小川哲のレビュー一覧
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なんて私好みな小説。SF特有の難解なところもほとんどなく、人間ドラマが主軸だった。
火星で暮らす人は地球から支援物資をもらって生活しているが、地球は旨味の無くなった火星から手を引こうとしているという両者(両星)の関係性がまず面白い。圧倒的に地球の方が有利で、火星は従うしかないのではないかと思いきや、火星も新たな物質を切り札に地球から独立しようとしているので、両者間の緊張は段々高まっていく。
物語は火星の研究者、火星の自治警察の捜査員、火星から地球へ旅行する学生、地球のISDAに在籍する職員の4人の視点が入れ替わり、物語が進んでいく。どの人物も好感が持てるし、皆、地球と火星が対立することなんて -
購入済み
問題を一文字も読み上げていないのに、クイズに正解してしまったのは何故?というシンプルな謎を解いていく。
ミステリーというよりはクイズのことを深く知れる面白い作品でした。
昔友達にクイズをしてる人がいたので主人公とその友達を重ねて読みましたが、本当に似ているところがたくさんあり、特にクイズをやっていると恥ずかしくなくなるというのはなるほどな〜と思いました。
クイズ番組を見る目が変わる作品でした。 -
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ネタバレ火星にも人生はある。
火星人は、ほんとうにいるのだろうか…?
火星移住は、近未来で起こりうる?
・実際、地球火星間のやり取りには10分程度のラグが生じる。
・火星の重力は地球の3分の1
(地球は、「酔って転んだだけで三倍の重力で死ぬかもしれない星」)
SF小説ではあるものの、SFの世界観に慣れていない人でも読みやすい作品◎
本作は、NHK放送100年記念ドラマの原作とのこと。
ドラマを初回放送で見るのを失念してしまったので、本日の再放送を録画してみようと思う!
映像も楽しみなので、ドラマを観るのがワクワクしています。
是非おすすめの1冊です!
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Posted by ブクログ
ネタバレこれがデビュー作だなんて信じられないくらい良かった。
よい生活をするためにはよい思想を持つ必要がある。物騒なことやネガティブな考えを抱いては自分の価値が下がるなんて、ゆるやかな思想統制に違いなかった。
でも労働のない安心安全な暮らしは多くの人間が望むものだろうとも思えるので、それを求める気持ちも分からなくはない。思想の自由と犯罪を事前に取り除いた社会、比べることのできないこのふたつの狭間で悩まされる読書となった。
章ごとに視点が変わっていくところが特に良かった。さまざまな立場の人間のさまざまな選択と主張から、リゾートの何が問題なのかが見えてくる。人類全員が同じ考えを持つことはできないからこそ対 -
Posted by ブクログ
発売、話題になってからしばらく経っていたけど、YouTubeきっかけで全巻(このとき3巻まで)購入した。
読み物として、こんなにワクワクしたのは久しぶり。読みたくて読みたくて、玄関に置き配される気配をドキドキしながら待っていた。
紙の本ファンにはたまらないよね笑
510(ゴート)円以上の価値があることは間違いないと思う。
現代作家の本をなかなか読めない私だけど、短編で各作家のエッセンスを味わえるのは、本当に美味しい体験すぎて申し訳ないくらい。
雑誌名の秀逸さとか、企画の画期的さとか、時代にこんなにぴったり”ハマった”ものが生まれたときの興奮って、同時代の人間にとって勇気を与えるんだなと思った。 -
Posted by ブクログ
1.SFっぽくない感じが良かった。
全編通してSFっぽさは少なかったが、それ以外の良さがあった。完全なSF世界ではないからこそのリアリティがあるような気がする。「魔術師」で言えば、タイムマシンが本物であるかどうかわからないまま物語が終わるのが良かった。これについては「読者に任せる」書き方が効果的に感じた。 「ひとすじの光」はSF要素がなかったが、馬と自分とを重ね合わせて父親との関係性や自身のアイデンティティに思いを馳せる姿に感動した。「ムジカ・ムンダーナ」はSFというよりファンタジーかな。
2.嘘と正典が一番良かった。
前半はSF的な要素がないまま話が進んでいき、後半から過去との通信が出 -
ネタバレ 購入済み
僕のクイズを問うている
僕の頭は藤川球児のストレートくらい回転している。
最序盤のこの文章から俄然引き込まれた。
すごく筋の通った展開で、タイトルとラストもリンクしていて読後感の良い作品。 -
Posted by ブクログ
小川哲の直木賞受賞作。
満州というかつて様々な国の思惑が重なった地図に、様々な背景の人間が心を描く群像劇。
全部読み終えた今、高木が小刀を頑なに手放さなかったのは何故だろうと考えてみる。小刀が指す意味は『拳』であり、つまり戦争である。高木は葛藤の末、その拳を手放さなかった故に細川が命の危険に陥るものの、細川はその拳を回収することに成功する。
この物語において、戦争は決して肯定されるものではないが、その拳がなければ高木が決死の戦線に向かって死線を守ったように、今がこの形で存在していたかはわからない。戦争において、拳は必ず必要なものなのだ。
しばらくして、その細川によりオケアノスの意味を持つ名