小川哲のレビュー一覧
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ネタバレ面白すぎます。
絶対面白いだろうから、取っておこうと思った自分を叱りたい。いつもすごい分厚いのに、この本の薄さにびっくり!
スラムドックミリオネアみたいやなと思ってたら解説にもバッチリ書いてましたね。
これを読むまでクイズというものを誤解してました。確定ポイントや読む人の口の動きや押したときに出る次の1文字まで解答に使うこと。
これから早押しクイズ見る時ぜったい楽しくなるー!
中盤に三島が出題者に関係する問題が出ていると気づいてからも良かった。彼がいう「クイズに正解したということが、今までの人生を肯定されたことになる」ってとこがすごい良かったです。
なぜこれをするのかって理由が出てくる小説は -
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NHKドラマ版の予習に。
タイトルからしてそうだが、ストーリーも僕が一番好きな小説『月は無慈悲な夜の女王』にモロに影響を受けている。
それよりはヒューマンドラマ寄りの内容とはいえ、搾取される異星植民地と母星地球との軋轢、というハードにSFチックな設定は元のまま。
正直に言って、NHKの年末特番にこれを採用したこと自体がかなり驚きだ(もちろんいい意味で)。
とはいえ、イーロン・マスクじみた胡散臭いCEOや、対話という現代的なメッセージなど現代的・テレビ映えしそうなモチーフもいろいろ。
ドラマ版はまた少し違った物語らしいが、今のところ大いに期待している。 -
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ネタバレテレビクイズ番組『Q-1グランプリ』
主人公三島玲央は、本庄絆と対峙する。
その最終問題、問い読みが問題文を読み上げようとしたまさにその瞬間、本庄の早押しボタンが押され、彼は正解し、賞金1000万が渡された。
なぜ、彼は『ゼロ文字押し』で正解することができたのか?
競技クイズについての物語を超えて、人生とは?という壮大なスケールまで話が進む。
物語に出てくる『熊の場所』
それはその人の人生にとって、あらゆる恐怖の源となっている原因のこと。
『熊の場所』から運良く逃げだせたとしても、それは心の中に残り続ける。
『熊の場所』を取り除くためには、『熊の場所』に戻って、自分の手で熊を退治しなけれ -
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うわー!
とんでもねー!!
これね、わい思うにね
「光遅くね?」ってところからスタートしてると思うんよ
あ、あらかじめ言っておくけど、実際に正しいかどうかは割とどうでもいいの
わいがそう思った時点でそれでいいの
とにかく「光遅くね?」ってところからスタートした物語だと思うのよ
凄くね?
もうちょっと悔しいわw
だってどうしたってわいみたいな凡人にはそんな発想出てこないもん
だってこの宇宙で光が一番早いのよ
物理学的にそれ以上は不可能なのよ
光の速さは約30万km/秒で地球から火星まで180〜1,300秒なのよ(地球と火星の距離は一定ではないので幅がある)
光と言えばとんでもなく速いも -
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1.SFっぽくない感じが良かった。
全編通してSFっぽさは少なかったが、それ以外の良さがあった。完全なSF世界ではないからこそのリアリティがあるような気がする。「魔術師」で言えば、タイムマシンが本物であるかどうかわからないまま物語が終わるのが良かった。これについては「読者に任せる」書き方が効果的に感じた。 「ひとすじの光」はSF要素がなかったが、馬と自分とを重ね合わせて父親との関係性や自身のアイデンティティに思いを馳せる姿に感動した。「ムジカ・ムンダーナ」はSFというよりファンタジーかな。
2.嘘と正典が一番良かった。
前半はSF的な要素がないまま話が進んでいき、後半から過去との通信が出 -
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昔、石原慎太郎が「いまの若い作家連中の作品は実体験に基づいたリアルさがないよね」みたいなニュアンスのコメントをしてるのをニュースでみて、わけもなく苦々しく感じたのが強く印象に残ってるんだけど、こういう新星の作家が堂々と自分の人生経験のなさをあけっぴろげにしてくれるのはある意味マッチョな思考だよなと思う。
要素分解がうますぎて、なんなら逆に小説というものの神秘性が壊れるのではと怖くなってしまった。研究されすぎた対戦ゲーのメタが凝り固まって、同じ戦術しかみなくなる経過を小説という領域で見てるみたいだ。石原慎太郎コメントへのアンチテーゼみたいだな。
ちなみに僕はサイン本に釣られて『君が手にするはず -
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小川哲がどういうことを考えて小説を書いているかを知ることができて、とてもおもしろい。
よくある小説の書き方をレクチャーするような本とは、ちょっと趣が違う。
私は小川哲が好きだし、それより前提に文章が上手くなりたいと日頃思っているので、この本は驚いた上に眉唾ものだった。よくある小説の書き方本とは違うが、「小説がどのように成り立っているのか」「どのような小説が評価されて多くの人に読まれるのか」「小説の面白さとは一体何なのか」とか、「小川哲は伏線が嫌いなこと」とか知ることができて、中にはクスッと笑える例文があったりして、小川哲全開でとても良かった! -
ネタバレ 購入済み
僕のクイズを問うている
僕の頭は藤川球児のストレートくらい回転している。
最序盤のこの文章から俄然引き込まれた。
すごく筋の通った展開で、タイトルとラストもリンクしていて読後感の良い作品。 -
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ネタバレ小説に対して、文章を書くことに対して真摯な人だという印象を受けた。作家として売上を意識せざるを得ない中で、小説を通して自分は何ができるのかについて向き合ったからこの本が完成したのかな。
物語に対して警戒心を抱く風潮がある中で、小説の可能性(誤読が生むコミュニケーションからの逸脱と作品の新しい意味や、制作しながら新しい視点や問いを見つけること)を示してくれたのはすごく有益なことだと思う。
小説以外でも人に読んでもらう文章を書くときに参考になる。あと、YouTuberやインフルエンサーがある本の感想を投稿すると、他の人の感想もそれに方向づけされたものが増加する、という指摘にはゾクっとした。他者の意 -
Posted by ブクログ
クイズ番組の決勝戦を振り返っているだけなのに、すごく濃縮な小説だった。一つ一つのクイズに主人公三島の人生が重なっており、その振り返りをしていくことでどうして決勝戦の相手本庄がゼロ文字押しができたのか謎を解いていく…すごく面白かった。クイズっていうものの奥深さを知ったし、自分の人生もクイズの連続なんだなぁとしみじみと思った(知識的にはアニメ漫画にジャンル偏りそう)
三島には三島のクイズがあるように、本庄には本庄のクイズがある。ベクトルは違うけどクイズというものに対して二人とも熱意があるんだと感じた。だから「君のクイズ」なんだろうなぁと思いました。