小川哲のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ某配信サイトで、著名人・作家が1万円で選書をする、という企画がある。小川哲さんがそこで本を手に取り話している姿を見たからこそ、この小説の主人公が作者本人なのか架空の人物なのかがどんどん分からなくなる不気味さがあった。この本を読んだ人はぜひそちらも見てみてほしい。ちなみにそこで哲学についてもお話しされているが、とても面白く、小川さん自身哲学への関心が強いことが分かる。
この本の紹介ではよく「自己顕示欲」について語られているが、私が印象的だったのはプロローグで語られたクリプキの固定指示子の話だ。"固有詞はさまざまな要素を持つことで確定されるが、そこには剰余がある。もし私を構成するなにかが -
Posted by ブクログ
毎日の生活の光景を、異次元に誘い込むSFぽさがとても面白かった。何気ないシーンで、見慣れた言葉なのに、時間軸がずれていくような体験ができる、小川さんらしい小説でした。とても、面白かった。
p14
クリプキは、現実とは無数の可能性の世界のうちのひとつにすぎないと考えた。
p25
読者は自分の意思で本と向き合い、自分の力で言葉を手に入れなければならない。そんな拷問を、場合によっては数時間、十数時間も要求する。
素敵な読書の定義。
p44
クリプキによれば、僕たちの名前には、記述では回収できない剰余がある。その剰余とは、さまざまな可能性を繋ぎ止める楔のことだ。
p66
嫌な思い出というものは、 -
Posted by ブクログ
小川哲のラジオ番組でのゲストとの対談をまとめた本。
様々なジャンルのゲストが登場するが、その度にゲストが読んできた本について何かしら返事ができる小川哲の読書量と豊富な知識に驚かされた。
さすが、「地図と拳」巻末の参考文献を全て頭に入れて小説を書き続けた人だ。
個人的には「しろがねの葉」などを書かれている千早茜との対談が興味深く、当時の直木賞を生中継で見てたこともありとても楽しく読めた。
あとは「カイジ」などの作者、福本伸行もよかった。漫画は知っているが作者の人となりは知らず、興味が沸く話ばかりだった。
ゲストは小説家が多かったが、どなたも頭が良くあらゆることにアンテナを張ってる方ばかりで、 -
Posted by ブクログ
ネタバレ満洲という激動の土地を舞台に、理想と暴力、計画と衝動がせめぎ合う壮大な物語。その完結編である下巻は、上巻で張り巡らされた思索と葛藤を、より深く、より鋭く掘り下げていく。
読み進めるうちに感じるのは、この作品が単なる歴史小説ではないということだ。そこにあるのは、「国家とは何か」「理想はどこまで暴力を正当化するのか」「人は歴史の歯車なのか、それとも抗う存在なのか」という根源的な問いである。登場人物たちは皆、巨大な時代のうねりに翻弄されながらも、自らの信念を握りしめて立ち続ける。その姿は、英雄的というよりもむしろ痛切で、人間的で、だからこそ胸を打つ。
タイトルにある「地図」と「拳」。地図は未来を -
Posted by ブクログ
すごく哲学的なお話で一見難しそうやけど、シンプルにわかりやすく描かれていて賢い人の書いた文章って感じで面白かった!
短編の主人公はそれぞれ作者を少しずつモデルにしているのかな?
日頃から
「〇〇とは?」「〇〇の定義とは?」
と、すぐに脳内会議しちゃう私。すごくこの作品ハマりました。あと、とても勉強になった!
残しておきたい言葉がたくさんあったのでメモ↓
「読書とは本質的に、とても孤独な作業だ。最初から最後までたった、一人で経験する。読者は自分の意志で本に向き合い、自分の力で言葉を手に入れなければならない。」
「本とはつまり、記述の束だ。豊かな世界を言葉に閉じ込める作業だ。」
人生の -
Posted by ブクログ
ネタバレ難しかった~
「スメラミシング」
ずっと「すみません」と謝っているのが印象的だった。
高校生の時に、クラスメイトの長田と小海線に乗りに行こうと計画を立てたが、
結局行けず、長田とはその後、疎遠になるのだけれど、あの時、一緒に行けていたら、
また違った関係になっていたのではと、そんなことを何度か考えたという話。
本筋とは関係ないけれど、こういう感じ、感覚が僕はとても好みでついつい繰り返して読んでしまう。
「何度か」という言葉に、「ああ、何度か考えたんやな」などと思ってしまうのだ。
自分の癖なのかもしれないです。
「神についての方程式」
数学的なことはさっぱりわからんが、物語の構造がおもしろか