小川哲のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
いくつかの短編集からなる小説。どの話も著者がモデルなのではないかと感じた。
この中でもひとつ目の話がものすごく面白かった。
『僕はときどき、本というものが、わがままな子どもや、面倒臭い恋人のように見える。』
これはその話の中の一節だが、はっとさせられた言葉だ。ドラマや音楽のように受動的では楽しめない。自分からわざわざ読もうと本を開かないと始まらない。つまり能動的に楽しまないといけない。考えたこともなかったが確かにそうだと思った。ミステリーのような怒涛の展開はないが、小川さんらしい少しずれたところからの気づきがたくさんある、読んでて飽きない作品だった。 -
Posted by ブクログ
タイトルからして,「手にする」しかない作品だったのだけど,「大事に読みたい」と思ったばかりに9ヶ月も「積ん読」にしてしまったという…
僕にもねえ,「気になる」事が日常的に多すぎたんだよ,つまり・・・な?
まず・・・これは,小説なの?エッセイなの?(笑)
読み始めた時は,“ちょっと変わった哲学者崩れの学生ニートの話なんだろうな”くらいに読んでいたのに,章を追うごとに「え?これ本人?本人のことなの??」ってなっていく.だって途中で堂々と「小川」って書いちゃってるし!
最後なんてもう,山本周五郎賞だとか,新潮社からの電話がどうだとか…「これ本人だよね?絶対本人でしょ?笑」ってとこまで来る.
作中 -
Posted by ブクログ
ネタバレ火星と地球を繋ぐ100年後のSF群像劇。
コミュニケーションの遠さが心の距離に繋がる。
そんなことを感じたSF小説。
人類は直接言葉を交わすことから始まり、言葉を文字にし、文字を歩きや乗り物で運ばせてきた。電話が出来てインターネットが出来て、いよいよ人類のコミュニケーションは光の速度に近づいたが、一方でそれはコミュニケーションの速度の限界でもあった。火星と地球の「面と向かって」話せないことで生まれる軋轢。これは現代の地球上でも同じ。
「面と向かって」話すことが疎かになることで生まれる軋轢は現代でもある。そんな単純な事をSFの視点から改めて考えされられた一冊。
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Posted by ブクログ
ネタバレ題材から想像する話とはだいぶ違っていて好みだった。頭がいい人はこんなふうに物事を関連づけながら覚えているのか、と勉強が苦手なわたしはただただ関心した。クイズはじぶんの生きてきた足跡。「ピンポン」と正解の音が人生を肯定してくれる。なにげなく、でも夢中で生きてきた過去に意味を見出す感覚。(なぜかオセロをひっくり返していく感覚に感じた。)失恋後の話で人間味のある三島を好きになった。じぶん歩んだ道を肯定していくためにこれからも三島は一途にクイズを続けていく。最後の本庄との会話で「え?」と三島が反応したとき、わたしも「え?」と狐につままれたようになり…この感覚こそ著者の目論み通りなのだろう。面白かったの
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Posted by ブクログ
気になっていて本。
文庫かされていたので読んでみた。
ゼロ文字押しでクイズ番組で優勝した本庄絆。
優勢だったのに負けてしまった
三島玲央がその謎を負う。
一問ずつ、クイズを振り返る。
解答者にはさまざまなエピソードがついている。
早押しクイズで解答を導くために
なるほどこういう思考をしているのかと
クイズプレイヤーのリアリティが半端ない。
ただのクイズ。されどクイズ。な感じ。
人生は選択の連続だと言われるが
答えのないクイズに
答えているとも言えるという。
読み終わってみると…
犯人がわかるタイプのミステリとは違い
あれ?きょとんとなる本ではある。
が、メッセージはしっかりあるよ