小川哲のレビュー一覧

  • ユートロニカのこちら側

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    タグにディストピアって入れたけど、
    本来この小説の世界では、舞台となる近未来アメリカで開発された【アガスティアリゾート】という街はユートピアのイメージなんだと思う。

    個人の情報を全て売り渡す見返りとして、何から何まで管理され安全で働かなくても生活できる街への移住ができる。
    そんな一見夢のような街、だけどそこに住む人は全て幸せになれるのか?
    そのシステムに対してちょっと疑問を持った人たちの視点で各章ごとに、正解がなんなのかを考えさせられるお話。

    解説にもあったんだけど、ドーフマンの笑える章がなかったら眠くなる小説だったって印象になりかねない。

    SF小説ってあんまり読まないし、苦手な気持ちも

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    2025年07月31日
  • 地図と拳 上

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    とにかく壮大で重厚な物語。
    複数の人物の視点や思考、背景が丁寧に描かれていて、読むほどに物語の奥行きが増していくのを感じた。

    ひとつの都市に夢や欲望を描きにやってきた人々が、やがて歴史という大きな渦に巻き込まれていく。
    どのキャラクターにもそれぞれの信念や矛盾があって、善悪では語れないのが魅力的。

    群像劇としての完成度も高く、描写も緻密。歴史小説のようでいて、どこか現実離れした浮遊感もある独特の読後感がある。
    時折難しさを感じる部分もあったけれど、それ以上に、登場人物たちの運命が気になってページをめくる手が止まらなかった。

    下巻ではこの壮大な物語がどこに着地するのか──
    今から続きが楽し

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    2025年07月29日
  • これが最後の仕事になる

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    ネタバレ

    多分夕木春央さんの本を探してたどり着いた本。「これが最後の仕事になる」という一文から始まるショートショートのアンソロジー。これがシリーズ3作目のようだ。こういうのがあったとは知らなんだ。大好きな米澤穂信や真梨幸子のも入ってた。他にも今をときめく作家さんが多いけど、知らなかった初読みの人も。まぁこれだけの規模だからな。そしてショートショートは読みやすいけど、やっぱ印象に残らないんだよなー。インパクトにかけるというか。あと全然意味不明というか、面白くないのもちらほら。まぁ好みだからな。

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    2025年07月27日
  • これが最後の仕事になる

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    1遍6ページなので、隙間時間にぴったりでした。
    五十嵐律人さん、秋吉理香子さん、呉勝浩さん、桃野雑派さん、白井智之さん、夕木春央さん、一穂ミチさん、米澤穂信さんなどなど。
    読んだことがある作家さんの作品がいっぱいで、とても楽しめました。

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    2025年07月24日
  • これが最後の仕事になる

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    同じ書き出しで始める短編集。ストーリーそのものがおもしろいというよりは、作家の個性を楽しんだり、「同じ書き出しでもこれほどバリエーションがあるなんて」とアイディアそのものもを楽しんだりできる1冊だと思った。

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    2025年07月13日
  • 大宮エリーの東大ふたり同窓会

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    面白かった。どなたも本当に興味深い方々ばかりで。
    私は勉強が苦手だから、出来る人に憧れがあるんだろうな〜
    私の推しさんも登場してるし、読み応えありました。

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    2025年07月12日
  • ゲームの王国 上

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    上下巻感想。

    カンボジアを舞台に、ポルポト政権発足前の時代から現代までを描く壮大なエンタメ小説。

    なぜ買ったのかも思い出せないまま読み始めたから、カンボジアが舞台ということも知らなかったし、どういう方向に進んでいく話なのかも分からないまま手探り状態で読み進めることになった。

    キャラクター視点の切り替わりがあまりにも頻繁に行われるので、話の目的が中々見えてこないだけでなく、上巻の途中まで主人公が誰なのかすら分からない。

    けれども、カンボジアという滅多に見ない舞台ということと、輪ゴムで未来を予知する少年や泥を食べて泥と会話できるようになった男(その名も"泥")などの独特

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    2025年06月14日
  • GOAT

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    初めての文芸誌 趣味で小説を読み始めてから気になっていた文芸誌。何を読もうか考えていた時にこの本が刊行されることを知り手に取りました。沢山の方の短編を読み、気になる作家さんの長編を手に取る。良いサイクルが生まれました。既に手元にある次号も楽しみです。

    西加奈子さんのディビアン、旦那さん目線の愛が印象的でした。乗代雄介さんの北見から、志賀直哉の網走までのパラレルワールド?的なお話も面白かったです。

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    2025年12月03日
  • 嘘と正典

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    良いテンポで読めた。短編6つとも面白いなって読むのは意外に珍しい気がする。いくつかは長編にしても退屈しなさそうなテーマな分、キレイにまとまっているのをこじんまりしていると思うか作者の力量と思うかは評価が分かれそう。もっと読みたい、と思う人は少なくないのでは。
    個人的には「ムジカ・ムンダーナ」が一番だったかな

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    2025年06月10日
  • ユートロニカのこちら側

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    ネタバレ

    とても素敵な一冊です。
    各々の人々が立たされている現状に伴って、ユートロニカに対する考え方は大きく違ってくるのだろうと考えさせられ、現代、そして未来への風刺小説としても当てはまると思うことができました。

    私ならば「こちら側」へ留まってしまう。
    「あちら側」へ行くにはリスクが大きく、プライバシーなど皆無に等しい。
    それでも「あちら側」へはいつか足を踏み入れてしまうだろうとも思えます。
    そして後々激しく後悔するんだろう、と考えるのが楽しくとても面白いです。

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    2025年05月17日
  • ゲームの王国 上

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    ポルポト政権下の混乱と暴力の渦にもみくちゃにされたカンボジアを舞台に、神童、天才少女、秘密警察、クメール・ルージュ関係者、ロベーブレソン村民らの命を賭けた革命(ゲーム)が始まる。
    輪ゴムと会話するクワンや、土を操る泥(プク)など、マジック・リアリズム的表現が、世界観に御伽噺性を帯びさせており妙な中毒性がある。
    多くの登場人物らが入り乱れる序盤は正直乗り切れなかったが、(上巻の)最終盤でそれらの点が線につながり俄然盛り上がり始めた。下巻が楽しみ。

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    2025年05月13日
  • スメラミシング

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    「神」に向き合う「人」の短編集。
    神というのはそれを求め、正対する人が少しずつ触れる輪郭の集合である。
    そういう意味では人を通してしか神は見えない。神学者を通しても、天皇に使える一族を通しても、陰謀論者を通しても神は見えるのだ。

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    2025年05月07日
  • スメラミシング

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    12月に予約し、やっと手元へ届きました!
    私が積極的に手にとるようなジャンルではなかったですが、久しぶりな感覚になりました。なんだろな・・・?
     色々な世界というか 感覚というか
    読み進めていて面白いなとなりました。

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    2025年05月06日
  • ユートロニカのこちら側

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    ネタバレ

    個人情報を提供することによって、アガスティアリゾートというユートピアに住むことができる世界を描いたディストピア小説。
    メインの舞台がアメリカであることや、登場人物の名前が海外ドラマのそれのようだったこともあり、翻訳ものの小説を読んでいるような感覚があった。
    第五章で登場する、人間は不自由がなければ自由を感じることができないという考え方が、それまで読んできて感じていた、このリゾートのまわりに存在する様々な矛盾をよく言い表せていると思った。

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    2025年05月05日
  • Street Fiction by SATOSHI OGAWA

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    シゲはラジオじゃなくてダヴィンチの再録。面白かったのは仲良しの万城目学と奥さんの友達みりんちゃん。小川哲は神谷浩史プロデュースの朗読劇「Staging‼︎」のアフタトークでひととなりを少し知ったので、トークも聴きたいな。ラジオも聴こ!

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    2025年04月29日
  • スメラミシング

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    難解だったけどぼんやり言いたいことが伝わるような、新しい読み味でした。星新一の短編集をもっと難しく、現代風にした感じ?最初の話からなかなか攻めてて面白かったです。

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    2025年04月27日
  • ゲームの王国 下

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    ネタバレ

    クメール・ルージュへの迫害から、そのクメール・ルージュによる大虐殺までが描かれていた上巻は打って変わって、下巻では、2000年ごろから現代にかけてを舞台に、いまだ腐敗が続くカンボジアを救うために権力を求め、首相をめざすかつての少女ソリヤと、ソリヤが権力の中枢に近づいていく過程で、村の仲間や両親を見殺しにされたかつての天才少年ムイタックが(間接的に)戦う話が中心になっている。

    ソリヤはカンボジアを救うという大きな正義を実現するため、腐敗した現実という「ゲーム」の中で権力を得ようとする。つまり、現実を操る。
    一方、教授となったムイタックは、そんなかつての少女に対抗するヒントを、脳波を用いて仮想現

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    2025年03月29日
  • ゲームの王国 上

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    ポル・ポトの隠し子かもしれない少女ソリヤと、科学も教養もない村に突然変異のように生まれた天才少年ムイタックを(いちおうの)中心人物として、おおむね時系列で、いろいろな人の視点から、それぞれの見た世界が語られる。

    上巻の舞台は、フランスから独立したカンボジアの、汚職や賄賂が続く状況を共産主義によって変えようとするクメール・ルージュが政府によって敵視され、関係者とされる人々が冤罪で次々と殺されていった時代から、そのクメール・ルージュの統治が始まり未曾有の虐殺が行われた時代である。

    ポル・ポトの大虐殺についての前提知識がほとんどなく、馴染みのない固有名詞に苦労はしたが、わりと細かに切り替わるそれ

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    2025年03月28日
  • Street Fiction by SATOSHI OGAWA

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     君のクイズ、スメラミシング、嘘と正典、君が手にするはずだった黄金について等、小川哲の本が大変面白く、作者について気になったことから手に取った。
     様々な業種(皆クリエイター)と対談をしていく形式となる本書は、とても読みやすく、作者と対談者との接点のなかで、作者と対談者の核(仕事の流儀?)を確認し合っていた。作者の小説への考え方等が分かり、より小川哲の書いている小説を読んでみたいと思える本であった。
     
     追記、様々な種類の本がおすすめされており、読みたい本がたくさん増えました。

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    2025年03月25日
  • これが最後の仕事になる

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    ネタバレ

    一生本を読んで暮らせるなら、
    人生と引き換えでもよいか?

    そこで得た報酬を娘たちに残し
    サラッと宇宙へ旅立てる?

    ふとそんなことを考えた。

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    2025年02月14日