小川哲のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
すごく哲学的なお話で一見難しそうやけど、シンプルにわかりやすく描かれていて賢い人の書いた文章って感じで面白かった!
短編の主人公はそれぞれ作者を少しずつモデルにしているのかな?
日頃から
「〇〇とは?」「〇〇の定義とは?」
と、すぐに脳内会議しちゃう私。すごくこの作品ハマりました。あと、とても勉強になった!
残しておきたい言葉がたくさんあったのでメモ↓
「読書とは本質的に、とても孤独な作業だ。最初から最後までたった、一人で経験する。読者は自分の意志で本に向き合い、自分の力で言葉を手に入れなければならない。」
「本とはつまり、記述の束だ。豊かな世界を言葉に閉じ込める作業だ。」
人生の -
Posted by ブクログ
ネタバレ難しかった~
「スメラミシング」
ずっと「すみません」と謝っているのが印象的だった。
高校生の時に、クラスメイトの長田と小海線に乗りに行こうと計画を立てたが、
結局行けず、長田とはその後、疎遠になるのだけれど、あの時、一緒に行けていたら、
また違った関係になっていたのではと、そんなことを何度か考えたという話。
本筋とは関係ないけれど、こういう感じ、感覚が僕はとても好みでついつい繰り返して読んでしまう。
「何度か」という言葉に、「ああ、何度か考えたんやな」などと思ってしまうのだ。
自分の癖なのかもしれないです。
「神についての方程式」
数学的なことはさっぱりわからんが、物語の構造がおもしろか -
Posted by ブクログ
ネタバレ普通サイズの上下巻の本なのに、大河小説を読んだくらいには体力を失った。
長い年月「地図」を仕事としていたので、書名に「地図」という文字が入っていると、つい手に取ってしまうのだが、重苦しい本である確率が結構高い。
この本も、日露戦争を前にした時期から第二次世界大戦後までの長い年月を、ほぼ満州を舞台に書かれている。
最初から最後まで通して細川という男が出てくるところから、いかに短い期間に立て続けに日本が戦争という大きな波に翻弄されていたのかが、恐ろしいほどにわかる。
満州の東側の海に浮かぶ青龍島(チンロンタオ)が描き込まれた地図。
ないはずの島が、どうしてその地図に描き込まれたのか。
それを探 -
Posted by ブクログ
ネタバレ地図と拳(上巻)は、一つの都市を舞台に、人間の理想と暴力、知性と欲望が交錯するさまを壮大なスケールで描き出した、まさに圧巻の歴史群像劇である。
物語は、まだ何ものでもない「土地」に、人が線を引き、名を与え、意味を刻みつけていく過程を丁寧に追っていく。地図とは本来、世界を理解するための道具のはずだ。しかし本作では、その地図がやがて支配や野望の象徴へと変質していく。理性の結晶であるはずの“地図”と、衝動や暴力の象徴である“拳”。その対比が、時代のうねりの中で否応なく絡み合っていく構図が胸を深く打つ。
登場人物たちは誰もが単純な善悪では割り切れない。彼らはそれぞれの正義と信念を抱きながらも、時代 -
Posted by ブクログ
50年前のカンボジア。
共産主義革命前夜の秘密警察の暗躍と、革命後のクメール・ルージュによる数々の虐殺の時代。
クメール・ルージュのやり方に疑問を覚え、ロベーブレソンに理想郷を作ろうとしたフオン。
フオンの目論見を利用し、元秘密警察のラディが力を持ち始める…
孤児であり、ポル・ポトの娘・ソリアもまたクメール・ルージュの疑問を覚える。
そして、ロベーブレソンは…
ムイタックは…
なかなか長かった…
特に前半は、登場人物が多すぎて。
それぞれの視点からの話で…
ようやく登場人物が交わり始め、話が動き始める。
そこからは、怒涛の展開で進み始める。
ポル・ポト時代のカンボジア。
共産主義とは -
Posted by ブクログ
全部読み切り短編というのが、すごくいい。
今までの文芸誌は、連載ばかりなので、なんだか蚊帳の外感があって、書い続けないと仲間に入れてあげないよーと言われてるみたいで寂しさを感じることしばしば。
しかも豪華ラインナップに、いいの?この値段で?と問いたくなる。赤字だよね。
ともあれ、西加奈子「デヴィアン」市川沙央「音の心中」小川哲「嘔吐」をまずは読む。
全部面白い!
小川哲は、朝井リョウと仲良しになって影響受けてるような笑。
西加奈子も仲良しの村田沙耶香となんか似てるような。
互いに影響しあって、短編だから、肩の力を抜いて自由に書いてる感あり。
葉間中顕「五十歳,ロスジェネ、ギバー落ち」も -
-
Posted by ブクログ
個人的には上巻よりも面白かった。
重畳的に奥深く世界感が構成されており、まとめて一気に読みたい作品(途中で時間が空いてしまうと、この作品の世界から離れてしまい、再び奥深くに入り込むことが難しくなる感覚がある。また、一度奥に入り込んでしまうと中々出てきにくいので、一気読みの方が楽しめるように思う)
著者の一作目、ユートロニカのこちら側に続いて読んだが、確かに指摘されている通り、史実をベースとする展開や狂気を孕んだ人の表現の具体性が、ごつごつとした手触りをもたらし、前作に比べて人工的な洗練さからの脱却が見られて、著者の進化を感じられる。
自分自身が研究者であること、またメカニズムデザインを齧っ