あらすじ
認められたくて、必死だったあいつを、お前は笑えるの? 青山の占い師、80億円を動かすトレーダー、ロレックス・デイトナを巻く漫画家……。著者自身を彷彿とさせる「僕」が、怪しげな人物たちと遭遇する連作短篇集。彼らはどこまで嘘をついているのか? いま注目を集める直木賞作家が、成功と承認を渇望する人々の虚実を描く話題作!
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Posted by ブクログ
エッセイと小説が交じり合う不思議な読後感。主人公なのか小川さんなのか、ひねくれものの自覚があって親近感がある。実業家なり情報商材なりスピリチュアルなり、虚業と見なされやすい職業や人物の炎上等を通して、自身の職業である小説家そのものが嘘や偽の要素によって成り立つことを実感している。プロローグにもあった、小説家に必要なのは天の邪鬼でみんなが素通りできるところをいちいち立ち止まる愚図な部分と言っていたのが物語全体の伏線となっていて納得観もある。小川哲さん初めて読んだけど作家性がかなり好きかも。
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小川哲さんのこと、とても好きになってしまった。
このフィクションとノンフィクションの境目がない感じ(もしかしたら全て作られたもの?)たまらない、、
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なんだこれ!おもしろい!小説なのかエッセイなのか。作品全体の曖昧さと怪しさ、哲学的思考に好奇心を刺激され静かな興奮が止まらない。読むのも止まらない。私の3月10日とアイデンティティは一体···。もう1回言わせて、おもしろい!
Posted by ブクログ
おもしろーい!君のクイズの人か!君のクイズは正直そこまで刺さらなかったが、この作品は淡々とした語り口の中にあるユーモアと物事の見方、日常にある違和感と共感の切り出しが面白くてのめり込むように読めた。
主人公の人間ぽくなくて人間ぽい、等身大だけど客観的な視点が入りやすいのだと思う。
初めはエリート感強めの、学歴高い人が書いてるのがひしひし感じられる本だなと思ったが、友人からの小説をレビューするくだりでは面白くてニヤニヤしてしまった。
読みやすい
ふーーーむ。小説家って普段こんなこと考えてるんだなぁという気づきと、小説家だからなのか日常の些細な出来事をきっかけにして物語を作っていくのがすごく上手いと思った。作中に出てくる80億を回してるとかいう見栄っ張りの元同級生や、真偽は謎だけど偽物ブランドを身に着けてるだとか作品のネタ等すべて他人から盗んだものだとか言われてる漫画家など、本当にいそうだよなこういう人って感じで普通に話としては面白かった。それに対する主人公(作者?)の見方も面白い。
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作家とは何者か?というテーマがあるようで、ぐるぐる考えさせられました。
悪気はなくても気がついたら詐欺行為にのめり込んでしまうことがあるのかなあ?と思いました。
Posted by ブクログ
出版区のYouTubeで小川哲さんの回を見て、思考がとても幅広くお話も面白かったため、今回の作品を読むことに。
結論、めちゃくちゃ自分好みの短編集だった!わりと哲学的な思考が好きなほうなので、主人公の思考プロセスをなぞれたのはとても楽しかった。この主人公は小川さん?
派手な展開や鬱な展開よりも、こうした内省的なほうが余韻も長く続いて好きだ!
おすすめです!
プロローグがいちばんすき✨
Posted by ブクログ
エッセイなの?創作なの?と浮遊しているような感覚で、怖いものみたさで早く最後まで読みたくなるような本でした。全部終わり方もいいですよね。
小川さんの著書初めて読んだけど、すごい好きだな!他のももっと読みたい
Posted by ブクログ
いくつかの短編集からなる小説。どの話も著者がモデルなのではないかと感じた。
この中でもひとつ目の話がものすごく面白かった。
『僕はときどき、本というものが、わがままな子どもや、面倒臭い恋人のように見える。』
これはその話の中の一節だが、はっとさせられた言葉だ。ドラマや音楽のように受動的では楽しめない。自分からわざわざ読もうと本を開かないと始まらない。つまり能動的に楽しまないといけない。考えたこともなかったが確かにそうだと思った。ミステリーのような怒涛の展開はないが、小川さんらしい少しずれたところからの気づきがたくさんある、読んでて飽きない作品だった。
Posted by ブクログ
冒頭の数ページで作者の頭の良さ(教養、思考の深さ的な意味で)をめちゃくちゃ感じた。
私が気にもしなかったところに、ぐるぐる考えを巡らせてて、全くサクサク読めなかった!!でもそれが面白かった!!
短編集だけど、少し接点があって、エッセイのような寓話のような、読み終わった時には不思議な気持ちになった。
見た目で人を判断せずに、自分の思考の結果を軸にして生きている主人公がカッコ良い。
他の作品も読んでみたい!!
Posted by ブクログ
タイトルからして,「手にする」しかない作品だったのだけど,「大事に読みたい」と思ったばかりに9ヶ月も「積ん読」にしてしまったという…
僕にもねえ,「気になる」事が日常的に多すぎたんだよ,つまり・・・な?
まず・・・これは,小説なの?エッセイなの?(笑)
読み始めた時は,“ちょっと変わった哲学者崩れの学生ニートの話なんだろうな”くらいに読んでいたのに,章を追うごとに「え?これ本人?本人のことなの??」ってなっていく.だって途中で堂々と「小川」って書いちゃってるし!
最後なんてもう,山本周五郎賞だとか,新潮社からの電話がどうだとか…「これ本人だよね?絶対本人でしょ?笑」ってとこまで来る.
作中の主人公がフィクションなのか,本人なのか,その境界線なんてどうでもよくなるほど圧倒的に面白くて,小川哲という作家さんの思考が,ぐるぐるとめぐり,理屈を積み重ね,自己分析を通して浮かび上がってくる情景とか物語と平行して,自分の中にも「思考」が次々芽生えていく.
そのひっきりなしの出入りが,今まで味わったことのない読みごたえだった.
人が気がつかないような物事の矛盾だったり,起源だったり,意味だったり…そういうものがいちいち気になって,「気になり出したら止まらない!」というあの感じが,一行一行からあふれてくるようで,読みながらずっとニヤニヤしてしまった.
そして,昔の出来事や失敗をふと思い出して,ひどく恥ずかしくなったり,苦しくなったりして身もだえるあの感じを,ここまで正直に書く作家さんに出会えたことも嬉しかった.
いや,“ひどく”どころじゃないよね.
あの恥ずかしさと,どうしようもない歯がゆさ.
もう,「穴があったら入りたい,できればそのまま埋めてくれ」ってレベルのヤツ.
これを文章で書いてくれた作家さん…僕ははじめて出会ったよ.あの恥ずかしさ,僕だけじゃなかったんだ,味方,みっけ!笑
この作家さんが「地図と拳」を書き上げたと思うと,その事実自体がツボすぎて,感心するやら可笑しいやら.
だよね,こういう人じゃなかったら,あの変態的に圧倒的な作品は書けないよね!と.
主人公が作家さん本人でも,創作でも,まぁそれを紡いでいる張本人は“変わってる人”だよね,きっと笑
僕に言われたくはないだろうけど,同じ種類の「変わってる」人だという予感がある.いや,僕より絶対変わってるはずだ!
でもさ,“変わってる”って誰の視点で決まるんだろうね.
別に「おかしい」とか「悪い」とかとは全然違うし,ましてや「変わってる」と「ヘン」は全然違う.
誰かを擁護してる訳じゃないけど…結果的に僕を擁護してるのか?これ笑.
そう,こういう“思考のぐるぐる”に巻き込んでくれる作品なんて,そう多くはない.
この本は,読みながらも読み終わった後も,その「ぐるぐるに巻き込まれる楽しさ」を味わえる作品.
1冊で2度美味しい,そんな感じの1冊.
いいね!さて,次は何を読もう?
Posted by ブクログ
友人、同級生、彼女、仕事相手など他人を描写、こんな人なのではないかと憶測しながらの工程が、そのまま自分の内面、外面考察になる。それをなん度も繰り返しつつまるで螺旋階段を登るように話しが展開していくイメージをもった。
端々にでてくる知識話が好きだったし読み進める機動力にもなった。
Posted by ブクログ
連作短編と知らずに読み始めたが、気づくとあっという間に読み終えてしまった。取り立ててどこがどう、という感じではなかったんだが、読み進めていくうち、なんか段々と人の薄気味悪さみたいなのがきて、ババさんの話でマックスに。日常の切り取り方、話の作り方がうまい。
Posted by ブクログ
小川哲さんの小説は作中に哲学的な考えが散りばめられているところが好きですが、特に本作はその要素が強いように感じました。
本作中で特に好きな考え方は、自分がやられて嫌なことは他人にしない、逆に自分がしてほしいことを他人に積極的にするという道徳の黄金律に対する反証。この黄金律は多くの小中学校の道徳の授業や普段の生活で教わるものだと思う。
この黄金律の落とし穴は、自分がしてほしいこと/されたくないことは他人とは異なることも多く、それを理解していないとただの押しつけやおせっかいになってしまうという点。
他にも、ストーリーを読みながら面白いと思う視点や哲学的な考え方が度々出てくる作品でした。
Posted by ブクログ
『自分』はどのような人間なのだろう。
短編集だけど、根底にあるテーマは恐らく同じ。私にとっては今自覚している性格を性格とは言わせなくする本。
人には多面性があり、突出したものは状況下で変化する。それは『突出すべき』と判断した、又はされたものに思う。
人の内面はとても複雑で、『自分』でさえ己の把握が難しい。『他者』だとすれば尚のこと。
突出した一面だけで、自分や他者を決めつけず、対話の姿勢を忘れないようにしたい。
Posted by ブクログ
初読みの作家さん。色々と気になるタイトルはあったが、評価のある今作を手にした。
哲学的な問いかけもあり、様々な考えを頭に浮かべた。
表題の作と「偽物」の二つが面白かった。
Posted by ブクログ
どちらかと言うと私小説のような、そんな感じを匂わせる短編集。
ふとしたことから就活を始めた主人公。
そんな主人公が小説家になるまでの経緯を描いた『プロローグ』
2011年3月11日、東日本大震災の日。
あの日あの瞬間、自分が何をしていたかはしっかり憶えているのに、
その前日3月10日、何をしていたかは一切思い出せない。
果たして自分は3月10日に何をしていたのか、
そんな記憶に纏わるエピソード『三月十日』
高校の同級生の奥さんが突然仕事を辞め、小説家になると言い出した。
その背景にはオーラリーディング占い師の存在があった。
奥さんの洗脳を解くために、占い師のインチキを暴こうとする『小説家の鏡』
世間から投資詐欺を疑われるかつての高校の同級生。
そんな同級生との思い出を綴った『君が手にするはずだった黄金について』
ロレックスのデイトナの偽物を身につける漫画家。
その漫画家との交流を描いた『偽物』
不正利用されたクレジットカードの知らせと共に届いた
山本周五郎賞の最終候補に残ったという知らせ。
そんな主人公でもある小説家の日常を描いた『受賞エッセイ』
小説家でも何でもないのだが、6編ともどこか身近に感じるような、
そんなある種の安心感を読んでいて感じた。
突拍子もないだとか、壮大な仕掛けがあるだとか、
そんなフィクション性を感じられないのがその要因なのかもしれない。
どちらかと言うと短編は苦手なのだが、
この身近さが読んでいて心地よかったのは間違いない。
Posted by ブクログ
冒頭に登場する形而学的な
と言う言葉の意味を優しく教えてくれる
そんな短編集てした
思考がとても深く
嘘と真の狭間で生きる
小説家の頭の中を垣間見た気がします
Posted by ブクログ
途中、なんか不思議な感覚になった。
主人公は作者で、プロローグが妙に長くて、(読みたいと思った)名作がたくさん出てきて、話は淡々と進んで、途中、コレは作者のエッセイなのか?と不思議に思って、でも話は進んで、静かに終了した。
小説家になった経緯と当たり障りのない友人の話や仕事上の知人の話、、やっぱりエッセイに感じるが、やっぱり違うんだろうなぁ、と思いながらの作品だった。なんか不思議。
Posted by ブクログ
作者の小川哲が主人公だけど、友達の片桐や漫画家のババは架空の人物だと思う
実在したとしたらこんな小説書けないだろうし
一見作者が「こんな事があったんですよ」的な体で書かれてはいるけど全ては
フィクション作品と言う事だろう
これはそう言う小説
Posted by ブクログ
なんだか面白かった。けれどなんだか分からないこともたくさんあった気がする。作者さんのエッセイ的小説みたいだけれど、考え方がはじめから最後まで何かに囚われずにただ自分の中になだれ込んでくる思考の渦の中に囚われている感じで作者さんの頭の中を覗き見てるみたいでなんだかバツが悪いのと嬉しいのと面白いのとで変な感覚に陥った。理解できない人がいることは理解できる、という言葉にとても共感。なんでそんなことするの?とかなんでそんなことできるの?とかそれを皮肉と嫌味で使うこともあれば、称賛や嘆き、感嘆の意味合いで使うこともあると思うけど、本作に出てきたのは前者。だけど、誰もその人の本質なんて知らないし、知らなくてもその人をおかしな人だと断じることはできる。多面的で複雑で一口に悪い人だと言えないような人だけど、自分はこんな人横にいたら絶対ヤダなと小説読んでて思ったので冷たい人間なんだろう。冷たいことが悪いことだとも思わないけれど、擁護するわけでもなく、淡々とその人の性質を語ることのできる作者さんに感動した。そんな風に冷静に人の事を見るブレなさが自分も欲しい。
Posted by ブクログ
哲学的思考やマインドスクリプト、黄金律、エリオット波動理論……興味深い論文や学説を題材に小説っぽく書かれたナニカでした。
元となる理論が面白いので読めちゃうけど、主人公のなんともいえない偉そうさと屁理屈王ぶりが鼻についてキツい。
頭いい人はそれを隠さないと逆に馬鹿に見えるぞーと作者に言いたい。
Posted by ブクログ
小説というよりかはエッセイのような本で、あとから主人公が作者であることに気づいた
淡々とした文体で体調不良時に読みやすい短編集なのが良かった
帯がここまで抽象的な事があるだろうかと思っていたが、なるほど、エッセイぽいのと短編集なので1冊丸ごとの感想が出てこないんだなと読んだ後に気づいた
特に面白かったかと言われればウーンなんだけど、感情が大きく揺さぶられる事がないから、どうにか気を紛らわせたい時には最適な本だった
最初の2篇を読んでいて、どちらも失恋の話だったので少し寂しくなったが、本当にこんな生活をしてたらそら振られるだろ、と思いつつ、主人公(作者)があまりダメージを受けていなかったので、そこも含めて淡々とした作品だなと感じた
個人的には「偽物」が1番面白かったなあ