小川哲のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
第4号が出たのに、遅ればせながら文芸誌『GOAT』第1号です。躊躇していた文芸誌ですが、思い込みの殻を破る価値ある魅力が満載でした。
評判通り、いやそれ以上に、読んでよし(内容・質)、買ってよし(安価)、見てよし(装丁・紙)の三拍子揃いでした。
内容について。エンタメや純文学などのジャンルや国境も越えて…コンセプト通りでした。未読作家さんも多く、視野が広がり新たな関心対象も得られました。既知の作家さんも攻めてる印象で新鮮でした。特集の「愛」企画、愛を感じた「私のGOAT本」紹介もグッドでした。さらに全編「(次号へ続く)連載なし」の読み切りのみ…これ大きい!
安価なこと。ゴートくんだ -
Posted by ブクログ
『一人 小川哲さんフェア』の締めくくりにピッタリの一冊だった。
それぞれの小川作品のプロセスから、自分の解釈と小川さんの意図の答え合わせをしているようで楽しい。
小川さんは「どんな読者が自分の作品をどう読んでいるか」を論理的に分析している。
だからこそ生まれるギリギリ読者が置いてけぼりにならないぐらいの攻めた作品に、自分は強く惹かれる。
対談で読んでみたくなったのは、佐藤究さんの『テスカポリトカ』。でも、テーマを知ると自分には無理そうで悔しい。
中村文則さんの『列』も読んでみたい。
ちょうど読んだばかりだったテッド・チャンの『息吹』に触れられているのも嬉しかった。
また、葉真中顕さんが -
Posted by ブクログ
この本を読んで小川哲の脳は宇宙だと思った。
その複雑な論理的なパズルに創り上げる創造力は圧巻だった。
気を抜くと落ちてしまうような綱渡りをしているような気分でこの本を読んだ。
ここに載っている作品はどれもわたしの心を鷲掴みするような内容だった。
収録作は全て素晴らしい短編小説だったが『嘘と正典』はやはり素晴らしかった。
歴史を構成する上で代替可能なピースとなる存在と代替不可能なピースの存在という考え方がとても面白いと思った。
時空間通信技術を使って、未来を変えようとする存在に対し、正しい歴史に戻そうとする未来人。
そもそも、正しい歴史とは何なのか?未来人がなぜ正しい歴史がわかるのか?正しい -
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戦争では、なぜ人はここまで人間性を失ってしまうのだろう。
下巻で、その理由が少しわかった気がした。
とても印象的だったのは、死と隣り合わせの時にある人物が、戦争とは何の関係もないことを思い浮かべる場面。
あまりにも何気ないその思考が胸に残った。
もし自分が同じ状況に置かれたら、きっと私もそんなことを考えている気がする。
極限状態では、人はそうやって自分を保つしかないのかもしれない。
小川さんは、あえて戦争を劇的なドラマとして描いていない。
普通なら感動的な言葉が出てきそうな場面でも、あえてそう描かない。
そこにリアリティがあると思ったし、ドラマチックに感動させようとしないところが小川作品 -
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歴史に疎く、これまで戦争を扱った作品はほとんど読んでないので、この作品は敬遠していた。
でも、高木という男の戦争に対する心情を読んだ瞬間から、物語の中へ完全に没入した。
そこからは面白くて途中でやめられず、朝方まで一気に読んでしまった。(それでワールドカップは起きられず…)
「満洲」の架空の都市を舞台に、理想の国家や都市を築こうとする人々と、その裏にある戦争の狂気が描かれている。
「自分の命よりも重要。でなければ滅びる」という高木の心理が心に突き刺さる。
自分の命より国が大事だなんて今の時代にはとても理解できない。
歴史の知識としては知っていたつもりだったけど、一人の人間の切実な思いとし -
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下巻は変人キャラクターたちのクセがますます強くなっていた。
本人たちは至って真面目なのがまた良い。
私の中で完全に主役を食ってしまってたのが、ヘモグロビン先生。
あまりに好き過ぎて、該当シーンだけ5回も聴き直してしまった。沈んでいた気持ちまで一気に元気になった。
一度でいいから私もヘモグロビン先生に診察してもらいたい。予約でいっぱいなのは、多分私みたいな患者がいるからだろう。
もはやヘモグロビン先生に会うために下巻を読んだ気さえしてきた。
普通の小説だと「この先どうなるんだろう」というハラハラ感で読みたくなるけど、個人的に小川さんの作品は少し違う。
ストーリー展開や結末そのものよりも、次 -
Posted by ブクログ
自分が今まで読んできた作品はある程度起承転結に沿って書かれてた。無駄に思えるような描写は多少あるにしても、全体通して見れば「結」に向かうような流れが存在していて、次の展開をイメージしやすかった。
この作品はごっちゃごちゃ。結はもちろんあるにしても、時間軸、場面、キャラクター、幾度となくかき回されたし、「これいらなかったのでは?」という描写も多々。
『言語化するための小説思考』に感銘を受けた身からすると、回収されない伏線が多くて腑に落ちない。
けどあとがきで
> ひとつだけ言えるのは「今の自分には書けない」ということです。本書の節々に、まだアマチュアだった僕が、暗闇の中で何かを見つけ