小川哲のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
個人情報や視覚・聴覚まで無制限に差し出す代わりに、高水準の生活が保証される特別地区。
最近、検索もしていないのに家族と話したピンポイントな内容の広告が出ることが多くて、「これスマホに盗聴されてるよね!?」と息子と冗談半分で、わざと変なダミーの会話をして広告に出るか試して遊んでいた^^;
それだけに、この作品が2015年に書かれていたことに驚いた。
今では相談ごとまでAIに頼る時代になり、ますますこの世界観が現実に近づいてきた気がする。
最初の方は好きな感じのSFでワクワクしながら読んでいたけど、後半にいくにつれてだんだん哲学的になっていって、よくわからなくなっていった。
でも、全体的に海外の翻訳SFのような独特の空気感があって、こういう世界観はかなり好き。
ちなみに、作中に出てくる「バンドゲーム」という妄想遊びが最高だった。
日常の何気ない電車での時間を楽しむ発想が面白くて、妄想好きなので今度真似してみたくなった。
こういう何でもない日常を面白く変えてしまう小川さんの発想が好きだ。
第3回ハヤカワSFコンテスト大賞を受賞した、小川哲さんのデビュー作。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ下巻で出てくるのは、ソリヤの養子、リアスメイ(政治家になるため養子をとった)と、アルン(中古転売屋の養子)、それからテレビ界隈の人と、警察官数人。ポル・ポトが、村人をほぼ全員殺した上巻の終わりから、一気に四十年ほど時間が飛ぶ。ポル・ポトが失墜した国で、ソリアは国を立て直すため総理大臣的ポジションを狙っていて、一方、ムイタックは大学教授になって、ゲームの開発に力を注いでいる。そのゲームの考案者がアルン。
ゲームは対戦型で、特定の感情を抱いた時に出てくる脳波によって、様々な呪文が使えるというもの。感情を抱くことには、記憶が関係している。そこから、逆に、特定の呪文を使わせるために、記憶をプレイヤーの脳内に作り上げるということに成功する(このへんがSF。あまり得意ではないので、完全に理解しているとはいいがたい)。
ムイタックがリアスメイにもちかけたアナログなゲームもなかなか興味を引いた。一方が、19枚の紙に自由に数字を書く。もう一方はそれを一枚ずつ開けていき、運命か抵抗か決める。運命だったらそこでストップ。抵抗だったら次の紙。19枚の中でいちばん大きな数字を当てるというゲーム。
「捨ててしまった九十一について、今でも後悔しています。でも、すべての数字を見なければ、その後悔すら存在しませんでした。」
人生における選択についても、同じことが言える。
対照的な生き方をしたリアスメイとムイタック。しかし互いに互いの、唯一の理解者であった。運命に翻弄された二人が、違う時代の違う場所で出会っていたら、どうだったのだろう。
上下ともに重厚で、内容も難しい。ただ、とても理解しやすく、おもしろく書かれている。カンボジアに起こった悲劇を、このようなフィクションにできるとは。これを読まなければ、わたしはカンボジアについて知らないままだった。小説ってすごいな。 -
Posted by ブクログ
少々苦手意識のあるSFかつ厚みのある上下巻にちょっと怯んだが、なにこれ、めちゃめちゃおもしろいじゃないか!話は、カンボジアで共産党が現政府を倒して、でもまたその共産党が人民を牛耳るようになって、それを今度はぶっ壊してやろうと、共産党の党首的な人の隠し子が立ち上がる・・・という、一見とっつきにくい歴史小説。なのだけど、とにかくキャラが変で、おかしい。SFっていうか、哲学。輪ゴムとか泥とか、なんでこんなにおもしろいことを考えられるんだろう。「輪ゴムに対して完全なコミットをすることができないのであれば、一切関わるべきではない。なぜなら輪ゴムは遊びではないからだ。」とか。村長が悩み事を整理するのに石を並べるくだりは、最高だ。二つ悩みがある、といいながら、三つだったり、苛立って投げようとして、いかん、息子を投げるところだった、と胸を撫で下ろしたり。お前の石だと、相手に渡して、ぽかんとされたり。
エグい拷問の描写もあるし、ばんばん人が死ぬ。辛い。この、ポル・ポトの話は、本当のことだと知って、おどろいた。一般の人に、あるべき人権がない。そんな世界に、主人公ムイタックがどう立ち向かってゆくか、はらはらしながらページを捲る。下巻も楽しみ。小川哲さん、すごいな。地図と拳も読もう。 -
ネタバレ 無料版購入済み
これは正解はできなさそう
過去のTV番組だとTBSでかなり大規模なクイズ王戦をしていたのはヤラセを感じさせない良質なものでしたが(水津さんと西村さんの死闘が印象的でした)、最後に正答した問題はそもそも何も読まれていないので、設問を知らなければ当然、正解できそうにもないです。
気になる導入部でした。