嘘と正典

嘘と正典

小説・文芸
1,210円 (税込)

6pt

マルクスとエンゲルスの出逢いを阻止することで共産主義の消滅を企むCIAを描いた歴史改変SFの表題作をはじめ、零落した稀代のマジシャンがタイムトラベルに挑む「魔術師」、名馬スペシャルウィークの血統に我が身を重ねる青年の感動譚「ひとすじの光」、音楽を通貨とする小さな島の伝説「ムジカ・ムンダーナ」など6篇を収録。圧倒的な筆致により日本SFと世界文学を接続する著者初の短篇集。解説:鷲羽巧

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嘘と正典 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    ・魔術師
     これだけでも★5 小川哲、凄い!
     一回読んだだけでは理解しきれず、二回読んだ。
     マジックがテーマということもあり泡坂妻夫を読んでいるようだった。

    ・ひとすじの光
     競馬の話。どんな性格の馬が競走馬に向いているかを考察したりしていて着眼点が独特だ。

    ・ムジカ・ムンダーナ
     ダイヤモンドや金、絵画や彫刻などに価値があるように、音楽作品に金銭や資産と同等の価値を与えるという作品。
     発想もいいが、そのアイデアを小説にしてしまう筆力に脱帽。

    ・嘘と正典
     二重スパイと歴史を変えた出来事は、実際の歴史を学んでいるようだった。
     そこに、タイムマシン的な時間を操る要素が入り込んでくる。
     宗教的要素もあり、歴史と科学と哲学で遊んでいるような小説でもあった。

    0
    2026年08月29日

    Posted by ブクログ

    様々な世界観をテーマとした短編集。
    流石!と言わざるを得ないくらい惹き込まれる作品ばかり
    美しいと感じたのは「ムジカ・ムンダーナ」笑ったのは「最後の不良」表題作の「嘘と正典」は難しいと感じたけど後半からの展開が素晴らしかった
    とは言いつつ正直全部好き

    0
    2026年06月25日

    Posted by ブクログ

    この本を読んで小川哲の脳は宇宙だと思った。
    その複雑な論理的なパズルに創り上げる創造力は圧巻だった。
    気を抜くと落ちてしまうような綱渡りをしているような気分でこの本を読んだ。
    ここに載っている作品はどれもわたしの心を鷲掴みするような内容だった。

    収録作は全て素晴らしい短編小説だったが『嘘と正典』はやはり素晴らしかった。

    歴史を構成する上で代替可能なピースとなる存在と代替不可能なピースの存在という考え方がとても面白いと思った。
    時空間通信技術を使って、未来を変えようとする存在に対し、正しい歴史に戻そうとする未来人。
    そもそも、正しい歴史とは何なのか?未来人がなぜ正しい歴史がわかるのか?正しい歴史とはその未来人にとって都合の良い歴史ではないのか?

    この本の最初に載っている『魔術師』のテーマは「真実と完璧な嘘の境界は、客観的には存在しても、人間がそれを認識できるとは限らない」というものだった。

    この世は真実なのか、嘘なのか、判断ができないことがたくさんある。
    誰かの都合の良い歴史が今もなお築かれているのではないだろうかと感じた。

    0
    2026年06月23日

    Posted by ブクログ

    ジャンルを超えて小川哲さんの筆力を感じたとても贅沢な短編集だった。テーマや文体も様々だけどやはり表題作が飛び抜けて面白かった。やはり基準点があってこそ均衡は成り立つのだと。最後の不良も個人的にとても好み。

    0
    2026年02月23日

    Posted by ブクログ

    面白かった。時間を装置として用いた作品が多く、アイデア・着眼点が面白い作品が多かった。作品ごとに色々な表情を見せてくれる多彩さが筆者の魅力の一つと思うが、短編集である本作においても、その魅力が遺憾なく発揮されていると思う。

    0
    2026年02月11日

    Posted by ブクログ

    マルクスとエンゲルスの出会いを止めて共産主義の発生を防ごうとするという発想がとても面白く、タイトルの伏線回収もしっかりしていてとても面白かった。表題以外の短編の題材も面白く、ひとすじの光は特に良かった

    0
    2026年01月31日

    Posted by ブクログ

    1.SFっぽくない感じが良かった。
    全編通してSFっぽさは少なかったが、それ以外の良さがあった。完全なSF世界ではないからこそのリアリティがあるような気がする。「魔術師」で言えば、タイムマシンが本物であるかどうかわからないまま物語が終わるのが良かった。これについては「読者に任せる」書き方が効果的に感じた。 「ひとすじの光」はSF要素がなかったが、馬と自分とを重ね合わせて父親との関係性や自身のアイデンティティに思いを馳せる姿に感動した。「ムジカ・ムンダーナ」はSFというよりファンタジーかな。

    2.嘘と正典が一番良かった。
    前半はSF的な要素がないまま話が進んでいき、後半から過去との通信が出てきて一気に話が進んでいく展開に引き込まれた。そして冒頭のエンゲルスの裁判につながっていくところはもはや感動的でもあった。過去に干渉することができる機械によって、世界が分岐する場合は「正典」にあたるものはなにに該当するのだろうか。ニュートンがいなくても万有引力の法則が見つかっただろう。これは完全に同意する。しかし、エンゲルスがいなかったら共産主義は存在しなかったのだろうか。歴史を改変するものを妨害するために歴史を改変していないだろうか。少なくとも中継者や守護者の人生には大きく干渉していると思うし、それによってバタフライエフェクトが発生していないだろうか。なにをもって正典としているのだろう。

    「嘘と正典」の過去に送れる電気信号は「Steins;Gate」のDメールに近いような感じがした。一度行った改変を取り消すことで元の世界を目指すのも同じかな。そのなかで、計算量を減らしたいという「嘘と正典」の動機は「Steins;Gate」よりも弱く感じた。「Steins;Gate」の独善的で身勝手でも仲間との絆を大切にする感じが大好き。

    0
    2025年12月01日

    Posted by ブクログ

    SFの基本のキと言っても決して過言ではないだろう時間に関するSFがぎゅっと詰まった一冊。僕は、ムジカ・ムンダーナが一番気に入りました。
    四次元HIP-HOPばり収録全作が面白い短編集でした。

    0
    2025年11月11日

    Posted by ブクログ

    単行本からの再読。SFを基軸にミステリや歴史などのジャンルを横断した作品集。改めて読むと著者のその後の作品に登場する、小説を連綿と続く系譜として位置付ける発想や、実験の失敗から信じ難い真実へと辿り着く合理主義的な科学者などの要素が垣間見られることがわかった。

    0
    2025年11月08日

    Posted by ブクログ

    6篇の短編で構成される短編集。
    時間スケールは異なるけれど「歴史」が横串のキーワードではないかと思う。

    共産主義の打倒を目指し時空間通信で歴史改竄を企てる表題作の「嘘と正典」は伏線の回収で何度もゾワッとさせられるし、過激な正義や短絡的な介入は歴史や状況を変えないということを再確認させてくれる。他の作品もそれぞれ毛色が違ってどれも面白い。

    個人的にはひとすじの光が好きだ。名馬スペシャルウィークの血統を遡りながら自分の血筋が明らかになっていくが、その過程がなんとも不器用な父親からの愛に感じられてホッコリする。やはり小川哲、侮るなかれだな。

    0
    2025年10月29日

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