小川哲のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ短編集でこんなに全部面白いことある!?ってくらい、良かった、とても楽しかった。
・魔術師
マジックが文面でこんなに生き生きと表現できるんだと圧巻。思わず心を掴まれる臨場感のある演出描写、含んだ終わり方も全部好きだった。めちゃめちゃ好み。
・ひとすじの光
競馬すぎて面白かった(笑)競馬好きとして非常に楽しめた。小川さんが競馬好きとしか思えないくらい熱意感じた(笑)血統のロマンがふんだんに描かれていて、ますます血統の魅力を感じました。
・時の扉
ファンタジー要素強め。いちばんよく分からなかったけど、世界観や価値観を楽しめたかな。抽象的で少し難しめ。
・ムジカ・ムンダーナ
音楽を通貨とする島のお話。独特の世界観が面白かった!オチも好き。良い。
・最後の不良
星新一っぽい社会風刺めいた話。とても好みだった!これ短かったけど、もっとこの世界観楽しみたかったなあ。
・嘘と正典
共産主義の話は難しかったけれど、分かりやすく書いてくれていたので、話はすっと入ってきた。何よりタイムトラベル絡みなのが面白かった。話としては短かったけど、充実度がとても高い!クオリティの高い短編だった。
全体的に、嘘や歴史が共通しているような感じがして、繋がりも楽しめた。
どれも短編ではもったいないくらいに好きな世界観で、クオリティが高かった。
すっごく好きでした!楽しかった。
(オーディブルにて) -
Posted by ブクログ
ネタバレ上巻はたしかにカンボジアの歴史的背景をもとに共産主義の破綻や翻弄される国民を描いていたはずだった。
このテイストで物語が続くのかと思いきや、下巻に入った途端、2023年という現代に突然移り変わる。
そして、何より脳波を使ったゲーム「ブラクション・ゲーム」を基準に人の思い出や社会とゲームの違い、勝利と敗北…色んなところに話を展開する。最終的な場面はゲームの情景を説明しているのかムイタックとソリヤが思い出を懐古してるのかもぐちゃぐちゃなんだが、たしかにSF小説であり、でも読み手を置き去りにしてるような感じで…。
なのに、なんだこの満足感。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ最近ハマっている作者。
舞台はカンボジアで、フランスやベトナムなどの様々な国からの圧力や思想が入り混じり内乱状態の時代背景。
共産主義を掲げ、実行するサロトサルやそれに対して密かに反乱を企てる娘のソリヤ、とある町で生まれ、激動の人生を過ごすムイタックとティウンの兄弟…。
とにかくいろんな人物の視点から思惑と理想、現状に対する不満などがひっきりなしに描かれている。
正直、カンボジアの歴史的背景を押さえていた方が絶対に楽しめるので読者の根本的な教養が問われる部分が多いため全てを楽しむには私の実力不足が否めないが割と面白いので下巻にも期待。 -
ネタバレ 購入済み
自分を構成するもの
自分を構成するもの――それを円グラフで表す。
それが元素であれば、炭素、水素、酸素、窒素、その他金属。
ハガレンのエドに言わせれば、子供の小遣いでも材料は買える。
だが、他の要素でグラフを書くとしたら?
エントリーシートとか懐かしいし、いきなり自己分析しろと言われても困ったことを思い出す。 -
Posted by ブクログ
筆者が「小説」の正体を分解しながら探していく、解説本でありながら、「どのように小説を書いているのか」という小説家の思考を覗けるエッセイとも感じる一冊でした!
読み終えて一番に感じたのは、もっといろいろな小説を読んで、味わってみたいということ。
そして、こうして小説についてあれこれ考えを巡らせていること自体が、筆者の述べていた「自分が考えたいことを考えるツールとしての小説」という考え方を、まさに体現しているようにも思いました。
筆者の小説は「君のクイズ」しか読んだことがないのですが、同様に無駄の無い構成で200ページほどに収め、本書にあたっては巻末に早速短編を収録するなど、筆者なりの「読者へのおもてなし」要素を見つけたような気がします。
個人的に好きなのはあとがきです。
出版までの製作コストと、小説としての完成度や質のジレンマに触れるところに、筆者自身が「小説」を大事にしようとして、だからこそその本質を追い求めていることを感じられました。
「小説の正解はまだAIにわかっていない」
ここには小説家としての矜恃を感じました。
最近、文学賞の公募にAIが生成した作品が大量に応募されたことも話題になりましたが、AIっぽい文章はやっぱり違和感が拭えないし、小説に限らず、映像作品やアートも、考えたいこと、伝えたいことが軸にある作品はやはり人のものでないと意味が無いということを実感していたいですね。
筆者も述べているように、本書は小説を書くテクニック本ではありませんが、一方で小説を書き始める入口、小説が成り立つための要素を学べる側面もあります。
例えば、小説(に限らずビジネス本などにも当てはまるかも)を書くうえで、読者にいかに「この小説は私について書かれている」と感じさせられるか。
(本書では直接的には書かれていませんが、)実体験と実体験の共通項を探し、抽象化して結びつけるというテクニックが不可欠だといえます。
そして多くの読者にそう感じさせることが、「普遍性」へとつながる反面、個々人の経験や解釈の幅が広がることから、「誤読」を誘発するということ。
小説を、最初から「何かを伝えるための手段」として使うのではなく、「自分が何について考えたいのか」を探るための手段として使う、という考え方もなるほどなぁと思いました。
書き手自身がテーマについて考えながら物語を膨らませていく。その結果、読者にとっても同じテーマについて考えるきっかけとなり、結果的に何かを伝えることにつながることもある。
純文学こそ真の文学だ、という声を未だに聞くこともあるのですが、作品を通じて考えるという側面は、ほかのエンタメ作品(映像や漫画など)と共通するものを感じます。
また、少し視点は変わりますが、小説は芸術やエンタメの分野の中でも、少し異色な存在だと感じました。
例えば、芸術分野の美術や音楽、エンタメ分野の映像や芸能には、専門的な知識や技術を学べる学校があります。
どの分野も個人の才能や努力が欠かせず、生み出されたものが「作品」と呼ばれる点では共通しています。
それなのに、小説の書き方を専門的に学べる学校は、あまり聞いたことがありません。もちろん、文学を学問として研究する大学などはありますが、それとは少し違う話です。
そう考えると、小説はほかの創作分野と比べて、技術を体系的に学ぶというイメージが薄いのか…
最後に、作品(1次作品)に対する批評(二次作品)、作品の読み筋を与え方向づけをする批評が機能している小説はぜひ読んでみたいです…! -
Posted by ブクログ
ネタバレ「だからなんだ」と言いたくなる小説No.1としてお墨付きを……
小川哲氏の小説としては、テクノロジーが比較的発達した近未来の小説としては、「ユートロニカのこちら側」がありますが、やはり語り口が当時より精錬されていて、専門用語が飛び交っているのに読みやすいです。
といっても、専門用語が先に当然のものとして出てきて、後で軽くこういうものなんだなと開示されるような書き方だったので、後になってするする読めるようになりますが、最初は少し重かったといえば、そうです。
それでも、退屈になりがちな序盤の講義パートはスキッと纏めつつ、面白かったので、さすがの筆力!
そして、あれよあれよと、まさかの生命体発見!?主人公の1人が誘拐!?火星独立!?大統領になってみない!?って!?
と立て続けに進行していく事態のスピード感がとても面白く、火が付いてからは最後まで一気に読み切ってしまいました。
個人的欠点を述べるとすれば、ミステリー的要素や伏線は、かなり単純で、分かりやすすぎたところですかね。
自分は大体最後まで分からなかったりするのですが、
・講義で、統計の問題ではない、と重要なポイントになった質問をした学生はリリだった
・AJが盗難事件の犯人
は、あからさまに分かったので、作中で登場人物たちが気付くまで「まだ分かってなかったのか!」となんとなくミスマッチしていました。
2つ目は、マルがカワナベが犯人では?と別の章で言いつつ、前後の賞でカワナベがあからさまに犯人じゃなさそうな描かれ方をしているので、ここはもう少しなんとかなったんじゃないかなと思います。(信頼できない語り部とか、別軸の怪しい行動を取ってたみたいな感じにできれば…)
あと、こんな設定で壮大な感じなのに、ページが少ないなと思ってましたが、最終盤のFTL(faster than light)作戦や戦争回避に関しては、すんごいあっさり感がありました。
スピード感を重視した結果だと思いますが、話の重厚さとのバランスって難しいなとも思いました。
作中ずっと10分間の会話の断絶を描いていたので、対話を改善するスピラミンの有効活用法の帰結自体はすごい好きなんですけど。
でも、なんだかんだいっても、すごく面白かったと思うのでOKです! -
Posted by ブクログ
テレビのクイズ番組は好きでたまに見る程度で、テレビの前で答えていて、出演者より先に正解すると嬉しい。私のクイズ愛はその程度です。
テレビで伊沢くんとかQuizKnockの人とかが東大王として出ていた頃、すごいなー、なんでこんなこと知ってるんだろう!なんで問題全部読まないのにわかったんだろう!とか、思っていました。
この小説は、一般人のそんな疑問に忠実に答えてくれます。早押しクイズに特化しています。クイズ問題の読み手の吐く息、読む前の飲み込む息を聞いているっていうのは、百人一首を題材にした漫画「ちはやふる」でもありました。だから勝つためには、耳を鍛えると。クイズでもそうなんだな、と知りました。
小川哲さんのご著書は初めて読みましたが、読みやすく入り込みやすい。主人公が調べたり、考えたりしていくことだけなのですが、引き込まれました。