレビで『アメトーク』をつけたまま読んだ最終話は読み直さなければ。(^^;
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家にまつわる、呪い・人の怖さが盛りだくさん。
どれも怖い話だけれど、群を抜いて、ゾワゾワしたのは澤村伊智の『笛を吹く家』・芦花公園の『終の棲家』。
自分自身の「先入観」も怖いと感じた。
人の家の怖さは、医療職で訪問をしていた時によく味わったので、その時の怖い経験も思い出して、余計怖かった。
開かずの部屋のある家、どこからか監視されているような家、どうしても気分が悪くなる家、、、いろいろあったなぁ。
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11人の作家さんによる短編集
心霊系から人怖まで様々な怖い話が盛り沢山の超お得な本
糸柳さんのは簡単な日記で怪談社で活動する日常が面白かった
澤村さんのは捻りが効いていて最後辛くなる話
芦花さんのはやっぱり狂気を感じる話
私が1番絶対嫌な家は平山さんの話の家です
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家にまつわるホラー短編集。
様々なホラー作家の作品が読めるのもいい。
物件も町おこしのための古い家や事故物件、マンションなど様々。
一つ一つが短いためサラリと読めるが、短い中に怖さは凝縮されていてとても良かった。
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読み応えのあるホラーオムニバス
好きだった話抜粋
「氷室」
途中でオチは読めたけど更なるオチがついてるとは…読んでくとひんやり感が伝わってくる
「旧居の記憶」
昔住んでたとこ変なこと多くて〜心霊現象多かったンスよ〜で済んでいいのか分からない作者の体験記
かつてのノスタルジックな情景を思い描きながら読んでくとオチに突き落とされる
「やなぎっ記」
怖くて((((('Д')))))泣いちゃう(ToT)/~~~
「笛を吹く家」
3歳の息子と散歩した時に思いついた創作って始まるのが怖い
「終の住処」
この作者結構な確率で読者巻き込む
「ろろるいの家」
文章の密度が凄い。他の作品と比べると凄いみつしりしている。"ろろるい"の意味が分かった時の「ああ…」な終わった感。この短編が1番好きかも
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こわかった!
ほぼほぼ全部怖くて、また新たなホラー小説の楽しみを知られたな!という感じ!他のお話も読んでみたい作家さんも増えて、よかった。
Posted by ブクログ
全体的にまぁまぁかなという印象です!
途中、取材ルポみたいなクソみたいのがなければ
もう少し評価は良かったのですが…
最後の平山夢明の「ろろるいの家」はその意味もわかると、凄く怖いし、さすがの作品でした。
これだけ読めただけでも満足でした。
Posted by ブクログ
2025.02.08
ホラーアンソロジーが出版されるとつい買うだけ買って積読してしまうが、この本もその一冊。
どの話もホラーアンソロジーにしては珍しく1話が短く、読みやすかった。
そして破綻している話も、ホラー短編にありがちな読者バカにしている?という話も少なく概ね楽しく読めた。
Posted by ブクログ
家、部屋、土地に纏わる超怖いアンソロジー
“物件怪談小説集”
人気作家+事故物件サイトの大島てるさんの11編
土地や建物に関わるホラーが好きなのです
と思い、読みましたが、人がやっぱり怖いという作品が多かった気がします
「妹の部屋」神永学
死んだ妹の賃貸の部屋
片付けて解約するも 元に戻っている
事故物件小説ではなかったけれど
ありそで怖い
「笛を吹く家」澤村伊智
息子を預かってくれる家は、幽霊屋敷
両親の望む息子の行末
この2編が、私のBestかな
「倒福」大島てる
事故物件系かなと思っていたけれど
反発もある情報提供をしているから
こんな経験もあるのかな
いろんな摩擦があるのでしょう
地方に居た時、全国区のニュースになった殺人犯の賃貸していた部屋が 割と近くだったんだけど
そういう逆バージョンみたいなのは
事故物件にはならないのかな?
事故物件になるとオーナーさん大変だからねー
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家にまつわるホラーのアンソロジー。玉石混交という感じ。
【収録作品】
「氷室」宇佐美まこと
「倒福」大島てる
「旧居の記憶」福澤徹三
「やなぎっ記」糸柳寿昭
「たかむらの家」花房観音
「妹の部屋」神永学
「笛を吹く家」澤村伊智
「牢家」黒木あるじ
「トガハラミ」郷内心瞳
「終の棲家」芦花公園
「ろろるいの家」平山夢明
たとえば「倒福」「旧居の記憶」「やなぎっ記」の御三方は実話怪談や事故物件をメインにしているだけあって実録風というかとりとめがない。それもそれで好きだけどほかの短編小説の中では浮いてるように個人的には感じた。
この中で怖かったのはやはり「終の棲家」と「ろろるいの家」。芦花公園さんは「ほねがらみ」以来だけど、こちらも似た展開。いつのまにか読者を巻き込む手法はさすが。「ろろるい」も畳みかける怪異の描写が頭に浮かんでしまう。とにかく平山さんは容赦なくてそこがいい(笑)。
澤村さんのはほかで既読だったので割愛。
Posted by ブクログ
それぞれ個性ある文章と、短編だからこその潔さが面白さになっている。幽霊?ヒトコワ?妖怪?多彩なお話ですぐ読み終えてしまいました。個人的には、澤村さんの短編は、やられたー!でしたww
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やなぎっ記/糸柳寿昭
たかむらの家/花房観音
笛を吹く家/澤村伊智
牢家/黒木あるじ
トガハラミ/郷内心瞳
終の棲家/芦花公園
ろろるいの家/平山夢明
上記が特に面白かったなぁ。
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気鋭の若手からベテランまでが一堂に会した「最恐」の物件怪談アンソロジー。
家や土地をテーマにしたホラーアンソロジーです。
作家陣が豪華で、個人的には外れなしでした。どれを読んでもじっとりと湿度のある話が楽しめます。
珍しい方だと、事故物件検索サイト「大島てる」の管理人・大島てるさんのお話なんかも掲載されています。サイト自体は見たことがありますが、文章も書いているとは初めて知りました。
実際に届いたメールや、自身が本を出すための取材で回った際に見聞きしたものについて書いているお話や、伝染する呪いを扱ったような作品も多く、虚構と現実が曖昧になる感覚がしてそれもまた良かったです。現実に侵食してくるような話は不安になる感じが好き。
個人的に気に入った2作は、その土地に憑く”ナニカ”の不気味さが存分に楽しめる平山夢明さん『ろろるいの家』と、恐ろしくも耽美な化物の話、郷内心瞳さん『トガハラミ』。
でも、それ以外のどの話もそれぞれ味わいが違っていてどれも面白いですよ。
Posted by ブクログ
物件、つまり家や土地にまつわる怪談集。
表紙に並んだ著者名を見てほしい。
どれもこれも怪談の名手じゃないか!
一作品既読があるだけで、他は全て初めて。
なんだよー全然怖くない、なんて思っていたが、やっぱり夕暮れ時から夜にかけて思い出したり読んだりするとぞわぞわする。
「牢家」は、座敷牢というキーワードに引っかかってしまうと、最後にひっくり返される。
そして、ホラーにはお決まりの(作中でも言及されているが)地元の老人が「はいっちゃいかん!止めろ!」という。
もう絶望しか無いフラグが立つ。
そしておそらくその通りになる。
が、みなまで言わず余韻を残すところは作者の技量。
大島てるの「旧居の記憶」は、ほんとうに大島てるにこんな手紙が届いたんじゃないか、と思わせる。
だが、職業作家と比べると、ちょっと怖さは弱め。
「ろろるいの家」はさすが平山夢明。
意味不明の言葉が不気味さを増長する。
そして意味を知った時、背筋が凍る。
これは今が冬だから、じゃないよな。
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物件を題材にした怪談集。一部小説では無いものも含む。怪奇現象的なストーリーばかりかと思ったがそう言うわけでもなく、どちらかと言うと現実の人間が一番怖かったり
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一応、「家」にまつわる怪談、ということになるのかな。(読んでいる最中それが強く意識されるという感じでもないのだけど。)
全体的にはきちんとそれぞれ「作品」になっているので、素人っぽいノリで集めた聞き書き怪談、みたいな雰囲気ではなく、しっかり読み応えがあるものが多かった。
ただ、なんというか、「物件」と冠されたタイトルと内容とはちょっとズレがあるように思う。「怖い家」くらいの方が適当なんじゃないだろうか。あんまり、不動産としての物件にまつわる怪という方向性ではないので、いわゆる事故物件怪談みたいなのを期待していると「およ?」となるかも。
個人的に印象に残ったのは、福澤徹三『旧居の記憶』、黒木あるじ『牢家』、平山夢明『るるろいの家』あたりだろうか。
『旧居の記憶』は、大きな山場のある話というよりも、文章とその時代背景から浮かび上がる全体の雰囲気に独特のグロテスクさとノスタルジックな空気感があって、妙につらつらと惹き込まれるように読み進めてしまう。
『牢家』は、黒木さんらしいといえばそれまでなのだけど、地方に伝わる民間伝承や土俗的な風習を現実とからめてエンターテイメントに仕上げた感じ。
『ろろるいの家』は、純粋に怖い話。どこかで聞いたことのあるような設定が色んな角度から登場して、最初は「あれ?この設定、どこかで…」と思って怖いというよりは「きたきた!」と楽しみながら読んでいる感じなのだけど、トータルでいうと楽しいというよりジワジワと怖くなっていく。
秋の夜長に楽しませてもらった。