小川哲のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
爆速で読み終わった。
作者は「小説はコミュニケーション」という考えのもと、その面白さは書き手の認知の質と、それを文章に圧縮する技術の掛け算によって決まると語る。その思考を体現している本書は、ありとあらゆる言語化のための本と言っても過言ではない。「小説とは何か」を問い続ける著者の認知がぎゅっと圧縮された文章を読み、そしてそれを「面白い」と思う。読んで体験して「分からせ」られている感覚がする。そりゃ爆速で読み終わるってもんよ。
私はとある会社で広報の仕事をしているのだが、ニュースリリースの内容を盛りに盛りたがる偉い人たちに、ぜひこの本を読んでもらいたい。受け取る読者のことをきちんと想定しているか? -
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ネタバレ様々な登場人物の視点から日露戦争〜第二次世界大戦頃の主に満州を舞台に地図と拳、つまり地図と戦争の話がテーマで描かれている。一度も主観的な視点が描かれない細川の行動が常にキーで日本のために活躍、時に暗躍する。常に気になり続ける存在だった。ただ、私が好きだったシーンは別の人物、中川のシーンだった。彼は非常に頭がキレて、反戦主義で左翼活動までしているキャラで戦場にいっても人をなるべく殺さないようにしていた。そんな彼が度重なる行軍で疲れ果て、暗闇の中で尿意を催した時に、明かりをとりトイレするために他人の家を燃やす。建築学生として優秀だった彼は家の価値を知っていたのでそれは彼を軍人として覚醒させてしまう
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Posted by ブクログ
ネタバレ「Q -1グランプリというテレビでのクイズ大会で、なぜ本庄絆は一文字も聞くことなく正解を口にし、優勝できたのか?」に対戦相手であった三島の目線から迫っていく推理小説。
クイズプレイヤーが主人公の一人称小説ということもあり、主人公の思考がすぐにクイズと結びつき脱線することもあるが、それがリアルに主人公の考えを追っている感覚になれておもしろい。
なぜ本庄絆が優勝したのか?に「出題者の意図や考えていることを事前に想定し、出題される問題を予測した上で、問読の口の形から早押しをした」という一定の納得のいく答えがきちんと用意されているのもモヤっとならなくてよかった。大掛かりな仕掛けがあるわけではないが、主 -
Posted by ブクログ
ネタバレ人間とは不幸せ、不自由がなければ幸せとは、自由を感じられない
区画内の人間が享受している自由は、監視下におけるある意味の不自由であり、それを不自由だと感じなくなることで幸せになるという
ドアノブを意識なく(ストレスなく)回して扉を開けるように、幸せへの道は不感になることであることは一つの正解であるが、全てのストレスや不安が取り除かれた世界では自分の意思を持つことが減っていく。本人はそれに気づかない。
本を読んでいる我々や区画外の一部の人間から見るとディストピアと感じるが、区画内の人間にとってはこれ以上ないユートピアであり我々の意見は何もわかっていない妄言と捉えられてしまう。
新興宗教やマルチに -
Posted by ブクログ
人類が、地球から火星へ、そして宇宙へでていったらどうなる? 既知と架空の組み合せ、SFです。そのなかでも、架空物質の「スピラミン」がよかったです。小説の評価として?ですが、これだけで星☆5! (イカ臭い、スペルミンじゃないよ) とってもおもしろかったです。
そして思うのは、人類の宇宙進出って、いろいろと大変だなということです。
事実として火星の重力は地球の約1/3(0.38倍)しかありません。(以下 地球が基準です)
最近、ジムで両手にダンベルもって歩くのが気に入っているわたしからしたら、負荷すくな!とおもいます。
低負荷なので、火星の定番は大ジャ~ンプです。なにしろ体重60kgの -
Posted by ブクログ
近未来、火星の開発が進み、移住者が増えていたが、投資対象としての価値がなくなり、地球帰還計画が発表される。そんな時、学者がある物質の同時構造変化を発見、地球外生物として報道発表されることとなる。そして、そのことが地球と火星との関係性を揺るがす事件につながってゆく。。。
登場人物ごとの視点で進んでゆくストーリーで、説得力のある科学的描写(実際の理論は知らないけど)、ウィットのある会話、癖のあるキャラクター、その割に重くなりすぎない感じがいいですね。NHKでドラマやってたみたいだけど、映像化向けです。
「だからなんだ」とか、「光が遅すぎる」のフレーズ最高でしたね。