小川哲のレビュー一覧

  • 火星の女王

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    物理的にも政治的にも経済的にも遠く隔たっている火星と地球。火星ではごくありふれた物質「スピラミン」の新たな性質が発見されたことを機に(?)、長年の燻りが勢いを増して……。

    NHKのTVドラマ版(吉田玲子, 2025)から知った本作。「未知の物体」の代わりに「スピラミン」がキーアイテムで、マルは勤勉なISDA警察捜査官ではなく地球に帰りたがっている火星自治警察の非常勤捜査員で、キーパーソンであったタキマ・スズキやファン事務総長はほとんど登場せず……。両者の差異に少し驚いた。

    ナショナリズムや異文化交流といったテーマはTVドラマ版と共通。また、小説版では“火星の女王”の意味に触れられている点が

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    2026年07月10日
  • 言語化するための小説思考

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    ためになったね、ためになったよ。彼の作品は掴みどころがないように多彩でいて、一貫性を感じていたが当たり前のプロとしての研鑽、矜持を惜しげもなく披露していただき冒頭のような感想を抱いた。

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    2026年07月10日
  • 君が手にするはずだった黄金について(新潮文庫)

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    自伝なのかエッセイなのか分からない,そんな風に意図された小説.改竄,捏造,辻褄合わせ …,なるほど解説で語られているように可能性の小説か.

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    2026年07月08日
  • 君が手にするはずだった黄金について(新潮文庫)

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    フィクションでありながらもすごく身近に感じてしまうようなお話。
    そう思えてしまうのは、世の中が本当にその通りになっているからであろう。
    実は実話だったという展開もありうるかもしれない…

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    2026年07月07日
  • 君のクイズ

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    小川哲さんの本は初めて。「ゼロ文字正答」の理由は正直序盤で分かってしまいましたが、クイズは競技であることと回答者の思考回路が言語化されていく過程に感動した。東大に行くような方の、頭の中を覗けたような気持ちよさがあった。

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    2026年07月06日
  • 嘘と正典

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    ネタバレ

    表題作は先が気になってしまってサクサク読んだ
    歴史に絡めた話が面白い
    SFあまり読まないけどよかったなー

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    2026年07月06日
  • こうやって作家は言葉を紡ぐ

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    小説家•小川哲×小説家(と漫画家)の対談集。
    小説家の創作手法や思考回路が面白い(時に難しい)。小説家を目指す方は読んで損は無いと思う。どんなことから書き始めるか?無意識をどう使うか?読点をどう使うか?など、小説を書くためのヒントが随所に散りばめられている。

    様々な小説家と対談しており、読者によってハマるゾーンは十人十色だろう。私の場合は今村昌弘さんとの本格ミステリ談義と、葉真中顕さんとのゲーム談義がストライクゾーンだった。
    また、エッセイとは?純文学とエンタメの違いは?特殊設定とは?など、もやもやしていた本のジャンル分けに一定の解を提示してくれてすっきり。

    小説をラーメン屋に例えたり、エ

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    2026年07月06日
  • 君のクイズ

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    「クイズの問題文を読まれていないのに、正解を出す」という設定が秀逸。ここで「なんで?」っていう気持ち満載になって、ずっと心をつかまれたまま。相手方の心情はまったく理解できなかったけど。読みにくい小川哲作品にしてはかなり読みやすい。

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    2026年07月05日
  • 言語化するための小説思考

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    小説家にもいろいろなタイプがあるのだろうなと当たり前な感想を持った。

    "僕は「自分の作品の感想」ではなく、「自分の作品をどういう人がどういう経緯で手に取ったのか」という点を気にしている。"      74ページ

    この部分が印象的だった。へー、そうなんだと思った。
    著者ご本人が、こういうサイトを読まれるとか全く意識しないで好き放題書いているので、ちょっと反省というか、なんというか…
    他の読者の方(全著者の全読者)はそういうことも意識して書かれているのだろうか。

    読者に媚びないで好きなように書いて欲しいと願うのは、なんか違うのか。
    せっかく書いたのだから、たくさんの人に読

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    2026年07月05日
  • 言語化するための小説思考

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    小説の書き方レクチャーするものではない(本文中で著者がそう明言しているとおり)。「小説思考を言語化したもの」というのが自分のイメージ。一度読んだだけでは分かりにくい(読めば理解はできるが頭にスッと馴染まない)ところもあるのでまた読みたい。

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    2026年07月05日
  • 言語化するための小説思考

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    ネタバレ

    小説家が小説を書く思考を初めて知ることが出来ました。小説家ではない私ですが、他人に何かを伝える際の参考になりました。
    ・現実は多次元、小説は1次元
    現実では私以外にも出来事が起こり、あらゆることが同時並行的に発生している。一方で小説は1次元でしか表現できない。なので、表現する順番で聞き手の理解や疑問は大きく変わる。
    ・抽象と具体の使い分け
    どんな事象でも抽象化すれば共通項も導くことは出来る。一方で共通化できない項目も実在する。抽象と具体を使い分けることで聞き手の理解を深めたり、自分の論点に繋げることも出来る。

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    2026年07月04日
  • ユートロニカのこちら側

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    情報への無制限アクセス権を預ける代わりに、最高ランクの基礎保険が保証されるシステムの運用が始まった社会。その特別提携地区であるアガスティリゾートを舞台にした連作短編。一章ごと、話者が異なり、徐々にそのほころびが見えてくるしかけ。

    一人目のジェシカは、八度目の応募でようやく楽園、アガスティリゾートへのパスポートを手に入れた主婦。喜び勇んで移住したものの、夫は家にこもるようになる。
    二人目、リード。小さな田舎町に住む両親の遺言によって、過去体験サービス「ユアーズ」の提供を受けるため、日本を訪れる。
    三人目、スティーブンソン。激務のため、妻との約束を反故にしてばかりの夫。アガスティリゾートの住民が

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    2026年07月04日
  • 君が手にするはずだった黄金について(新潮文庫)

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    あまりにありそうで、エッセイ的なノリで読み終えてしまった。人間関係とか、考えすぎる思考とか全部共感しすぎてうわー…となりましたね。
    特に就活の円グラフの話、リアルすぎて震えました。

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    2026年07月04日
  • 言語化するための小説思考

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    誤読の話、情報量の差を埋めていく話、抽象化と個別化の話、創作の過程で生まれるディテールの話、偶然目の前に転がってきたアイデアを掴み取る話。どれも面白く読めた。

    「アイデアは生み出すものではなく、面白くなる瞬間を見逃さない視力である」

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    知らない世界の話について堂々と語るには抽象化と個別化すること
    読者がこの小説は私について書かれていると感じる時、小説家は自分の体験を抽象化して、抽象化した構造を個別化する作業に成功しているのだ。

    マッチングアプリで知り合った大学生の女性と会社の面接会場で面接官と就活生という形で再会してしまった。私と目が合うと

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    2026年07月04日
  • 君のクイズ

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    ネタバレ

    QuizKnockが好きで、監修している映画版が公開されるとのことで急いで読破。小説のほうもかなり影響受けているそうでさらに美味しかった。

    そのQuizKnockの動画を普段から見ているので、「確定ポイント」や「読ませ押し」といった馴染みのワードや、得点の推移が戦略として描かれていることが面白い。

    決勝戦を一問ずつ検証していく丁寧さと、その描写を経てなんとなく「本庄絆」という人物像が見えてくる…つもりになっていく。
    クイズプレイヤーに限らずメディアに登場する人物は、観客側から「イメージ」が押し付けられる。本来のその人物がどうかではなくそのイメージにより人物像が形作られ、いつの間にかそれが「

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    2026年07月01日
  • 君が手にするはずだった黄金について(新潮文庫)

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    構造Aの中に構造Bがあり、その中の構造Cで構造Dを書いてたりするから、自分の頭が追いつかず、読み切れない部分があった。

    構造Dにいる小川が、CやB、あるいはAにいる片桐を冷笑する物語。かといってDにいる自分はEから俯瞰してみると憐れだし、Bは別視点だとDの裏返しとも捉えられるから自分もBと同じだみたいな保険を掛けて自分の立場を守る。

    自分には片桐や馬場と共通する点があるため、彼らがいかに崩壊していくかは見ていて辛かった。終わりのないループ冷笑構造に包まれる冷たい現代社会を見たい人にはおすすめの作品である。

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    2026年07月01日
  • 斜め45度の処世術

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    面白かった!ひねくれ具合も何だか笑えて最後まで楽しめた!もっと読みたいくらい。終わりかたもひねくれ者らしさが出てた!

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    2026年07月01日
  • 地図と拳 下

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    ネタバレ

    個人的には、物語の展開スピードがちょうどよく読みやすかった。あまりにも詳細に場面を記述されると疲れるし、簡素に書きすぎると素人っぽく見えてしまう。そのどちらでもなくちょうど良い場面記述をしていたから、ストレスなく読むことができたのだろう。

    また、小説のために参照した文献数が数多く、それだけ読んで頭に入れたからこそ、文献で得た知識と自らの想像力を駆使しながら、しっかりと必要な情報を適切に記述することができたのだろうと思う。

    内容も面白かった。満州を主な舞台として、そこでさまざまな人種的な背景を持つ人々がそれぞれ置かれた状況から、満州で活動を行う。

    個人的に面白いと思ったのは細川で、彼は日本

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    2026年06月30日
  • 君が手にするはずだった黄金について(新潮文庫)

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    嘘と偽物について。つまりは小説/人生について。小説家という観測者/表現者が、他者と自身の内面を冷徹に分析していく。存在意義を渇望するほどに、承認欲求や虚栄心が積み重なり、自己の輪郭が暮夜けていく。記憶は都合よく改竄され、多くは抜け落ちる。解像度の高い日常から「実存」へと迫っていく過程が実にスリリング。第二話『三月十日』の恐ろしさたるや。

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    2026年06月29日
  • スメラミシング

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    表題作のスメラミシング。
    コロナ禍を経て、思いを馳せる。
    陰謀論者を冷笑するのではなく、背景や構造にも目を向けたい。

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    2026年06月28日